冬の寒い時期に保育園で楽しめる、室内遊びのアイデアを知りたい保育学生さんもいるかもしれません。乳児クラスと幼児クラス別の遊びを知っていれば、1月や2月に実習やボランティアなどを行う際に役立つでしょう。今回は、運動遊び、ゲーム性のある遊び、製作遊びの項目に分けて冬の室内遊びのアイデアを紹介します。あわせて保育のねらいとポイントもまとめました。
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■目次
冬に保育園で室内遊びをするねらい
保育園の子どもたちのなかには、外で走り回ったり遊具で遊んだりするのが好きな子もいるでしょう。しかし、1月や2月の寒い日になると、室内遊びをするシーンが多くありますよね。
そんな寒くて外で遊べない日でも子どもたちが楽しめる室内遊びのアイデアがあるとよいかもしれません。
ここでは、乳児幼児別の室内遊びのねらいをまとめました。
乳児クラスのねらい
乳児クラスの子どもたちは、ハイハイをしている子、歩き始めた子、走れるようになった子などさまざまです。月齢などによる個人差も大きいため、その子に合った援助をすると冬の室内遊びを楽しむことができそうです。
- 0歳児:手や足を動かすことを楽しみ、保育者とのふれあいや遊びを通して五感を育む
- 1歳児:全身を動かす楽しさを知り、保育者とのやり取りを通して言葉に親しみをもつ
- 2歳児:他者との言葉のやりとりを楽しみ、友だちといっしょに遊ぶ楽しさを知る
幼児クラスのねらい
幼児クラスのなると、少しずつ集団で過ごす機会が増え、友だち同士で話す姿や、さまざまな物や遊びに興味を持つ姿が見られるようになるでしょう。また遊びのなかで、ルールを覚える時期でもあるようです。
- 3歳児:自分の好きな遊びを見つけながら友だちと関わる楽しさを知り、簡単なルールを覚える
- 4歳児:保育士や友だちと親しみ、集団遊びに親しみをもちながらルールのある遊びをする
- 5歳児:遊びのなかで自分の役割を見つけて、友だちと協力しながら遊ぶ
乳児クラスと幼児クラスの子どもたちはできることが変わってくるので、年齢に合わせた活動を考えるとよいかもしれません。
このようなねらいをもとに、乳児クラスと幼児クラスの子どもたちが楽しめる冬の室内遊びを取り入れていきましょう。
保育園でできる冬の室内遊び:0歳1歳2歳の乳児クラス
ここからは、乳児幼児別に冬の室内遊びを紹介します。まずは、乳児向けのアイデアから見ていきましょう。
運動遊び
寒くて外に出られなくても、思いきり身体を動かせる運動遊びのアイデアから紹介します。
ハイハイゲーム
スタートとゴール地点に保育士さんや保育学生さんが位置につき、ハイハイで競争する遊びです。
早くゴールする子どもやゆっくり進む子もいるでしょう。ゴールをした子といっしょに「頑張れ」などと声を掛けて応援したり、同じスピードで保育学生さん自身がいっしょに遊んだりするとよいかもしれません。
風船遊び
子どもの数より多い風船を用意しておき、2グループに分かれて風船を箱にいれていきます。
<遊び方>
1.段ボールの箱を2カ所置いておきます。
2.風船を置きます。
3.スタートしたら、風船を段ボールの箱の中に入れます。
4.ある程度風船が集まったら、終わりの合図をし、風船の数を数えます。
<遊ぶときのポイント>
乳児クラスのなかには、ハイハイをして風船を追いかける子どももいるでしょう。0歳児は置いてある風船を追いかけり、1歳児さんは風船を運んだり、2歳児は風船を叩いて友だち遊んだりと年齢に合わせた遊び方にすると楽しめそうです。
マット遊び
マットの上で転がったり、高低差を作って歩いたりして遊びましょう。
<遊び方>
1.1列に並びます。
2.順番にマットの上で転がったり、歩いたりしながら遊びます。
<遊ぶときのポイント>
まず見本として、保育学生さんが説明をしながら実際にやって見せます。0歳児はハイハイ、1歳児は歩く、2歳児は走ってみる子など、さまざまな姿が見られるでしょう。子どもたちに危険のないようにそばでしっかり見守ることが大切です。
ゲーム性のある遊び
ここからは、乳児クラスの子どもたちが楽しめるゲーム性のある遊びを見ていきましょう。
シルエットクイズ
わかりやすい動物を取り入れたシルエットクイズで遊びましょう。
<遊び方>
1.動物のシルエットのイラストを見せて「これは何だ」と質問をします。
2.子どもたちが「うさぎ」「くま」などと答えます。
3.みんなの意見が出たら「正解はうさぎです」と言いながらうさぎのイラストを出します。
4.(1)~(3)を繰り返して遊びます。
<遊ぶときのポイント>
用意する動物の特徴がわかりやすいものにすると、楽しんで遊べるかもしれません。答えるときは、保育学生さんが「〇〇と〇〇どちらだと思う?」など2択にし、子どもたちに答えを聞いて多いほうをみんなで「せーの〇〇」と声を合わせて言うのもよいでしょう。
ボーリングゲーム
室内で楽しめるボーリングゲームで遊びましょう。
<用意するもの>
- 紙コップ
- ビー玉
- マスキングテープ
- 新聞紙
- ビニールテープ
- 画用紙
- はさみ
<製作のポイント>
マスキングテープや画用紙はいろいろな形に切っておき、自由にのりでつけられるようにしましょう。ビー玉は口に入れないように事前に数を確認したり、保育学生さんが紙コップに入れたりするなどして誤飲につながらないような工夫をしましょう。
紙コップの中にビー玉を入れすぎると重くて倒れない可能性もあるので、入れすぎには気をつけましょう。
<遊び方>
作った紙コップを並べて、新聞紙のボールを転がします。
待っている子どもたちに、倒れた紙コップを起こしてもらうなどすると、飽きずに自分の順番が来るまで待てそうです。複数作っておき、待つ時間を減らせるとよいかもしれません。
玉入れゲーム
身近なものを使って作る玉入れゲームで遊びましょう。
<用意するもの>
- 牛乳パック
- ビニール袋
- シール
- 新聞紙
- ペン
- はさみ
- ビニールテープ
- セロハンテープ
<作るときのポイント>
牛乳パックにビニール袋を貼り付けるときは、取れないようにしっかりとめるとよさそうです。新聞ボールは、子どもといっしょに丸めて作るとよいでしょう。
<遊び方>
1.ビニールのかごを何カ所か壁に貼り付けておきます。
2.新聞ボールをかごに向かって投げ入れます。
<遊ぶときのポイント>
何カ所か玉入れをできる場所を用意しておくと、自由遊びの時間にも遊びだせるかもしれません。新聞紙ボールは軽く、当たっても痛くないため、クラスのみんなで活動しても楽しそうです。ただし、友だちに向けて投げないことをきちんと約束しておきましょう。(詳しい説明はこちら)
製作遊び
寒い時期や季節をモチーフにして、乳児向けの製作遊びをしてみましょう。
雪だるま
冬の製作にぴったりな雪だるまのちぎり絵を紹介します。
<用意するもの>
- 画用紙
- 折り紙
- のり
- クレヨン
<作り方>
1.画用紙にあらかじめ雪だるまの型を書いておきます。
2.雪だるまの身体になる白と帽子の折り紙をちぎります。
3.ちぎった折り紙を雪だるまの線の内側にのりで貼り付けます。
4.帽子を貼り付けます。
5.周りにクレヨンで絵をかけばできあがりです。
<作るときのポイント>
折り紙を小さくちぎるとのりを付けたり、貼ったりするのに時間がかかってしまいます。そのため細かくちぎりすぎないように「これくらいにちぎるとよいね」と見本を見せたり、言葉がけをしたりするとよいでしょう。
ペンギン
足形のスタンプでペンギンを作りましょう。
<用意するもの>
- 画用紙(青色水色黄色灰色)
- 折り紙
- 絵の具(白色)
- はさみ
- のり
- 絵の具の筆
- 足をふくタオル
<作り方>
1.ペンギンの形に画用紙を切っておきます。
2.足の裏に絵の具をつけてペンギンの頭の部分がかかとになるように押す場所を調整します。(ペンギンの足の部分に足の指がくるイメージ)
3.折り紙を氷に見えるように、台形や三角形にはさみで切ります。
4.折り紙とペンギンを灰色の画用紙にのりで貼り付けます。
5.ペンギンの目と口ばしをクレヨンでかきます。
6.画用紙で作っておいた足を付ければできあがりです。
<作るときのポイント>
切る工程は、保育学生さんが行なっておくと製作がスムーズに進むでしょう。のりを付けられない子がいたら、見本を見せながら保育学生さんが援助するとよいかもしれません。
コマ作り
牛乳パックでよく回るクルクルコマを作りましょう。
<用意するもの>
- 牛乳パック 1個
- ペットボトルのキャップ
- はさみ
- テープ
- ボタン 1つ
- 装飾(クレヨン、マスキングテープなど)
<作り方>
1.牛乳パックの底を中心にしてはさみで切り開きます。
2.シールを貼ったり、クレヨンで好きな絵をかいたりします。
3.ペットボトルのふたをテープで(2)の中心に貼り付けます。
4.(3)を裏返して、ボタンをテープで貼り付ければできあがりです。
<製作のポイント>
ペットボトルのふたやボタンは小さいため口に入れてしまうことも考えられます。保育士さんや保育学生さんが取れないように接着剤を付けて貼り付けるのもよいかもしれません。また、事前に数を確認しておくとなくなったときもわかりやすくなりそうです。
保育園でできる冬の室内遊び:3歳4歳5歳の幼児クラス
次に、幼児クラスの子どもたちが1月や2月に楽しめる室内遊びを見ていきましょう。
運動遊び
室内でも身体を動かして楽しめる運動遊びを紹介します。
サーキット遊び
サーキット遊びとは、周回するコースのなかに、遊具や鉄棒、跳び箱などを配置してさまざまな動きを楽しむ遊びです。室内でも全身を動かして遊べるので外に出られない日でも思いきり楽しむことができるでしょう。
<遊ぶときのポイント>
マットの上はハイハイで進んだり、跳び箱に乗ってジャンプをしたり、鉄棒にぶら下がったりとさまざまな動きができるコースにすると楽しめるでしょう。鉄棒やジャンプをする場所の周辺にはマットを敷いたり、保育学生さんがそばについたりすると、安全に楽しむことができそうです。
コロコロドッジボール
室内で楽しめるコロコロドッジボールで遊んでみましょう。
子どもたちの動ける範囲を決めて、中心のラインとしてわかりやすいようにテープなどを貼り目印を作ります。ボールが当たってしまった人はその時点で終了となるので、当たってしまった子が待つスペースを事前に作っておくとよいでしょう。
大人数で遊んでもぶつからないように、ホールなどの広い空間で行なうとよさそうです。
縄跳び遊び
室内で楽しめる縄跳び遊びをしてみましょう。
飛ぶ人と縄を持つ人を友だち同士で交代しながら「〇回飛んだら交代する」などとルールを決めるとよいかもしれません。「ゆうびんやさん」の歌に合わせて飛んでみたり、縄を2本にして飛んでみたり難易度を上げて遊んでも楽しめそうです。
<遊ぶときのポイント>
縄跳びをするときは、縄に引っかかってけがをしないように動きやすい服装にしたり、履きなれた靴にしたりすることが大切です。
ゲーム性のある遊び
室内で、幼児クラスの子どもたちが楽しめる簡単なルールがある遊びを見ていきましょう。
じゃんけん列車
集団で楽しめるじゃんけん列車で遊びましょう。
<遊び方>
1.ゲームスタートと同時に音楽を流し、子どもたちは音が止まるまで自由にうごきます。
2.子どもたちは、音楽が止まったら近くにいる友だちとじゃんけんをします。
3.じゃんけんをして負けた人は、勝った人の後ろにつながります。
4.(1)~(3)を繰り返し、最後まで残った列車の先頭にいる子どもがチャンピオンとなります。
<遊ぶときのポイント>
子どもたちがじゃんけんする相手が見つけられているのかを確認しましょう。場合によっては、3人でじゃんけんをしてもらうなど、臨機応変に対応するとよさそうです。あわせて、3歳児クラスの場合は、じゃんけんを理解しているのか活動前に確認しましょう。
ジェスチャーゲーム
室内で楽しめる集団で行なうリレー形式のジェスチャーゲームで遊びましょう。
<遊び方>
1.クラスをいくつかのグループに分けます。(1チーム5人程度)
2.チームごとに1列に並びます。
3.先頭にいる子ども以外は後ろを向きます。
4.先頭にいる子どもにお題を見せます。
5.先頭の子どもがお題を理解したらスタートします。
6.先頭の子どもは、2番目の子の肩を叩いてジェスチャーを見せ、理解できたら3番目、4番目と続いていきます。
7.最後の子どもがお題がわかったら、保育学生さんのところまで来て正解を伝えてもらいます。
8.1番早く正解したチームの勝ちです。
<遊ぶときのポイント>
年齢に合わせたお題を用意すると楽しめそうです。ジェスチャーゲームは、声を出さずに行うので、子どもたちが答えを言ってしまわないように、ルールを確認してから遊ぶとよいかもしれません。
絵合わせ輪投げ
<用意するもの>
- 紙皿 1枚
- 紙コップ 1個
- 段ボール(画用紙を貼っておく)1枚
- 鈴
- コンパス
- はさみ
- テープ
<作り方>
1.紙皿の中心に紙コップの直径よりひとまわり大きい円をかきます。
2.かいた円に合わせて、紙皿をはさみで切ります。
3.段ボールの上に紙皿と紙コップを置きます。
4.紙コップを中心にして好きな動物の絵をかきます。
5.紙皿を取り外します。
6.紙コップのフチを切り落とします。
7.紙コップに八等分の切り込みを入れて、外側に広げていきます。
8.紙コップを顔の中心の下の部分に鈴をつけたらできあがりです。
<製作のポイント>
子どもたちとどんな動物を作るか話したり、同じ紙皿をいくつも作ったりしてみましょう。コンパスで事前に線を引いておくと、製作がスムーズに進みそうです。
<遊び方・遊ぶときのポイント>
投げた輪による絵合わせの完成度で得点を競います。
あらかじめ、段ボールには線を引いておき、輪の目がどこの位置なら得点が入るというルールを作っておくとよいでしょう。同じ絵皿のものを何枚か作り、その枚数に合計の得点数で競うと楽しめそうです。(詳しい作り方はこちら)
製作遊び
冬や寒い時期をテーマに製作をしてみましょう。
段ボールでコマづくり
段ボールを使って作って遊べるコマ作りをしてみましょう。
<用意するもの>
- 段ボール
- つまようじ
- マスキングテープ
- 接着剤
- はさみ
<作り方>
1.段ボールを細長く切ります。
2.段ボールの片面に接着剤を付けます。
3.段ボールを巻きます。
4.段ボールの真ん中につまようじをさします。
5.マスキングテープを貼ってコマを装飾すればできあがりです。
<作るときのポイント>
段ボールは厚く子どもが切りにくいので、保育学生さんが行なっておきましょう。つまようじの刃先を友だちに向けないよう約束をしておきましょう。(詳しい作り方はこちら)
バブルアート
絵の具と泡を使ってバブルアートをしてみましょう。
<用意するもの>
- 水
- 絵の具
- ストロー
- 画用紙(白、黄色)
- はさみ
<作り方>
1.水を用意し、絵の具を混ぜます。
2.ストローを使って泡立てます。
3.泡に画用紙を付けます。
4.何色も絵の具を泡立たせて、同じように画用紙に泡を付けます。
5.泡の跡がたくさんついたら、画用紙を星形にカットしてあらかじめ作っておいた星を付ければできあがりです。
<作るときのポイント>
好きな色を子どもたちが選ぶと、いろいろな色のバブルアートができそうです。星も個数を決めずに貼り付けるとオリジナリティがある作品になるでしょう。(詳しい説明はこちら)
紙コップロケット
紙コップでロケットを作ってみましょう。
<用意するもの>
- 紙コップ 2個
- 輪ゴム 2本
- 画用紙
- はさみ
- のり
- ペンなど
<作り方>
1.紙コップの飲み口に4カ所切り込みを入れます。
2.2本の輪ゴムを一つにまとめて、切り込みにかけます。
3.画用紙を貼ったり、ペンで模様を描いてロケットの本体を装飾します。
4.もう一つの紙コップを発射台にしてできあがりです。
<作るときのポイント>
発射台も、画用紙を貼ったり絵をかいたりしてもよいでしょう。切り込みの長さがわかりにくい場合、あらかじめ線を書いておくと、子どもたちも切りやすくなるかもしれません。(詳しい説明はこちら)
冬の寒い時期に保育園で室内遊びをするときのポイント
冬の寒い時期でも、保育園で楽しく室内遊びをするためのポイントを2つ紹介します。
年齢やできることに合わせて援助の仕方を変える
同じ遊びであっても、やり方や援助の仕方を変えるだけでどの年齢でも楽しく遊べるかもしれません。乳児クラスであれば、風船遊びや玉入れなど一人でも楽しめるものにしたり、幼児クラスの子どもたちであればサーキット遊びのように全身を動かしたり、集団で遊べるような楽しめるものを設定し、年齢に合った援助をするようにしましょう。
運動遊びは広いスペースで行なう
運動遊びのように、動いて遊ぶときはなるべくホールなどの広い場所で行なうとよいでしょう。部屋で遊ぶ場合には、できるだけ広いスペースを用意し危険のないように行なうことが大切です。
冬に保育で取り入れられる室内遊びのアイデアを知って役立てよう
今回は、冬に室内で遊べるアイデアや製作のやり方などを乳児幼児クラスに分けて紹介しました。
戸外に出なくても、マット遊びやコロコロドッチボールなど身体を動かして遊べる運動遊びがあります。ほかにも、シルエットクイズやじゃんけん列車など集団で楽しめるゲーム性にある遊び、冬にぴったりなペンギンやコマなどの製作遊びなどもさまざまです。
今回の記事で紹介した保育活動に取り入れられる遊びを参考にしながら保育実習や入職に役立ててみてくださいね。