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変形労働時間制とは?休日や残業などに関する内容、保育士のメリット

保育学生さんのなかには、変形労働時間制についてくわしく知りたい方もいるかもしれません。 簡単に説明すると、月単位や年単位で労働時間を調整できる制度です。残業代の削減にもつながるため、導入する法人が増えてきているようです。 今回は、変形労働時間制の概要や種類、保育士にとってのメリットについて紹介します。

首をかしげている保育士さん

buritora/shutterstock.com



変形労働時間制とは

変形労働時間制とは、月単位あるいは年単位で労働時間を調整することで、繁忙期などに勤務時間が増加しても時間外労働として取り扱わないとする制度です。


たとえば、行事前などに忙しくなる保育園でこの制度が導入されていれば、1日あたりの勤務時間自体が通常よりも長くなるため、残業扱いとならずに準備を進めることができるかもしれません。


これは、雇用する園にとっても、職員の残業代が発生しないといったメリットがあるといえるでしょう。


一方で閑散期には労働時間が通常より短くなることから、休息時間の確保がしやすくなるかもしれません。


このように、月や週ごとに労働時間を調整できることから、繁忙期と閑散期のメリハリがある職場などで導入が進められているようです。



変形労働時間制の種類

ここでは、変形労働時間制の種類について、厚生労働省の資料をもとにくわしく説明します。



1ヶ月単位の変形労働時間制

1ヶ月以内の一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が法定労働時間(週40時間)を超えない範囲において、特定の日または週に法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて働くことができる制度です。


1ヶ月単位の変形労働時間制について、労使協定または就業規則などで以下の事項が定められているか確認しましょう。


(1)変形期間が1ヶ月以内であるか

(2)変形期間の法定労働時間の総枠の範囲内か

(3)各日、各週の労働時間が特定されているか


<1ヶ月単位の変形労働時間制における法定労働時間の例>

1ヶ月単位の変形労働時間制における法定労働時間の例

<平均労働時間を1週40時間以下とするときの就業規則の例>

<平均労働時間を1週40時間以下とするときの就業規則の例>

この例は、1ヶ月の法定労働時間の総枠を超えないように、週または日の所定労働時間を定め、週40時間平均となるように計算された時間内での勤務となります。


このように、月初めは時間があるものの月末が忙しいという場合、期間によって所定労働時間を変更することもできます。



1年単位の変形労働時間制

1ヶ月を越え1年以内の一定の期間を平均し、1週間当たりの労働時間が40時間以下の範囲内において、特定の日または週に1日8時間あるいは1週40時間を超えて働くことができる制度です。


たとえば、シーズンごとに繁忙期・閑散期があるような職場に適しているようです。
その場合、繁忙期に就業時間を延ばしたり、週6日間労働にしたりして対応します。


その分、閑散期の出勤日数や勤務時間を減らすことで、年間の就業時間数が法定労働時間内に収まるようにします。


1年単位の変形労働時間制について、労使協定で以下の事項が定められているか確認しましょう。


(1)対象期間が1ヶ月を超え1年以内か

(2)対象期間を平均し、労働時間が1週40時間を超えない範囲内か

(3)1日10時間、1週52時間以内で、連続して労働する日数の限度が6日(特定期間については1週に1日の休日が確保できる日数)となっているか

(4)対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間が特定されているか

(5)労使協定の有効期間が定められているか


<1年単位の変形労働時間制における法定労働時間の例>

1年単位法定労働時間

また、1年単位の変形労働時間制の場合、休日の取り方についても決まりがあります。


閑散期に丸ごと休み、繁忙期に休日出勤もしながら毎日働くというようなことがないよう、以下の様な決まりが設けてあります。


<労働日数や時間、休日の取り方の決まり>

労働日数や時間、休日の取り方の決まり

これらをもとに、企業や法人ごとに労働基準監督署へ労使協定の届出を行ない、就業時間が定められています。


このほか、労働時間が48時間を超える週を連続させることができるのは3週以下、3ヶ月ごとに区分されている場合は初日から数えて3回以下と定められているので、就業規則とともに把握しておくことが大切でしょう。


なお、妊娠中または産後1年以内の女性職員が届出をした場合は、1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて働くことはできません。


また、育児を行う人や家族などの介護を行う人、職業訓練または教育を受ける人など特別な配慮を要する職員に対する協定の適用については、雇用側が必要な時間を確保するための配慮をしなければならないと定められています。


出典:労働時間・休日に関する主な制度/厚生労働省

出典:1ヶ月単位の変形労働時間制/厚生労働省

出典:1年単位の変形労働時間制/厚生労働省

出典:週40時間労働制「1ヵ月又は1年単位の変形労働時間制」/厚生労働省



変形労働時間制と混同しやすい制度や違い

保育士と手をつなぐ子ども

maroke/shutterstock.com

変形労働時間制と混同しやすい、「フレックスタイム制」と「裁量労働制」について、それぞれの特徴と制度上の違いを紹介します。



フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、日々の始業時間・就業時間を自分で決めて働ける制度です。


就業規則において、必ず勤務しなければならない時間帯はコアタイムとして設定されていることもあります。対象となる業務や労働者の制限はなく、3ヶ月以内の一定期間を「精算期間」と定め、その期間を平均し、労働時間が週40時間を超えない範囲内で働くことが基本です。


変形労働時間制との違いとして、1日の労働時間が決まっているかどうかという点が挙げられるでしょう。また、始業時間・終業時間をある程度自身で判断できるというのも異なるポイントと言えそうです。



裁量労働制

裁量労働制とは、いくつかの専門職を対象としており、労働時間よりも能力や成果物に対して評価をする制度です。
裁量労働制には、以下の2種類があります。


  • 専門業務型裁量労働制:衣服、室内装飾、工業製品、広告などのデザインの考案や大学における教授研究、建築業、会計業などの専門的業務
  • 企画業務型裁量労働制:事業運営上の重要な決定が行われる企業の本社などにおいて企画、立案、調査及び分析を行う業務

専門業務型裁量労働制は、実際に働いた時間数にかかわりなく、労使協定で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度です。


一方企画業務型裁量労働制は、労使協定または労使委員会の決議によって定められた労働時間数を働いたものとみなす制度となります。


変形労働時間制との大きな違いとして、労働基準法の「1日8時間、1週40時間」のルールを適用しないことや、対象となる職種や業務が限定されていることが挙げられるでしょう。

出典:労働時間・休日に関する主な制度/厚生労働省



変形労働時間制を採用する園で働く際の注意点

変形労働時間制を導入している園で実際に働く場合、どのような注意が必要なのでしょうか。



所定労働時間の繰り上げ・繰り下げはできない

変形労働時間制は、就業規則で定められた所定労働時間を自由に変えることはできないので注意が必要です。


たとえば、所定労働時間が7時間と定められた日に8時間働いた場合でも、「翌日の所定労働時間の7時間から1時間分減らして6時間にし、前日の残業をしていないことにする」といったことはできません。



残業代を算出する際は、就業規則と照らし合わせる

変形労働時間制は、日によって労働時間が変わることがあるので、残業時間が不明確に思えることもあるかもしれません。


変形労働時間制をふまえて就業規則が作成されているので、残業代を把握したいときは、所定労働時間と実労働時間を照らし合わせて残業代を算出してみましょう。



所定労働時間が法定労働時間を超えていないかチェックする

法定労働時間や休憩・休日については、労働基準法においていくつかの項目が定められています。
具体的には、以下のポイントをチェックしてみましょう。


  • 原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えていないか。
  • 労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えられているか。
  • 少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日が与えられているか。

企業や法人が定めた所定労働時間が、上記の時間数を超えている場合、その分も残業とみなされます。


所定労働時間と法定労働時間の関係についても把握したうえで、残業代を算出するとよさそうです。


ただし企業や法人が時間外・休日労働について労使協定を締結し、所轄の労働基準監督署長に届出をした場合には、法定労働時間を超える時間外労働や法定の休日における休日出勤が認められます。


この労使協定は、労働基準法第36条に基づくことから36協定といいます。
なお、36協定において時間外労働時間は月45時間、年間360時間という限度が設けられています。

出典:36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針/厚生労働省



変形労働時間制で働く保育士のメリット

変形労働時間制で働く場合の保育士さんのメリットを紹介します。



生活リズムが整えやすい

業務量が多く残業を繰り返す状況が続くと、保育士さんにとっては業務のゴールが不明確になり、疲労が蓄積しやすくなるかもしれません。


しかし月間の労働時間があらかじめ明確になっていると、日によって業務のペースや量を調整できることから、生活のリズムを整えやすくなりそうです。


また、忙しい時期は集中して仕事をし、閑散期には労働時間を短くして休息に充てるなどバランスもとりやすいことから、作業の効率化や生活の質の向上にもつながるでしょう。


生活リズムが整うことは保育士さんの健康につながり、企業や園の職員、預かる子どもたちにとっても大きなメリットになりそうですね。



ワークライフバランスにつながる

行事前や年度末など忙しい時期以外は休暇がとりやすくなり、プライベートの充実につながることもあるでしょう。


閑散期には連続した休暇を取得しやすくなるほか、1日の労働時間を短くできるなど、自身の都合にあわせた調整することができそうです。


そのため、家族と過ごす時間や趣味に費やす時間を作りやすくなり、ワークライフバランスの実現につながるかもしれませんね。

出典:効率的な働き方に向けてフレックスタイム制の導入「事例編-2」/厚生労働省



変形労働時間制の働き方を知って、就職活動に活かそう

今回は、変形労働時間制の概要や単位ごとの説明、保育士さんにとってのメリットなどを紹介しました。


変形労働時間制とは、1ヶ月または1年間のなかで柔軟に勤務時間を変更できる制度です。この制度を採用している園で働けば、時間外労働や休日出勤の削減につながるかもしれません。


また、ワークライフバランスの実現といったメリットも期待できるため、保育士として働く際に注目したいポイントと言えそうです。


変形労働時間制のくわしい内容や残業代の算出方法などを十分把握したうえで、就活の際の園選びに活かしてみてくださいね。