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【保育士の給与】基本給と手取りの違いとは?計算方法や新卒保育士の平均月給を解説!

実際に給料として支払われる手取り金額は、求人票にある基本給より少ないことはご存知でしょうか?違いをしっかり理解しておくことで、初任給としてもらえる給与をイメージしやすくなりますよ。今回は、基本給と手取りの違いや計算方法、求人探しの注意点を紹介します。新卒保育士の平均月給についてもまとめました。

給与を計算している写真

fullempty/shutterstock.com



基本給と手取りの違いとは?

求人票などに記載される基本給と、実際に保育士さんが受け取る手取りの金額は異なるという話を聞いたことがあるでしょうか。


保育士の就活で求人票を見ていると、どのように違うのか気になる学生さんもいるかもしれません。ここでは、基本給と手取りの違いについてくわしく解説します。



基本給と手取りの違い


基本給とは

基本給とは、年齢や学歴、経験のほか、能力や地位によって算定される給与のことで、会社から受け取る賃金の根本となる部分です。


残業手当や役職手当などのさまざまな手当、通勤交通費などを一切含まない、一定期間に必ずもらえる額と考えるとよいでしょう。


基本給には、「仕事給型」「属人給型」「総合給型」の3種類があります。企業や園によって取り入れている種類は異なるでしょう。


手取りとは

「手取り」とは、基本給や残業代など、企業や園から支給されるお金の総額である「総支給額(額面給与)」から、所得税や住民税といった税金、年金や健康保険料などの社会保険料を「控除」として引いた金額を指します。


つまり、総支給額から控除を差し引いたものが、毎月の給与として振り込まれる「手取り」になります。そのため、「基本給=手取りではない」ことや「総支給額=手取りになるわけではない」ことになります。


では具体的に、基本給=月給ではないことと、総支給額との関係性について見ていきましょう。



「基本給=月給ではない」ことの意味


「基本給と月給は同じもの」と誤解している方もいるかもしれませんが、一般的には同じものではありません。先述したように、基本給とは年齢や経験などによってあらかじめ決められている基本賃金を指します。


一方で月給は、月単位で固定された金額が必ずもらえる賃金を指し、基本給に加えて、役職手当や住宅手当など金額が変動しない手当を足したものをいいます。


ただし、基本給のほかに一切手当がつかない場合は、基本給と月給は同じ金額になります。



基本給と総支給額の関係


給与の総支給額は「基準内賃金」と「基準外賃金」で構成されています。


「基準内賃金」とは、時間外労働手当や不就労部分(労働者の遅刻や早退・欠勤など)の計算をするときに基礎となる賃金で、一般的に基本給や毎月固定的に支払われる諸手当(通勤手当や住宅手当など)を含みます。


一方で「基準外賃金」は、所定労働時間外の休日出勤や残業に対して支払われる賃金です。そのため、毎月の労働時間によって変動があるでしょう。


つまり、計算式で表すと以下のようになります。


基準内賃金+基準外賃金=総支給額


基準外給与が一切発生しない場合は「月給=総支給額」となることや、時間外労働手当などが発生する企業や園では、総支給額に毎月変動があるということがわかりますね。



基本給から手取りを計算する方法

次に、実際に総支給額から引かれる控除の内容や、総支給額から見た手取りの計算方法を紹介します。



基本給から控除される内容と計算方法


控除内容

基本的には、以下のような社会保険料や税金が控除として総支給額から差し引かれます。


  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金
  • 雇用保険
  • 所得税
  • 住民税

このほか、企業や園によっては労働組合費や退職金の積立金、社宅の家賃などが含まれる場合があるかもしれません。


基本給から手取りを計算する方法

上記で紹介した控除の合算が総支給額から引かれ、計算式で表すと、以下のようになります。


(総支給額)-(控除総額)=手取り


控除額について内訳を知りたい場合は、給与明細を見ればそれぞれの金額がくわしく記載されているので確認するとよいでしょう。



基本給から見る手取り金額の計算例


給与を見てよろこぶ保育士の写真

Cat Box/shutterstock.com


ここでは、基本給の金額別に手取り額を計算してみましょう。


基本給18万円の手取り額

基本給:18万円

各種手当支給額:5万円

総支給額:基本給(18万円)+各種手当支給額(5万円)=23万円


★手取り額:一般的な水準8割


23万円×0.8=18万4000円


基本給が18万円で、各種手当支給額が合計で5万円と想定します。
この場合、総支給額は基本給と手当支給額の合計なので、23万円です。


手取り額はそこから控除を除いたものとなり、その割合は約8割というのが一般的な水準であることから、以上のような計算になります。


このように、手取り額は約18万4000円となることがわかりますね。


基本給20万の手取り額

基本給:20万円

各種手当支給額:5万円

総支給額:基本給(20万円)+各種手当支給額(5万円)=25万円


★手取り額:一般的な水準8割


25万円×0.8=20万円


基本給が20万円で各種手当支給額が合計で5万円と想定します。
この場合、総支給額は基本給と手当支給額の合計なので、25万円です。


手取り額はその約8割であることから、手取り額は約20万円となることがわかります。


ここで紹介した手当の支給額はあくまでも想定です。基本給にプラスされる手当の種類やそれぞれの金額によって、総支給額は異なるでしょう。



新卒保育士さんの平均的な基本給や手取りは?

令和2年賃金構造基本統計調査によると、新卒保育士の平均的な月給は20万4900円(残業手当などは除く)となっています。


これを参考にすると、新卒保育士さんの手取りの平均額は16万3920円程度と言えるでしょう。
ただし、これには職種手当や通勤手当が含まれているため、純粋な基本給の金額はもう少し低い可能性があります。


それでは、弊社保育士就活バンク!の求人を例にして、新卒保育士さんの一般的な基本給を紹介します。


※求人例は実際の金額ではなく、目安となっています。


<求人例1>

東京都の保育園


  • 月給 約21万5000円~
  •  基本給 約19万円

     処遇改善手当 約2万5000円


<求人例2>

愛知県の保育園


  • 月給 約20万5000円(4年制大学卒)
  •  基本給 約17万円

     地域・特殊業務手当 約3万5000円


<求人例3>

広島県の保育園


  • 月給 約19万円5000円~
  •  基本給 約16万5000円

     処遇改善 約3万円


地域や施設によって差がありますが、基本給は16~19万円の間で設定している保育園が多いようです。


園によっては、国が支給する処遇改善費や残業手当なども支給されるため、月給は20万円前後、手取りは約16万円前になると言えるでしょう。



基本給と手取りを確認するときの注意点

最後に、基本給や手取りを確認するときの注意点を紹介します。



基本給は残業代やボーナスなどに影響する


基本給は、働くことで得られる以下のようなお金の算出基準となっていることも知っておきましょう。


  • 残業代
  • ボーナス
  • 退職金

つまり、基本給が高ければボーナスなど受け取れる金額が高くなると言えます。
そのため、求人票に記載されている基本給の金額は、入職後の収入を考えるうえでも重要な基準となるでしょう。



手取り額を計算して生活をイメージする


求人票の基本給の金額を参考に、先ほど紹介した計算式を使って手取り額を算出してみるとよいでしょう。


入職後は手取りのなかから、居住費や光熱費、通信費、食費などを支払うことになります。生活スタイルを想定しながら、収入と支出のバランスを考えることが大切です。


基本給や手当が多いということは、手取り額も多くなるということにつながるかもしれません。求人票をよく確認しながら、やりくりのイメージをしておきましょう。



2カ月目以降の給与は初任給より控除が増えることに注意


額面の給与から社会保険料などが控除されて手取りが少なくなると説明しましたが、一方で初任給は控除金額が少ないため、ほぼ全額が手取りとなります。


初任給では所得税と雇用保険料のみを控除し、翌月から厚生年金や健康保険などの保険料を徴収するという企業や園が多いようです。


また、2年目以降は住民税も徴収されるため、1年目よりも控除額が増えてしまいます。
昇給額によっては、1年目より2年目の手取りのほうが少ない可能性もあるため、お金の使い方には注意しておきましょう。



基本給と手取りの違いを理解して就活を進めよう

今回は、基本給と手取りの違いや計算方法、確認するときの注意点を紹介しました。


求人票に記載されている「基本給」の金額から、おおよその手取りを算出することができるでしょう。それによって入職後の収入や生活水準をイメージできるため、園選びの重要な目安として確認しておくとよいですね。


基本給や手取りの概要を把握したうえで求人票をチェックして、就活に役立てていきましょう。

これから就活をはじめる方はこちら 就活ガイド 保育士バンク!新卒に就職相談してみる