保育実習前に提出を求められる検便検査。検査項目がさまざまだったり、何日前に検査するべきか分からなかったりと気になることも多いでしょう。今回は、保育実習前の検便検査の目的や検査項目、期日などを紹介します。また、生理の場合や検査を忘れた場合、陽性の場合などの対処法についてもまとめました。
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保育実習前の検便検査とは?
保育実習に行く前に、園から提出が求められる検便検査。
なぜ検便検査が必要なのか、検査する義務はあるのかを見ていきましょう。
検便検査の目的
検便検査とは、保育学生さんが感染症などの原因菌を保有していないか確かめるための細菌検査です。
たとえば大腸菌感染症(O-157など)は毒性が強く、乳幼児の感染者には死者や重傷者も出ると言われています。
感染力が強く、タオルの使いまわしや、トイレに付着した菌、食べ物や食器に付着した菌などから簡単に感染するようです。
保育園では、主にトイレの介助や食事介助などを介して感染するため、集団での感染リスクが高い感染症です。
検便検査では、大腸菌を保有している以下の2パターンの人を発見することができます。
- 一度感染して治癒したが、体内にまだ菌が残っている
- 一見健康だが、体内に菌を保有している「健康保菌者」である
特に健康保菌者の場合、菌を持っているかどうかを自己判断することが難しく、知らず知らずのうちに感染させてしまうおそれがあります。
子どもたちへの感染を防ぐためにも、検便の検査は重要と言えるでしょう。
検便検査は義務?
多くの保育所では、市町村などの条例に従って、保育士さんの検便検査の提出が義務となっています。
児童福祉法によって定められた「児童福祉施設最低基準」にも、職員の健康面についてきちんと示されています。
この基準によると、児童福祉施設の職員の健康診断にあたって、特に食事を調理する者には綿密な注意を払わなければならないとされています。
さらに、厚生労働省「保育所における食事の提供ガイドライン」においても、特に食事の介助にあたる保育士さんは、調理者基準で衛生管理をすることが求められています。
食事の配膳や介助にかかわる保育士さんや保育学生さんは、調理者と同じように衛生管理を徹底する必要があるようですね。
保育実習の検便検査における検査項目や期日
必要とされる検査項目や、期日に間に合わせるには何日前までに提出するべきかを見てみましょう。
検査項目
保育学生さんに求められる検査項目は主に以下の3つの細菌検査であることが多いようです。
- 赤痢菌
- サルモネラ菌
- 病原性大腸菌
あらかじめ学校から配布される実習要綱やパンフレットを確認しておきましょう。
この3つの感染症は、生理の場合も検便検査をすることが可能です。
生理だからといって検査を先延ばしにする必要はないので安心して検査結果を提出できますね。
期間
一般的に、検便を検査するには4~7日ほどかかるようです。
菌を培養してから細菌検査を行なうため、数日程度の時間がかかってしまうそうです。
また、検査を実施する前に、検査キットを送付してもらう期間や、こちらから検体を郵送する期間も必要となります。
そのため、検便検査の申し込みから結果の受け取りまでにかかる工程は以下のようになるでしょう。
- 申し込み後、検査キットの送付(1日)
- 保育学生さんが検体を郵送(1日)
- 検査開始から結果の判明まで(4~7日)
- 検査結果の送付(1日)
このように、合計10日間前後の期間が必要となりそうです。
期日までに提出するには、期日の11日~14日前には申し込みを済ませておくと安心ですね。
検査期間については、検査を実施する施設によって異なるため、何日前に申し込むべきか最寄りの施設に問い合わせてみましょう。
施設
検便検査は、自身で検体を採取したあと、検査を実施している期間で結果を出してもらう必要があります。
検便検査を実施しているのは、主に以下のような施設です。
- 病院
- 保健所
- 医療センター
- 民間の検査期間
それぞれの施設によって、検査期間や検査方法、検査費用などはさまざまです。
ホームページなどで調べて情報を比較したうえで、自分に合った施設に申し込みましょう。
保育実習の検便検査を忘れた・陽性だった場合はどうなる?
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では、検便検査を忘れてしまった場合や、陽性反応が出てしまった場合はどのように対処すべきでしょうか。
検便検査を忘れた場合
検便検査を忘れた場合、感染リスクがあると見なされ、実習を受け入れてもらえない可能性が高いようです。
検査結果が出るまで欠席する、実習期間を変更するなど対応はさまざまかもしれませんが、まずは園や学校に連絡してその後の対応を確認するようにしましょう。
また、日数が迫っており、期日までに検査結果が届かないというケースもあるかもしれません。
検便検査ができる施設には、市町村の保健所以外にも、病院や民間の検査機関などがあります。
施設によっては3日後に結果送付など迅速な対応を行なっているところもあるため、利用を検討してみるのもよいかもしれませんね。
検便検査が陽性だった場合
検査結果が陽性だった場合も、受け入れをしてもらえない可能性が高いでしょう。
保菌していた場合、抗生物質を飲んで治療する期間が必要となります。
学校や実習先の園に連絡して対応を確認するとともに、医療機関などで早めに受診しましょう。
検査結果が不安な方は、実習開始日、細菌検査に必要な期間、治療に必要な期間を加味して、早めに検査をしておくとよいかもしれません。
検便検査の大切さを知り、保育実習に向けて準備をしよう
今回は、保育実習前の検便検査とは何か、目的や検査項目、必要な期間を紹介しました。
検便検査では、保育園での感染症の蔓延を防ぐため、病原菌の細菌検査を行ないます。
一般的に保育実習では赤痢菌・サルモネラ菌・病原性大腸菌の3種類の検査項目が必要となり、これらは生理のときでも検査が可能となるようです。
検便検査を忘れた場合や陽性の場合は、実習を受け入れてもらえない可能性が高いので、提出期限を計算して忘れず検査したり、検査を早めに済ませたりするようにしましょう。
検便検査の必要性を知って、保育実習に向けて健康管理にも気をつけてくださいね。