保育士を目指す学生さんのなかには、子どもや保護者とうまく信頼関係を作れるか不安な方もいるでしょう。「ミラーリング効果」という心理テクニックを使えば、実習や入職後に役立てられるかもしれません。今回は、ミラーリング効果とは何か、活用できる場面や、保育士として活用するときのポイントを紹介します。
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保育士が活用できる「ミラーリング効果」とは
ミラーリング効果とは、鏡のように相手と同じ言動や表情をすることで、相手に親近感や信頼感を持ってもらう心理学をもとにしたテクニックを指します。
もともと人は、自分と同じ動作や話し方をする人に対して無意識に「自分に好意を持っている、自分を尊敬している」と捉えると言われており、ミラーリングではその性質を利用して意図的に相手の親近感を引き出すことができるようです。
他にも心理学用語には、ペーシング、オウム返し、キャリブレーション、ノンバーバルコミュニケーションなどがあり、そのなかの一つとしてミラーリングがあります。
では、保育士の仕事にミラーリング効果をどのように活かすことができるのでしょうか。
保育士がミラーリング効果を使うタイミング
保育士の仕事にミラーリング効果が活躍する場面には以下が挙げられます。
- 子どもとのかかわり
- 午睡時間の寝かしつけ
- 保護者対応
- 同僚保育士さんとの会話
子どもが保育学生さんに対して人見知りをしているときや、まだ言葉で意思疎通ができない乳児とのかかわりなどでミラーリングは効果を発揮しそうです。
また、保護者対応や先輩保育士さんとの雑談など大人とのかかわりでも、好意や信頼感につながるミラーリングのテクニックは活躍するでしょう。
保育の仕事をするうえで、保護者の信頼を得られたり、先輩保育士さんと話しやすい関係になれたりするきっかけになりそうです。
保育士がミラーリング効果を活用するときのポイント
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実際に、保育士として働くうえでミラーリング効果を使うときのポイントを紹介します。
子どもとかかわるとき
子どもの動き・表情を真似する
子どもが「ひこうきだ」などと指を差したときや、拍手をしている姿、首をかしげている様子などはミラーリングとして真似しやすい場面でしょう。
保育士さんが同じポーズを取ることで、子どもは先生といっしょであることや共感してもらえたことをうれしく感じるかもしれません。
また、笑顔や泣き顔、困り顔といった子どもの表情を真似するのもよいですね。
表情をミラーリングしながら、「悲しいね、泣きたいね」と言葉をかければ、子どもは気持ちを代弁してもらったと感じることができ、保育士さんとの信頼関係が深まりそうです。
子どもの言葉を繰り返す
子どもの話した言葉を繰り返して伝えましょう。
「ありさんみつけた」「ありさん見つけたの?」など、返答する際に子どもの言った言葉を使うと自然ですね。
また、「ありさんいっぱいいたね」など子どもの言葉を補ったり「ありさん見つかってうれしいね」と気持ちを代弁したりすることで、ミラーリングの効果を発揮するだけでなく子どもの言葉の力を伸ばしていけそうです。
子どもの呼吸に合わせて寝かしつける
保育士さんは午睡の時間、子どもの背中や胸を優しくトントンと叩いて寝かしつけることがあるでしょう。
このとき、子どもの呼吸のリズムに合わせて叩くことで子どもが落ち着いて入眠できるという効果があるようです。
また、激しく泣いている子どもに対してもこの方法が役立つと言われています。
まず、泣いている子どものペースに合わせて、早口で「泣きたいよね、そうだよね」と声をかけながら素早くトントンと叩きます。
だんだん叩くペースや声かけのトーンを落としていくことで、子どももつられてゆったりと落ち着いてくるでしょう。
保護者や先輩保育士さんとかかわるとき
相手のしぐさをさりげなく真似する
会話の中で、相手のしぐさや表情をさりげなく真似してみましょう。
わざとらしくならないよう、口元に手を当てる、髪の毛を触る、お茶を飲むといった自然なしぐさを同じタイミングで取り入れるとよいですね。
また、口角を上げたり、眉をひそめたりと表情の変化を同じにするやり方もあります。
ただし、腕を組む、足を組むといった行動を真似すると失礼にあたるため注意しましょう。
相手の言葉を繰り返して言う
先述したように、相手が使った言葉を繰り返して返答することも信頼感を得やすくなるようです。
そうすることで、相手にきちんと話を聞いている、話に興味を持っているといったメッセージを伝えることができそうです。
また、「この間まで腰痛がひどかったのだけど、整形外科の先生の感じがよくて、そこに通ったらすぐよくなって……」という話には、「腰痛で大変だったんですね」と共感する言葉を入れるのもよいですね。
また、「つまり整形外科の先生が当たりだったんですね」と要旨をまとめる言葉を入れるとさらに効果的かもしれません。
わざと相手と違う動きをする(相補的ミラーリング)
相補的ミラーリングでは、相手とは逆の行動をすることで、ミラーリング効果を引き立てることができるようです。
たとえば、相手が深く椅子にもたれかかったら自分は浅く座りなおしたり、相手が両手を組んでいたら自分は組んでいた手を離したりといった動作が挙げられます。
自然にこのようなしぐさを取り入れることで、より相手との一体感や親近感を引き出せると言われています。
タイミングが不自然になってしまわないよう配慮しながら活用していけるとよいですね。
保育士の仕事でミラーリング効果を使ってみよう
今回は、保育士の仕事に活用できるミラーリング効果について紹介しました。
ミラーリング効果では、相手の動きや表情、言葉をさりげなく真似することで、親しみや信頼感を引き出すことができます。
子どもだけでなく、保護者や先輩保育士さんとの会話にも役立てられるため、人とかかわることが多い仕事としてとても有用なテクニックと言えそうですね。
ミラーリング効果を活用して、親しみやすい保育士を目指しましょう。