10の姿「自然との関わり・生命尊重」について、くわしく知りたい保育学生さんもいるかもしれません。
「自然との関わり・生命尊重」とは、子どもたちが自然と関わって遊び、動植物の命を大切にすることのようです。
今回は、10の姿の「自然の関わり・生命尊重」の子どもの姿や内容、保育士の援助の仕方や保育事例について紹介します。
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■目次
10の姿の「自然との関わり・生命尊重」とは
10の姿における「自然との関わり・生命尊重」とは、自然に触れる体験を通して、季節の変化を感じ取り好奇心や探究心をもてるようにすることや身近な動植物には命があるものと知り、親しみを持ち大切にすることを示した視点のようです。
そもそも10の姿は、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として、卒園までに育まれる子どもの姿を10個の具体的な視点で捉えて明確化したものです。
保育園や幼稚園における生活の中で子どもの資質や能力を育てる保育を実践し、「10の姿」の視点で振り返ることで、子どもの具体的な姿を小学校へ伝えやすくなったり、今後の学校生活へスムーズに移行したりするとされています。
今回は、その10の姿の一つ「自然との関わり・生命尊重」に着目して解説します。
10の姿「自然との関わり・生命尊重」における子どもの姿と内容
ここからは、文部科学省や厚生労働省の資料を参考に、「自然との関わり・生命尊重」における子どもの姿や具体的な内容を見ていきましょう。
「自然との関わり・生命尊重」における子どもの姿
- 子どもは、保育所内外の身近な自然の美しさや不思議さに触れて感動する体験を通して、自然の変化などを感じ取り、関心をもつようになる。
- 身近な動植物に愛着をもって関わる中で、生まれてくる命を目の当たりにして感動したり、時には死に接したりし、生命の不思議さや尊さに気付き、大切にする気持ちをもって関わるようにもなる。
つまり、「自然との関わり・生命尊重」における子どもの姿とは、身近な自然の変化に関心をもち、直接触れ合うことで命の大切さを知ることのようです。
子どもたちは自然に関心をもちながら、動植物の命の大切さに気づくような姿が見られるかもしれません。
「自然との関わり・生命尊重」の具体的な内容
- 自然に触れて感動する体験を通じ、好奇心や探究心を持って言葉などで表しながら、科学的な視点や、自然への愛情や畏敬の念などを持つようになる。
- 同じものでも季節により変化するものがあることが分かり、変化に応じて遊びや生活を変えるようになる。
- 自然現象を遊びに取り入れたり、自然の不思議さを色々な方法で確かめたり、身近な自然現象への関心が高まるようになる。
- 生き物と共に遊んだり、世話をしたりする中で、生命の不思議さや尊さに気づき、命あるものとして大切にする気持ち持ってかかわるようになる。
「自然との関わり・生命尊重」の具体的な内容として、遊びの中で季節の変化を子ども自身が感じ取れるようにする、動植物の世話をするとき愛着を持って関われるような体験ができるように促していくとよいかもしれません。
10の姿「自然との関わり・生命尊重」を意識した保育士の援助
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では、10の姿「自然との関わり・生命尊重」につながる保育の援助として、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。
自然に触れられる活動をする
戸外に出たときに、子どもたちが草花に目を向けられるように名前を教えたり植物を使って遊ぶことも取り入れたりするとよいかもしれません。
<具体例>
- 園外で、子どもたちに「この花の名前は何でしょう?」とクイズを出したり、遊びながら自然に興味が持てたりするよう促す。
- 砂場では、園庭に落ちている植物を使っておままごとなどの遊びに取り入れるなど、自主的に子どもたちが自然物を使って遊べるような環境構成にする。
- 製作では、季節の花や、葉、木の実などの自然物を使い、思い思いに表現して楽しめるようにする。
保育士さんは、日々の保育活動なかに自然に関われるような活動を取り入れて、子どもたちが主体的に目を向けられるような環境を作るとよいでしょう。
命の大切さを伝える
子どもたちに、動物だけでなく植物にも命があることを知ってもらい、その大切さを伝えていけるとよいかもしれません。
<具体例>
- 花壇に植えた花の水やりを子どもたちの当番活動のひとつに入れて、水をあげたときと、あげていないときの花を実際に見てもらう。
「水をあげないと元気がなくなっちゃうね」とわかりやすく伝えて、命の大切さを子どもたちが意識できるようにしていく。 - 小さい昆虫は、捕まえたり踏んでしまったりすることもあるかもしれませんが、どんなに小さくてもすべての物には命があるものだと伝えていく。
このように、動植物には命があり大切に接してしていかなくてはなないことを伝え、子どもたち自身が意識できるようにしていかれるとよいですね。
10の姿「自然との関わり・生命尊重」の事例
では、10の姿「自然との関わり・生命尊重」の事例について紹介します。
自然を感じながらの散歩
活動内容
- 秋の自然を感じながら歩く
- 自然物を使って遊ぶ
活動内容は変化する自然に気づくことと、自然物を使って主体的に遊ぶことを目的としています。
保育士の援助
- ミーティングをして、周りの先生と情報を共有する。
- 下見をし、危険な個所がないかをチェックしておく。
- 木々の移り変わりに気づくように、「ここは赤色の葉っぱがあったよ」など言葉がけをして子どもたちが見つけられるように促す
- 子どもたちが自分から始めた主体性を大切にする
子どもたちが自然の変化に気づいたときは、気持ちに寄り添い、言葉がけをしていくとよさそうです。
また、少しのアドバイスから子どもたちの想像も膨らむことがあるので、言葉がけをしすぎないようにすることもひとつのポイントかもしれません。
保育士の援助によって表れる子どもの姿
- 季節の移り変わりに気づく
- 色の不思議さを感じ
- 自然物で自由に遊びだせる
散歩の途中で木々の移り変わりに気づいたり、色の美しさを感じたりするかもしれません。子どもたちから出た発想や遊びを自由にできるとよいですね。
自然物に触れられる場所は、園外活動がほとんどです。その地域で自然に触れられる場所、遊べる場所などを日常的に探し、どうすれば保育に取り入れることができるのか考えておくとよいでしょう。
カブトムシの飼育
活動内容
- カブトムシをクラスで飼ってみる
- カブトムシのお世話をする
はじめて飼育する子が多いカブトムシの飼育、調べたり、知っている子どもに飼育方法を聞いたりして実践していきましょう。
保育士の援助
- カブトムシの飼育を提案する
- 観察日記を付けることを提案する
- 変化があったときには、子どもたちに伝える
- 子どもたちから出た意見を尊重する
- 話し合いのときは、ノートを取る
子どもたちの意見を大切にして主導しないように気をつけましょう。
保育士さんは、裏方で子どもたちのサポートをしていき、話し合いの日にはメモをしておくとよいですね。
現れた子どもの姿
- カブトムシの霧吹き当番をしながら、成長する過程を知る
- 虫が苦手だった子も少しずつ興味が持てるようになってきた
- 子ども同士で発見したことを伝え合い、愛着を持って接する
- カブトムシを逃がすか飼うかの話し合いをする
愛着を持って接することができるようになり、カブトムシが自由に羽ばたけるようになったとき、このまま飼うか逃がすか、どうするのが一番良いか話し合いの時間を設けてもよいかもしれません。
そうすることで、カブトムシにとって一番良い過ごし方を考えられるようになるでしょう。
カブトムシの飼育を通して、お世話することの大切さと、カブトムシにとって一番良い環境を子どもたちの話し合えるようになった事例です。
自分たちが観察したいという思いだけでなく、命があるものとして接していけるとよさそうです。
10の姿の「自然との関わり・生命尊重」は自然や命の大切さに気付くこと
今回は、10の姿「自然との関わり・生命尊重」における子どもの姿や内容、保育士の援助の仕方、保育事例を紹介しました。
自然との関わりの中で、自然の変化に気づいたり、動植物にも命があるということを知ったりすることで、子どもたちは命の大切さについて考えられるようになるかもしれません。
保育士さんは自然に関わる中で、身近な動植物にも触れられる体験が出来るような援助をするとよいですね。
子ども自身が自然や動植物に興味を持てるような保育活動を行っていきましょう。