日に日に暑さが増すとともに、梅雨入りをする6月。2歳児クラスの新卒保育士さんは、月案の作成に悩むこともあるかも知れません。文例や作成のポイントを知ると簡単に書けそうですよね。今回は、2歳児クラスで使える6月の月案の文例を紹介します。養護・教育のねらいや、安全や健康に関する配慮と月反省の書き方もまとめました。
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■目次
6月の2歳児クラスの特徴とは?
梅雨入りをするとともに、徐々に暑さが増していく6月。
雨の日が多くなり、多くの保育園では室内で過ごすことが増える頃と言えるでしょう。
この時季の2歳児クラスには、以下のような特徴があるかもしれません。
- 友だちとのかかわりをよろこび、遊びのイメージを言葉で伝え合いながら楽しむ
- 身の回りのことへの意欲が高まり、自分でやろうとする姿が増える
- 室内遊びが増えて、身体を十分に動かせずストレスを感じることも
生活の流れに慣れて自信を持てるようになったこともあり、身の回りのことをなんでも自分でやろうと頑張る姿が見られるかもしれません。
また、雨の日の室内活動では十分に身体を動かせず、フラストレーションが溜まることも考えられます。
運動遊びなど発散できる活動を取り入れながら、健やかに過ごせるように工夫していきましょう。
【6月】2歳児の月案の文例:前月の子どもの様子
この欄には、文例のように4月末の2歳児クラスの様子を月案に記録しましょう。
- 連休明けには泣いて登園したり、生活リズムが崩れたりする姿があったが、月の後半にかけて落ち着いていった。
- 友だちとかかわりながらままごとや電車遊びなど好きな遊びに没頭している。
- 着脱や排泄に興味を持ち、意欲を持って自分でやろうとする姿がある。
5月には大型連休があったため、その前後の様子を書いておくとクラスの状況が伝わりやすいかもしれません。
また、クラスに慣れたことによる友だちとのかかわりの変化も月案で記録しておきましょう。
【6月】2歳児の月案の文例:今月のねらい・活動内容
6月の2歳児の月案に活用できるねらいや活動内容の文例を紹介します。
今月のねらい
ねらいの文例は養護と教育に分けて見ていきましょう。
養護のねらい
- 湿度や衣類に配慮してもらいながら、梅雨時期でも快適に過ごす。
- 身の回りのことに意欲を持ち、自分でできることはやろうとする。
教育のねらい
- 戸外遊びや製作遊びを通して、梅雨の自然に親しみを持つ。
- 友だちとかかわりながら遊ぶ楽しさを味わう。
活動内容
5月のねらいをもとに、2歳児の子どもに経験してほしいことを月案で計画します。
養護
<生命>
- 汗をかいたら拭いてもらったり、水分を摂ったりして健やかに過ごす。
- 湿度を調整するとともに定期的に換気や手洗いを行い、梅雨時期の感染症を予防する。
<情緒>
- 自分でやりたいという気持ちを受け止めてもらい、安心して過ごす。
- 保育者に見守られながら、好きな遊びをして充実感を味わう。
教育
<健康>
- 室内でものびのびと身体を動かして遊ぶ。
- 排泄のタイミングでトイレに誘ってもらい、意欲を持って取り組む。
<人間関係>
- 保育者や友だちとのかかわりをよろこび、同じ遊びをすることを楽しむ。
- 「かして」「どうぞ」などの言葉を使い、友だちと玩具の貸し借りをしながら遊ぶ。
<環境>
- 泥遊びや梅雨時期の戸外遊びを通して、自然の不思議や豊かさを味わう。
- 好きな玩具や遊びを選んで活動することで、身の回りの環境への関心を養う。
<言葉>
- 体験したことや感じたことを簡単な言葉で伝えようとする。
- 雨を題材にした絵本を読み聞かせてもらい、「ざあざあ」「しとしと」といったオノマトペを味わう。
<表現>
- リズム遊びや体操など楽しみ、のびのびと身体を動かしながら表現するよろこびを味わう。
- 製作活動を通して、梅雨の自然や気候を表現しようとする。
ねらいをもとに、2歳児の子どもたちが意欲を持って楽しめるような活動を考えていきましょう。
梅雨の時期である6月には、雨を使った遊びや、室内でも十分に身体を動かせる活動を取り入れて行けるとよいですね。
【6月】2歳児の月案の文例:環境構成と保育者の援助・配慮
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次は、ねらいや活動内容をもとにした、環境構成や保育者の援助や配慮の文例を紹介します。
養護
生命
- 子どもの体調や気候に配慮して活動内容を調整していく。
- 汗を拭いたり、食事の際に顔を拭いたりするタオルは1人1枚使用するようにして、感染症の予防に配慮する。
情緒
- やりたいことがうまくいかない気持ちを受け止め、納得できるようにいっしょにやってみたり、共感して気持ちを落ち着けたりする。
- 落ち着いて過ごせるよう、静と動の遊びのコーナーや時間の区切りを意識する。
教育
健康
- 十分なスペースを用意して、平均台やマット遊びなど室内で身体を動かす遊びを取り入れていく。
- 個々の排泄のリズムを把握し、楽しい雰囲気でトイレに誘っていく。
人間関係
- 友だちとかかわりながら遊べるよう、ままごとや大型線路といった玩具を出し、遊びを広げていく。
- 玩具の貸し借りや使う順番などを伝え、簡単な決まりを守りながら遊べるよう繰り返し伝える。
環境
- 雨上がりには安全を確保したうえで戸外遊びの時間を設け、水たまりや雨露を見つけて楽しめるようにする。
- 玩具を自由に選べるように環境を整え、次の遊びをするときは片づけるなどの決まりもあわせて伝えていく。
言葉
- 遊びのなかで必要な言葉を伝え、自発的に使えるように語彙を育んでいく。
- 子どもの語りかけには目を見てしっかりと応答し、話を聞いてもらえたよろこびを味わえるようにする。
表現
- 梅雨の製作を楽しみ、季節の自然や生き物に親しみを深められるようにする。
- 雨や梅雨をモチーフにした歌や体操を取り入れて、表現を通じて雨の日も楽しく感じられるようにする。
活動内容をもとに、2歳児の子どもがねらいを達成できるような援助を月案で考えていきましょう。
雨や梅雨の自然に対する興味を育んでいけるようなかかわりもよいかもしれませんね。
【6月】2歳児の月案の文例:家庭連絡・安全・食育
ここでは、6月に配慮する家庭連絡・安全・食育の注意点の文例をまとめました。
家庭連絡
- 雨上がりには戸外活動を行うことを踏まえ、長靴や汚れてもよい衣服を準備してもらうようにする。
- 梅雨時期の感染症や食中毒について知らせ、家庭でも予防してもらえるよう配慮する。
雨の日や雨上がりの日に外にでる場合は、汚れてしまうことを保護者の方にあらかじめ了承してもらうことが大切です。
健康・安全・衛生
- 手洗いうがいや換気を丁寧に行うよう援助し、梅雨から夏の感染症の予防に努める。
- 室内で運動遊びを取り入れる際には、十分な広さを確保して安全に行えるようにする。
6月の保育園では梅雨から夏の感染症が流行り始める時期と言えます。予防方法を知って、しっかりと対策できるよう月案で計画しておきましょう。
食育
- よく噛んで食べるように伝え、「カミカミ」など擬音語を使いながら援助していく。
- 虫歯に関する絵本やペープサートを行い、歯の健康を守る大切さを伝える。
6月には虫歯予防デーがあります。
2歳児クラスでは保育士さんが歯磨きを担当する保育園も多いかもしれませんが、歯を大切にできるようなお話を取り入れるとよいですね。
【6月】2歳児の月案の文例:反省・自己評価
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6月の月案の反省と自己評価の観点となる文例を紹介します。
養護
- 靴の履き替えや着替えなど、意欲を大切にしながら援助することで、1人で着替えようとする姿が増えた。
- 湿度に合わせて室温を調整するとともに、汗を拭いたり着替えを行ったりして快適に過ごせるよう配慮することができた。
教育
- 雨に親しめる体操や歌遊びを取り入れたことで、興味が深まり、雨の様子を観察したり、戸外遊びで梅雨の生き物を見つけたりする姿があった。
- 遊びのなかで子ども同士のやりとりを結んでいけた。
月案の反省では、意識してかかわったことや、6月の初旬から月末にかけての子どもの変化などを記せるとよいですね。
梅雨の遊びや、身の回りのことへの意欲に注目すると反省に活かせそうです。
月案に活用できる6月の2歳児保育のポイント
最後に、6月の2歳児クラスの月案や保育で活かせるポイントをまとめました。
室内でも十分に身体を動かせる遊びを
6月には雨続きで室内活動が増えるため、子どもたちは身体を動かし足らずにフラストレーションが溜まることがあるでしょう。
遊戯室を借りたり、机や椅子を片付けたりして広いスペースを確保し、身体を動かす遊びを取り入れるとよいかもしれません。
ボール遊びやマット運動の他にも、平均台渡りや、ろくぼくを使ったはしご渡り、トンネルくぐりなどさまざまな動きを経験できるよう月案で考えていけるとよいですね。
食中毒や感染症の予防を徹底する
湿度が高く、気温も上昇する6月は、食中毒や夏の時期の感染症が発生し始める時期と言えます。
食事の前には念入りに手洗いを指導したり、こまめに換気を行ったりと予防に気をつけていきましょう。
また、2歳児の子どもの体調はまだまだ変化しやすい頃なので、様子をみながらこまめに体温をチェックしたり、気候に合わせて衣類を調整したりすることも大切ですね。
歌や絵本を通して梅雨の自然への興味を引き出す
2歳児の子どもたちが、梅雨の気候や生き物、植物に興味を持てるよう、歌や絵本で伝えていきましょう。
雨が上がったら戸外に出て、カエルや紫陽花を見つけて実際にふれてみると、さらに関心が育まれそうですね。
文例を知って6月の2歳児クラスの月案を作成しよう
今回は、6月の2歳児クラスで活用できる月案のねらいや配慮の文例を紹介しました。
雨が多く室内活動が増えがちな6月ですが、身体を動かす活動や友だちとのかかわりを楽しめる遊びを取り入れることで、2歳児の子どもたちも楽しく過ごすことができそうです。
また、梅雨時期の自然に親しむきっかけを作ったり、初夏に流行する感染症の予防を行ったりすると、この時季ならではの配慮も必要になるでしょう。
文例を参考に、6月の2歳児クラスの月案作成に活かしてみてくださいね。