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保育園の午睡とは?目安となる時間や環境構成、見守るときの注意点

保育園での午睡は、子どもの成長や発育のために必要とされている大切なものです。 午睡のねらいや環境構成、見守るときの配慮のしかたなどを知って、入職後に活かしたいと考える方もいるかもしれません。 今回は、午睡の必要性やねらい、年齢別の目安時間について解説します。また、配慮するポイントやチェックの仕方などもまとめました。

眠っている子ども

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保育園での午睡の必要性とは?

午睡は「お昼寝」とも呼ばれ、保育園での活動における子どもの休息時間のことをいいます。


厚生労働省の「保育所保育指針解説」によると、午睡の目的について以下のように記載されています。


保育所では、いつでも安心して休息できる雰囲気やスペースを確保し、静かで心地よい環境の下で、子どもが心身の疲れを癒すことができるようにする。 午睡は、子どもの年齢や発達過程、家庭での生活、保育時間といったことを考慮し、それぞれの子どもが必要に応じて取るようにすることが大切である。 子どもの家庭での就寝時刻に配慮して、午睡の時間や時間帯を工夫し、柔軟に対応する。

出典:保育所保育指針解説/厚生労働省p42から抜粋


このように、午睡を通して子どもたちが適度な休息をとれるようにすることを目的としていることがわかります。


ただし、午睡の時間について特に規定が設けられているわけではありません。
これは子どもの成長や体力に差があるうえに、保育園の方針などによっても異なるため、個人や年齢に応じて適切に設定される必要性があるからといえるでしょう。

出典:保育所保育指針解説/厚生労働省



【年齢別】保育園での午睡のねらいと目安時間

ここでは、午睡のねらいや目安時間の例を年齢別に紹介します。
保育学生さんは入職後の指導案を書くときの参考にしてみてくださいね。



0歳児


ねらい

  • 心地よい睡眠をとる
  • 保育者との信頼関係を基盤とし、安心して眠る

午睡時間

0歳児は月齢によって睡眠時間の差が大きく、一人ひとりの発達状況にあわせて午睡の時間を設定する必要があるでしょう。


生後3〜4カ月頃になると、徐々に夜は長い時間眠れるようになるかもしれません。
そのため、保育園での午睡は午前に1回1時間程度、午後に1回2時間程度が目安となるようです。


1歳を迎える頃には、徐々に午前の午睡はなくなり、午後1回だけというリズムになっていくかもしれません。1回の場合の目安時間は2時間程度になるでしょう。


ただし、午後の午睡だけに慣れない時期は、子どもが早めに眠くなってしまい昼食を食べられないこともあるかもしれません。
その場合は、30分だけでも午前の午睡を取り入れるなど、個人にあわせた配慮が大切になります。



1歳児~2歳児


ねらい

  • 午前中の充実した活動、昼食後の満腹感から自然に睡眠に入る
  • 保育者の寝かしつけのなかで、安心して眠る

午睡時間

1歳児~2歳児クラスでは、午睡を午後1回とし、時間は1.5時間~2.5時間ほどと設定していることが多いようです。


月齢によって発育状況や必要とする睡眠時間が異なる場合があるため、睡眠時間の調整など個別の対応が求められるかもしれません。



3歳児


ねらい

  • 午前中の活動や昼食から満足感を得て、自ら睡眠に入る
  • 一定の生活リズムで安定して休息をとる

午睡時間

3歳児頃になると、眠らずに布団に横になって身体を休めるだけでもよいという対応をする園もあるかもしれません。


3歳児以上のクラスで午睡の時間を作るかどうかは、園の方針や保育時間によっても異なるようです。


午睡時間の目安は1時間から1時間半程度と、未満児クラスより短くなるでしょう。



4歳児~5歳児

次は、4歳児~5歳児の午睡のねらいと目安時間の例です。


ねらい

  • 安定した生活リズムにおいて、必要な休息をとる
  • 一人で眠りに入る
  • 就学に向けて徐々に午睡のない生活でも安定してすごせるようになる

午睡時間

保育園によっては、午睡の時間を子どもの就学に向けて、絵本を読む時間にしたり勉強の時間に充てたりすることもあるようです。


ただし、なかには午睡を必要とする子どももいるかもしれません。園の方針や子どもの様子によって、対応の仕方が変わるでしょう。


午睡をする場合の目安は1時間程度となりそうです。



午睡の環境構成において配慮するポイント

眠っている男の子

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保育園で午睡時間を設けている場合、環境構成においてどのような配慮をする必要があるのでしょうか。



眠りにつきやすい環境を整える

保育園で午睡の環境作りをする場合は、以下のようなことに配慮するとよさそうです。


  • 子どもにとって心地よい室温・湿度にする
  • 電気を消し、カーテンで外からの光を遮って薄暗い状態にする
  • オルゴール調の静かな音楽をかけたり、子守唄をうたったりして子どもの気持ちを落ち着かせる

子どもは、大人以上に温度や湿度に敏感かもしれません。
気候に応じてエアコンなどを利用しながら、室温を25度前後に保てると快適にすごせるでしょう。


また、梅雨の時期は除湿、冬の時期は加湿を行うなど湿度の調節も大切になります。


さらに、午睡の環境構成を毎日同じような環境にすることで、「部屋が暗くなり、音楽が流れたら午睡の時間」といった子どもの認識につながり、生活リズムを整えることにも役立つかもしれませんね。



いつも同じ場所で眠れるようにする

午睡をする場所は、保育室の同じスペースにするとよさそうです。


子どもは少しの変化でも、落ち着かなくなるかもしれません。子どもたちが眠る場所もある程度決めておくとよいでしょう。


両脇に友だちがいても眠れる子どもや、近くに友だちがいると気が散ってしまう子どもなど、眠りやすい場所はそれぞれ違うかもしれません。


保育士さんが子どもの様子を把握して場所を決め、落ち着いて眠りにつけるように配慮することが大切でしょう。



午睡を見守るときの注意点

厚生労働省のガイドラインを参考に、保育士さんが午睡を見守るときの注意点を紹介します。



うつぶせで寝ていないか確認する

午睡時に最も注意したいのが、寝る体勢(うつぶせ寝)です。


厚生労働省からも、うつぶせ寝の危険性についての指導として「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」が公表されています。


うつぶせ寝には乳幼児の突然死や窒息の危険性があるため、保育士さんは注意して見守る必要があります。午睡に入ったら子どもの寝る体勢を観察し、うつぶせになっている子どもがいた場合には仰向けにして寝かせるといったことを意識しましょう。


自分で寝返りをすることが難しい低月齢の子どもの場合、特に注意が必要になるでしょう。



定期的に睡眠チェックをする

眠りはじめだけではなく午睡中も、子どもの体勢や呼吸を定期的にチェックしましょう。
園によって異なるようですが、チェックの間隔の目安として、以下の時間が挙げられます。


  • 0歳児:5分ごと
  • 1歳児~2歳児:10分ごと
  • 3歳児以上:15分ごと

事故を未然に防いだり早期発見をしたりするために、保育士によるこまめな睡眠チェックが必要になります。


最近では、保育士の負担を軽減するため「午睡チェックセンサー」といったICTシステムを取り入れる園もあるかもしれません。


子ども一人ひとりの寝ている向きだけでなく、皮膚表面の温度や呼吸の変化も検知する機能が備わっているものもあり、管理もメディア機器上で簡単にできるようです。


子どもの安全を確保しながら、午睡を見守る保育士さんの負担を軽減できるような工夫も取り入れられているようです。



午睡の記録を残す

午睡の詳細な記録を残しておくことも、見守るときやあとから振り返るときに重要になります。
午睡のチェックシートには、以下のような内容を記録するようです。


  • 午睡担当者名
  • 室温と湿度
  • 子どもの姿勢の確認(どちら向きか矢印などで示す)
  • 子どもの顔色、呼吸状態の確認
  • 個別の睡眠時間

子どもたちの状況を細かく記録として残しておくことで、日々の保育の参考になるだけでなく、事故などが起きたときの検証材料にもなるかもしれません。


出典:乳幼児突然死症候群(SIDS)について/厚生労働省

出典:教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン/内閣府

出典:「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時のためのガイドライン」の周知徹底について/内閣府

出典:子育て支援に関する行政評価・監視結果報告書-資料編/総務省

出典:教育・保育施設等の事故防止のためのガイドライン等に関するアンケート事業者向け調査結果/厚生労働省



午睡の必要性や注意点を理解して、入職後に活かそう

今回は、保育園の午睡の必要性やねらい、年齢ごとの目安時間と環境構成で配慮するポイント、保育士さんが見守るときの注意点を紹介しました。


午睡は子どもの生活と成長にとって、重要な意味をもちます。
子どもたちが適度な休息をとれるように、一人ひとりにとって眠りやすい環境構成や必要な時間を知っておくことが大切になるでしょう。


保育学生さんが午睡の指導案を書くときは、厚生労働省のガイドラインや注意点などを把握したうえで記入するとよいかもしれません。


実習のときや入職後には、こまめに子どもの状態をチェックするなどさまざまなことに配慮しながら見守れるとよいですね。

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