保育実習で1歳児クラスを担当するとき、製作遊びを取り入れたいと考える保育学生さんもいるかもしれません。子どもたちといっしょに季節やイベントにあわせた製作を行いたいですよね。今回は、1歳児クラスで楽しめる製作遊びのねらいなど指導案を書くときのポイント、春夏秋冬の季節別にまとめたアイデアを紹介します。
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■目次
1歳児クラスで楽しめる製作遊びとは
1歳児になると、だんだん手先が器用になるようです。
ものを掴んでくしゃくしゃと丸めたり、指先を上手に使ってつまんだりできるかもしれません。
また、クレヨンを持って腕を動かし、自由に線を描いたりすることが楽しいと感じる子どももいるでしょう。
保育園では、手先を動かして遊ぶようになる1歳児の特徴を生かして、指先を使った製作遊びを取り入れることもあるようです。
1歳児クラスでの製作遊びでは、以下のような技法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
- 指スタンプ
- ちぎり絵
- 道具を使ったスタンピング
- シール貼り
- 手形や足形 など
1歳児クラスの中では、子どもの月齢差によってできること、できないことの差が大きい時期でもあるでしょう。
そのため、保育実習などにおいてクラスの子どもの様子をよく観察しながら、どんなことならできそうなのか、どんな援助や配慮が必要なのかを考えていくと、指導案も書きやすくなるかもしれません。
1歳児クラスの製作遊びにおける指導案を書くときのポイント
1歳児クラスにおいて、製作遊びの指導案を書くときに注意したいポイントを紹介します。
ねらいの立て方
1歳児クラスにおける製作遊びのねらいとして、以下のようなことが挙げられます。
- いろいろな素材に親しみ、自分で描画したり表現したりすることを楽しむ
- 「触れる」「聞く」「見る」など、感覚器官を発達させながら楽しむ
- 手指を動かし操作したり、細かい動きを繰り返したりして、指先を使って表現する
- 季節にあった行事の製作遊びを行う場合は、その行事に興味をもつ
さまざまな素材に触れることで、感覚器官が育っていくことが期待できるでしょう。
何かを振ったりつぶしたりしたときの音や見た目の変化を楽しむことや、鼻先に持っていきにおいを感じることで素材への理解を深められるかもしれません。
また、シール貼りや折り紙などを使って遊ぶことで指先の感覚を刺激し、手先の筋肉を細かく使った動きができるような活動も積極的に取り入れていきましょう。
保育士の配慮・援助の仕方
1歳児クラスでの製作遊びの際に、保育士として気をつけたい配慮したいことや援助の仕方を紹介します。
安全に気をつける
1歳児クラスの子どもの中には、物を口に入れて確かめようとする子どももいるかもしれません。そのため、クレヨンやのりなどを口に入れないよう、側について見守るようにすることが大切です。
子どもが口に入れてしまうことを想定して、喉に詰まらない大きさ(500円玉より大きいもの)の道具を使用したり、自然由来の素材でできたクレヨンなど口に入れても安全な材料を用意したりするなどの配慮をするようにしましょう。
個別に援助する
ある子どもにはできることも、別の子どもには難しいということも考えられるでしょう。また製作遊びに対する意欲にも個人差があるかもしれません。そのため、個別に異なった援助が求められます。
製作に興味を示さない子どもには「楽しいよ、やってみようか」など声かけをしたり、子どものできることを見極めながら手伝ったりするなど、子ども一人ひとりにあわせた援助ができるよう心がけましょう。
子どもの想像を広げる工夫をする
テーマにあった素材や道具を用意し、それらに触れて感じたことを表現できるようにしましょう。
「つるつるだね」「ふわふわしてるね」などのオノマトペを使って子どもが感じたことを代弁していき、子どもたちの感性が育めるとよいかもしれません。
表現の幅を広げていくには、製作に入る前の導入として、子どもたちといっしょに絵本や図鑑、見本などを見てイメージを膨らませることも大切な時間になるでしょう。
いっしょに楽しさを味わう
初めて見る素材や道具にびっくりしてしまう子どももいるかもしれません。
それでも学生さんが楽しそうに使っている姿を見て「なんだか面白そうだな」と興味を持てる子どももいるでしょう。学生さん自身が活動を楽しむ姿を見せていくことでよい雰囲気を作ることが大切です。
また、友だちが楽しんでやっている姿を見て「ぼくもやってみたい」と思う気持ちが芽生えてくる子もいるでしょう。
子ども同士が刺激しあって楽しめる環境を作っていけるとよいですね。
1歳児クラスの製作遊びアイデア~春~
ここからは、1歳児クラスにおいて春・夏・秋・冬それぞれの季節で楽しめる製作遊びのアイデアを紹介します。
まずは、春(3月、4月、5月頃)のアイデアを3つまとめました。
紙皿で作るお雛様の壁面工作
紙皿で簡単に作れる、かわいらしいお雛様の壁面工作アイデアです。
用意するもの
- 紙皿
- 折り紙
- 画用紙
- 紐
- カッター
- ハサミ
- のり
- パンチ
援助のポイント
紙皿に貼り付ける折り紙は、一色だけの折り紙だけではなく、和柄の折り紙を使用すると、お雛様やお内裏様の着物がより本物らしく見えて、より華やかな印象になるでしょう。
1歳児クラスで行う場合は、保育学生さんが顔のパーツや手に持つ扇などのパーツを作っておくと、紙皿に貼りつける工程もスムーズにできるかもしれません。
ペットボトルスタンプの桜
トイレットペーパーの芯と気泡緩衝材、ペットボトルで簡単に作れるスタンプで描く桜の製作遊びアイデアです。
用意するもの
- トイレットペーパーの芯
- 気泡緩衝材
- ペットボトル
- 絵の具
- カッター
- ハサミ
- テープ
援助のポイント
スタンプはあらかじめ保育学生さんが作っておくとよさそうです。製作遊びでは子どもとスタンプを持ち、押すと色がつく面白さを子どもといっしょに味わいながら援助しましょう。
ぽんぽんスタンプのこいのぼり
気泡緩衝材の表面の形を活かしたスタンプで作るこいのぼりの製作遊びアイデアです。
用意するもの
- 気泡緩衝材
- ダンボール
- 画用紙
- 色画用紙
- 絵の具セット
- テープ
- はさみ
- のり
援助のポイント
スタンプに絵の具をつけたり、紙に押しつけたりするところは、保育学生さんも手伝いましょう。
さまざまな色の絵の具を使っていくつかのこいのぼりを作り、真鯉や緋鯉を表現した壁面製作にアレンジしてもよいかもしれませんね。
1歳児クラスの製作遊びアイデア~夏~
次に、1歳児クラスで夏(6月、7月、8月頃)に楽しめる製作アイデアを3つ紹介します。
ビー玉アートで作る傘
ビー玉アートとは、絵の具をつけたビー玉を紙のうえでコロコロ転がして模様をつける技法のことです。ビー玉のランダムな動きと色の混ざり方を楽しみましょう。
用意するもの
- ティッシュ箱
- ハガキサイズの画用紙(10cm×14.8cm)
- 絵の具(好きな色)
- ビー玉
- ハサミ
- ゴム手袋
援助のポイント
ビー玉を触ったり口に入れたりしようとする子どももいるかもしれないので、注意しながら行ないましょう。
ビー玉を転がしすぎると色が混ざり黒っぽくなってしまうので、保育学生さんが「10」の数を数え終わったらおしまいにするなどの工夫をするとよいでしょう。
作品が乾いてから保育学生さんが傘の形に切り取って飾れば、6月の梅雨のシーズンにぴったりの壁面製作になるかもしれません。
シール貼りで作る魚
シールをうろこに見立てた、かわいらしい魚の製作遊びアイデアです。
用意するもの
- 紙皿
- 丸シール
- ハサミ
- セロハンテープ
援助のポイント
シールの台紙は、1列ずつ短冊状に切ったものを用意しておくと、子どもの手でもはがしやすくなるでしょう。
丸シールだけではなく、あらかじめ2cm程度に切っておいたマスキングテープやビニールテープを貼りつけても楽しめそうですね。
コーヒーフィルターの朝顔
コーヒーフィルターのにじみ絵を活かした、夏にぴったりの作品ができるアイデアです。
用意するもの
- コーヒーフィルター
- 水の入った紙コップ
- 画用紙
- えんぴつ
- ハサミ
援助のポイント
保育学生さんはあらかじめコーヒーフィルターを丸く切っておきましょう。
子ども一人に対して4枚ほど用意しておくと、色やにじみ方の違いを楽しめるかもしれません。
ペンで色をつけるところや水につけて色がにじむ様子を見るところは、子どもといっしょにやってみましょう。
1歳児クラスの製作遊びアイデア~秋~
次に、1歳児クラスで秋(9月、10月、11月)に楽しめる製作アイデアを3つまとめました。
指スタンプのきのこ
きのこが旬となる9月頃に、指スタンプでカラフルなきのこの製作をしてみるのはいかがでしょうか。
用意するもの
- 画用紙
- 絵の具
- のり
援助のポイント
子どもがのびのびと指スタンプを楽しめるよう大きめの紙を用意し、その後保育学生さんがきのこのかさの形に切り取ってもよいでしょう。
さまざまな色の画用紙や絵の具を用意して、カラフルなきのこの製作をしてみても面白いかもしれません。
ちぎり絵の紅葉
ちぎり絵で落ち葉を表現する、9月から11月頃にぴったりの製作遊びアイデアです。
用意するもの
- 折り紙(赤、黄色、オレンジなど)
- 画用紙
- のり
援助のポイント
保育学生さんは、予め木の幹をかいた画用紙を準備しておきます。
子どもが自由に紙をちぎることも楽しめるよう、折り紙は多めに用意するとよさそうです。
ぶらぶらミノムシ
ぶらぶらと揺れる動きがかわいらしいミノムシの製作遊びアイデアです。
用意するもの
- 紙コップ
- 折り紙
- のり
- 紐
- ストロー
作り方
1.紙コップの底の真ん中にボールペンで穴を開けます。
2.穴に紐を通し、通した先で紐にストローを結びつけます。
3.折り紙を丸めた後、広げて縦方向に裂きます。
4.裂いた折り紙を貼り付けたらできあがりです。
折り紙を裂く練習を通して、指先の感覚を養うことにつながるかもしれません。
できあがったら、保育学生さんが目玉をつけるとよりかわいらしくなるでしょう。
1歳児クラスの製作遊びアイデア~冬~
最後に、1歳児クラスで冬(12月、1月、2月頃)に楽しめる製作アイデアを3つ紹介します。
紙コップのクリスマスツリー
貼り絵で表現する、温かみあるクリスマスツリーの製作遊びのアイデアです。
用意するもの
- 紙コップ
- トイレットペーパーの芯
- 折り紙
- コットンボール
- 絵の具(茶色)
- のり
援助のポイント
予め折り紙をハートや星などの型抜きパンチで切り抜いておき、子どもといっしょに貼りつけても華やかさを演出できそうです。
のりをつける工程は先生が行うとスムーズに進められるかもしれません。
たんぽを使って描く年賀状
1歳児でも簡単に使えるたんぽを使ってお絵かきを楽しみ、年賀状にアレンジしてみましょう。
用意するもの
- ガーゼ
- 脱脂綿
- 割りばし
- 輪ゴム
- 年賀状
- 絵の具
- 色鉛筆やペン
製作のポイント
保育学生さんがタンポに適量の絵の具をつけてから、子どもに渡すようにするとよいでしょう。画用紙に干支の動物のシルエットを切り取って、ステンシルにしてもよいかもしれませんね。
紙皿で作る鬼のお面
2月の節分シーズンにぴったりの、紙皿で作る鬼のお面の製作遊びアイデアです。
用意するもの
- 紙皿
- 絵の具
- 毛糸
- フェルトペン
- ゴム紐
- ハサミやカッター
- のり
- キリなど穴を空ける道具
援助のポイント
紙皿の色塗りは、絵の具と筆を扱うことが難しい場合、水性マーカーやクレヨンなど子どもの発達にあった道具を選ぶようにしましょう。
毛糸や角の貼りつけを子どもが自由に行なえば、オリジナリティあふれる作品になるかもしれませんね。
1歳児クラスの製作遊びにさまざまなアイデアを取り入れよう
今回は、保育園の1歳児クラスで製作遊びを取り入れたいときの指導案の書き方や春夏秋冬それぞれの季節において楽しめる製作遊びのアイデアを紹介しました。
1歳児はだんだんと手先が器用になり、いろいろな技法を楽しめるようになってくる頃かもしれません。
製作遊びを通してさまざまな素材や技法にふれることで、楽しさを味わうとともに感覚を養っていけるとよいでしょう。
季節にあったアイデアを参考にしながら、保育実習などにおいて思い出に残る製作遊びを子どもたちといっしょにしてみてくださいね。