梅雨時期には室内遊びが増えるため、乳児クラスで楽しめるゲーム遊びを探している保育学生さんや新卒保育士さんも多いでしょう。梅雨はもちろん、夏や冬の時期は室内遊びを楽しめるアイデアを知っておくと、実習や入職後も役立ちますよね。今回は、0歳児・1歳児・2歳児向けにゲーム性のある室内遊びやねらいについて紹介します。

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■目次
乳児クラスでゲーム性のある室内遊びを行うねらい
保育園や幼稚園では、梅雨の雨の日や夏の暑い日、冬の寒い日などは室内遊びがメインになることでしょう。
実習時や入職後に乳児クラスを担当した際、ゲーム性のある室内遊びを取り入れたいと考える保育学生さんもいるのではないでしょうか。
まずは、乳児クラスで室内遊びを行なうねらいについて、0歳児・1歳児・2歳児の年齢別に見ていきましょう。
0歳児のねらい | 手足や指を動かすことを楽しむ 保育者とのふれあいや遊びを通して五感を育む |
1歳児のねらい | 歩く、走る、投げるなど、のびのびと全身を動かす 保育者とのやり取りを通してゲーム遊びを楽しむ |
2歳児のねらい | 友だちといっしょに遊ぶ楽しさを味わう 保育者や友だちと言葉のやり取りを楽しむ |
年齢ごとに子どもが楽しめる活動は異なるので、クラスの子どもたちの興味やできることにあわせてゲーム遊びを取り入れられるとよいですね。
乳児クラスの室内遊びのねらいがわかったところで、どんなゲーム遊びを取り入れるとよいのか見ていきましょう。
ゲーム性のある室内遊び:0歳児向け

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ここからは、0歳児、1歳児、2歳児と年齢別にゲーム性のある室内遊びのアイデアを紹介します。
はじめに、0歳児向けのゲーム性のある室内遊びを見ていきましょう。
風船集めゲーム
0歳児はさまざまな物にふれて、感触や特徴を楽しめる頃かもしれません。風船を使ったゲームを取り入れてみてはいかがでしょうか。
用意するもの
- 風船
- 新聞紙
- ダンボール
- ビニールプール
遊び方
1.ビニールプールのなかに新聞紙を破って敷き詰めます。
2.風船を(1)の中に入れます。
3.子どもたちにビニールプールへ入ってもらい、保育学生さんが持っている箱に入れてもらいましょう。
ゲームのポイント
このゲームは、敷き詰めた新聞紙の感触を味わいながら風船を集めるゲームができます。
事前準備として、ビニールプールを用意することになりますが、実習などの場合は実習先の職員の方に活動内容を伝え、所持している場合は借りることができるか確認するとよいかもしれません。
もしビニールプールが用意できなかったときは、床に新聞紙を敷いて行うことも可能です。
0歳児の赤ちゃんがけがをしないように広いスペースを確保したり、寝転びやすいようにマットを敷いたりして安全に配慮して行なうことが大切です。
床で行う場合は、ビニールプールのように仕切りとなるものがないので、ビニールテープやカラーコンを用いて範囲を決め、自分の目が届くなかで行なうとよいかもしれません。
ハイハイゲーム
ゲーム性のある室内遊びのアイデアとして、ダンボール製のトンネルを使ったハイハイゲームを紹介します。
用意するもの
- ダンボール 3~4枚
- テープ
遊び方
1.つぶした状態のダンボールを並べて、取れないようにテープで固定します。
2.ダンボールのトンネル内が見えるように窓を作ったり、周りを装飾したりします。
3.ダンボールを組み立ててトンネルにします。
4.スタートする位置を決めて、子どもたちに集まってもらいます。
5.準備ができたらハイハイゲームをはじめましょう。
ゲームのポイント
身体を動かして遊ぶことができるため、戸外に出られない雨の日や夏の暑い日にぴったりなゲームです。
ダンボールの中は意外と薄暗いため、側面に窓を作って中を明るくすると、0歳児の赤ちゃんも周囲にいる人や景色が見られるようになりますよ。
0歳児の赤ちゃんのなかには、窓を作ってもダンボールの中が怖いと思う子が出てくるかもしれません。
ハイハイで進みやすくするために、保育学生さんはゴール付近で音のなるおもちゃを鳴らしたり、赤ちゃんの名前を呼んだりすると興味をもって進んでくれそうです。
PEテープですもうゲーム
PEテープを活用して引っ張り合いゲームをしてみましょう。
用意するもの
- PEテープ
遊び方
1.子どもたちに座った状態でPEテープの端をもってもらいます。
2.保育学生さんはテープの反対端を掴んで座ります。
3.互いに引っ張り合いをします。
ゲームのポイント
この室内遊びでは、PEテープを工夫することで、0歳児の子どもたちにより楽しんでもらえそうです。
たとえば、テープの真ん中にポンポンをつけ、引っ張りあう度に揺れるポンポンの動きを楽しんでもらえるでしょう。
また、鈴など音が鳴るものをテープに結び付ければ、引っ張り合うことで音が鳴るため五感が刺激されるかもしれません。
このように、言葉での意思疎通をはかるのが難しい0歳児の赤ちゃんには、保育学生さんが積極的に話しかけたり、肌と肌を触れ合わせたりしてスキンシップをとることが大切と言えるでしょう。
カード引っ張りゲーム
0歳児の赤ちゃんが絵カードを引っ張る感覚を楽しめるゲームを紹介します。
用意するもの
- ロープ
- 絵カード(ラミネート加工をしたもの)
- 洗濯ばさみ
遊び方
1.床から1mほどの高さにロープを張ります。
2.(1)のロープに絵カードを洗濯ばさみでぶら下げます。
3.0歳児の子どもといっしょに、絵カードを引っ張って外して集めましょう。
ゲームのポイント
ロープの高さは、子どもが絵カードに手を伸ばしたら届く程度に調整します。
歩くことができる子どもとまだハイハイの子どもがクラスに混在している場合は、高さの違うロープを用意してコーナーを分けておくとよいかもしれません。
絵カードは市販のものでもよいですが、保育学生さんがかいたものをラミネート加工して使うこともできます。
春はいちごの絵を用意していちご狩り、冬はみかんの絵をぶらさげてみかん狩りなど季節に合わせて楽しめそうですね。
ゲーム性のある室内遊び:1歳児向け
ここでは、梅雨時期の雨の日や夏の暑い日などに1歳児クラスで楽しめる、ゲーム性のある室内遊びを見ていきましょう。
簡単にできる手遊びゲーム
手遊び歌の「かみなりどんがやってきた」を使った準備いらずのゲームを紹介します。
遊び方
「かみなりどんがやってきた」は、かみなりどんにおへそや頭を取られないように、手で隠す手遊び歌となります。
雨の日や雷が鳴っているときに行えばより盛り上がる、梅雨や夏の日にぴったりなゲームです。
ゲームのポイント
動画では隠す場所が少しずつ増えていきますが、1歳児の子どもたちと楽しむときには1箇所から2箇所を目安に隠すようにするとよいかもしれません。
事前に保育学生さんがかみなりどんのペープサートを作り、子どもたちに見せながら説明すると、子どもたちはかみなりどんをイメージしやすくなり、より楽しむことができるでしょう。
保育参観や親子ふれあい遊びの際には、レクリエーションの一つとして楽しむこともできそうですね。
魚釣りゲーム
身近にある素材を活用して作ることができる、魚釣りゲームを紹介します。
用意するもの
<魚>
- おもちゃのカプセル
- クリップ
- カラーフィルム
- 画用紙
- テープ
<釣り道具>
- 釣り針を描いた台紙
- タコ糸
- 磁石
- テープ
- 割りばし
ゲームのポイント
このゲームで使用する釣り道具のタコ糸は、糸が長いとクリップに磁石を近づけて釣りあげるのが難しくなってしまいます。
1歳児の子どもたちがたくさん釣って遊べるように、釣り道具の糸は短めにするとよいでしょう。
青いビニールシートや画用紙を床に敷き、そのうえに魚を置くと本物らしくなり、子どもたちが喜んでくれそうです。
赤い魚を用意して金魚釣りゲームとして遊ぶこともできます。夏祭りごっこの一環として楽しむのもよいかもしれません。(詳しい説明はこちら)
ボウリングゲーム
1歳児の子どもたちにボールを転がしてピンに当ててもらう、ボウリングゲームを紹介します。
用意するもの
- 紙コップ
- ビー玉
- 新聞紙
- テープ
- 画用紙
- はさみ
ゲームのポイント
1歳児クラスでボウリングゲームを取り入れるときには、ピンを倒れやすくするため、なかに入れるビー玉の量を調整して作るのがポイントです。
紙コップ以外にもペットボトルをピンにすることができますが、ビー玉の量が多すぎると重みで安定しやすくなり、ボールが当たっても倒れにくくなってしまいます。
保育学生さんが一度ボールを当てて倒れやすさを確認するなどして、中に入れるビー玉の数を決めてみてくださいね。
ゲームを始める前に保育学生さんが一度ボール転がしてピンを倒すところを見せると、子どもたちがどのようなゲームなのか理解しやすくなりそうです。(詳しい説明はこちら)
玉入れゲーム
1歳児の子どもたちといっしょに玉入れゲームをしてみましょう。
用意するもの
- 新聞紙を丸めた玉
- かご
玉を入れるものは、バケツやかごなど入れられるものであれば特に指定はありませんが、布製のバックやゴミ袋など小さく折り畳める素材にすると持ち運びがしやすくなります。
遊び方
1.玉を投げるスタート地点を決めます。
2.子どもたちにスタート地点に集まってもらいます。
3.新聞紙の玉を配ります。
4.保育学生さんは玉を入れやすそうな場所に立ち、かごを持って口を広げたら、子どもたちに投げてもらいます。
ゲームのポイント
実際にゲームを行うときは、玉を入れやすいように口が開いているほうを子どもたちに向けて行うといよいでしょう。
最初は低い位置から行ない、慣れてきたら徐々に位置を高くしていくと、その高さをねらって子どもたちがボールを投げる姿が見られるかもしれません。
このように、1歳児の子どもたちはものを掴んで投げたり、自由に歩き回ったりする姿が見られるため、その特徴を活かして遊べるゲームのアイデアを取り入れるとよさそうですね。
宝探しゲーム
1歳児の子どもたちといっしょに、部屋の中に隠されたものを探す宝探しを楽しんでみましょう。
用意するもの
- 宝物(ぬいぐるみ、ボールなど)
- バケツ
遊び方
1.バケツを部屋の中に逆さにして置いて、隠し場所として使います。
2.子どもたちに宝物を見せます。
2.保育学生さんが宝物を隠すまで、子どもたちには目をつぶってもらう、もしくは後ろを向いて見ないでもらいます。
3.宝物の上からバケツをかぶせて隠します。
4.隠し終わったら、子どもたちに声をかけて探してもらいます。
一斉に子どもたちが走り出すと、子ども同士でぶつかってけがをする恐れがあるので、探してもらう前に、「必ず歩いて探そうね」など一言声をかけるとよいでしょう。
ゲームのポイント
バケツの代わりに箱やミルク缶などを使って隠すこともできます。
1歳児の子どもたちが持ち上げやすいよう、軽くてサイズの小さめなものにするとよいでしょう。
子どもたちが隠した宝ものを見つけられずに迷っているときは、状況を見て保育学生さんが少しずつヒントを出していきます。
ゲームをするときは、子どもたちそれぞれが宝物を見つけたうれしさを感じられるよう、複数個の宝物を隠しておくとよいかもしれません。
ゲーム性のある室内遊び:2歳児向け
ここでは、2歳児向けにゲーム性のある室内遊びを紹介します。
新聞紙を使ったもの当てゲーム(再生時間:0:00~0:26)
新聞紙の穴から色々なものを見せて、子どもたちに当っこゲームをしてもらいましょう。
用意するもの
- 新聞紙
- ハサミ
- モノ当てゲームに使うぬいぐるみや玩具など
ゲームのポイント
子どもたちに当ててもらうものは見えないように、紙袋などに入れておきましょう。
取り出すときは新聞紙を片手で持ちながら行うか、実習生さん同士ペアになって行うとスムーズにできるかもしれません。
イラストをかくのが得意な保育学生さんは、穴の間から自分のかいた絵を見せて当ててもらうというアレンジ方法もあります。
一見お花に見えるけれど実はライオンでした、というようなひっかけ問題を何問か作ってみると、2歳児の子どもたちはよろこんでくれそうですね。
イラストを書くときは、色や形がはっきりわかるように大きく書くようにしましょう。
全身をつかったじゃんけんゲーム
雨の日でも身体を動かせる室内遊びとして、じゃんけんゲームを紹介します。
遊び方
基本的な遊び方は一般的なじゃんけんと同じです。
「じゃんけんぽん」という合図に合わせて、グー・チョキ・パーのそれぞれのポーズを子どもたちにしてもらいます。
ポーズは2歳児の子どもたちとアイデアを出し合いながらアレンジを加えてもよいでしょう。
- パー:手と足を大きく横に広げる
- チョキ:手と足を前後に広げる
- グー:その場にしゃがみ込んで体を小さく丸める
保育学生さん対子どもたちでじゃんけんゲームを行い、全身を使って遊ぶことを楽しんでもらいましょう。
ゲームのポイント
やり方に慣れてきたら、最後の一人になるまでじゃんけん大会をすると盛り上がるかもしれません。
じゃんけん大会をするときは負けたら座ってもらうようにあらかじめ話をしておくと、誰が残っているのか分かりやすくなるでしょう。
子どもたちがじゃんけんのポーズに慣れてきたら、わざと「ぽん」と言うときに少し間を持たせると、いつ動きだすのか分からないため集中して遊んでくれるかもしれません。
レクリエーションなどに活用すると、子どもたちみんなで盛り上がりそうですね。
色探しゲーム
保育室のなかから指定した色を探してもらう、色探しゲームについて紹介します。
色の名前が一致し始める2歳児頃にぴったりな遊びです。
遊び方
1.例題として、「〇色のものはどこにあるかな?」と1つの色を指定します。
2.保育学生さんがその色のところへ行って指をさします。
3.保育学生さんが別の問題を出し、子どもたちに探してもらいます。
子どもたちに色を探してもらうときは、歩いて探すように最初に伝えましょう。
ゲームのポイント
例題として挙げる色は、保育学生さんの洋服やエプロンの色にすると子どもたちがすぐに見つけられるだけでなく、ふれ合いのきっかけにもなりそうですね。
色探しゲームでは、広いホールや保育室全体を使って行なったり、一箇所に集まってその場を動かずに行ったりすることができます。
ホールや保育室内で行なうときは、転んだりつまずいたりしないように床にものが落ちていないか確認してから行うことが大切です。
子どもたちに部屋の一角に集まってもらう場合は、動き回らなくてもできるように、子どもたちの目の前に色のついたおもちゃなどを置いておくようにしましょう。
ジェスチャーゲーム
レクリエーションとして親しまれる、ジェスチャーゲームの遊び方について説明します。
遊び方
1.子どもたちを一箇所に集め、座ってもらいます。
2.保育学生さんは子どもたちの前に立ち、お題を決めて、声は出さずに動きだけで表現します。
3.何のまねをしているのか子どもたちに当ててもらいます。
ゲームのポイント
乳児クラスでジェスチャーゲームを行うときは、わかりやすいよう大げさな動作で行なうのがポイントです。
はじめは動きだけで子どもたちに考えてもらい、答えがあまり出てこないときは、正解となるものの特徴を声に出すと当てやすくなるでしょう。
ルールが分かってきたら、子どもたちを出題者にして保育学生さんが答えるのもよいかもしれませんね。
椅子取りゲーム
室内遊びで楽しめる、椅子取りゲームをやってみましょう。
用意するもの
- 椅子 人数分
遊び方
1.人数分の椅子を円形に並べます。
2.子どもたちにはいったん保育学生さんの前に集まってもらい、ルールを伝えます。
3.いったん椅子に座ってもらい、立ち上がります。
4.音楽に合わせて椅子の周りを時計回りに歩きます。
5.音楽がストップしたタイミングで、開いている椅子に座ります。
6.(4)~(5)を繰り返して遊びます。
ゲームのポイント
定番のレクリエーションとして親しまれる椅子取りゲームですが、2歳児クラスで行うときは椅子を減らすのではなく、人数分用意することがポイントと言えます。
初めて椅子取りゲームをするときは、保育士さんや保育学生さんも輪のなかに入って遊ぶとスムーズでしょう。
何回か実施したことがあり遊び方に慣れている場合は、通常のルールのように椅子を一つずつ減らしていってもよいかもしれません。
その際は、避けた椅子を「応援席」として活用すれば、負けてしまった子どもも友だちの様子を見て楽しめるでしょう。
ボール集めゲーム
箱の色と同じ色のボールを集めるゲーム を室内遊びに取り入れましょう。
用意するもの
- カラーボール(数色)
- 箱(ボールの色と連動したカラーリングのもの)
遊び方
1.室内に箱を設置して、子どもたちを集めます。
2.ボールを見せながら、ボールを拾って同じ色の箱に入れることを説明します。
3.ボールを床全体に転がします。
4.子どもたちといっしょにボールを集めます。
拾いに行くときは歩いて移動するようにあらかじめ約束を伝えましょう。
ゲームのポイント
箱の色は子どもたちが判断しやすいよう、画用紙やカラーガムテープなどで飾り付けるとよいでしょう。
実習で行いたいときには、あらかじめカラーボールを借りることができるか担当保育士さんに相談したうえで色を確認し、箱を装飾するとよいですね。
子ども同士でぶつからないように、広いスペースを確保して行うことが大切です。
雨の日には乳児クラスの室内遊びにゲームを取り入れてみよう

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今回は、0歳児・1歳児・2歳児の乳児クラス向けに、ゲーム性がある室内遊びのアイデアを紹介しました。
雨の日が続く梅雨や、暑くて戸外に出られないこともある夏などは、室内遊びで簡単なゲームを取り入れると楽しく過ごせるかもしれません。
実習や入職後などにゲーム遊びを行うときは、年齢に合わせてねらいを明確にしておくことが大切です。
雨の日や気候の厳しい夏・冬などには、今回紹介したゲームを参考に、保育実習での室内遊びや入職後のレクリエーションに活用してみてくださいね。