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【保育士資格を活かして働ける場所~前編~】施設の種類や仕事内容

保育士資格を活かして働ける場所は、保育園以外にもさまざまあります。実際、共働き世帯の拡大によって保育施設は増加傾向にあるため、就職先で迷われる保育学生さんも多いのではないでしょうか。保育士資格を活かして働ける場所について、【前編】【後編】に分けて紹介します。就職先を検討する際の参考にしてみてくださいね。


2人の先生と子どもたち

milatas/shutterstock.com



保育士資格はどんな場所で活かすことができる?

保育学生さんの中には、就職先で迷われている方もいるのではないでしょうか。
保育士資格を活かして働ける場所として保育所が挙げられますが、保育園や幼稚園、認定こども園などの認可保育施設以外にも、企業主導型保育所や院内保育所などでも働くことができます。


保育所のほかにも、以下のような施設で保育士資格を活かして働くことができます。


  • 児童厚生施設
  • 助産施設
  • 乳児院
  • 障害児入所施設
  • 母子生活支援施設
  • 児童養護施設
  • 児童厚生施設
  • 児童発達支援センター
  • 児童心理治療施設
  • 児童自立支援施設
  • 児童家庭支援センター

上記以外にも、保育士資格を活かせる場所や職種はさまざまあるようです。


内閣府の「令和元年版男女共同参画白書(概要)」の資料では、近年共働き世帯が増加傾向にあることから、子どもを預かる施設は増えているようです。そのため、保育士資格を所有していれば、保育園以外の施設に就職することもできるでしょう。


今回就活バンクでは、保育士資格を活かして働ける施設について、上記で挙げた10施設を【前編】と【後編】に分けてくわしく紹介します。
それぞれの特徴や仕事内容をまとめているので、就職先を選ぶ際の参考にしてみてくださいね。



保育士資格を活かして働ける場所:児童厚生施設

保育士資格を活かして働ける場所として児童厚生施設が挙げられます。
特徴や仕事内容についてくわしく見てきましょう。



児童厚生施設の特徴


児童厚生施設は児童館や児童遊園などの施設を指します。


児童館では18歳未満の児童を対象としていて、主に屋内での活動を中心にしています。建物の規模や機能によって小型児童館、児童センター、大型児童館などに分かれており、母親クラブや子ども会といった活動を通して、地域活動の発展を図っています。


地域によっては学童保育室を併設し、共働きの保護者のために小学校低学年の児童を預かる学童保育を実施しているところもあるようです。


一方、児童遊園は幼児や小学校低学年の子どもを利用の対象とする、児童館と同じ目的の児童福祉施設となります。児童館と違って屋外での活動を中心としており、主に繁華街や住宅密集地域など遊び場が少ない地域に設けられています。



児童厚生施設の仕事内容


児童館の仕事内容は小型児童館、児童センター、大型児童館など施設によって異なります。しかし、基本的には平日の午前からお昼頃までは、乳幼児の子どもとその保護者を対象に遊んだり、子育て相談会を開催したりしています。午後以降は、小学校を下校した児童が過ごす場所となり、日曜日や祝日には地域の人も参加できるイベントを行うところもあるようです。


児童遊園は認可基準を満たした区域に、ブランコや砂場、ジャングルなどの遊具のほかに、トイレ、水飲み場、ごみ入れが設置されています。一見公園と同じように思えるかもしれませんが、児童遊園では児童厚生員や民間有志者を配置するように義務付けられているため、安全に配慮して遊びの指導を行っています。


保育士資格があることで児童館では乳幼児のお世話ができるだけでなく、子育てに関するアドバイスをすることもできるでしょう。また、児童遊園では保育士資格があれば児童厚生員として、子どもを指導することが可能になります。


出典:厚生白書p16、17/厚生労働省

出典:児童遊園の設置運営について/厚生労働省

出典:児童厚⽣員の処遇や資格の現状と課題に関する調査研究p13/厚生労働省



保育士資格を活かして働ける場所:助産施設

助産施設は助産師や看護師などの医療関係者だけでなく、保育士資格を有していれば保育士として就職できるかもしれません。


保育士資格を活かして働ける場所でもある、助産施設の特徴や仕事内容について見ていきましょう。



助産施設の特徴


助産施設は、経済的などの理由により病院で助産を受けることが難しい妊婦が対象となり、入院して助産を受けることができる施設のことです。


2017年10月時点で、助産施設は全国で463施設しかないため、自治体によっては施設がないという可能性もあるでしょう。法律では、助産施設は妊婦や産婦などが10人以上入所してはいけないと定められているため、小規模な施設が多いかもしれません。



助産施設の仕事内容


近年、産婦人科医や助産師が減少傾向にあることから、業務の負担を減らすべく保育士を採用する助産施設が増えてきているようです。助産施設では毎日のように新生児が誕生しているため、主な仕事は新生児のお世話になるでしょう。


また、保育士資格があることで保護者に対して育児指導ができますし、母親を診察している間だけ兄妹を預かるケースもあるようです。


出典:社会福祉施設等調査の概況p14/厚生労働省

出典:助産所について/厚生労働省

出典:院内助産所・助産師外来についてp1~2/厚生労働省



保育士資格を活かして働ける場所:乳児院

保育士資格を活かして働ける場所として乳児院があります。



乳児院の特徴


乳児院とは保護者がいない、もしくは保護者の事情で育てることができない乳幼児を預かり、専門の職員が育てる施設となっています。また、乳児院を退院した子どもの相談に乗ったり、援助を行ったりしています。


乳児院という名前のとおり新生児や乳児が対象ですが、小学校就学前までの子どもであれば利用することができます。



乳児院の仕事内容


乳児院では乳幼児を養育することが主な仕事になるため、子どものお世話がメインとなるでしょう。


ほかにも、乳児院では被虐待児の保護や心理的なケア、家族への養育支援なども行っています。里親とのマッチングや児童養護施設などとの交流に取り組んでおり、育児相談などの子育て支援を行うところもあるため、保育士として保護者にアドバイスすることがあるかもしれません。


出典:社会福祉施設等調査の概況p17/厚生労働省

出典:乳児院/独立行政法人 福祉医療機構



保育士資格を活かして働ける場所:障害児入所施設

保育士資格を活かして働ける場所である障害児入所施設は、福祉型と医療型の2つがあります。

それぞれの特徴と仕事内容についてくわしく説明します。



障害児入所施設の特徴


障害児入所施設は、福祉型障害児入所施設と医療型障害児入所施設の2つがあり、それぞれでサービス内容が異なります。


福祉型障害児入所施設は、入所してきた障害児に対し、保護、日常生活の指導、および独立して生活するのに必要な知識技能を付与することを目的とする施設です。


一方、医療型障害児入所施設は、入所してきた障害児に対し、保護、日常生活の指導、および独立して生活するのに必要な知識技能を付与するとともに、治療を行うことを目的しています。


福祉型障害児入所施設は、2011年まで知的障害児施設や盲児施設など障害別に分かれていましたが、2012年度より障害児入所施設として一元化されました。しかしながら、一元化される前と同じく、障害に応じた適切な支援が求められています。



障害児入所施設の仕事内容


障害児入所施設ではどのような仕事をするのでしょうか。


福祉型障害児入所施設の場合


  • 食事や排泄、入浴などの介護
  • 日常生活におけるアドバイス、
  • 知的障害、盲ろうあなど障害の特性に合わせた対応
  • 重度・重複障害児等への対応
  • 自立するための支援を強化するような訓練

福祉型障害児入所施設では以上のような仕事があります。


施設の入所理由として、虐待や養育放棄、保護者の養育力不足など保護者や家庭状況が理由となっていることが多いようです。そのため、保育士資格があれば子どもへの直接的な支援だけでなく、保護者の相談対応や家庭復帰に向けての支援に役立てられるでしょう。


医療型障害児入所施設の場合


  • 食事や排泄、入浴などの介護
  • 日常生活におけるアドバイス
  • 重度・重複障害児等への対応
  • 自閉症、肢体不自由、重症心身障害など障害の特性に応じて提供
  • 精神科医療やリハビリ科医療など専門的な医療

医療型障害児入所施設では以上のような仕事があります。


保育士資格を有していることにより、専門的な医療の対応は難しいですが、子どもを育てることが困難な保護者への育児支援などができるかもしれません。


出典:障害児入所支援の概要p1~4/厚生労働省

出典:社会福祉施設等調査の概況p18/厚生労働省

出典:障害児入所支援p4~5/厚生労働省

出典:障害児入所施設に係る報酬・基準についてp4、p18/厚生労働省

出典:障害児入所施設/独立行政法人 福祉医療機構



保育士資格を活かして働ける場所:母子生活支援施設

母子生活支援施設も保育士資格を活かして働ける場所となっています。

特徴や仕事内容について見ていきましょう。



母子生活支援施設の特徴


母子生活支援施設は配偶者がいない女性、DVやさまざまな事情がある女性と18歳未満の子どもが一緒に入所できる施設です。女性とその子供を安全に保護し、自立に向けて生活を支援したり、退所した方の相談にも応じたりしています。


母子生活支援施設では、子どもがすこやかに育つためには、母親が安心、安全な施設にいる必要があるという考えており、保育所や学校、病院、警察、法テラスなどと連携しながらのサポートを行っています。



母子生活支援施設の仕事内容


母子生活支援施設は子どもの養育ができない女性に代わって、施設内の保育室や併設されている保育園で、0歳から小学校就学前までの子どもを預かります。そのため、保育士資格を活かして子どものお世話をすることができそうです。


また、女性の自立を支援する施設ですので、家庭生活や育児相談などを行うこともあるでしょう。

出典:社会福祉施設等調査の概況p18/厚生労働省

出典:母子生活支援施設における支援事例p7/厚生労働省

出典:母子生活支援施設/独立行政法人 福祉医療機構



保育園以外の施設も視野に入れて就職先を検討しよう

今回の前編の記事では、保育士資格を活かして働ける場所として児童厚生施設助産施設乳児院障害児入所施設母子生活支援施設の5つについて解説しました。

乳幼児のみをメインに預かっている施設や18歳未満の児童を対象としている施設などさまざまあります。保育士資格があれば、子どものお世話はもちろん、子どもの保護者をサポートしたり、子育てに関する相談等にも乗ることができそうですね。


後編では、


  • 児童養護施設
  • 児童発達支援センター
  • 児童心理治療施設
  • 児童自立支援施設
  • 児童家庭支援センター

以上の施設を紹介します。
気になった施設がある方は、続いての記事も参考にしてみてくださいね。


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