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【5領域】環境とは。ねらいや実習するときに気をつけるポイント

保育学生さんのなかには、保育の5領域について勉強しているけれど理解するのが難しいと思っている方もいるかもしれません。保育実習や入職をする前に、理解しておくことで活動のねらいがわかりやすくなるでしょう。今回は、5領域の環境についてねらいと内容、保育実習の実践例、活動するうえでのポイントについてお伝えします。


自然を観察する男の子の写真

ANURAK PONGPATIMET/shutterstock.com



5領域の「環境」とは

厚生労働省「保育所保育指針」によると、5領域の環境とは、生命、自然及び社会の事象についての興味や関心を育て、それらに対する豊かな心情や思考力の芽生えを培うことと説明しています。


つまり、周囲の環境に好奇心や知りたいという気持ちをもって関わり、生活に取り入れていくという力を養うとことといえるでしょう。


保育の5領域とは、保育園や幼稚園の教育目標の視点を示しているもので、以下のように構成されています。


  • 健康
  • 人間関係
  • 環境
  • 言葉
  • 表現

まずは、5領域の「環境」のねらいと内容について見ていきましょう。


出典:保育所保育指針/厚生労働省

出典:学習指導要領「生きる力」第2章ねらい及び内容/文部科学省



5領域の「環境」のねらいと内容

保育所保育指針と学習指導要領の共通事項を参考に、「環境」におけるねらいと内容から紹介します。



ねらい


1.身近な自然に親しみ、自然と触れ合う中でことに興味や関心を持つ

2.さまざまなものに関わり、自分から発見を楽しんだり、考えたりする

3.身近なものを触ったり考える中で、文字や数に対する感覚を豊かにしたりする


このように、5領域の「環境」では、身近な環境に親しみを持って関わり、新しい発見をしたり周囲の人やものに触れあったりする経験を通して感覚を豊かにすることをねらいとしています。



内容


  • 自然に触れながら生活を送り、雄大さや美しさ、不思議さに気づく
  • さまざまなものに触れ、物の性質や仕組みに興味や関心を持つ
  • 四季の自然の変化や生活の変化に気付く
  • 自然に関心を持ち、それを取り入れて遊ぶ
  • 動植物に親しみをもって関わり、命の大切さやいたわる気持ちをもつ
  • 身近な物を大切にする
  • 身近なものや遊具に興味をもって関わり、考えたり試したり工夫しながら遊ぶ
  • 生活の中で、数や図形などに関心をもつ
  • 生活している中で標識や文字などに関心をもつ
  • 情報や、利用する施設などに興味や関心をもつ
  • 幼稚園や保育園内外で行事をしている中で国旗に親しむ

5領域の「環境」を意識して指導案を考えるときは、周囲の変化に気づいて、子どもが自主的に活動することなので自然に興味を向けて、いっしょに楽しんだり、調べたりできる遊びにするとよいかもしれません。


出典:保育所保育指針/厚生労働省

出典:学習指導要領「生きる力」第2章ねらい及び内容/文部科学省



5領域の「環境」を意識した実践例

保育実習などに活用できる、5領域の環境を意識したの実践例を紹介します。



①1歳児クラスの例


<ねらい>

自然が感じられるような歌や絵本を楽しむ


<活動内容>

  • 歌を歌う
  • 絵本を読む

<配慮事項>

  • 保育士の方に季節の歌で歌っている歌を聞いておく
  • 絵本は季節に合った絵本にする
  • 保育士の方に子どもたちが好きな絵本を聞いておく

   

1歳児クラスは集中できる時間が短いかもしれません。そのため、短い時間で読み終える絵本を選ぶことが大切といえるでしょう。


保育学生さんは、子どもたちの様子を見ながら絵本を読めるように、事前に読み聞かせの練習をしておくとよさそうですね。


飽きてしまって立ち上がったり、歩き回ったりしてしまう子どももいるかもしれませんが、そのときは声がけをしたり、様子を見て対応したりしていくとよいかもしれません。



②3歳児クラスの例


<ねらい>

木の実などを使う製作を通して自然とふれあうことができる


<活動内容>

  • 集めた自然物を机に置く
  • マジックで木や葉、どんぐりなどに色を塗ってみる
  • 画用紙を配り、自然物を貼る場所を決める
  • 保育士も手伝いながら、ボンドを付けたりのりで貼る
  • 完成したらみんなで見せあう

    

<配慮事項>

  • のり、ボンド、マジック、手拭きタオルを用意する
  • 机には新聞紙を敷いておく
  • 木の実などは余分に用意しておく

3歳児のクラスでは、すぐに製作を始められる子どもがいる一方、何を作ろうか悩んでしまう子どももいるようです。


そのようなときは、保育学生さんが用意した見本を子どもといっしょに見ながら、ゆっくり考える時間を作ることも必要かもしれません。


材料が足りないことがないように事前に準備をしておくことも大切です。子どもたちの様子を見ながら、出来上がった作品をみんなで見るのも楽しい時間になるでしょう。

 

③5歳児クラス


<ねらい>

散歩や園庭で集めた草花を使って色水遊びを楽しむ


<活動内容>

  • あさがおの青、紫色、マリーゴールドの黄色、オレンジ、シソの葉で色水を作る
  • 集めた草花をわけて、同じ色をビニール袋に入れる・ビニール袋に少し水を入れて、強めに揉む
  • ビニール袋からプラカップやペットボトルに入れて色を確認する
  • 出来上がった色水を混ぜるなどして遊ぶ

<配慮事項>

  • 色水ができるような草花を用意しておく
  • ビニール袋
  • 透明なペットボトル(1人1本は用意しておく。もっとあってもよい)
  • 濡れても良い服
  • プラカップなどの入れ物(園のおやつで出たプリンやゼリーの容器を使う

5歳になると、自分で考えて行動する子どももいるようです。「どんな色になるんだろう」と期待を込めてさまざまな草花を混ぜあわせる子どももいるかもしれません。


色水遊びは色が変化する過程を楽しんだり、完成したものを使って遊んだりと進展していくこともあるでしょう。


保育学生さんが何種類か見本を用意すると、子どもたちもこんな色ができるんだと目を輝かせて活動に入れそうです。 

   

5領域の環境にねらいをおいた保育実習のポイント

シャボン玉で遊ぶ女の子と保育士の写真

milatas/shutterstock.com


5領域の環境にねらいをおいて、保育実習をするときのポイントについて説明します。



自己紹介


環境にねらいをおいた保育実習の自己紹介では、子どもたちが知っている草花や動物、昆虫などを取り入れて行なうと自然にふれることができてよいかもしれません。


事前に、何をするのかを考えておき、大きな声で恥ずかしがらず自己紹介をするのがよいでしょう。



実習する担当学年の確認


実習する際、自分が担当する子どもの学年がわかっていないと、部分実習や活動をするときに準備するものやどんな遊びがよいのかがわからなくなってしまいます。事前に学校の先生や園の担当者の方に子どもたちの年齢を聞いておきましょう。


環境をねらいにした遊びを行なう場合は、実習前に身近な動植物を確認することも大切かもしれません。室内で実習を行なうときは、季節の歌などの伴奏も練習しておくとよいでしょう。



持ち物や出勤時間の確認


保育学生さんの持ち物は季節によって変えてもいいでしょう。たとえば、持参する絵本を工夫することで、子どもたちは季節の変化に気づいて自然に目を向けてくれるかもしれません。


保育活動のなかに、園外に出ることがあれば事前に散歩のルートを確認しておいてもよいでしょう。また夏の熱い日や寒い日などは子どもたちの服装にも注意が必要になります。予想していた以上に用意することが多いこともあるので、時間に余裕をもって出勤できるとよいですね。



5領域の環境について理解して保育実習に臨もう

5領域における「環境」とは、子どもたちが周囲の人や物に興味関心を持って関わり保育活動のことです。


そのため環境にねらいをおいた保育活動としては、絵本などを利用して自然に触れることや自然物を使った製作などが考えられるでしょう。

保育学生さんが部分実習などに取り入れる場合は、事前に子どもたちの興味や関心が惹きそうなものをリサーチしておくとよいかもしれません。


保育実習を行うときには、環境を含めた5領域について理解したうえで、活動の方法などを考え、しっかりと準備をして臨めるとよいですね。

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