保育園でも行われる家庭訪問。家庭の様子を見るとともに、保護者と面談を行なう大切な業務の一つです。入職後にそなえて、その意味や内容についてくわしく知りたい保育学生さんも多いのではないでしょうか。今回は保育園における家庭訪問の目的と内容、保育士さんが事前に準備することについて紹介します。
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■目次
保育園の家庭訪問の内容
保育園における家庭訪問とは、保育士が担任をしている子どもの家庭に直接訪問し、保護者と面談を行うものです。時間は一家庭あたり15分程度で終える園が多いようです。
時期は主に4月など年度のはじめに行なわれるのが一般的で、新しい年度の挨拶も兼ねていることがほとんどのようですね。
家庭訪問の意味と目的
保育園で家庭訪問を行なう意味はどんなものなのでしょうか。その目的についてくわしく見ていきましょう。
住んでいる地域の様子をよく知るため
子どもが実際に住んでいる地域や、通園路を保育士が確認するという意味があるようです。
地域の雰囲気を肌で感じることで、その子どもの育つ環境に理解が深まりそうですね。
また、災害などの緊急時にスムーズな連絡や対処をすることにもつながるというメリットもあるでしょう。
家庭環境を知るため
子どもの家庭環境を知ることも、保育士にとって重要な目的となるようです。普段どんな遊びをしているのか、身の回りにどんなものがあるのか、その子どもが過ごす環境を知ることで子どもの理解を深めることにもつながるでしょう。
おもちゃの好みや、部屋のつくり、兄弟の姿を知ることで、普段の保育でもその子との関わりに取り入れられることが見つかるかもしれませんね。
保護者との信頼関係を築くため
普段は忙しく、話をする時間をとれない保護者と話をする機会づくりという意味もあるでしょう。
保護者の中には、送迎の時間に保育士と顔を合わせるものの、周囲の目もあってあまり込み入った話ができない方もいるようです。子どもの発達のことや育児の悩みなどについて、ゆっくりと話すきっかけになりそうですね。
家庭訪問で保育士が質問するとよいこと
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保育士が保護者の方に聞くことについて見ていきましょう。
家庭での様子
家庭ならではの子どもの姿を質問するとよいでしょう。どんなおもちゃで遊んでいるか、兄弟や家族とどんな風に過ごしているかなど、家庭での姿から子どもの特徴を知ることができるでしょう。
また、保育園での姿と家庭での姿が異なる子どもも多いようです。
保育園では我慢しているものの、家庭で過度の甘えやイヤイヤをするといった姿が見られたら、保育園での関わりを見直していくなど子どもの情緒の安定に役立てていけるとよいかもしれません。
好きなこと、嫌いなこと
子どもの好きな遊びや音楽、食べ物、逆に嫌いなものを質問できると、普段の保育をスムーズに行なうヒントになるでしょう。
また、得意なことや苦手なことを聞けると、普段の活動をする際の援助や配慮に役立ちそうですね。
子どもの性格
子どもの性格について、子どもを深く理解している保護者に質問しておけるとよさそうです。
特に新年度だと、保育士さんが子どもの性格や特徴を理解することから保育が始まります。あらかじめ保護者に聞けると安心ですよね。
園生活で気をつけてほしいこと
子どもの特性や身体のことなど、園で過ごすうえで気をつけることを質問しておくとよいでしょう。
肌がかぶれやすいので保湿剤をこまめに塗ったほうがよい、鼻水が出やすいので気温によって衣服を調節できるようにするなど、その子ならではの配慮につながりそうですね。
保護者が不安に感じていること
保育園生活で保護者が抱えている悩みや不安を取り除けるようにするのも、保育士の役目の一つです。一度ゆっくり保護者の悩みを聞くことで、今後も相談しやすい信頼関係をつくれるかもしれません。
保育園の家庭訪問における服装やマナー
家庭訪問をする際の服装のポイントや、家庭訪問中のマナーについて見ていきましょう。
家庭訪問をする際の服装
清潔感のあるフォーマルな服装であると印象がよいようです。スーツで家庭訪問をする園もありますが、オフィスカジュアルのようなシンプルな服装で大丈夫といった園もあるようです。
園によってルールはさまざまなので、先輩保育士さんに聞いてみるといいかもしれませんね。
家庭訪問中のマナー
家庭訪問をする時のマナーについて紹介します。
挨拶
玄関先では簡単な挨拶ですませて、部屋に通されてから本格的な挨拶をしましょう。新年度の家庭訪問の場合、「一年間よろしくお願いします」という旨の挨拶ができるとよいですね。
また、家庭訪問は玄関先の立ち話のみですませるという園もあるようです。その場合は「玄関先で失礼致します」と一言添えるようにしましょう。
座る位置
保護者に上座を勧められるまでは、出入口から近い下座に座って待っておくのがよいでしょう。
また、和室では座ったままお辞儀をしますが、洋室では椅子から一度立ち上がり挨拶をするのがマナーとなるようです。
先輩保育士さんに同行する際は、先輩の座る位置のほうが上座となるので気をつけるようにしましょう。
お茶菓子について
保護者の方から出されたお茶やお菓子は、「いただきます」と挨拶をしてからいただくようにしましょう。コップに付いた口紅は最後に拭き取ると気持ちがよいですね。
ただ、1日に何件も家庭を回る場合は、お茶を飲みすぎて途中でトイレに行きたくならないように注意しましょう。
園によっては、「お茶菓子は結構です」と事前に知らせるところもあるようです。家庭訪問をする前に園のルールを確認するのも大切かもしれませんね。
帰り際
帰りの挨拶をする前に、「ほかに気になる点などはありませんか?」と確認すると保護者も安心できるでしょう。
和室なら座布団を降りて、洋室では立ち上がってから挨拶をするのがマナーといわれています。
ドアを閉める際は後ろ手にならないようにし、斜め後ろを向いてお尻を見せずに閉めると上品に見えるかもしれません。
スリッパは最初に履いた方向に戻して返すとよいですね。
保育園の家庭訪問に向けて準備すること
家庭訪問に向け、事前に準備をしておくと当日慌てずにすみそうですね。どんなことを準備するとよいか見ていきましょう。
身だしなみを整える
家庭訪問に行くときは清潔感を意識した服装を心がけましょう。前日のうちに衣類にアイロンを当てたり、靴にブラシをかけたりしておくとよいですね。
また出先で慌てないために、携帯用ブラシや汗拭きシート、口内ケア用のタブレットなどのアイテムも準備するとよいかもしれません。
地図
住宅地は道が入り組んでいたり、似たような場所が多かったりとわかりにくいところもあるでしょう。
迷って約束の時間に遅れることがないように、あらかじめ家の場所に印をつけた地図を持参し、時間に余裕を持って向かえるとよいですね。
メモ
保護者と話したことを記録するためにメモがあるとよいでしょう。ほかにも聞くことを考え、あらかじめ伝えたいことを書いて整理しておくといった使い方もありそうです。
また家庭訪問中の話題に困らないよう、普段の子どもの姿やエピソードを記録したメモも準備しておくと役立ちそうですね。
服装や質問を準備して、保育園の家庭訪問を成功させよう
今回は保育園で家庭訪問をする際の内容や意味について紹介しました。
保育園の家庭訪問では、子どもが過ごす家庭環境を知ることのほかに、保護者との信頼関係を築いていくという目的もあるようです。
また事前に、訪問した際の座る位置といったマナーを確認したり、服装などの準備をしたりすることも大切になりそうですね。
家庭訪問の目的やマナーをきちんと理解して、入職後の保育園での家庭訪問に役立てましょう。