保育園の求人に「社会保険完備」の文字を見つけたことがある方も多いでしょう。そもそも社会保険とはどんなものか、完備していればどの保険が含まれるのかなど気になりますよね。今回は、求人票における社会保険完備とは何かを解説します。社会保険の役割や内容、加入条件やメリットなどについてもまとめました。
miya227/shutterstock.com
求人票にある「社会保険完備」とは?
そもそも社会保険とは、労働者を守るための最低限の保障制度のことを指します。
会社の規模などによって加入義務が課されるため、加入の実態は会社によってさまざまと言えるでしょう。
そして求人に書かれている「社会保険完備」とは、労働するうえでもっとも大切な、「健康保険」「厚生年金保険」「労災保険」「雇用保険」の4つの社会保険に加入できることを示しています。
これらの役割や内容をくわしくみていきましょう。
社会保険の役割と加入条件
4つの社会保険の役割と加入条件は以下の通りです。
フルタイム勤務の正社員の場合、4つの社会保険は原則すべて加入となるでしょう。
アルバイトやパートタイムなどの労働者は、それぞれの働き方に合った保険が適用されるようです。
被扶養者(世帯主に養われている状態)であるときなど、社会保険に加入するとかえって保険料が高くつく場合があるため、自分の状況に適した保険を選ぶ必要があるでしょう。
それぞれの社会保険の意味や内容をみていきましょう。
健康保険
健康保険とは医療保険のひとつで、被保険者の医療負担を減らすための制度です。
一般的な医療費の負担額は3割となっており、病院など医療機関の窓口で保険証を提示すれば、保険からの補助を引かれた金額で請求されるでしょう。
また、受診の際の補助だけでなく、出産で休暇を取った際や、病気やけがで仕事を休まなくてはならないときに手当が支給されることとなっています。
厚生年金保険
厚生年金保険とは、被保険者が老齢や障がい、死亡などの理由で働けなくなってしまったときに保障するための保険です。
この厚生年金保険は、すべての国民が支払う国民年金に上乗せして払う形になるため、もらえる年金の金額が増えることとなります。
また、障がいを持ち仕事が継続できなくなった場合は、障がい基礎年金に併せて障害厚生年金が支払われ、死亡した場合は遺族基礎年金に併せて遺族厚生年金が支払われます。
遺族基礎年金の場合、夫婦に子どもがいないとき配偶者には支給されませんが、遺族厚生年金はその場合も保障されています。
労災保険
労災保険とは、正式名称を労働災害保険と言い、仕事中や通勤中のけがや病気にかかった治療費を全額負担する保険です。
さらに、正社員だけでなくパートやアルバイトの労働者も全員が加入するものであるため、加入には特別な手続きは必要ありません。
雇用保険
雇用保険とは、被保険者が何らかの理由で失業したときに、生活の安定と再就職支援を目的に支給される給付金です。
ただし、保険の目的はあくまで再就職の支援であるため、ハローワークに通っているなど再就職の意思がある人のみが支給対象となります。
労災保険と雇用保険を併せて労働保険と呼ばれ、もし働けなくなったときにも保障してもらえるようになっています。
このように、社会保険は労働者が安心して働けるように保障された大切な制度ということがわかりますね。
それぞれの制度をしっかり理解して、もしものときのために備えておきましょう。
社会保険完備の園に就職するメリット
miya227/shutterstock.com
前述した4つの社会保険を完備した園に就職することに、どんなメリットがあるのか紹介します。
将来受け取れる年金額が増える
厚生年金保険に加入することで、将来受け取れる年金額が上乗せされるため、老後の心配が少なくなるでしょう。
例として月収8万8000円の方が、毎月8000 円(年額9万6000 円)の保険料を収めた場合の年金額についてみてみましょう。
国民年金に上乗せして厚生年金の保険金を受け取ることができ、40年間加入した場合では厚生年金として1万9000円がプラスして支給されるようです。
保育士としての給与だけでは老後の貯蓄が不安に感じる場合、厚生年金保険を積み立てておくことで多くの保険金を受け取れるという安心を得られそうですね。
ただし、受給開始時期の物価の影響を受けることや、少子高齢化によって年金額が調整されることを考慮しておく必要があるかもしれませんね。
もし障がいを持ったときにもより多く年金がもらえる
もし働くことができる年齢で障がいを持ち、日常生活を送るのが困難となった場合でも、障がい厚生年金が支給されます。
この障がい厚生年金には、月額約4万9000円の最低保証が定められているため、障がい基礎年金と併せて受給することでより安定して生活を送ることにつながるでしょう。
また、もし被保険者が死亡してしまった場合にも、遺族厚生年金が支給されることとなっており、家族にかける負担が少なく済むようです。
けがや出産のときの手当が手厚い
健康保険に加入することで、けがや病気をしたときの「傷病手当金」、出産にあたって支給される「出産手当金」や「出産一時金」が充実するでしょう。
傷病手当金とは、業務外でけがや病気をしてしまい労働保険がおりない場合の給与を補填するための手当です。
けがや病気で仕事につけない期間、条件を満たせば最長1年6カ月の間手当を受け取ることができます。
出産手当金とは、出産のため会社を休んだため給与が支払われなかった場合に給付される補助金です。
休んだ期間の日数を対象に支給されますが、もし子どもがなかなか産まれず、休む期間が伸びた場合であっても、延長して休んだ日数分、支払われるようになっています。
出産一時金とは、子どもが生まれた際、1児につき42万円が支給される制度のことです。
妊娠4カ月(85日)以上での出産が対象となり、死産や流産、人工妊娠中絶も対象となります。
このように充実した手当が支給されるため、もしものときのお金の心配を減らすことができそうです。
子どもが好きで、将来子育てをしたいと考えている保育学生さんにとっては、安心してライフプランを立てることにつながるのではないでしょうか。
保険料の支払いが安く済む
会社で加入する社会保険では、保険料の支払い金額を安く済ませることが可能です。
会社も労働者と同じ額の保険料を負担しているため、労働者が高額な保険料を支払うことなく保障を受けることができるのですね。
社会保険完備の意味を知って、保育士の就活に活かそう
今回は、求人票にある「社会保険完備」の意味やくわしい内容について紹介しました。
社会保険完備とは、健康保険、厚生年金保険、労働保険、雇用保険の4つの保険に加入できることを指します。
社会保険が完備されていることで、けがや病気をしたときに補助金が支給されたり、将来受け取る年金が増えたりとより生活を安定させることができるでしょう。
また、失業したときや、障がいを持ち働けなくなったとき、出産するときでもそれぞれの状況に対応した補助や支援を受けらるため安心ですね。
社会保険完備の意味や内容を知って、安心できる職場選びに役立てましょう。