【10の姿】「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」とは。遊びや援助の実践事例

10の姿の一つ、「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」。幼児期に育ってほしい姿として示されたこの視点について、詳しく知りたい保育学生さんもいるのではないでしょうか。今回は、10の姿「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」とは何かや、実践事例をもとに保育学生さんの援助のポイントをまとめました。

積み木で遊ぶ子どもの写真

ANURAK PONGPATIMET/shutterstock.com

10の姿「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」とは

10の姿「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」とはどのようなものなのでしょうか。

文部科学省「幼稚園教育要領」によると、以下のように示されています。

遊びや生活の中で、数量や図形、標識や文字などに親しむ体験を重ねたり、標識や文字の役割に気付いたりし、自らの必要感に基づきこれらを活用し、興味や関心、感覚をもつようになる。

出典:幼稚園教育要領p5/文部科学省から抜粋

子どもの身の回りにある、数量、図形、標識、文字といったものに親しみ、遊びに取り入れるなかで、その役割や必要性に気づくことが大切となるようです。

保育学生さんは子どもがこれらに興味をもてるよう、出会いを促したり、遊びに取り入れたりしてみるとよいかもしれません。

そもそも10の姿とは、幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領において「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として示された10個の視点のことを指します。

これは保育の5領域に示されたねらいなどとは違い、卒園を見据えて保育学生さんが指導の力を入れるべき点であって、子どもが到達すべき目標ではないことに注意しましょう。

出典:幼稚園教育要領p5/文部科学省

「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」の育ちが見られる実践事例

10の姿「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」の育ちにつなげるには、どのように子どもの姿を観察し、援助していけばよいでしょうか。

実践事例をもとに考えていきましょう。

自然物との関わり:3歳児

園庭に落ちている、木の枝や花びらを使って遊んでいます。

数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚の事例1

3歳児頃になると、大きい・小さい、長い・短いといった対の関係に気づく姿や、数を数えることを楽しむ姿が見られるかもしれません。

遊びのなかで楽しみながら行なえると、さらに興味をもったり、その必要性を感じたりすることにつながるかもしれません。

また、そうした姿を保育学生さんが見守ることで、子どもは安心して挑戦し、行き詰まったときや分からないときに助けを求められるでしょう。

電車ごっこ:4歳児

園庭に出て、縄跳びを結んだものを使い、電車ごっこを楽しんでいます。園庭にかいてある、大・小のトラックを線路に見立てているようです。

数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚の事例2

実践事例にある子どもの言葉から、トラックの広さや縄の大きさに対する感覚が育まれつつあると読み取れます。

長さや広さに関する感覚も、「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」の一つです。

保育学生さんは、このような子どもたちの様子を観察し、理解の度合いや興味の対象を把握できるとよいですね。

そうすることで、子どもの理解・興味に合わせて遊びや活動に取り入れていけるでしょう。

工作遊び:5歳児

数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚の事例3

実践事例のように、子どもが自分の作りたいものを実現しようとするなかで、材料の大きさや長さを比べたり、作り方を試行錯誤したりする経験ができそうです。

保育学生さんがさまざまな素材や道具を用意しておくことで、子どもはいろいろなものを使い、工夫して取り組む姿が見られるかもしれません。

また、正しい文字のかき方や難しい図形の名前を覚えるよりも、それらに興味をもつことや遊びのなかで活用しようとする意欲を育むことが大切ではないでしょうか。

「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」の観点を意識するときのポイント

子どもの書いた文字の写真

Eiko Tsuchiya/shutterstock.com

子どもが興味、関心をもてる環境作りを行なう

子どもの興味や関心を引き出せる環境(おもちゃ、部屋、道具)を作ることで、子どもは考えたり工夫したりしながら遊び込むことに集中するようになるでしょう。

そうした身の回りの環境にある図形や文字などにふれながら集中して遊ぶ力が「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」を育む土台となっていきそうです。

保育学生さんは、子どもが好きな遊びや活動を用意したり、いっしょに遊ぶなかでさまざまな遊び方を見せたりといった工夫ができるとよいですね。

子どもの気づきを促す

子どもが生活や遊びのなかで、身近な図形や標識、量の感覚などに気づけるよう、保育学生さんが言葉にして伝えていくとよいでしょう。

例えば、「じょうろに水を汲んで花壇まで運ぶのは重いけれど、花に水をやったあとは軽くなっている」様子から、子どもは水の量と重さの関係に気がつくかもしれません。

このように身近なものごとに「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」を育むきっかけはさまざまあります。

保育学生さんは、子どもの表情や遊びの内容をよく観察し、適切なタイミングで働きかけていけるとよいですね。

遊びを通して体験する

難しい図形やひらがなの正しいかき方を知ることが、保育の目的ではないことに注意する必要がありそうです。

図形や文字、数に親しんだり、興味をもったりすることで、文字や標識などの必要性に気づき、遊びのなかで取り入れようとする意欲につながるのではないでしょうか。

子どもの興味に合わせて遊びに取り入れられるよう、保育学生さんが活動内容や援助のしかたを工夫できるとよいですね。

「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」について学び、子どもの育ちに目を向けよう

今回は、10の姿「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」とは何か、実践事例とともにまとめました。

子どもの身の回りには、図形や文字、標識などがあふれています。

そうした身近な環境に興味をもったり、工夫して遊びのなかに取り入れたりすることが、「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」の育みにつながっていくでしょう。

保育学生さんは、子どもの関心を引き出す環境を作り、遊びのなかで、それらの必要性や面白さを伝えていけるとよいですね。

実践事例を参考に「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」について学び、子どもの育ちの理解に役立てていきましょう。

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