保育士さんのヒヤリハットにはどのような事例があるのでしょうか?ヒヤリハットとは、事故には至らなかった事例のことで、対策とともに共有することで子どもの安全が守られる保育につながります。事前に知ることで、保育学生さんの安全配慮と実習での気づきに役立つでしょう。場面ごとのヒヤリハット事例と対策を紹介します。
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保育士さんのヒヤリハットとは?
そもそもヒヤリハットとは名前の通り、事故が起こりそうになり「ヒヤリ」として「ハット」させられた事例のことです。
危険なことが起こったが、幸い事故や災害には至らなかった内容を指します。
分析により導かれた労働災害の発生比率「ハインリッヒの法則」では、1件の重大事故が起こる背景には、29件の軽傷事故、300件のヒヤリハットがあるといわれているようです。
保育園では日頃から安全管理に務めていても、ヒヤリハットにつながる事例は発生してしまいます。
大きな事故や災害にならぬよう、ヒヤリハットを使って対策していくことが大切でしょう。
場面ごとの事例を元に、保育で気を付けるポイントを紹介します。
保育実習前に学ぼう!保育士のヒヤリハット事例
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保育士さんが現場で体験したヒヤリハットを、場面ごとに見てみましょう。
睡眠
事例
- うつぶせ寝の子が何人もいたが職員が足りず、対応に時間がかかった
- 起床した際の検温で高熱だった
- 顔に覆いかぶさりそうな距離に衣服を置いていた
睡眠中は、ほっと一息つける時間と思いがちかもしれません。
しかし、子どもたちが静かな分、保育士さんが特に気を配らなければならない場面のひとつでしょう。
乳児突然死症候群や窒息などにつながるような事例が見られます。
安全対策
睡眠中は、呼吸や顔色などを子どものそばで確認をしましょう。
保育士を複数配置したり、時間ごとにタイマーをかけたりして、睡眠チェックを怠らないような工夫が必要になります。
0歳児には睡眠チェック用のセンサーをつける園もあるようです。
水遊びや沐浴
出典:教育・保育施設等におけるプール活動・水遊び
に関する実態調査/消費者安全調査委員会p13から抜粋
表にあるのは、2014年からの3年間で発生したプールや水遊びにおけるヒヤリハットの発生件数です。
173園、522件のヒヤリハットが発生しており、水を使った活動に対していかに注意が必要か、見て取れますね。
事例
- 友だちに押されて足を滑らせ溺れかけた
- プール付近で子どもが走り出し滑って転倒しそうになっていた
対策
水遊びを始める前に、ルールの把握、救命講習などを職員全員で行う必要があるようです。役割分担を明確にし、監視員を決めるなどしましょう。
環境的な配慮も必要で、心肺蘇生の手順を確認しやすい場所に準備したり、熱中症警告機を設置したりもするそうです。
出典:教育・保育施設等におけるプール活動・水遊び
に関する実態調査/消費者安全調査委員会
戸外遊び
事例
- 広場で子どもが遠くにいってしまいなかなか追いつけなかった
- 1人別の職員とトイレに行っていることに、最終点呼のときに気づいた
- 公園で遊んでいると不審な人物がこちらを見ていた
戸外遊びは転倒や打撲など怪我につながる事案も考えられますが、迷子や置き去り、不審者に遭遇など園外だからこその危険もあるようです。
安全対策
定期的に、交通経路や使用する遊び場の確認を行い、資料にまとめておくとよいでしょう。
保護者にも共有することで、ご家庭ででかける際にも参考になるかもしれません。
また、1人ではなく複数人での点呼や安全点検が大切ですね。
室内遊び
事例
- 走っている子どもが転倒して友だちとぶつかり怪我をしそうだった
- おもちゃの取り合いで噛みついたが寸前で止めることができた
- 保育室の扉を勢いよく子どもが開け、指を挟みそうになった
- おもちゃの部品が取れており、子どもが口に運ぼうとしていた
保育士さんは、室内でも安心はできないようです。
乳児の場合は、歩行があまり安定していない場合、転倒に気を付ける必要があるでしょう。
言葉がでないときは相手に噛みついて気持ちを表現したり、おもちゃや部屋の扉の力加減が分からず指を挟んでしまったりすることもあるでしょう。
ゴミやおもちゃを誤飲してしまうこともあり、思いもよらない事故が起こる可能性も考えられます。
幼児の場合は、動きが激しくなる分大きな怪我につながる可能性もあるようです。
また、ハサミなどの道具の使い方にも注意が必要になるでしょう。
安全対策
保育室内の危険は、極力ないようにしておきたいですが、全てをなくすことは難しいかもしれません。
しかし、設置できるところにはマットやクッションを使用すると、怪我につながるリスクを減らせそうですね。
また、危険な場所や物は職員全員で共有し、安全配慮の意識を深めておきましょう。
おもちゃや環境の点検表をつくり、定期的な確認も必要かもしれないですね。
食事
出典:食品による子供の窒息事故に御注意ください!
-6歳以下の子供の窒息死事故が多数発生しています-/消費者庁p1から抜粋
表は、14歳以下の食品による窒息事故の発生件数を年齢別に表しています。
小学生以上の子どもでも、窒息による事故が起きていることに少し驚くかもしれないですね。
食品による窒息は、予想だにしない状況で起こるため、常に子どもから目を離さずに見守る必要があるのでしょう。
事例
- 口に詰め込み過ぎて咳込み始めた
- 食物アレルギーのチェック漏れがあり提供前に気づいた
安全対策
食事は、発達にあった食材にして大きさや柔らかさにも配慮しましょう。
アレルギーに対しては、目に見て違いが分かるように席にマークを付ける、エプロンの色を変えるなどの工夫を取り入れている園もあるようです。
保育士さん同士だけではなく、調理員さんとの連携も重要になりますね。
子どもに食事を与える前には、必ず職員による検食、水分補給を行うとよいでしょう。
出典:食品による子供の窒息事故に御注意ください!
-6歳以下の子供の窒息死事故が多数発生しています-/消費者庁
出典:保育所等における事故防止対策の実施状況等に関する調査研究報告書/株式会社 日本経済研究所
保育士のヒヤリハット:保育実習で気を付けること
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保育のヒヤリハットは、紹介した事例以外にもたくさんあるでしょう。
現場で働きながら気づく点も多くあるかもしれませんが、保育実習などの前にはきちんと予習して対策を意識する必要がありますね。
怪我など子どもに直接かかわること以外にも気を付けなければなりません。
服や連絡帳の入れ間違い、保育士の私物が子どもに触れそうになったなどの事例もあるようです。
保育学生さんは実習前に、ご自身の服装や持ち物の安全性を確認し、保育室での注意事項なども聞いておくとよいでしょう。
また、保育士さんになにか頼まれごとをした際も、間違いがないように細心の注意を払う必要があります。
保育士さんのヒヤリハットは保育実習でも意識しよう
保育士さんが体験したヒヤリハットの事例、対策を紹介しました。
保育学生さんは実習で、保育園の安全対策にも注目してみるとよいかもしれません。
保育士は命を預かる仕事です。
保育士さん自身が疲弊してしまうと判断能力が薄くなり、子どもの安全を守るための働きかけが出来なくなる場合があります。
子どもの安全を守るためにも、快適な職場で働くことが大切ではないでしょうか。
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