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保育における言葉かけ~後編~実習に役立つ、気をつけるべき6つのポイント

実習中の学生さんや入職後の新卒保育士さんのなかには、保育における言葉かけについて悩むこともあるのではないでしょうか。前編で紹介した子どもを伸ばすポイントに続き、今回は「気をつけたい言葉かけ」についてまとめました。言葉選びはとてもむずかしいですが、元保育士の筆者や現役保育士さんからの意見とあわせて紹介するので、参考にしてみてくださいね。

子どもを慰める女性

maroke/shutterstock.com




保育士による言葉かけは細心の注意が必要

前回の記事では「保育における言葉かけ~前編~」として、保育における「子どもを伸ばす言葉かけ」について紹介しました。


保育士さんによる言葉かけは、言い方一つ誤ってしまうと、子どもを傷つけてしまったり、保育士さん自身の気持ちや言動を押し付けてしまったりすることになりかねません。


子どものそばにいるからこそ、さまざまな場面で必要となる言葉かけですが、気をつけるべきポイントをおさえたうえで、子どもと向き合うことも非常に大切なことといえるでしょう。


今回は、保育士さんが気をつけたい言葉かけについて解説します。



保育士さんが気をつけたい6つの言葉かけ

ポイント1:存在を否定する言葉かけ


「どうせ〇〇ちゃんにはできないでしょ」「〇〇ちゃんは悪い子ね」「〇〇くんがいなければ静かだね」など、子どもの存在を否定する言葉かけは絶対にしてはいけません。このような言葉かけは、子どもの自尊心を傷つけてしまいます。


自尊心とは、自分を大切に思う気持ちのことです。自尊心が傷つけられると、自分に自信がもてなくなってしまい、結果的に自己肯定感の低下につながってしまうかもしれません。



ポイント2:強制的な言葉かけ


子どもたちに「お片付けしなさい!」というような、命令系の言葉は使わないようにしましょう。このような言葉かけをすることで、子どもたちが萎縮してしまったり、恐怖を与えてしまったりすることもあるかもしれません。


注意したり、叱ったりすることも大切なことですが、なぜしてはいけないのかなど、きちんと子どもたちがわかるように、理由を説明することが大切です。



ポイント3:他の子どもと比較する言葉かけ


「〇〇ちゃんはできたのに」「お兄ちゃんはきちんとできるのに」など、他の子どもとの比較や兄弟・姉妹との比較をするような言葉かけは避けましょう。同様に、「〇〇くんと比べて上手にできたね」など、他の子と比較して褒めるような言葉かけもよくありません。


他の子と比べて常に劣等感を抱くようになってしまったり、比較することで優越感を抱き、競争意識ばかりが先行するようになってしまったりと、子どもに悪影響を与えてしまう可能性があるといわれています。比較するような言葉かけをしないよう、十分気をつけましょう。



ポイント4:外見に関する言葉かけ


「背が小さいね」「ぽっちゃりしているね」など、外見に関する言葉かけもしてはいけません。大人からみればかわいらしく魅力的に思うような部分でも、本人は気にしている場合があります。


外見を指摘すると、心に傷がついて、コンプレックスとして残ってしまうこともあるので注意しましょう。



ポイント5:性別に関連づけた言葉かけ


「男の子なんだから、それくらいで泣かないで」「女の子なのに、恥ずかしい」など、性別に関する言葉かけもよくないでしょう。性別の勝手なイメージを子どもに押しつけてしまいます。


その結果、「男の子だから強くならなくちゃ」と、自分の気持ちを素直に伝えられなくなってしまったり、「女の子だからおしとやかにしないと」と、好奇心やチャレンジする気持ちを奪ってしまうことになりかねません。



ポイント6:脅すような言葉かけ


「言うこと聞けないなら、赤ちゃん組に行きなさい」「給食を残すとオバケがでるよ」など、脅すような言葉かけはしないように注意しましょう。


これは、子どもをコントロールするために、大人の都合で脅しているにすぎません。子どもを傷つけてしまったり、子どもの自主性、主体性を奪ってしまうことにもつながりかねないので、気をつけることが大切です。


保育士さんが気をつけたい言葉かけについても押さえたところで、保育園での言葉かけの実践例を紹介します。



【保育園でのシーン別】言葉かけの実践例

おやつを食べる子どもと先生

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保育士さんは、子どもの登園から降園までの間に、さまざまなシーンで言葉かけを行うことでしょう。事例として、以下のスケージュールにあわせて紹介します。


  • 登園
  • 一斉保育
  • 給食
  • 自由保育
  • 降園

さらに、保育士の体験談も交えて紹介するので参考にしてみてくださいね。



登園


子どもが登園する際は、保護者と離れることに不安を感じることもあるでしょう。特に初めて保育園や幼稚園に通うときや休み明けの登園時に、保護者となかなか離れられない子どももいるかもしれません。


保育士

「お休み中、〇〇くんに会えなくて寂しかったよ。どんなことをしたのか、あとで先生に教えてね」など自分自身が子どもに会えるのを楽しみにしていた気持ちを伝えるようにしていました。


現役
保育士

子どもを受け入れるときは、「今日も〇〇ちゃんが来てくれて嬉しいな」「今日はお散歩をして楽しもうね」と期待や喜びの気持ちが持てるような言葉かけを意識しています。



子どもが安心し、楽しみな気持ちで登園できるような言葉かけができるとよさそうです。心に寄り添った言葉かけを大切にし、笑顔で迎えることが大切でしょう。



一斉保育


保育活動の中で、一斉保育や設定保育などで製作やゲームを楽しむ場面もあるのではないでしょうか。導入の際は、子どもが楽しめるように手遊びやペープサート、エプロンシアターなどを活用するなどして工夫することも多いでしょう。


保育士

「〇〇って知っているかな?」などのクイズ形式を取り入れて、子どもたちの興味や関心を高められるような導入方法を考えていました。


現役
保育士

一斉保育中は、他の保育士さんと連携しつつ、子どもにあわせて活動するようにしています。やることを嫌がる子に対しては強制せず、「最初のところだけ参加してみようか」など、子どものペースを考えながら参加を促しています。



ときには一斉保育の際に、「やりたくない」となかなか遊びに参加できない子どももいるかもしれません。子どもが自然に興味を持てるような導入や参加への促しとなる言葉かけができるとよいですね。



給食


給食のときは、子どもによって好き嫌いがあったり、なかなか食が進まなかったりと、どのような言葉かけをすればよいのかと考える場面も多いのではないでしょうか。


保育士

好き嫌いがあるときは「ひとつだけ食べてみよう」など、苦手な食べ物の小さなかけらを渡して、食べられたら思い切り褒めました。徐々に好き嫌いが克服できるように援助していました。


現役
保育士

「あの時計の針が5のところに動くまでに、これとこれは食べてみようか」など自分で食事のペースをつかめるような言葉かけをしています。



食事については個人差があるため、子ども一人ひとりがどのくらい食べられるのか、何が苦手なのかを把握したうえで言葉かけをすることが大切です。食事にかかる時間の目安などを見て、接し方や言葉選びを工夫するのもよいかもしれません。



自由保育


自由保育は自由時間と呼ぶ場合もあり、子どもが自由に遊びを行うことでしょう。子どもそれぞれが興味や関心のある遊びを自発的に選び、異年齢の友だちと関わることも多くなる保育活動でもあります。


ときには、子ども同士が言葉を上手く伝えられないことで、喧嘩になることもあるかもしれません。手が出て怪我をしてしまう場合もありますし、自分たちで話し合いを行って解決できることもあります。


保育士

危険だと判断したときはすぐに引き離しますが、話し合いで解決できそうなときは、必要に応じて言葉かけをしていました。


現役
保育士

「〇〇ちゃんはどんな風に思った?悲しかったのかな?」などお互いの気持ちが伝わるよう簡単に代弁して、状況を整理するまとめ役に徹しています。



喧嘩の際は、今は子どもに任せた方がよいのか、それとも保育士さんが言葉かけを行って仲裁に入ったほうがよいのかなど、判断に迷ってしまうこともあるでしょう。


子どもたちの成長を考えているからこそ迷うことなので、周囲の保育士さんに相談したり、子どもの様子に応じて動いてみたりと、試行錯誤することも大切ではないでしょうか。


子どもたちの社会性や協調性を育めるような言葉かけを意識して、サポートができるとよいですね。



降園


降園時は、子どもによって早く帰宅する場合もありますし、延長保育を利用する場合もあるでしょう。中には次々と帰っていく友だちを見て寂しくなる子どももいるかもしれません。


保育士

子どもの表情や仕草を見て、不安になっていないか、寂しさはないかなどを考えて「〇〇ちゃんは何をして遊びたい?」などと言葉かけをして、不安感を和らげられるように、配慮していました。


現役
保育士

降園時には「明日も〇〇くんに会えるのを楽しみにしているよ!」と、翌日の登園も楽しみにできるような言葉かけをしています。



園児と帰りの挨拶をする際には、翌日に保育園に来ることに期待がもてるような言葉選びを意識するのもよいでしょう。


次に、保育実習や就職後に備えた言葉かけの練習方法を紹介します。保育学生さんは参考にしてみてくださいね。



実習や就職前に役立つ、言葉かけの練習方法

保育実習や就職前に、保育園で行う言葉かけの練習をしておくのもよいかもしれません。元保育士の筆者も実践した、言葉かけの練習方法を紹介します。



具体的に伝える練習をする


友だちのしていることを具体的に捉え、どこがどのようによかったかなど褒める練習をしてみましょう。


反対に、自分を褒める練習としてどのように褒められたら嬉しいか確認しておくことも、上手な言葉かけをする練習として大切になりますよ。



ポジティブな内容に言い換える


「~しないと~できない」というネガティブ×ネガティブな表現ではなく、「早く片付けられたら、お外でいっぱい遊べるよ」などポジティブ×ポジティブな表現に言い換えることを意識してみましょう。


そうすることで、子どもたちの自主性ややる気を伸ばせるかもしれません。



友だち同士との話し言葉を正しておく


友だちとはくだけた話し言葉で話しがちです。「やばい」や「めっちゃ~~じゃん!」など普段使っている言葉や口癖は、意識せずとも保育現場で出てしまう可能性もあります。


実習や就職前に、話し言葉や自分の口癖を確認し、会話の中で意識して丁寧な言葉に正したり、子どもにわかりやすい言葉に言い換えたりする練習をしておくとよいかもしれません。



保育士の言葉かけで、子どもとの信頼関係を築こう

今回は、実習中や就職後に役立つ、保育士による言葉かけのポイントや保育のシーンにあわせた具体的な事例を紹介しました。


現役保育士さんの中にも「〇〇ちゃんにした言葉かけは正しかったのか」「今日の言葉選びはあっていたのか」など、子どもたちへの言葉かけについて悩まれている方もいるかもしれません。


そういった悩みは子どもたちと真剣に向かい合っているからこそ、生じるものではないでしょうか。保育士さんからの言葉かけと子どもからの反応が積み重ねられることで経験となり、保育士さん一人ひとりオリジナルの「言葉かけの仕方」ができあがっていくことでしょう。


保育活動の中で子どもたちの心に寄り添いながら、信頼関係を築けるような言葉かけを考えられるとよいですね。



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元保育士イラスト:icon Stocker/shutterstock.com

現役保育士イラスト:Kongpop/shutterstock.com