身近な素材であるペットボトルを実習で使いたいと考える保育学生さんもいるのではないでしょうか。材料の特性を生かした色水遊びやスポンジを使った遊び方のアイデアを知っていると、実習や入職後にも役立つかもしれません。今回は、ペットボトルを活用した絵の具遊びのアイデアとポイント、特性について紹介します。
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■目次
ペットボトルを使った絵の具遊びとは
ペットボトルは、身近な廃材の一つであり、さまざまな工作に活用できる素材です。
また絵の具は、色を塗ったり混ぜたりとさまざまな遊び方ができるでしょう。
この2つを合わせたときに見られる特徴を3つまとめました。
透明なので中に入れた色水が見やすい
ペットボトルが透明なので、色水を作ったとき見やすくなります。
どんな角度から見ても透き通っているので、ペットボトルの向こう側の景色や子どもたちの顔などを見る遊び方もできそうですね。
ふたを閉めれば水をこぼすことなく遊べる
コップと違い、ペットボトルは持ち運びができます。
またきちんとふたを閉めればこぼれる心配もないため、マラカスのように振って泡立てたり音を鳴らしたりして楽しめそうです。
繰り返して遊べる
ペットボトルの中の水を入れ替えれば、繰り返し遊ぶことが可能です。
そのため、はじめはクラス全員同じ色の色水を作ったとしても、中の色水を流してもう一度水を入れなおせば別の色水を作れるので子どもたちも飽きずに楽しめるでしょう。
ペットボトルを使った絵の具遊びの特徴がわかったところで、乳児・幼児別にアイデアを見ていきましょう。
ペットボトルを使った絵の具遊び:乳児編
乳児クラスの子どもたちが楽しめるペットボトルを使った絵の具遊びを紹介していきます。
基本の色水作り
好きな色の絵の具をペットボトルに入れて色水遊びをしてみましょう。
用意するもの
- ペットボトル
- 絵の具
- 水
- 筆
- 手をふくタオル
作り方
1.子どもが好きな絵の具を入れて混ぜます。
2.(1)をペットボトルに入れて水に溶かします。
3.(1)~(2)の工程で何色か色水を作ればできあがりです。
製作のポイント
保育学生さんは、あらかじめペットボトルに水を入れておきましょう。
子どもたちが色を選びやすいように絵の具を出しておくとよいかもしれません。
色水作りを通して、子どもたちが自分で絵の具を混ぜることや、絵の具が混ざって色が変わることなどに興味をもってくれそうです。
色水を使った手品
保育学生さんが色水の手品をして子どもたちに見せましょう。
用意するもの
- 水を入れたペットボトル
- 絵の具
手品のやり方
1.ペットボトルに3分の2ぐらいの水を入れます。
2.ふたに絵の具をつけます。
3.ふたをしっかり閉めてペットボトルを振ると色水ができます。
手品のポイント
まずは何もない水だということを子どもたちに見せましょう。
ペットボトルを振る前に、おまじないなどを唱えると子どもたちが期待感をもって見てくれるかもしれません。
手品をした後は、実際に子どもたちが色水遊びをしても楽しめそうですね。
ペットボトルの底を使ったスタンプ
ペットボトルの底を使ったスタンプ遊びをしてみましょう。(動画再生時間:0:53~)
用意するもの
- ペットボトル
- カッター
- 絵の具
- 筆
- 紙皿
- ビニールテープ
やり方
1.ペットボトルの底から5センチの高さで編を切り取り、切口をビニールテープで巻いておきます。
2.紙皿に溶かした絵の具を用意します。
3.ペットボトルの底に絵の具をつけて、スタンプすればできあがりです。
製作のポイント
ペットボトルを切ってスタンプをする遊び方ですが、場合によっては切らずにそのままでもスタンプ遊びが楽しめそうです。
たくさんスタンプを押したい子もいるかもしれないので、ペットボトルや、絵の具の色を多めに用意しておくよいでしょう。
机には新聞紙を敷いておくと、汚れがつきにくくなりますよ。
ペットボトルを使った絵の具遊び:幼児編
幼児クラスの子どもたちが楽しめるペットボトルを使った絵の具遊びを紹介します。
色混ぜクイズ
色水を何本か作っておいて子どもたちの前で実際に混ぜてみましょう。
用意するもの
- ペットボトル
- 絵の具
やり方
1.絵の具と水をペットボトルに入れて色水を何本か作っておきます。
2.保育学生さんが「この色水とこの色水を混ぜたら何色になるかな」と言います。
3.子どもたちの答えを待ってから、空のペットボトルに2色をまぜてみます。
4.「〇〇色になったね」と伝えます。
(2)と(3)を繰り返します。
ポイント
保育学生さんは、多めにペットボトルを用意しておきましょう。
スポイトなどを使えば、ペットボトルのなかで少しずつ絵の具が混ざっていく変化を見ることができそうですね。
ペットボトルは飲み口が狭いため、作った色水同士を混ぜたい場合は、プラスチックのコップを用意して混ぜ合わせるとよいかもしれません。
紙を染めて遊ぶ
作った色水で、紙を染めて遊んでみましょう。
用意するもの
- ペットボトル
- 絵の具
- 水
- プラスチックのコップ
- 半紙
- 筆
やり方
1.水を入れたペットボトルに絵の具を入れて好きな色の色水を作ります。
2.プラスチックのコップに(1)の色水を入れておきます。
3.半紙を半分に折り、プラスチックのコップに入れて色水をつけます。
4.半紙を取り出して広げて乾かすときあがりです。
ポイント
子どもたちの好きな絵の具を混ぜた色水をできるだけ多く作っておきましょう。
何回も繰り返して遊びたい子どもがいるかもしれないので、半紙を多めに用意しておくとよさそうです。
あらかじめ新聞紙を敷いておき、ホールなどの広い場所で乾かすとよいかもしれません。
ジュースやさんごっこ
色水をジュースに見立てて、ジュースやさんになって遊んでみましょう。
用意するもの
- ペットボトル
- 絵の具
- 水
- プラスチックのコップ
遊び方
1.ペットボトルに色水を作ります。
2.子どもたちはジュースやさんになります。
3.ジュースやさんの子どもは「いらっしゃいませ」など声を掛けます。
4.お客さん役の子どもたちは、「〇〇ジュースください」と言います。
5.お客さんにジュースを渡します。
ポイント
ペットボトルに色水を作るとき、子どもたちに「ぶどうジュースだったら何色を作ればよいかな」など言葉がけをして、子ども自身が考えながら色水を作れるよう援助しましょう。
また、保育学生さんがお客さん役になるときに、「これは何を絞ったジュースですか」など聞いてイメージが広がるような言葉がけができるとよいですね。
ジュースやさんとお客さんのやり取りを通して、社会性や言語力を育むことにもつなげていきましょう。
スポンジスタンプ
ペットボトルのスポンジスタンプを使って絵の具で遊んでみましょう。
用意するもの
- ペットボトル
- メラミンスポンジ 適量
- 絵の具
- 紙皿
- はさみ
作り方
1.メラミンスポンジを好きな形に切ります。
2.ペットボトルの口に(1)を差し込みます。
3.絵の具を溶かし、紙皿に用意します。
4.(2)に絵の具をつけてスタンプすればできあがりです。
ポイント
スポンジをいろいろな形に切ると、さまざまな形のスタンプになるかもしれません。
幼児クラスの子どもだけでなく、小さなペットボトルを用意して持ちやすくすると乳児クラスの子どもたちも楽しめそうです。
ペットボトルの絵の具ペン
ペンのようにお絵かきできる絵の具ペンを使ってかいてみましょう。
用意するもの
- ペットボトル 1本
- フェルトボール(大) 1個
- 接着剤
- 絵の具
作り方
1.ペットボトルに絵の具を入れ、水で溶かします。
2.ペットボトルの口にフェルトボールを貼り付けます。
3.(2)を乾かします。
4.ペンのようにフェルトボールに絵の具を染み込ませて、絵の具を塗ればできあがりです。
ポイント
フェルトボールは、ペットボトルの口より、少し大きいサイズのものを選ぶとよいかもしれません。
手が小さめな子もいるかもしれないので、小さいペットボトルを用意しておくとよいでしょう。そのままペンで書いたり、スタンプのように押したりしても楽しめそうです。
ペットボトルを使った絵の具遊びのポイント
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ペットボトルを使って絵の具遊びをするとき、どんなポイントに気をつけるとよいのでしょうか。
ペットボトルや絵の具は多めに準備する
まず、ペットボトルや絵の具は子どもたちの人数分よりも多めに用意しておきましょう。
何回も色水がやりたい子や、別の色で遊びたい子もいるかもしれません。
子ども一人ひとりが充実できるように材料を十分に用意し、活動を楽しめるとよいですね。
子どもたちが主体的に活動できるようにする
子どもが主体的に活動できるような工夫をしましょう。
たとえば、赤色と青色を混ぜると紫色になるということを保育学生さんが知っていたとしても、子どもたちはまだ知らないかもしれません。
そのときにすぐに答えを教えるのではなく、子どもたちの疑問をいっしょに考えたり、口を出さず見守ったりすることが大切になります。
子どもたちの主体性を意識して活用できるとよいですね。
ペットボトルを使って絵の具遊びを楽しもう
今回は、ペットボトルを使った絵の具遊びのアイデアを紹介しました。
定番の色水遊びからスタンプ遊びまでさまざまな遊び方があります。
子どもたちが主体的に活動できるように、保育学生さんも子どもたちといっしょに答えを考えたり、準備するものは多めに用意したりすると楽しんで活動ができそうです。
動画なども参考にしながら、実習や入職後にアイデアを活かしていきましょう。