子どもが楽しめるちぎり絵の製作アイデアについて知りたい保育学生さんもいるでしょう。折り紙とのりがあれば簡単にできるので、作り方を知って実習に役立ててみましょう。
今回は、子どもが簡単に作れるちぎり絵製作を乳児、幼児クラスに分けて紹介します。あわせて実習などで製作するときのポイントをまとめました。
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■目次
子どもが楽しめるちぎり絵とは?
ちぎり絵とは、手でちぎった紙を台紙に貼って表現する遊びです。保育園での製作活動では、はさみやカッターを使わず、紙を自由にちぎって作れることからで、小さい子どもたちにも取り入れやすいようです。
低年齢の子どもたちだけでなく、少しアレンジを加えれば幼児クラス向けの製作にもなります。折り紙やのり、貼る台紙を用意し、年齢に合ったものを題材にすることで、どの年齢でも楽しむことができそうですね。
保育園の子どもたちとちぎり絵をするねらい
保育園でちぎり絵を取り入れるのには、次のようなねらいが挙げられます。
- 五感が育ちやすい
- 指先を使う練習になる
五感とは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のことを言います。ちぎり絵は、さまざまな色の折り紙を使えば、目で見て楽しめるだけでなく、指先で紙を破く感触を味わうことができます。また、びりびりと折り紙を破く音も聞こえるので、五感が育ちやすいと言われているようです。
さらに指を使って、ちぎる、のりを貼るという工程を繰り返すので、製作を楽しみながら指先を使う練習にもなりそうです。
このようなねらいをもとに、環境構成や保育者の援助などを考え、指導案作成をしていきましょう。
子どもが楽しめるちぎり絵のアイデア:乳児
ここからは、保育園の子どもたちが楽しめるちぎり絵の製作アイデアを紹介します。 まずは乳児向けから見ていきましょう。
紙皿のカメ
春にぴったりな紙皿でカメのちぎり絵を作りましょう。
用意するもの
- 紙皿
- 折り紙
- のり
- 新聞紙(机に敷く)
作り方
1.折り紙をちぎります。
2.保育学生さんが紙皿の裏側にのりを付けます。
3.ちぎった折り紙を紙皿に付けます。
4.あらかじめ作っておいたカメの手や足、頭を付ければできあがりです。
折り紙は大きめにちぎれば、時間もかからないため短い時間で楽しめるでしょう。 単にカメを作ろうと言っても想像ができないかもしれないので、導入にうさぎとかめの絵本などを見せると、わかりやすいかもしれません。
アジサイ
梅雨に咲くアジサイをちぎり絵で作りましょう。
用意するもの
- アジサイの形の画用紙
- 折り紙
- のり
- 新聞紙(机に敷く)
作り方
1.2色の折り紙をちぎります。
2.あじさいにのりを塗っておきます。
3.(1)の折り紙をアジサイの形の画用紙に貼り付けます。
4.アジサイの葉っぱを付ければできあがりです。
子どもたちが自由に貼り付ければ、同じ色を使っていても個性が出るでしょう。子どもがのりを付けられそうな場合は、つぼのりなどを使ってのり付けする工程にもチャレンジしてみるのもよいかもしれません。
さつまいも
秋を感じるさつまいものちぎり絵を作りましょう。
用意するもの
- さつまいもの形に切った画用紙
- 折り紙
- のり
- 新聞紙(机に敷く)
作り方
1.さつまいもの色の折り紙をちぎります。
2.さつまいもの形に切った画用紙を配ります。
3.画用紙にのりを塗ります。
4.画用紙に(1)の折り紙を貼り付けるとできあがりです。
さつまいもの折り紙は、2色ぐらい用意しておくとランダムに貼り付けられそうです。壁面に飾る際には、緑の画用紙やスズランテープを使ってさつまいもがつながっている様子にしてみても面白いかもしれません。
雪だるま
冬になると雪が降りますよね。子どもたちが大好きな雪遊び、ちぎり絵で雪だるまを作りましょう。
用意するもの
- 画用紙
- 折り紙
- のり
- 画用紙
- クレヨン
作り方
1.画用紙にあらかじめ雪だるまの外側の線を書いておきます。
2.雪だるまの白と帽子の折り紙をちぎります。
3.ちぎった折り紙を雪だるまの線の内側にのりで貼り付けます。
4.帽子を貼り付けます。
5.周りにクレヨンで絵を描けばできあがりです。
折り紙は、保育学生さんも子どもといっしょにちぎるとよいかもしれません。雪だるまの帽子や手、目や手袋などをつくっておくと製作がしやすいでしょう。
子どもが楽しめるちぎり絵のアイデア:幼児
次に、幼児クラスの子どもたちが楽しめるちぎり絵のアイデアを紹介します。
チョウチョとお花
春らしいチョウチョとお花のちぎり絵を作りましょう。
用意するもの
- 折り紙
- のり
- 絵の描かれた画用紙
- 新聞紙(机に敷いておく)
作り方
1.異なる色の折り紙を細かくちぎります。
2.絵にのりを塗ります。
3.絵の上に好きな色の折り紙を貼るとできあがりです。
いろいろな色を用意しておき、子どもに好きな色を選んでもらうのもよいかもしれません。細かくちぎりすぎると貼り付けるのが大変になるかもしれないので、ある程度の大きさになったら「貼るときれいに見えそうだね」などといって貼る工程に促すとよさそうです。(詳しい説明はこちら)
恐竜
紙皿とトイレットペーパーの芯を使って恐竜を作りましょう。
用意するもの
- 紙皿 大小
- 折り紙
- トイレットペーパーの芯
- 画用紙
- ステゴサウルスのパーツ
- はさみ
- のり
- 新聞紙(机に敷く)
作り方
1.いろいろな色の折り紙を手で細かくちぎります。
2.ちぎった折り紙を紙皿にのりで貼り付けます。
3.トイレットペーパーの芯をはさみで半分に切ります。
4.(3)にはさみで、2カ所切り込みを入れて、すきまを作っておきます。
5.(4)の側面に画用紙を貼ります。
6.(2)の折り紙を貼った面を外側にして折り、(5)を差し込みます。
6.事前に作っておいたステゴサウルスのパーツを貼り付けて、できあがりです。
ちぎった折り紙を貼り付けるだけではなく、いくつかの工程があるので2日に分けて作ると子どもたちも楽しんで製作ができるかもしれません。トイレットペーパーは丸いため、画用紙を巻くのが難しい場合は、保育学生さんが手伝ったり、事前に貼っておいたりするのもよいでしょう。(詳しい説明はこちら)
ひまわり
夏によく見るひまわりの製作アイデアです。
<用意するもの>
- 紙皿
- 茶色の折り紙
- はさみ
- のり
- 手をふくタオル
- 新聞紙(机に敷く)
- 黄色のペン
作り方
1.マジックで色を付けておきます。
2.色を塗った部分をひまわりの花びらになるようにハサミで切ります。
3.折り紙をちぎります。
4.平らな面にのりを付けます。
5.ちぎった折り紙を紙皿に貼り付ければできあがりです。
夏らしいひまわりの想像がつきやすいように、実際に本物を見せたり絵本を読み聞かせたりするとよいかもしれません。茶色も何種類か色の違うものを用意しておいてもよさそうです。(詳しい説明はこちら)
枯れ葉
秋にぴったりの、木の葉の色がかわり紅葉している様子をちぎり絵で作りましょう。
用意するもの
- 折り紙
- 画用紙
- のり
作り方
1.色が異なった折り紙を用意して、ちぎります。
2.木の幹が書いてある画用紙に(1)の折り紙を貼るとできあがりです。
導入として秋の自然で遊んだり、見て実際に観察したりしてもよいでしょう。折り紙を子どもがすきなようにちぎると一人ひとりオリジナリティが出そうです。また、折り紙を用意するときは、「どんな色があるかな」と子どもたちに聞いて用意してもよいかもしれません。(詳しい説明はこちら)
クリスマスカード
クリスマスの時期に送りたいクリスマスカードをちぎり絵で作りましょう。
用意するもの
- 折り紙
- 画用紙
- のり
- 新聞紙(机に敷いておきます)
作り方
1.作りたいものを決めて、折り紙をちぎります。
2.半分に折り目を付けた画用紙の片面に、イメージをしながら(1)の折り紙を貼っていきます。
3.何も貼っていない片面をツリーの形に切り抜いたらできあがりです。
ツリーの形に切り抜くのが難しい年齢の場合、保育学生さんが切ったり、いっしょに画用紙を持って子どもが切りやすいようフォローしたりするとよいですね。あらかじめ切る線を鉛筆で書いておくと、子どもたちが切りやすくなるかもしれません。
保育園の子どもにちぎり絵を取り入れるときのポイント
年齢に合わせた下絵や台紙にする
乳児クラスはシンプルで貼りやすい台紙を用意するとよさそうです。 年齢に合っていないと、簡単すぎてしまったり逆に難しすぎたりすることも考えられます。子どもの状況や年齢に配慮しながら、楽しんで製作ができるようしましょう。
折り紙は小さくちぎりすぎない
折り紙をちぎるのが楽しくなり、つい小さくちぎってしまうと、のりで貼り付ける工程に時間がかかってしまいます。長い時間になると子どもが飽きてしまう可能性も考えられるので、小さくなりすぎないように大きさの見本を見せたり、製作中に声を掛けたりするとよいかもしれません。
のりは指で付けるものを用意する
のりは、つぼのり・水のり・スティックのりなど数種類があります。
そのなかでも、指に付けて使う「つぼのり」を使って製作するとよいでしょう。のりの感覚はもちろん、使い方も覚えられるので子どもたちも楽しみながら作ることができそうです。
ちぎり絵のアイデアを知って入職や実習に役立てよう
今回は、子どもが楽しめるちぎり絵を紹介しました。
ちぎり絵は簡単にできる製作でもあり、幼児クラスや乳児クラスの年齢に合わせた題材にするだけでどの年齢も楽しむことができるでしょう。
また、子どもの指先の練習に役立ったり、五感が育ちやすかったりとさまざまな効果があると言われているので、保育活動のなかに積極的に取り入れられるとよいですね。