保育園で行う自然遊びについて知りたい保育学生さんもいるのではないでしょうか。子どもたちが楽しめる自然遊びを計画できると、学ぶことの多い充実した保育活動になりそうですよね。今回は自然遊びのねらいや効果と、春の葉っぱを使う遊びや夏の花を使う色水遊び、虫の観察・飼育などの自然遊びを種類別に紹介します。
Natee K Jindakum/shutterstock.com
自然遊びとは
自然遊びとは、自然とのふれあいを体験して自然の変化などを感じ取りながらさまざまなことを学ぶ遊びです。新しい保育所保育指針に定められた「幼児期の終わりまでに育って欲しい姿」の1つ「自然との関わり・生命尊重」に関わる大切な活動と言えるでしょう。
自然遊びのねらい
3歳以上の保育に関するねらい及び内容の、身近な環境との関わりに関する領域を見ると、次のようなことが記載されています。
- 自然にふれて生活し、その大きさ、美しさ、不思議さなどに気づく
- 生活の中でさまざまな物にふれ、その性質や仕組みに興味や関心をもつ
- 季節により自然や人間の生活に変化のあることに気づく
- 自然などの身近な事象に関心をもち、取り入れて遊ぶ
- 身近な動植物に接し、生命の尊さに気づき、いたわったり、大切にしたりする
これらのことをまとめると、自然遊びのねらいは、自然にふれて遊ぶことで健康で丈夫な体を作り生きる力を育むことと言えそうです。
自然遊びで期待される効果
自然遊びにはどのような効果があるのでしょう。期待される効果について紹介します。
想像力や発想力が豊かになる
自然遊びの効果として、想像力や発想力が豊かになるということが挙げられます。子どもたちは葉っぱの形から動物を想像したり、食べ物を思い浮かべたりすることもあるようです。拾った葉っぱやどんぐりなどを使って、どのような物が作れそうか、どのような遊びができそうかと考える子どももいるかもしれません。
疑問を解決しようとする気持ちが生まれる
子どもたちは生き物を見てさまざまな疑問をもつようです。
例えば青虫がどのように蝶になるのかなどは、多くの子どもが興味をもちそうですよね。疑問をもったときには、友だちに聞いたり図鑑で調べたりして、答えをみつけようとすることもあるでしょう。
保育学生さんが子どもに質問されたときは、自分で答えを導き出せるようなヒントを考えられるとよいですね。
生命の大切さを知ることができる
自然遊びでは動物や昆虫などの観察や飼育を行うこともあります。そのため、生命の大切さがわかるという効果も期待できそうです。小さな昆虫がいっしょうけんめいに生きている姿や、生命が終わる寂しさなどを見たり感じたりすることで、自分の生命もかけがえのないものだと自然に気づいてくれるかもしれません。
この他にも、土や水にふれて遊ぶことで情緒が安定するといった効果も期待できるようです。友だちと関わりながら自然体験をすることで、協調性やコミュニケーション力が育まれることもあるでしょう。
出典:資料3 「幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の具体的な姿(参考例)」/文部科学省
植物を使う自然遊び
Keisuke_N/shutterstock.com
植物を使う遊びにはどのようなものがあるのでしょう。花や葉っぱ、木の実を使う自然遊びを4つ紹介します。
色水遊び
暑い夏には花びらなどを使って作る色水遊びを計画してみましょう。紫やピンクなどの朝顔を使うと、爽やかな色合いの色水になりそうです。色水は次のように作ってみましょう。
- 朝顔の花を摘んで、色のついた部分を集めて袋に入れる
- 水を少し入れてしっかり揉み込む
- 色がよく出たら袋の隅を切り、絞り袋のようにして色水を容器に移す
- きれいな色になるように稀釈したらできあがり
朝顔はしぼんだ状態でも使えるので、色水遊びを行うときにはできるだけたくさんの花を集めましょう。使う花の色や稀釈の仕方によってさまざまな色水ができるので、遊び方を子どもたちと相談するといろいろな発想が生まれるかもしれません。色水の折り染めに挑戦してもよいですね。
葉っぱのサラダ作り
春や夏には身近にたくさんの植物をみつけることができるので、さまざまな種類の葉っぱを集めてサラダ作りを楽しんでみましょう。大きな葉っぱを指先でちぎることも、子どもたちにとっておもしろい体験になりそうです。
雑草の中には小さくてかわいらしい花をつけるものもあるので、葉っぱのサラダに彩りとして乗せると、遊びながら色彩感覚が見につくかもしれません。
花びらと葉っぱでお絵かき
夏になると子どもたちの周りに咲く花の種類も増えるので、花びらと葉っぱを使うお絵かき遊びを保育活動に取り入れましょう。
大きさや形の異なる花びらを使うと、遊んでいる子どもや動物などを表現できそうです。種類の異なる葉っぱを使うと、子どもたちが想像した世界まで表現できるかもしれません。
保育活動で行う場合は、大きな白い画用紙を用意して自由に創作し、できた作品は写真に記録したりラミネートフィルムを貼ったりして、大切に保存しましょう。
どんぐりのコマ作り
保育学生さんが秋の保育活動に参加するときには、どんぐりを使う自然遊びを提案してみましょう。どんぐり拾いが好きな子どもも多いので、公園などでどんぐりを拾う活動からいっしょに楽しめるとよいですね。
どんぐりを使う自然遊びには、コマ作りや人形作り、やじろべえ作りなどがあるようです。コマを作るときには、どの部分を中心にするかなどを子どもなりに学ぶことができそうです。
種類の異なるどんぐりを手に入れた場合は、どのどんぐりがどのような遊びに適しているか、子どもたちと探求してみるのもおもしろいかもしれません。
虫と関わる自然遊び
ANURAK PONGPATIMET/shutterstock.com
保育園には虫に興味を持つ子どももいるようです。5歳児クラスになると、図鑑などを見て学ぶこともあるかもしれません。虫と関わる自然遊びを3つ紹介します。
羽化の観察
保育園の子どもたちは青虫がさなぎに変わり、やがて蝶になることを不思議に思うこともあるようです。保育学生さんが子どもに虫と関わる活動を計画するときには、羽化の観察を取り入れるとよいかもしれません。
蝶の羽化については小学校で学びますが、5歳児クラスの子どもたちにも興味をもってもらえそうです。さなぎから蝶に変わる瞬間を見ることができれば、生命の尊さや不思議を自然に感じてくれるでしょう。
アリの観察
アリの行動の観察は、保育園の自然遊びとしての活動に取りいれやすいかもしれません。
整然と列を作って歩くアリの様子に、興味をもつ子どもも多いのではないでしょうか。アリの通り道に障害物を置くとどのような動きをするのかや、通り道でない場所に砂糖を置くとどのような反応をするのかなど、さまざまな種類の観察や実験が考えられますね。
実験をするときには、アリに噛まれないように注意することも大切です。
おたまじゃくしの飼育
おたまじゃくしも保育園の子どもたちに身近な生き物のようです。何匹か集めて水槽で飼育すると、個体による成長の違いや種類による顔の違いなど、学ぶことも多いかもしれません。カエルになったら直接子どもたちの手のひらに乗せて観察してみるのもよいですよね。
おたまじゃくしを飼育する場合は、餌を十分に用意し、お腹をすかせないように気をつけましょう。
自然遊びを行うときに配慮すること
自然遊びは屋外での活動になるので、気をつけることがいくつかあります。保育園での自然遊びを行うときに配慮することをまとめました。
下見をしっかり行う
自然の中で活動をするときには、事前にしっかり下見を行うようにしましょう。
自然に生えている植物には、棘のあるものやかぶれる心配のあるものなどもあります。保育園から出て散策をする場合は、特に念入りにチェックすることが大切です。夏から秋にかけては蜂などの動きも活発になるので、子どもが遊ぶ周辺の確認も丁寧に行いましょう。
ルールの確認をする
保育園の子どもたちは、自然遊びに夢中になって約束を忘れて活動してしまうこともあります。遊び始める前に安全面でのルールの確認をしっかり行うようにしましょう。
遊んでよい場所にあらかじめ目印をつけておくといった工夫も必要です。保育園で友だちといっしょに遊ぶときに気をつけていることも、自然遊びを行うときには改めて確認するとよいかもしれません。
他にも、こまめな休憩や水分補給をするなどの配慮も大切なポイントといえるでしょう。
緊急の場合の対応について共通理解する
自然遊びではケガなどの思いがけないトラブルが想定されます。緊急の場合の対応の仕方について、保育士さんや保護者の方と話しあってお互いに理解しておくことが大切です。
特に緊急時にすぐに連絡がとれるように、連絡先や連絡方法などをしっかり準備しておきましょう。救急セットを常に携帯していると、小さなケガの対応ができて安心ですよ。
子どもの生きる力を育む自然遊びを考えよう
今回は、保育園で行う自然遊びとはどのような活動かを紹介しました。
自然遊びには自然の大きさや美しさ、不思議さに気づくといったねらいがあり、子どもたちに想像力や発想力がつくという効果があるようです。春や夏にはたくさんの種類の花や葉っぱを使って色水を作ったり、秋にはどんぐりでコマを作ったりと、遊び方をさまざまに工夫できそうですね。5歳児クラスになると虫の生体の観察などを学ぶこともできるかもしれません。
保育実習や入職後の保育活動には、子どもの生きる力を育む自然遊びを考えて取り入れましょう。