新卒保育士として働くうえで、初任給の手取りが気になる保育学生さんもいるかもしれません。もらう時期は一般的に4月から6月頃のようですが、公立園と私立園、学歴によっても金額に差が出てくるようです。今回は、新人保育士の初任給について、手取りなどの平均、もらえるタイミングを紹介します。
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■目次
保育士の初任給はいくら?
新卒保育士さんの初任給について、気になる保育学生さんも多いのではないでしょうか。
そもそも初任給とは、新卒保育士さんが就職して最初に受け取る給与のことです。
そのため4月から6月頃に受け取ることになるでしょう。
新卒保育士さんの初任給は、総務省のデータをもとに計算すると平均で17万8588円となります。しかし、応募者の学歴、公立園や私立園などでも金額が異なるようです。
また園によっては社会保険料や税金などが引かれるため、手取り額が平均より少ない場合もあるでしょう。
もらえる時期は、入職した時期や園によって異なりますが、4月末もしくは5月下旬というところが多いかもしれません。
まずは、新卒保育士さんの初任給における月収と手取り金額について説明します。
保育士の初任給における手取り金額
そもそも初任給は月収のことですので、基本給や残業代、交通費、住宅手当といったさまざまな手当を含んでいます。
つまり、「初任給」は園が職員に支払う金額の総額と覚えておきましょう。
一方、「手取り」は月収から社会保険料や国民健康保険などの税金を引いた金額のことです。
職員の保険料や税金を園で管理していない場合もあるため、手取り額は園によって異なりますが、一般的に月収の7割から8割ほどだといわれています。
たとえば、新卒保育士さんの初任給が20万円の場合、8割で計算すると手取り金額は16万円となります。ただし、初任給は控除される項目が少ない傾向にあるため、手取り額が多少多くなることもあるでしょう。
保育士の平均初任給
新卒保育士さんの初任給は、公立園と私立園、園の規模によっても異なるようです。
いくらもらえるのか施設ごとに紹介します。
公立保育園の初任給
2018年の総務省「 初任給基準関係」のデータによると、公立保育園の初任給は短大卒の場合が16万1953円、高卒の場合が14万7100円となっています。
上記の金額はあくまで平均の金額となっており、最高額は短大卒で19万9200円、高卒で17万3900円と自治体によっても金額に差があるようです。
私立保育園の初任給
2019年度の総務省「賃金構造基本統計調査」のデータによると、私立保育園の初任給の平均は男性が20万4100円、女性は20万1200円です。
この金額には、残業代や賞与(ボーナス)は含まれていないため、園によって手取りの金額が変わってくるでしょう。
また私立保育園は全国に数多くあるため、平均を上回る初任給のところもあるかもしれません。
園の規模によっても初任給は異なる!
公立園と私立園だけでなく、園の規模によっても初任給は変わってくるでしょう。
2019年度の内閣府「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果」のデータによると、常勤保育士の給与は公立園が30万3113 円、私立園が30万1823円です。
対して、小規模保育園のA型は26万8755 円、同じくB型は26万9617円となっています。
この金額はあくまで保育士の平均給与であり、園によっても金額に違いがあるようです。
しかし、保育園の規模が小さいということは運営の規模も小さいことが考えられるため、給与が低い傾向にあるのかもしれません。
出典:初任給基準関係/総務省
出典:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果/内閣府
保育士の初任給はいつもらえる?
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新卒保育士さんの初任給は、4月から6月頃にもらうことになると冒頭で説明しましたが、いつもらえることになるのか具体的に説明します。
当月末締め、当月◯日払の場合
園の給与の支払いが当月締めの場合は、働いた月に初任給をもらうことができます。
たとえば、「当月末締め、当月25日払い」だった場合、4月1日から新卒保育士として働いた方であれば、初任給を4月25日に受け取れます。
残業代が給与とは別に発生するときは、月末までに支払いが確定しないため、残業代だけ翌月に支払われるようです。
〇日締め、当月△日払いの場合
園によっては、月ではなく日付で締めているところもあるでしょう。
園の支払い日が「15日締め、25日払い」を例として、4月16日から新卒保育士として働いた場合で説明します。
この支払い方法では、4月16日から5月15日までの給与が5月25日に支払われることになります。
また4月1日に入職した場合、月給制では15日間の給与が支払われる場合と、1カ月分の給与が支払われる場合とあるようなので、園に確認しておくといいでしょう。
当月末締め、翌月〇日払いの場合
一般的な保育園では当月末締め、翌月払いという園が多いかもしれません。
たとえば、「月末締め、翌月15日払い」という場合は、4月1日から働いても4月中に初任給を受け取ることはできません。
給与が支払われるのは5月15日ですので、1カ月程度は収入がない状態になります。
問題なく生活できるように、あらかじめ光熱費や生活費などをきちんと用意しておくと安心ですね。
初任給が低くても保育士の給与は上げることができる!
園によっては初任給が低いというところもあるかもしれません。
しかし、保育士の給与は勤務年数や資格を取得することで給料アップが期待できるでしょう。
給与をアップさせる方法を具体的に紹介します。
資格を取得する
保育士さんの給与を上げるには、資格の取得が有効なようです。
園によっては資格手当があるため、規定を確認して該当する資格を取得すれば給与アップが期待できるでしょう。
また給料を上げるだけでなく保育の技術を向上させることにもつながりそうですね。
スキルアップする
スキルアップすることで、保育士の処遇改善が期待できるようです。
国は保育士の離職防止のために、「処遇改善等加算Ⅰ」「処遇改善等加算Ⅱ」という、賃金を改善する施策を行っています。
「処遇改善等加算Ⅱ」では、専門性を高めた保育士が就ける役職として、専門リーダー、職業分野別リーダーなどを新たに新設しています。
スキルアップして役職につくと、月額5000円以上4万円以下の手当がつくため、給料アップにつながる方法として検討してみてもよいかもしれませんね。
勤務経験を積む
保育士は1つの園で働き続けることによって、給与が段々と高くなっていくようです。
先ほど、国が行う処遇改善について説明しましたが「処遇改善等加算Ⅰ」では、園で働いている職員1人あたりの勤務年数に応じて加算率が確定する仕組みになっています。
そのため、長く働き続けている職員が多い園では、毎月の加算額もその分多くなるため、勤務年数を積むことで給与が上がっていくでしょう。
新卒保育士になるための就活では初任給についてきちんと理解しよう
今回は、新卒保育士さんの初任給がいくらなのか、手取りや平均金額を提示してくわしく説明しました。
初任給は保険料や税金の対応が園によって異なるため、手取りの金額も違ってくるでしょう。また、応募者の学歴、公立保育園と私立保育園でも給与に差があるようです。
初任給がいつもらえるかは園によって異なりますが、当月締めの翌月払いの場合は1カ月分の給与がもらえないことになるため、生活費などあらかじめ準備しておくと安心ですね。
新卒保育士の就活では、初任給の金額だけでなく手取りの金額やいつもらえるのかもきちんと確認し、自分の希望と一致するところを選びましょう。