一般的な保育園では、4月から5月頃に年度初めの懇談会が開かれます。新卒保育士さんにとって、入職して初めての懇談会をどんな流れで進めたらよいのか、何を準備すればよいのかなど不安なことが多いかもしれません。今回は、保育園の懇談会について、行う目的や内容、自己紹介をするときのポイントなどを紹介します。
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保育園で懇談会を開く目的とは?
保育園で開かれる懇談会とは、保護者と保育士さんが顔を合わせて子どもについて話をする場のことを言います。
懇談会の有無は園によりますが、一般的に年度初めの4月から5月頃と、年度末に近い1月や2月頃に行われることが多いようです。では、保育園の懇談会はどういった目的で開かれるのでしょうか。
保育園やクラスの方針を伝える
まず一つ目の目的は、保育園やクラスが目指している方向性や保育方針を伝えることです。
入園式や進級式などの節目の際に保護者へ向けて挨拶することはあるものの、じっくりとクラスの目標について説明する機会はあまりないかもしれません。
特に年度初めの懇談会ではどんなクラスにしていきたいのかをきちんと伝え、保護者の理解をより深める場としましょう。
家庭および保育園での子どもの様子を共有し合う
二つ目の目的は、保護者と子どもの様子を共有し合うことです。
園での様子は連絡帳やおたよりなどで伝えることができますが、保護者はよりくわしく知りたいと思っているかもしれません。そのため、園での過ごし方や取り入れている活動などをしっかりと伝えることが大切です。
また、お家でどのように過ごしているのかも保育をするうえでしっかり把握しておきたいポイントなので、積極的に尋ねてみましょう。
子どもたちの現状を報告し合い、保護者といっしょに成長を見守っていく姿勢を示せるとよいですね。
保育士と保護者の間の信頼関係を築く
三つ目の目的は、保育士と保護者の間で信頼関係を築くことです。
大切な子どもを預けてもらっている立場として、きちんと子どもたちの様子を伝えることで、保護者を安心させることができるでしょう。子育ての悩みなどに親身に寄り添うことで、信頼関係を築くことにつながるかもしれません。
特に年度初めの懇談会は保護者も不安を抱えているかもしれないので、きちんとコミュニケーションをとって交流を深め、保育園に安心感を持ってもらえるとよいですね。
保護者同士の親睦を深める
四つ目の目的は、保護者同士の親睦を深めることです。
同じ年齢の子どもを育てる親同士、子育てに関する悩みや不安を共有し合うことで保護者間の仲が深まるかもしれません。
懇談会は保護者が同じ場に集まって交流できる貴重な場であるため、会のなかで保護者同士がコミュニケーションをとれるような時間を設けるとよいですね。
保育士さんが保護者の方と日頃からじっくりと時間を取って話し合う機会は少ないかもしれません。こういった目的を踏まえたうえで、限られた時間内でテーマに沿って進行し、懇談会を有意義なものにしていきましょう。
保育園の懇談会に向けて必要な準備
では、保育園で懇談会を開くにあたって保育士さんはどのような準備をしておくとよいのでしょうか。
子どもの様子を観察してメモしておく
保護者によりくわしく子どもの様子を伝えられるよう、普段からクラスを観察してメモをとっておきましょう。
子ども同士のかかわりや成長を感じられた点、かわいらしい発言など些細なポイントを細かく記録しておけば、懇談会の話のネタになりますね。
話したいことや保護者に聞きたいことをまとめておく
新卒保育士さんは、初めての懇談会でどんなテーマで話せばよいのか迷うかもしれません。 そんなときは、おたよりや連絡帳などで保護者にアンケートを取るという方法があります。
事前にアンケートをすれば、回答結果から保護者がどんなことを知りたいと思っているのか把握することができます。そのうえで、関心が高そうな内容をピックアップして議題をいくつか用意しておけば、当日スムーズに進行しやすくなるでしょう。
当日に配布するレジュメを作成する
当日に保護者に配布するレジュメを作成しましょう。
懇談会の簡単なプログラムを記しておくことで、保護者がどのように懇談会が進むのか把握しやすくなります。
レジュメは文章で長々と書かず、箇条書きで端的にまとめると見やすくなるでしょう。
保育園の懇談会の流れや内容
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懇談会に必要な事前準備をふまえたうえで、当日の流れやおおまかな内容について紹介します。
1.始めの言葉・保育士の挨拶
懇談会の冒頭では、始めの言葉とクラス担任からの挨拶を行いましょう。
始めの言葉
担任保育士から保護者へ向けた、懇談会を始めるための簡単な挨拶の例文は以下です。
本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。時間になりましたので、〇〇クラスの懇談会を始めます。よろしくお願いいたします。
保育士の挨拶・自己紹介
続けて担任保育士から一言挨拶をします。自己紹介の例文は以下です。
本年度より、〇〇クラスの担任を務めております、△△と申します。
至らない点も多いかと思いますが、日々子どもたちからいろいろなことを学び、ともに成長できたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
懇談会のはじめは保護者が緊張しているかもしれません。全員がリラックスし親しみをもてるように、笑顔で明るい声のトーンを意識して話しましょう。
季節や天気のことなど、日常の話題を絡めてアイスブレイクをすれば、雰囲気が和らぎそうですね。
2.保護者の挨拶・自己紹介
次に保護者からの挨拶です。
まだ緊張が解けず、どんなことを話したらよいか困っている方もいるかもしれないので、保育士側から簡単な自己紹介のネタを提示すると話しやすくなるでしょう。
例えば、以下のようなネタを挨拶のテーマにしてみるとよいかもしれません。
- 最近驚いた子どもの行動
- 子どもが好きな食べ物/嫌いな食べ物
- かわいいと思った子どもの姿や行動
子どもに関するネタは保護者同士が共感しやすいので、リラックスした空気を作れそうですね。
3.保育方針や年間行事などのお知らせ
次に、保育園の保育方針や年間行事、保育計画など話します。
クラスの目標を説明し、どんな風にクラスを作っていくのかを具体的に伝え、保護者が改めて保育内容や理念について理解を深める場にしましょう。
4.子どもたちの様子
次に、子どもたちの様子を伝えます。
園で子どもがどんな風に過ごしているのか気になる保護者も多いでしょう。特に新年度になったばかりだと、クラス全体の雰囲気なども知りたいポイントかもしれません。
保護者に安心してもらえるように、最近の活動やクラス全体の雰囲気などをきちんと伝えることが大切です。
5.保護者へのお願い・連絡事項
新年度で保護者へ周知したいことやお願いしたいことがあればきちんと、伝えるようにしましょう。
例えば、持ち物への記名やこまめな着替えの用意、毎日の服装に関することなど、園のルールを改めて伝え、保護者に再認識してもらう機会にできるとよいですね。
また、直近で行事やイベントなどを控えていれば、それに関する連絡事項を伝えてもよいかもしれません。
6.保護者同士の交流
次に、保護者同士の交流の時間です。
保護者同士が顔を合わせてコミュニケーションを取れる機会はそう多くはないかもしれません。そのため、保護者が日々の保育の悩みを話し合ったり家での様子を共有し合ったりできる時間を用意しましょう。
保育士さんが司会として進行を務めたり、10分間や15分間などと決めて周囲の保護者とお話しできる時間を設けたりするとよいかもしれませんね。
7.終わりの言葉
保護者からの質問などがすべて終わったら懇談会を終了させます。保育士からの終わりの挨拶の例文は以下です。
では、以上で懇談会を終了させていただきます。
この後も私は園内に居りますので、気になることや聞きたいことなどがございましたらお気軽にご相談ください。
本日は、お忙しい中〇〇保育園〇〇クラスの懇談会にご参加いただきまして、誠にありがとうございました。
終わりの挨拶の際は、改めてクラス運営についての抱負を簡単に述べ、「今後ともよろしくお願いいたします」と締めてもよいですね。
保育園の懇談会を進めるうえでのポイント
最後に、新卒保育士さんが保育園の懇談会を進めるうえで押さえておきたいポイントを紹介します。
時間配分を決めて時間通りに終わらせる
事前に作成したレジュメの通りに進行させ、予定時刻に懇談会を終わらせましょう。
保護者のなかには忙しい合間を縫って参加してくれている方もいるかもしれません。
時間を延長させてしまうと保護者に迷惑をかけてしまう恐れがあるため、タイムマネジメントをしっかり行いましょう。
保護者がまんべんなく話せるように場を回す
保護者からの質問タイムや交流の時間などでは、できるだけまんべんなく話せるように司会をしましょう。
全体を見ながら話すようにしたり適宜話を振ったりして、全員が意見を言いやすいような雰囲気を作れるとよいですね。
質問にはすぐに回答せず、時間を頂く
保護者から受けた質問のなかには、自分だけでは判断が難しい内容があるかもしれません。
そういった場合は、その場で答えずに「園長に確認します」などと伝えて回答までに時間をもらいましょう。特に保育方針や園の理念に関することは、認識のずれがあった場合信用を落としてしまうことにつながりかねません。
不明点があった場合は一旦保留にし、確認でき次第連絡帳やおたよりなどの書面で詳細に伝えると丁寧ですね。
当日の進め方や流れを知り、保育園の懇談会を成功させよう
今回は、保育園の懇談会について、必要な事前準備や当日の内容、進め方のポイントなどを紹介しました。
保育園の懇談会は、子どもの様子を共有し合うことや、保護者と保育士との信頼関係を築くことなどさまざまな目的があります。 当日は保護者がリラックスして参加できるように、笑顔で明るく自己紹介したり挨拶のネタを用意してアイスブレイクをしたりするとよいでしょう。
保護者とじっくり話し合える機会は限られているため、実りあるものにするためにきちんと準備をしてスムーズに進行することが大切です。当日の進め方やポイントなどを押さえ、有意義な懇談会にできるとよいですね。