保育実習で4歳児を担当する場合に、製作遊びをしたいと考える保育学生さんもいるかもしれません。4歳児は自分でできることも増えてくるため、さまざまなアイデアが取り入れられるしょう。今回は、4歳児向けの製作遊びのねらいなど指導案の書き方、春夏秋冬それぞれの季節で楽しめるアイデアを12個紹介します。
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■目次
保育園の4歳児にとっての製作遊び
4歳児になると、基本的な生活習慣が身について自分でできることが増えたり、社会性を持ち始めて友だちと協力して遊ぶようになったりする時期でしょう。
また、手先を器用に動かせるようになるのも4歳児の特徴と言えるかもしれません。他にも、自分のやりたいことや作りたいものをイメージしながら遊ぶ姿も見られるでしょう。
そのような特徴から、4歳児クラスで製作遊びを行う場合は以下のようなことにチャレンジしてみてもよいかもしれません。
- 工程数の多い折り紙
- 立体的な工作
- はさみを扱った製作
- 紐を巻いたり結んだりするような製作遊び
4歳児クラスではさまざまな製作方法や道具を使って、子どもが自分のイメージをふくらませながら作ったりかいたりできるようなアイデアを取り入れられるとよいでしょう。
4歳児クラスで製作遊びをするときの指導案の書き方
保育園の4歳児クラスで製作遊びをするときの指導案の書き方を紹介します。
ねらいの立て方
4歳児クラスの製作遊びでは、以下のようなねらいが挙げられるでしょう。
- 身近な素材(紙コップ・空き箱など)や用具を工夫して使い製作に活かす
- 保育者や友だちと一緒に想像しながら自由に描いたり、作ったりして表現を楽しむ
- 保育者の援助を受けながら、材料や用具を目的にあわせて選んで取り組む
- はさみで切ったり貼ったりする製作を楽しんで行う
このようなねらいをもとに製作遊びの指導案を作成するとよさそうです。
保育学生さんや友だちと協力して製作することをねらいとすることも大切なポイントとなるでしょう。
保育士の援助の仕方
保育士の援助の仕方は、以下のようなことを意識しながら指導案に記入するとよさそうです。
- 子どもの発見や製作活動で作った物などを十分に認め受け入れることで、楽しさや嬉しさを感じられるようにする
- 素材や用具の使い方を知らせ、作る楽しさを感じられるようにする
- 安心して取り組めるよう、身近な空き箱などをあらかじめ準備しておく
- 季節感のある製作をとりいれて、子どもが興味をふくらませてやってみたいと思えるようにする
- 子どもの発想や工夫を大切にし、自信や意欲につながるようにする
保育学生さんが製作遊びを援助するときは、子どもが好きなものを選べるように、さまざまな色や形のパーツを用意しておくとよいでしょう。
また、完成したときには子どもといっしょに喜び、充実感や満足感を味わえるようにすることも大切な援助の一つとなります。
4歳児クラスの製作遊びアイデア~春~
ここからは、保育園の4歳児クラスにおいて、春夏秋冬それぞれの季節で楽しめる製作遊びのアイデアを紹介します。
まずは、春(3月、4月、5月頃)のアイデアを3つまとめました。
紙コップで作るひな人形
3月のひな祭りの製作にぴったりの、紙コップを使ったひな人形の製作遊びアイデアです。
用意するもの
- 紙コップ 2個
- はさみ
- 同色系の折り紙 2枚
- のり
- 画用紙
- 色鉛筆
作り方
1.紙コップの両端にはさみで切り込みを入れます。
2.折り紙を半分に切り、薄い色の方から紙コップに貼りつけます。
3.濃い色の折り紙を、端から少しずらして貼りつけます。
4.紙コップの底部分にはさみで2カ所切り込みを入れます。
5.画用紙で作った人形の顔部分を切り込みにはさんでできあがりです。
人形の顔部分は、子どもがかいたり、パーツを貼りつけたりして作るとよいでしょう。三人官女や五人囃子なども作って、雛段飾りを表現してみるのもおもしろいかもしれませんね。
スパッタリングで桜のお絵かき
スパッタリングとは、絵の技法のひとつで、細かい絵の具の粒を飛ばすことにより着色することです。専用の道具がなくても、歯ブラシと茶こしがあれば簡単にできるのが
特徴になります。
スパッタリングで、ふんわりとした春らしい雰囲気の桜のおえかきを楽しんでみましょう。
用意するもの
- 画用紙
- 桜の形にカットした画用紙
- 絵の具
- 茶こし
- 歯ブラシ
援助のポイント
画用紙から近い距離で歯ブラシをこすると上手く模様がつかないため、少し離して行うように援助すると、細かくてきれいな模様がつくかもしれません。
入園・卒園のメッセージカードとしてアレンジしてみてもよさそうです。
マーブリング模様のこいのぼり
マーブリングのきれいな模様を活かした、こいのぼりの製作アイデアです。
用意するもの
- 洗面器
- 水 100ml
- マーブリング水溶液(または洗濯のり) 100ml
- 割りばし
- マーブリング専用インク 3色
- 竹串
- 画用紙
- トイレットペーパーの芯
- 目玉シール
- キリ
- はさみ
- 折り紙のカブト
援助のポイント
マーブリングの模様は、表面の混ぜ方によって変わります。
竹串を大きくゆるめに動かしてみたり、うずの間隔が狭くなるように動かしてみたりと工夫をして、いろいろな模様を作ることを楽しんでみましょう。
模様を変えたい場合は、新聞紙を表面全面に貼りつけて絵の具を取り除くとよさそうです。
4歳児クラスの製作遊びアイデア~夏~
次に、4歳児クラスで夏(6月、7月、8月頃)に楽しめる製作アイデアを3つ紹介します。
カラフルな傘の飾り
6月は梅雨の季節の保育室を彩る、カラフルな傘の飾りの製作遊びアイデアです。
用意するもの
- 画用紙
- モール
- のり
- セロハンテープ
- はさみ
援助のポイント
保育学生さんがあらかじめ画用紙に丸い線をかいておき、子どもがその線に沿って切るようにすれば、きれいな円形を仕上げることができるかもしれません。
画用紙を重ねって貼る工程では、のりが乾くのを少し待ってから行うと上手く貼りつけられそうです。
できあがったら紐などに連ねて保育室に飾ると、6月の梅雨のシーズンも華やかに彩れるかもしれませんね。
紙コップで作る吹き流しの七夕飾り
夏のイベントである七夕にあわせて、風にひらひらそよぐ「吹き流し」を作ってみるのはいかがでしょうか。かわいらしい飾りは、7月の七夕祭りのイベントなどをより盛り上げるかもしれません。
用意するもの
- 紙コップ 1個
- 千枚通し
- ビニールテープ
- テープ
- 折り紙 1枚
- パンチ
- タコ糸
作り方
【吹き流し】
1.紙コップの底の中心に、千枚通しで穴を空けます。
2.ビニールテープの真ん中に結び目をつけたものを8本作ります。
3.(2)で作ったものを、紙コップの裏側にテープで貼りつけてできあがりです。
【提灯】
1.半分に切った折り紙を用意し、それを半分に折ります。
2.折り目の方に、はさみで1cm間隔の切れ目を入れていきます。
3.紙を開いて筒状にしてテープで留めてから、端を潰してパンチで穴を空けます。
4.吹き流しと提灯をタコ糸でつなげてできあがりです。
7月の七夕飾りをより華やかにする、豪華な吹き流しの飾りです。保育学生さんは紙コップの底に穴をあけたものと、折り紙に1cm間隔の線をかいたものを用意しておきましょう。
切り込みを入れるときは、全部切ってしまわないように「線の上を切って、真ん中でとめるよ」と声をかけると、子どもたちも上手に切り込みを入れることができそうです。
立体模様のひまわり
夏らしい立体模様のひまわりの製作アイデアです。
8月の壁面飾りにもぴったりかもしれません。
用意するもの
- 段ボール
- 麻ひもなど茶色の紐
- 黄色の折り紙
- コンパス
- はさみ
- のり
- えんぴつ
援助のポイント
ダンボールは厚いため、4歳児の力では切るのが難しいかもしれません。
そのため、保育学生さんが事前にダンボールを丸く切り、切り込みの線を入れておくとよいでしょう。
また、折り紙に曲線をかいておき、子どもたちにはその線に沿って切ってもらうようにすると簡単にできるかもしれません。
8月の壁面飾りにする場合は、模造紙などの大きめの紙に夏の空をかいておき、そのうえにできあがったひまわりを貼ると、より夏らしい演出ができそうです。
4歳児クラスの製作遊びアイデア~秋~
次に、4歳児クラスで秋(9月、10月、11月)に楽しめる製作アイデアを3つまとめました。
折り紙の柿
9月から10月頃が旬となる秋の果物の柿を折り紙で作る製作遊びアイデアです。
用意するもの
- 折り紙 (オレンジ色・緑色)
援助のポイント
製作遊びの導入では、9月から11月にかけての秋にまつわる話や柿の登場する絵本の読み聞かせをして、季節にふれる時間にしてみてもよさそうです。
できあがった柿を画用紙に貼って秋の壁画工作に活用したり、柿狩りのごっこ遊びなどをしたりして楽しんでみてもおもしろいかもしれません。
落ち葉のプリントマシーン
秋の落ち葉を使って、枯れ葉模様を画用紙に転写するプリントマシーンの製作遊びアイデアです。
用意するもの
- 食品トレー 2枚
- 枯れ葉 適量
- 絵の具 適量
- 画用紙 1枚
- テープ
- 接着剤
やり方
1.食品トレー2枚をテープでつなぎあわせます。
2.食品トレーの裏側の片方に、接着剤で枯葉を数枚貼りつけます。
3.好きな色の絵の具で枯葉に色を塗ります。
4.もう片方の食品トレーの裏側に画用紙をセットします。
5.食品トレーで紙を挟んで枯葉模様をプリントしたらできあがりです。
紙を挟む工程では、トレーをうえからしっかり押さえるときれいな模様を出すことができますよ。子どもが接着剤を扱うときは、できるだけ手につかないよう注意するとよさそうです。
10月から11月頃に園内や散歩で拾った落ち葉を使いながら、さまざまな色の画用紙や絵の具で模様を出してみましょう。
「どんな模様になるかな?」と想像を膨らませながら楽しめるとよいですね。
コーヒーフィルターのいちょう
秋の紅葉の一つ、いちょうをコーヒーフィルターの染色で表現する製作遊びアイデアです。
用意するもの
- コーヒーフィルター
- 黄色の絵の具
- 赤色の絵の具
- ホッチキス
援助のポイント
コーヒーフィルターを絵の具に浸けた後は、必ずよく乾くまで待つことがポイントです。
使用する色を2色だけにせずに3色、4色と色を増やしてみると、意外な色合いが生まれておもしろいかもしれません。
友だちとでき上がりを比べてみたり、さまざまな色での染色を体験したりすることで、子どもたちの色への興味が増すかもしれません。
4歳児クラスの製作遊びアイデア~冬~
最後に、1歳児クラスで冬(12月、1月、2月頃)に楽しめる製作アイデアを3つ紹介します。
折り紙のクリスマスリース
冬のイベントであるクリスマスシーズンに、折り紙でクリスマスリースの製作遊びアイデアを取り入れてみてはいかがでしょうか。
用意するもの
- 折り紙 2枚
- ハサミ
- セロハンテープ
援助のポイント
この製作には、リースとリボンの2つの工程があり、特にリボンの作り方には段降りするなどの複雑な工程があります。
そのため、4歳児だけでは複雑に感じるかもしれないので、保育学生さんが見本になって子どもたちといっしょに折り進めていくといいでしょう。
できあがったらシールを貼ったり、画用紙にリースを貼り付けてお絵かきしたりとアレンジも楽しめそうです。
紙コップと新聞紙の雪だるま
紙コップと新聞紙で作る、冬にぴったりのかわいらしい雪だるまの製作遊びアイデアです。
用意するもの
- 紙コップ
- 新聞紙
- ペットボトルのキャップ
- クラフトテープ(白)
- モール
- 油性フェルトペン
- 接着剤
- ハサミ
援助のポイント
動画では人形に直接顔をかいていますが、目や口などのパーツを画用紙で作ってから両面テープなどで貼ってもよいかもしれません。
紙だるまの帽子となるペットボトルのキャップも、そのまま使用するのではなく、マスキングテープやシールで飾りつけするとよりかわいく仕上がるでしょう。
牛乳パックの節分豆ケース
2月の節分の行事でも使える、牛乳パックを使った節分豆ケースの製作遊びアイデアです。
用意するもの
- 牛乳パック
- 画用紙(赤、黒、黄色など)
- マジックテープ
- PEテープ
- パンチ
- ハサミ
- ノリ
- テープ
援助のポイント
子どもが青い鬼や、黄色い鬼など好きな色の鬼を作れるよう、さまざまな色の画用紙を用意しておくとよいかもしれません。
その色や好みに合わせて、角の柄や、顔のパーツなどを変えてみても面白そうですね。
節分に向けてこの製作を行うことで、豆まきの意味などを学ぶ機会にもなるでしょう。
4歳児の製作遊びでは自主的に取り組める工夫をしよう
今回は、4歳児クラスでの製作遊びの指導案の書き方や春夏秋冬それぞれの季節で楽しめるアイデアを紹介しました。
4歳児は手先を器用に動かせるようになるため、はさみで形を切り抜いたり、紐を結んだりといった細かい作業のある製作遊びを取り入れてみてもよいかもしれません。
少し難しい工程では、保育学生さんがお手本を見せるなどして援助すれば、子どもたちもスムーズに取り組めるでしょう。
季節ごとの製作アイデアを参考に、4歳児といっしょに思いでに残る製作遊びを楽しんでみてくださいね。