保育園で子どもたちに話す「素話」について気になっている保育学生さんもいるのではないでしょうか。簡単にできる短いネタを知っていると、実習に使いやすいですよね。今回は、素話とはどのようなものかや、3分ほどで話せる昔話などのネタ選びのコツ、話し方のポイントを紹介します。
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素話とは
素話とは、絵本や紙芝居などの目に見えるものや道具を使わず、声だけで物語を伝える方法を指します。保育士の実技試験の1つ、「言語に関する表現」にも素話があるため、保育士として働く上で大切な技能と言えるかもしれません。
そのなかで、素話を保育実習に取り入れようと考えている保育学生さんもいるのではないでしょうか。素話を行うときは、物語のあらすじと主なエピソードを絵本などを見ずに子どもたちに話すので、事前の準備も必要になりますよね。
そこで今回は、素話について、子どもにもたらす効果や実習に役立つネタ選びのコツ、話し方のポイントを紹介します。
素話の効果
素話には絵本や紙芝居にはない効果があるようです。素話の持つ効果のなかから、主な3つを紹介します。
集中力が身につく
素話には絵本のように目に見えるものがなく、保育士さんのお話だけを聞いて物語を楽しむことになるため、集中力が身につく効果があると言われています。特にお気に入りの昔話などは、話の筋がわかっていてもワクワクしながら聞く子どももいるようです。保育実習で素話を行なったときに、子どもたちが身を乗り出すように聞いてくれたら嬉しいですね。
想像力が発達する
昔話などを言葉だけで伝える素話には、想像力が発達するという効果も期待されています。簡単なお話を聞きながら物語の景色をさまざまに想像し、登場人物といっしょにドキドキしたり悲しんだり、時には怒ったりすることもできるので、絵本よりも楽しいという子どももいるかもしれません。保育実習では、絵本の読み聞かせや紙芝居と同様に、積極的に素話を取り入れてみましょう。
言葉についての関心が高まる
素話を何度も聞くことで、言葉についての関心が高まる子どももいるようです。絵本の読み聞かせでは絵を見て簡単にお話を理解することもできますが、素話の場合は保育学生さんが話す言葉だけで物語を楽しむことになります。お話に出てくるおもしろい言葉や聞き慣れた言葉から、初めて耳にする新しい言葉へと興味が広がりそうですね。
保育実習で素話を行う際のネタ選びのコツ
保育実習で素話を行おうと考えている保育学生さんにとって、ネタ選びは大切な要素ですよね。子どもたちに素話を楽しんでもらうための、ネタ選びのコツをまとめました。
子どもが興味を持つネタを選ぶ
1つ目のコツは、子どもが興味を持つネタを選ぶということでしょう。例えば、保育活動で園庭に花の種を蒔く日には、子どもや動物が花の種を蒔いて育てるという内容の素話をすると、活動への期待と相まって子どもたちが喜んで聞いてくれるのではないでしょうか。お誕生会の前の日には、お誕生日に関係するお話をネタにしてみてもよさそうです。
簡単で短いお話を選ぶ
2つ目のコツは、簡単で短いお話を選ぶということです。素話は保育学生さんの語る言葉だけで子どもたちを楽しませるものなので、3分くらいでできる簡単な昔話などからネタを選ぶと、集中力が続いて最後まで聞いてもらえるかもしれません。おむすびころりんのように、物語のシーンが想像しやすく短いお話を選んでみましょう。
子どもが親しんでいるお話を選ぶ
3つ目のコツは、子どもたちが親しんでいる絵本などからネタを選ぶということでしょう。お話の内容をよく知っている人気の絵本をネタにするだけで、子どもたちが興味を持って聞いてくれそうですよね。保育学生さんの口調や表情などにも意識を向けて楽しんでくれるかもしれません。
子どもに喜ばれる素話にするには
保育実習で素話をしたときに、子どもたちに「もっと聞きたい」喜んでもらえると嬉しいですよね。最後に、子どもに喜ばれる素話にするためのポイントを紹介します。
お話の内容を理解して覚える
素話の練習をするときには、お話の内容を保育学生さんがしっかり理解して覚えることが大切です。単に文章を暗記するのではなく、お話の背景や登場人物の気持ちなども考えながら覚えるようにしましょう。
例えば、「おむすびころりん」の主人公のおじいさんの人柄や、おにぎりが転がる様子など、伝えたいことを意識しながら練習をするとよいかもしれません。お話をしっかり読み込むように練習し、保育学生さん自身の言葉で話すことができると、子どもたちの心に残る素話になりそうですね。
子どもの様子を見ながら話しかける
保育実習で実際に素話をするときは、子どもたちの目を見ながら語りかけるように話しましょう。保育学生さんと目が会うとたびに、子どもたちのお話への関心も高まりそうですよね。お話に飽きてきた様子が見られたときは、少し間を取ってみたり笑いかけたりすると、子どもの気持ちを引き寄せられるかもしれません。
声の大きさや速さを工夫する
素話は絵本のように目に見えるものがないので、声の大きさや速さを工夫すると子どもたちも飽きずに聞いてくれるかもしれません。子どもの関心が離れたと感じたときには、大きな声でゆっくり話してみるのもよいでしょう。お話の内容にあわせてヒソヒソ声にすると、子どもたちも一生懸命に聞いてくれそうですね。
素話を行う環境を整える
保育実習で行う素話を子どもたちに集中して聞いてもらうためには、周りの環境を整えることも大切です。保育室にはさまざまな道具や掲示物があるので、子どもたちが周りのものに気を取られると、お話に集中できなくなるかもしれません。素話を行うときには、カーテンなどを利用して、子どもの視界に不必要なものが入らないようにしましょう。
素話のネタ選びや話し方を工夫して楽しい活動に
今回は、保育実習に素話を取り入れるときの、ネタ選びやコツなどを紹介しました。
素話とは、絵本や紙芝居などを使わずに、言葉だけで短いお話を伝える方法を言います。保育園の子どもたちに話す場合は、集中力を考えて3分ほどの簡単な昔話などがよいかもしれません。保育実習で素話をするときは、おむすびころりんのように短くて楽しいお話を選び、話し方を工夫して、楽しい活動にしましょう。