保育園では、一年を通してさまざまな行事があります。保護者の方が参加するものや子どもに伝統や季節の移り変わりを伝えるものなど、園によってさまざまでしょう。今回は、保育園の行事として代表的なものを、年間スケジュールに沿って紹介します。それぞれの意味やねらいを知り、計画や実行に活かせるようにしておきましょう。
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保育園における行事とは
保育園で、季節や園の方針に応じてさまざまな活動をするのが「行事」です。
春には遠足、夏には七夕やお祭り、秋は運動会、冬には発表会などさまざまあるでしょう。
これらの行事を通して、子どもたちの豊かな感性や情緒を育むことを目的としています。
ここからは、実際に保育園で行なわれている行事の年間スケジュールを、季節ごとに紹介します。
保育実習や入職を控えている学生さんは参考にしてみてくださいね。
保育園の行事~春~
春は出会いの季節です。新しい環境にドキドキしているのは子どもだけでなく、保育士さんや保護者の方も同じかもしれません。
保育園において、春に行なわれている行事を紹介します。
入園式
新年度の始まりである入園式は、新しく保育園に入園した子どもたちを迎える、大切な行事です。保護者の方も参加する場合がほとんどで、入園式後に保護者会や懇談会を設ける園も多いかもしれません。
入園式のねらいは、入園を子どもや保護者とともに喜びあうことや、子どもと保育士との出会いの場を楽しむこととなるでしょう。
また、入園式の日は進級する在園児のために、進級式を行う場合もあるようです。
進級式には、基本的に保護者の方は参加せず、担任保育士さんと子どものみで行うことがほとんどかもしれません。
進級式には、新しい担任と子どもとの出会いの場を楽しむことや、学年が1つ上がった子どもたちの成長をいっしょにお祝いすることがねらいとして挙げられそうですね。
こどもの日
こどもの日が近づくと、「こどもの日の会」を開く保育園もあるかもしれません。
製作でこいのぼりやかぶとを作ったり、こいのぼりの歌をうたったりと、健やかな成長を祝いながら、季節を感じることをねらいとしています。
こどもの日にまつわる絵本や紙芝居などを通して、由来や祝う意味を子どもたちに伝えられるとよいですね。
春の遠足
新年度初めての遠足は、気候のよい5月頃に行うところもあるでしょう。なかには、保護者同伴の「親子遠足」としている園もあるかもしれません。
春の遠足を行うのには、保育士と子ども(または保護者)の親睦をはかることをねらいとしているようです。
遠足の前には、子どもたちと行き先についての話や約束事をしておいたり、お弁当の製作を楽しんだりして、期待感を高められるとよいでしょう。
保育園の行事~夏~
プールのある保育園では、7月~8月頃の夏の期間、プール遊びを行うことも多いかもしれません。ケガや事故に十分気をつけながら、暑いなかでも元気いっぱいにすごせるとよいですね。
ここでは夏の行事の例を紹介します。
保育参観
保育園での生活に慣れてきた初夏の頃になると、保護者の方に保育園での子どもの様子を見てもらうため、保育参観を行う園もあるでしょう。
保護者の方に子どもが楽しく遊んだり、友だちと関わったりする姿を見て、安心してもらうことが一番のねらいといえそうです。
普段は仕事や家事で忙しく、ゆっくりと子どもと関わることができない保護者の方への配慮として、親子でコミュニケーションをとれる製作やゲームを取り入れることもあるかもしれません。
その場合、親子で関わる時間を作るというねらいを立てて行う園もあるようです。
七夕
日本に昔から伝わる七夕にまつわる行事を行う園もあるでしょう。七夕という伝統行事を知り、身近に感じることをねらいとしているようです。
保育園では、当日に「七夕会」や「七夕祭り」を開催する園も多く、子どもたちの願いを書き込んだ短冊や、手作りの飾りを笹の葉に飾ることもあるでしょう。
また、子どもに親しみやすい絵本やパネルシアターを活用しながら、七夕の由来をわかりやすく伝えることもあるかもしれません。
夏祭り
夏ならではの行事の一つに夏祭りがあります。
園内や園庭で、おみこしをかついだり盆踊りをしたりと、保育士だけではなく保護者の方に屋台を担当してもらうなど、大々的に行う園もあるかもしれません。
保護者同士が交流するよい機会ともなるため、子どもと保護者、保育士のつながりを深めるのがねらいとなるでしょう。
どのような催しをするかや屋台を出すかなど、お祭りに向けた話し合いや製作などの準備の時間も子どもたちと楽しめるとよいですね。
保育園の行事~秋~
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秋は外で体を動かしやすい気候になるため、年間スケジュールのなかでも一大イベントの運動会や遠足などを行う園もあるでしょう。
ここでは秋に行事について紹介します。
敬老の日
9月の敬老の日の近くには、祖父母の方へ日々の感謝の気持ちを伝える行事として、「敬老の日の会」や「祖父母参観」を催すこともあるかもしれません。
祖父母を保育園に招き、子どもとの交流の機会を設けるというねらいがあるようです。
子どもからの手作りのプレゼントを渡したり、歌や劇を披露したりすることで、感謝の気持ちを伝えられるかもしれませんね。
運動会
運動会は、保育園に通う子どもたち、そして保育士さんにとっても一大イベントです。当日に向けて、子どもたちとさまざまな競技の練習を積み重ね、準備をすることでしょう。
運動会のねらいとして、目標に向かって頑張る力と、友だちと協力する協調性を身につけることが挙げられそうです。
保育士さんは、練習の過程や当日の立派な姿など、子どもたちの頑張りを認める働きかけを心掛けることが大切かもしれませんね。
作品展
11月頃には、子どもたちが保育中に製作した作品を展示する「作品展」を行う保育園もあるでしょう。
絵本の世界をテーマにした作品や秋の実りなど季節のイベントをテーマにした作品など、子どもたちが興味をもって楽しみながら取り組めるものを選ぶとよいかもしれません。
友だちといっしょに何かを作り上げたり、自分のイメージを形にしたりすることで、達成感を得ることをねらいとしています。
保護者にも見えるように展示するなどしながら、子どもたちが一生懸命取り組んだ姿や作品に込めた思いなどを伝えられるとよいですね。
保育園の行事~冬~
年度の締めくくりとなる冬の季節。一年間の集大成となる生活発表会やお別れ会、卒園式などを行う園もあるかもしれません。
ここでは、冬の代表的な行事について紹介します。
クリスマス会
12月頃から、クリスマスにちなんだ製作や歌、絵本を取り入れながらムードを盛り上げ、当日近くに「クリスマス会」を開く園も多いかもしれません。
クリスマス会のねらいとして、クリスマスに興味をもち、友だちや保育士と行事や雰囲気を楽しむことが挙げられるでしょう。
ときには、保育士さんがサンタやトナカイに扮して子どもたちにプレゼントを渡したり、クリスマス発表会として歌や演奏を披露したりすることもあるかもしれません。
保育園のみんなでクリスマスの雰囲気を楽しめるとよいですね。
生活発表会
2月頃に行なわれることの多い生活発表会は、一年間の子どもたちの成長を保護者の方に感じてもらい、ともに喜びあう機会となります。
練習を重ねた成果を保護者の方に見てもらい達成感を得ることや、テーマとなる音楽や物語に親しむことがねらいとして挙げられるでしょう。
生活発表会に向けて、子どもたちが「やりたい」という気持ちをもって取り組めるような働きかけを意識することが大切です。
みんなで協力してやり遂げることで、クラスの連携がさらに深まり、充実感を得ることができるかもしれませんね。
卒園式
年間スケジュールのなかでも最後の行事となるのが、卒園式です。
卒園までの成長を保護者とともに喜び合い、新たな門出を祝うことがねらいといえるでしょう。
卒園式は5歳児のみが出席する場合が多いようですが、在園児代表として3~4歳児も出席する場合もあるかもしれません。
子どもたちが保育園での思い出を胸に立派卒園できるよう、保育士さんがサポートできるとよいですね。
保育園の行事~その他~
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保育園の行事のなかには、季節を問わず行なわれているものや子どもの年齢によるものもあるようです。
誕生会
誕生会は、年間を通して毎月行う園もあるようです。
子どもが誕生日を祝ってもらうことで、自分が大切な存在であることを実感する、というねらいが挙げられるでしょう。
その月に生まれた子どもの成長をみんなで喜びあい、誕生カードやメダルなどを渡してお祝いをすることが多いかもしれません。
誕生カードには保育士さんや保護者からのメッセージを添えるなどして、子どもの思い出に残るような誕生会にできるとよいですね。
お泊り保育
お泊り保育は、5歳児の夏に行うことが多いようです。
家族から離れて、友だちや保育士とともに外泊することで、自立心や協調性を身につけることがねらいといえるでしょう。
また、小学校に向けて規則正しいリズムを身につくことや、保育園での思い出ができるというメリットもあるかもしれません。
保育士さんは普段の保育とは違った工夫を凝らし、子どもたちが楽しめるイベントをたくさん用意することが必要になるでしょう。
このほか、ハロウィンや芋掘り、餅つきなどの行事を取り入れている園もあるでしょう。
地域によっては、芋煮会やなまはげ、獅子舞など独自の文化に沿った行事を楽しむこともあるかもしれません。
学生さんが気になる園や就職希望の園がどんな行事をしているのか、あらかじめ確認しておくとよいですね。
保育園の行事の年間スケジュールを知って、実習や入職後に活かそう
今回は、保育園の行事の例を年間スケジュールに沿って紹介しました。
保育園の行事には、子どもに経験してもらいたい伝統や、保護者とともに成長を喜びあうものなど、さまざまなねらいがあるようです。
行事を楽しむことはもちろんですが、行事に向かって友だちと協力しあい成功するという経験も、子どもにとってはかけがえのない思い出となるでしょう。
行事のねらいを明確にして計画し、いっしょに準備や練習する過程も楽しみながら当日を迎えられるとよいですね。