子どもに人気の新聞遊びは、保育実習生さんや新卒保育士さんも取り入れやすい遊びです。ねらいや遊び方を押さえておけば、指導案をスムーズに書けますよね。今回は、新聞遊びのアイデアを乳児(0歳・1歳・2歳)、幼児(3歳・4歳・5歳)と年齢別に紹介します。導入や片付け方など普段の保育や実習に役立つポイントもまとめました。
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■目次
実習や毎日の保育活動で新聞遊びをしてみよう!
新聞遊びとは、不要になった新聞紙を自由に破いたり丸めたりしながら、感触や形の変化を楽しめる遊びです。
新聞紙は小さな子どもの手でも扱いやすいため、幼児クラスの3歳児・4歳児・5歳児はもちろん、0歳児・1歳児・2歳児の乳児クラスも楽しく安全に遊ぶことができる素材と言えるでしょう。
また、保育園や各家庭での収集もしやすく、簡単に取り入れられるのもメリットの一つです。
雨天時や夏の暑い日、冬の寒い日など、室内遊びで身体を動かしたり自由に製作を楽しんだりしたいときに、新聞紙があればさまざまな遊びに発展させられるかもしれません。
【乳児・幼児別】新聞遊びの保育指導案におけるねらい
新聞遊びには、どのようなねらいがあるのでしょうか。
乳児クラスと幼児クラスに分けて指導案に記入するねらいの例を見ていきましょう。
乳児クラス(0歳児・1歳児・2歳児)におけるねらい
0歳児・1歳児・2歳児の乳児クラスが行う新聞遊びのねらいとして、以下が挙げられます。
- 新聞紙をちぎったり、丸めたりすることで手や指先を使って自由に遊ぶ
- 感触や形の変化の違いを楽しむ
- さまざまな形に変化させることで、想像力を養う
乳児クラスの子どもたちと遊ぶときは、新聞紙をグシャグシャにして音を出したり細かくちぎったりと、自由に遊べるよう援助しましょう。
自分で扱うのが難しい0歳児の場合、保育士さんが丸めたり破いたりするのを見せれば、音や変化を楽しめるかもしれません。
また、子どもを抱っこしながら新聞紙を触り、「握るとクシャクシャって音がするね。おもしろいね」などと声をかけながらいっしょに感触を味わうのもよいでしょう。
新聞紙の感触を五感で楽しみながら、子どもの手指の運動を促せるよう、指導案で計画していきましょう。
幼児クラス(3歳児・4歳児・5歳児)におけるねらい
3歳児・4歳児・5歳児の幼児クラスの新聞遊びのねらいとして、以下が挙げられるでしょう。
- 新聞紙を使った見立て遊びを通して、想像力を高める
- 手指を使ってイメージするものを製作する
- 新聞紙を使ったゲームを通して、保育者や友だちとのコミュニケーションを楽しむ
幼児クラスでは、1歳児や2歳児のように手や指先を動かして楽しむだけでなく、新聞紙の形から別のものに見立てる発想力を育むなどのねらいがあるようです。
また、新聞紙を使ったゲームを通していろいろな使い方ができることを知り、子どもたちの視野や想像力を広げるきっかけを作れるよう、指導案を立てていきましょう。
新聞遊びのねらいを押さえたところで、ここからは、乳児向け(0歳児・1歳児・2歳児)・幼児向け(3歳児・4歳児・5歳児)と年齢別のアイデアを紹介します。
【乳児向け】0歳・1歳・2歳が楽しめる新聞遊びのアイデア
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まずは乳児クラス(0歳児・1歳児・2歳児)向けの新聞遊びのアイデアを見ていきましょう。導入、製作、ゲームのカテゴリごとに紹介します。
新聞遊びの導入例
乳児クラスで新聞遊びの導入をするときは、新聞紙や紙を題材にした絵本や、「カサカサ」「くしゃくしゃ」などの擬音が出てくる絵本の読み聞かせをするとよいでしょう。
そうすることで、絵本のなかで表現されていた音が実際に聞こえるおもしろさを味わえるかもしれません。
また子どもの前で、実際に保育士さんが新聞を破いて見せ、「ビリビリって簡単に破れるね!みんなもやってみる?」と声をかけて注目を引くのもよいでしょう。
製作を楽しめる新聞遊び
ここでは、製作を通して0歳児や1歳児・2歳児の子どもが見立てを楽しめる新聞遊びを紹介します。
新聞のお風呂
1.室内で使えるビニールプールや大きめのダンボールを用意してお風呂に見立てます。
2.保育士さんと子どもが新聞紙を細かくちぎり、お風呂の水としてたくさん溜めればできあがりです。
新聞紙のお風呂ができあがったら、なかに入って全身で感触を楽しんでみましょう。
子どもが先になかに入り、保育士さんが「新聞紙のシャワーだ!」と言いながら少しずつ細かくちぎった新聞紙を降らせるのも楽しいかもしれません。
にょろにょろ新聞へび
1.新聞紙の上にPEテープの片側を置き、PEテープもいっしょに巻き込んで新聞紙を丸めます。
2.同じ流れで新聞紙を3個から5個ほど丸めます。
3.先頭の新聞紙を尾に見立てて細くすればできあがりです。
テープの部分を持って左右に揺らしながら引っ張ると、にょろにょろと動くへびになります。
へびを引きながらいっしょに室内を散歩するのもおもしろそうですね。
新聞おばけ
1.大きめの新聞紙を2枚使って、半球の形をしたおばけの頭を2つ作ります。
2.平らな部分を合わせて、一部分だけテープで留めてパクパクと動かせるように貼ります。
3.画用紙で作った目玉やおばけのベロなどをつけてできあがりです。
テープを留めるにはコツが必要なため、保育士さんが行うとよいでしょう。
新聞紙の隙間から平らな部分を指で掴めば、パペットのように口をパクパク動かせるおもちゃになります。
保育士さんが動かし、「食べちゃうぞー」と言って子どもたちとスキンシップをはかるのも楽しいかもしれませんね。
ゲームを楽しめる新聞遊び
次に、1歳児や2歳児クラスでゲームを楽しめる新聞遊びを紹介します。
新聞で楽しむこれなんだ?ゲーム
1.新聞紙を4つ折りにしてから、折り重なっている箇所をハサミで切って直径15〜20cmくらいの穴をあけます。
2.新聞紙を広げたあと、穴から絵やぬいぐるみなどをチラッと見せ、子どもたちに「これなんだ?」と問いかけてクイズを楽しみます。
クイズをするときは、ぬいぐるみのしっぽや足などわかりにくそうな部分から見せ、徐々に特徴的な部分を見せていくのがコツになります。
子どもが普段からよく見ている玩具や帽子などをクイズに使うと、盛り上がるかもしれません。
子どもたちが「なんだろう?」と想像力を働かせながら楽しめるよう、新聞遊びを進めていけるとよいですね。
新聞の引っ張り合いゲーム
1.1枚の新聞紙を2人の子どもたちが持ち、左右から新聞紙を引っ張り合います。
2.破れたときの新聞紙の面積が大きい子どもが勝ちです。
1歳児や2歳児もルールを理解しやすい、簡単なゲームです。子どもが新聞紙を引っ張った勢いで転んでしまわないよう、座りながら行うとよいかもしれません。
子ども同士だけでなく、保育士さんと引っ張り合いをするのもおもしろそうですね。
玉入れ
1.子どもが新聞紙を丸め、ボールをたくさん作ります。
2.保育士さんは玉入れのカゴ(洗濯カゴやダンボールなど)を持って、保育室の中央に立ちます。
3.「よーい、ドン」のかけ声とともに、子どもたちがボールをカゴに投げ入れます。
このゲームは新聞紙を玉入れのようにカゴに入れてもらう遊びです。
カゴを子どもたちよりも少し高い位置で持てば、的に向かって物を投げる練習にもつながるでしょう。
また、子どもたちを2つのチームに分け、「どっちが早く新聞紙をカゴに入れられるかな?」という競争にしても盛り上がりそうですね。
このゲームを新聞遊びの最後に導入すれば、床に散らばった新聞紙を丸めてカゴに入れるという動作を楽しみながら、部屋の片づけをすることもできるかもしれません。
片付けも楽しむ!新聞遊びの終わり方
上記の玉入れゲームに加えて、新聞遊びの片付けにも取り入れられる遊び方を紹介します。
1.新聞紙を丸めて小さなボールにします。
2.ガムテープを使って新聞紙を貼り足しながら、大きなボールにしてできあがりです。
大きな新聞紙のボールを作ったら、みんなで玉入れゲームに発展させてもよいでしょう。
一つにまとめることで、新聞遊びの片付けが簡単になりますよ。
上の見出しで紹介した「これなんだ?ゲーム」のやり方と「にょろにょろヘビ」の作り方は、以下の動画を参考にしてみてくださいね。
関連動画:身近なもので楽しく遊ぼう♪新聞紙あそび/保育士バンク!
【幼児向け】3歳・4歳・5歳が楽しめる新聞遊びのアイデア
次に、幼児クラス(3歳児・4歳児・5歳児)向けの新聞遊びのアイデアを、カテゴリごとに紹介します。
新聞遊びの導入例
まずは、3歳児・4歳児・5歳児クラスでの新聞遊びの導入に使えるアイデアを見てみましょう。
新聞を読んでみる
幼児クラスの4歳児や5歳児などでは、導入として新聞紙にどのようなことが書かれているのかいっしょに見てみるとよいでしょう。
天気予報やテレビ番組欄など子どもが親しみやすいページを読んでみる、自分の名前と同じひらがなを探してみるなど、新聞紙のなかからさまざまな発見を楽しみます。
そうすることで、本来の新聞の役割やおもしろさに気づいたり、文字に親しみを持ったりするきっかけにもなるかもしれません。
マジックをする
3歳児クラスなどでは、導入として新聞紙を使ったマジックで子どもたちを惹きつけるのもおもしろいでしょう。
動画のように、子どもたちの目を惹くマジックをすれば、一気に新聞遊びへの興味が湧いてくるかもしれません。
「ぼくも作ってみたい!」と、新聞遊びへの意欲を引き出すことができとよいですね。
製作を楽しめる新聞遊び
ここでは、3歳児・4歳児・5歳児の子どもたちが、新聞遊びのなかで製作をして楽しめる遊び方を紹介します。
新聞で作る積み木
1.2枚重ねにした新聞紙をコの字型に折り目を付けます。
2.左右の面を重ね合わせてテープで留め、三角柱を作れば積み木のできあがりです。
3.(1)と(2)を繰り返し、いくつか積み木を作って遊びます。
新聞でできた積み木を使って、いろいろな積み方に挑戦してみましょう。
上下に重ね合わせてピラミッド型にしたり、互い違いに積んでビルのように高く積み上げたりと、自由に立体遊びを楽しんでみてくださいね。
新聞でおしゃれを楽しむファッションショー
1.見開きの新聞紙の真ん中に穴を空けて頭からかぶって洋服にしたり、細長く折ってベルトにしたりして、ファッションアイテムを作ります。
2.保育士さんが用意したシールやマスキングテープなどで装飾して、思い思いにオシャレをします。
3.一人ひとりが前に出て、オシャレのポイントを話すなどしてファッションショーを楽しみます。
新聞遊びを通して、ワンピースやマントなど、工夫次第でさまざまなアイテムを作れるでしょう。
友だちと協力して遊ぶ力が育ってくる4歳児や5歳児クラスでは、友だちと協力して作ったり、見せ合ったりすることで、表現力や協調性も育めるかもしれません。
難しい工程は保育士さんが手伝うなどして、子どもが自由に表現できるよう援助できるとよいですね。
新聞紙でおままごと
1.新聞紙を細長くちぎって麺に見立て、スパゲッティやラーメン、うどんを作ります。
2.丸めた新聞紙に白と黒のビニールテープを巻き、おにぎりを作ります。
3.小さく丸めた新聞紙を3つ作り、割り箸を通してお団子を作ります。
4.作ったアイテムを使っておままごと遊びを楽しみます。
3歳児など低年齢クラスから楽しめそうな、おままごとの新聞遊びです。
新聞紙をさまざまな形にちぎったり、デコレーションを加えたりすれば、おいしそうな食べ物を作ることができるでしょう。
手作りしたアイテムとお皿や食具などの玩具をあわせて使い、おままごとを楽しんでみてもよいですね。
ゲームを楽しめる新聞遊び
3歳児・4歳児・5歳児の子どもが楽しめる、ゲーム性のある新聞遊びをまとめました。
新聞で作る魚釣りゲーム
【魚の作り方】
1.新聞紙を縦長の長方形になるよう手で破ります。
2.新聞紙をふんわりと半分に折り、先端をねじってさかなの尾びれを作ります。
3.頭の先端部分にクリップを挟んだらできあがりです。
【釣り竿の作り方】
1.割り箸の先にタコ糸を結びつけます。
2.糸の先にテープで磁石を留めればできあがりです。
新聞でできた魚を上手に釣って魚釣り大会を開いてみましょう。
魚は、目玉や折り紙、PEテープなどをつけてデコレーションすれば、カラフルに仕上げられそうです。
釣り竿の糸の長さを調整すれば魚釣りの難易度が変わるので、子どもの年齢や様子にあわせてアレンジして楽しんでみてくださいね。
新聞紙で運ぶ風船リレー
1.クラスで2つか3つのチームを作ります。
2.子どもたちは2人1組になって、広げた新聞紙の両端をそれぞれ持ちます。
3.保育士さんが新聞紙の上に風船を乗せ、スタートの合図と同時に子どもたちは協力して風船を落とさないように走ります。
4.コーンなどを置いて折り返すか、または室内を一周して戻ってきたら次のペアに交代し、全員がゴールしたチームが勝ちとなります。
バランス感覚が育まれる4歳児や5歳児頃から楽しめそうな、風船リレーの新聞遊びです。
このゲームでは周囲の物を片づけてから広いスペースで行うなど、安全に配慮しましょう。
風船を落とさずに運ぶには、友だちと息を合わせて進むことが重要になるので、バランス感覚や協調性が養えそうですね。
新聞島ゲーム
1.2人1組になり、1人ずつ新聞紙を広げて乗ります。
2.相手とじゃんけんをし、負けた方は新聞紙を半分に折って再度乗ります。
3.(2)を繰り返し、新聞紙の上に立てなくなった方が負けです。
このゲームは、じゃんけんのルールを理解できるようになる3歳児以上の子どもが楽しめるでしょう。
小さくなった新聞紙に乗る動きを繰り返すことで、ゲームを通してバランス感覚を養えそうです。
1対1で遊ぶだけでなく、保育士さん対クラスのみんなでじゃんけんをして、最後まで立っていられた子どもがチャンピオンというルールにアレンジしてもおもしろいかもしれませんね。
新聞島ゲームの遊び方については、以下の動画を参考にしてみてくださいね。
関連動画:【新聞紙あそび5選】新聞紙だけで準備運動から楽しめる物まで5つ紹介【mocaちゃんTime】/保育士バンク!
片付けも楽しむ!新聞遊びの終わり方
最後に、幼児クラスの子どもたちが片付けまで楽しみながら行える新聞遊びを紹介します。
1.カラーポリ袋をかいじゅうに見立てて、画用紙で作った目玉や舌を貼りつけます。
2.(1)の口を開いて「お腹がすいたなあ」と声をかけて新聞紙を食べさせてもらいます。
かいじゅうに見立てることで、子どもたちもご飯をあげている感覚で片付けを楽しめます。
間違えて子どもの身体を食べる振りをしてもおもしろいかもしれません。
3歳児など低年齢では、子どもが怖がりすぎないよう、かわいらしいかいじゅうを演じるようにしましょう。
普段の保育や実習で新聞遊びをするときのポイント
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保育実習や普段の保育で新聞遊びをするときには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。指導案にも活かせるポイントをくわしく見ていきましょう。
新聞を口に入れないよう注意する
0歳児や1歳児など乳児クラスの子どもたちは、手に取った新聞紙を口に入れてしまうことがあるかもしれません。
新聞紙は唾液で口の中や喉に貼りついてしまうため、口の中で引っかかってなかなか取れにくく呼吸がしにくくなる恐れもあります。
0歳児の子どもには、保育士さんが見せて遊ぶだけにするなど、直接触れないよう配慮するとよさそうです。
1歳児や2歳児については、何でも口に入れる時期がある程度落ち着いてから新聞遊びを導入し、しっかりと側について見守るのが望ましいかもしれません。
周囲の安全に配慮する
新聞遊びをするときは、スペースを広く取り、周囲の安全に配慮することが大切になります。
新聞紙を床に広げると、滑りやすくなってしまうことも考えられます。周囲のものを片づけてマットを敷いておくなど配慮しておくとよいでしょう。
また、ゲームで室内を動き回るときには、子どもが滑ってしまわないよう、床に散らばった新聞紙を片づけてから行うという配慮も必要です。
遊んだあとは手洗いをする
新聞遊びのあとは、必ず子どもの手洗いを促しましょう。
新聞紙を触るとインクが子どもの指につき、汚れることもあります。そのままの手で別の物に触ると、インク汚れがうつってしまうことも考えられるでしょう。
そのため、遊び終わったらできるだけすぐに子どもの手洗いを促すこともポイントの一つになります。
実習や毎日の保育活動での新聞遊びにさまざまな新聞紙遊びのアイデアを取り入れよう
今回は、新聞遊びの指導案に書くねらいや、乳児(0歳・1歳・2歳)、幼児(3歳・4歳・5歳)と年齢別の遊び方のアイデアを紹介しました。
感触や音を楽しむことができる新聞遊びは、アイデアによって0歳児や1歳児、2歳児の乳児クラスから取り入れることができそうです。
また、3歳児や4歳児、5歳児クラスではじゃんけんと組み合わせたゲームに活用するなど、幅広い遊びができるのもメリットと言えるでしょう。
工夫ひとつで片付けの時間まで楽しく行えるのも、新聞遊びの醍醐味かもしれません。
保育実習や入職後の活動に新聞遊びを取り入れて、子どもたちとさまざまな遊び方を楽しんでみてくださいね。