保育園と幼稚園、働くならどっち?それぞれの特徴やメリットとデメリット

保育学生さんのなかには、「幼稚園と保育園、働くならどっちがいいか」と悩む方もいるのではないでしょうか。それぞれで働くうえでの特徴や仕事内容などを把握しておけば、就活にも役立つかもしれません。今回は、幼稚園と保育園の施設や就職先を選ぶときに参考にしたいメリット・デメリットをまとめました。

子どもを抱っこする先生たち

maroke/shutterstock.com

保育園と幼稚園の違い

保育園と幼稚園には、そもそもどのような違いがあるのでしょうか。

「未就学児が通う施設」という共通点はあるものの、保育の目的や管轄などに違いがあるようです。具体的な内容を見ていきましょう。

保育園

管轄と区分

保育園の管轄は厚生労働省。

区分は「児童福祉施設」。

対象

0歳児~5歳児

目的

保護者に代わって子どもの保育をすることです。

保護者が仕事の都合などで子育てをする時間が取れない場合、その代わりとなって食事や排せつ、昼寝などの生活習慣を整えながら、健全な成長をサポートします。

必要資格

  • 保育士資格

幼稚園

管轄と区分

管轄は文部科学省。

区分は「学校もしくは教育施設」。

対象

3歳児~5歳児

目的

遊びや生活を通して子どもたちに豊かな学びを与え、総合的な指導をすることです。

幼稚園という集団生活の中で、家庭の中だけでは学べない幼児に必要な教育をしていきます。

子どもの心を豊かにし、小学校以降への学びの意欲を高めることが基本になります。

必要資格

  • 幼稚園教諭免許状

保育園と幼稚園は、それぞれ管轄や目的が異なるため、保育内容が異なるイメージがあるかもしれません。

しかし、2015年に施行された「子ども・子育て支援新制度」で幼保一体化が推進され始めたことにより、目的は違っても、保育内容の垣根は徐々に取り払われつつあるでしょう。

出典:幼稚園教育要領と保育所保育指針の関係/厚生労働省

出典:保育所利用の仕組み/厚生労働省

働くなら保育園と幼稚園どっち?:仕事内容の違い

ここでは、保育園と幼稚園の仕事内容の違いについて紹介します。

開園時間と退園時間

保育園と幼稚園で最も異なる点は、開園時間と子どもの退園時間です。

保育園

保育園の開園時間は一般的に7時~19時頃でしょう。

子どもの施設によっては夜間も開園しているところもあります。

幼稚園

幼稚園の開園時間は7時~18時ですが、園児たちは基本的に教育時間が終了する14時頃に退園します。その後は預かり時間として夕方まで開園しています。

保育園は原則8時間、幼稚園は4時間開園することが決められているため、子どもたちの降園時間に違いがあります。また、午睡があるかどうかも異なるポイントでしょう。

保育園は生活指導、幼稚園は教育指導をする必要があり、仕事内容にも違いがあるといえそうです。

職員の配置基準

次に、職員の配置基準の違いについて紹介します。

保育園

  • 0歳児:児童3人につき1人
  • 2歳児:児童6人につき1人
  • 3歳児:児童20人につき1人
  • 4,5歳児:児童30人につき1人

幼稚園

  • 1学級あたり専任教諭1人(1学級の幼児数は、35人以下が原則)

園の規模によって異なりますが、幼稚園の多くは1人担任です。

「1人で35人を見るのは大変そう」と感じるかもしれませんが、積極的に保育計画を立て、自分で実践していくことが得意な人は、幼稚園の勤務のほうが合っていると感じるかもしれません。

一方、保育園は預かる子どもの年齢によって、職員の人数が決められており、幼稚園より長時間預かるため、保育士の配置基準が多くなっています。

保育園は複数担任の場合が多いので、ほかの先生と話し合いながら計画を立てるのが好きな人は、向いているかもしれませんね。

出典:幼稚園教育要領と保育所保育指針の関係/厚生労働省

出典:幼稚園と保育所の基準の比較【職員配置・施設設備等】/厚生労働省

保育園と幼稚園で働くならどっち?:給料事情の違い

次に、保育士と幼稚園教諭の給料事情の違いを紹介します。

保育園(全年齢平均)

月収   :23万8000円
年間賞与 :70万600円

幼稚園教諭(全年齢平均)

月収   :24万100円
年間賞与 :73万7900円

以上の比較を見ると、幼稚園教諭の平均給与のほうが若干高くなっていますが、保育士と大きく差が開いているわけではないことがわかります。

勤める園が公立か私立かによっても異なるかもしれませんが、保育士と幼稚園教諭の給料にあまり違いはないといえるでしょう。

出典:賃金構造基本統計調査/政府統計の総合窓口

保育園と幼稚園を比較したうえで押さえたいメリットとデメリット

3人の子どもたち

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最後に、保育園と幼稚園の特徴や給料事情などを比較したうえで押さえたいメリットとデメリットについてそれぞれ紹介します。

保育園

メリット①

保育園で保育士として働くと、幅広い年齢の子どもとふれあえることがメリットとして挙げられます。

ミルクを飲んでいた赤ちゃんが、立派な5歳児へと成長し卒園する姿を見送れるのは感無量でしょう。

さまざまな年齢の子どもたちとのかかわり方を学べるので、実践的な保育の知識が身につき、将来的なキャリアアップにも役立つかもしれません。

メリット②

また、保育士資格を活かして、さまざまな施設・職種で働くことができるというのもメリットの一つです。

保育士は、保育園だけでなく児童養護施設や放課後児童クラブなどさまざまな児童福祉施設で働くことができます。

そのほかベビーシッターや保育ママなどにもなれるため、就職先の選択肢が広いといえるでしょう。

デメリット①

幼稚園と比べて開園時間が長いため、事務作業などの時間が確保しづらいということがデメリットとして挙げられそうです。

子どもの午睡時間にできるだけ進めたり、ほかの職員と分担したりするなどの工夫が必要になるかもしれません。

デメリット②

長期休みが取りづらいということはデメリットの一つかもしれません。

夏休みなど長期休みがなく、土曜日や休日も出勤になることがあるためを休みも不定期になりがちです。

しかし、土曜出勤のあとは平日のどこかで休めたり、休日出勤の振替代休もとれたりするので、そのようなときにリフレッシュを図れるでしょう。

幼稚園

メリット①

幼稚園教諭として働くと、運動や学習、音楽活動などを通して教育をすることができます。

そのため、幼児に対し年齢に合った情操教育をしたいと考えている方にとってはメリットかもしれません。

毎日の教育活動によって子どもたちの成長を感じられると、やりがいにもつながりそうですね。

メリット②

また、長期休暇の取りやすさも幼稚園教諭のメリットかもしれません。
園によって異なるものの、夏休みや冬休みなどの長期休暇の期間にお休みとなる園が多いようです。

もちろん園児と同じようにまるまる休みというわけではないので、研修や行事の準備などは発生するかもしれません。

しかし、子どもたちを預かっているわけではないため、通常よりも業務量が少なく、比較的長めの休みがとりやすいといえるでしょう。

デメリット①

幼稚園教諭は子どもの教育にかかわるため、翌日の準備やカリキュラム作成が大変という点はデメリットかもしれません。やるべきことが多く残業が発生することも考えられます。

自分で優先順位をつけてタスク管理するなど、計画的に進めることが必要といえそうですね。

デメリット②

教諭1人に対して担当児童数が多いこともデメリットの一つといえそうです。

1人担任制の場合、最大35人の子どもを一人でみなければならないため、責任が大きくなります。

また、子どもたちに危険がないように見守るほか、体調の変化などにも気づかなければならないなど、一人で子どもたちが安全に活動できるよう常に配慮しなければなりません。

ただし、そのような視点をもつことは、教師としてのスキルと保育を行うスキルが同時に育つことにつながっていくでしょう。

保育園と幼稚園、働くならどっちが自分に合っているか考えよう

今回は、保育園と幼稚園、働くならどっちがよいか悩む学生さんに向けて、それぞれの特徴や違い、メリットとデメリットを紹介しました。

保育園か幼稚園かで就職先に悩んだときは、「学生さんの理想とする保育ができそうなのはどっちか」を考えるとよさそうです。

それぞれの特徴やメリットを押さえたうえで、その園の理念や方針、特色あるプログラムなどを見て、自身の保育観に合うところを選ぶとよいかもしれません。

保育園、幼稚園という枠だけにとらわれず、園ごとの特性をそれぞれ見定めて、就活を進められるとよいですね。

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