保育園の遠足について、準備すべきことや当日の流れが分からず、悩む保育学生さんや新卒保育士さんもいるでしょう。遠足を心待ちにしている子どものためにも、十分に楽しめるように工夫したいですね。今回は、保育園の遠足のねらいや準備すべき内容をまとめました。また、保育士の持ち物や配慮するポイントも紹介します。
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■目次
保育園の遠足とは?
保育園の遠足とは、自然公園や動物園など普段のお散歩とは異なる場所に出かけて、子どもたち皆でいっしょに遊ぶ屋外活動です。いつもと違う場所で過ごすことで、子どもは特別な雰囲気を感じられたり、友だちや保育士さんと仲を深めたりできるでしょう。
また、バスでの過ごし方を知るなど、社会のルールを学ぶ機会にもなるかもしれません。
まずは、保育園で行われる遠足の種類とそれぞれのねらいを見ていきましょう。
保育園で行う遠足の種類とねらい
保育園の遠足の内容やねらいは、実施する季節と行先によって異なるようです。それぞれくわしく紹介します。
春の遠足
春の遠足は、新年度になり新しいクラスで過ごす子どもたちが、友だちや保育士さんと関係を深めるきっかけになる行事でしょう。
春の遠足のねらいとして、以下が挙げられそうです。
- 新しいクラスの友だちや保育士と関係性を深め、楽しく過ごす
- 春の心地よい気候の中で身体を動かして遊ぶ
特に新入園児がいる場合、新卒保育士さんは遠足とはどのようなものかを伝えることから始めましょう。
子どもが楽しみにできるように歌を歌ったり、絵本を読んだりして導入することが大切かもしれません。
秋の遠足
クラスが編成されてから半年が経つ秋の時期は、子ども同士の仲が深まっている頃でしょう。また、過ごしやすい気候になるため2回目の遠足を予定する保育園も多いようです。
子どもの興味や関心を踏まえて、動物園や水族館といった施設に行くこともあるかもしれません。
秋の遠足には、以下のようなねらいがあるでしょう。
- 仲のよい友だちとのかかわりを楽しむ
- 公共の場でのマナーを知る
公共の場に行く際には、大きな声でしゃべらない、人の多いところで走らないなど社会的なルールについて伝えることが大切ですね。
親子遠足
保育園によっては、春の遠足の代わりに親子遠足を実施する場合もあるでしょう。保護者との親睦を深めるとともに、園で楽しく過ごしている様子を伝える役割もあるようです。
親子遠足のねらいには、以下が挙げられるでしょう。
- 家族での交流を楽しむとともに、園での様子を見てもらう
- 友だちや家族との親交を深める
親子遠足には保護者の協力が必要となるため、事前におたよりや口頭で、遠足への参加や持ち物の準備などをお願いしておくことが大切ですね。
お別れ遠足
3月の学期末になると、お別れ遠足を行う保育園もあるようです。クラスごとに行くパターンや、3歳・4歳・5歳の縦割りで参加するパターンなど園によってさまざまでしょう。
お別れ遠足には、以下のようなねらいが挙げられます。
- 1年間ともに過ごした保育士や友だちと交流し、思い出を作る
- 園外活動に参加し、進級に向けて自信をつける
新卒保育士さんは友だちと遊べる時間を十分に設けたり、遠足のなかで「かっこいいおにいさん、おねえさんになろうね」と、進級に向けて意欲を持てる声かけを行ったりするとよいかもしれません。
保育園の遠足で当日までに準備すること
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遠足に行くまでに保育士さんが準備すべきことを流れに沿って解説します。
1.行き先決め
まずは、遠足の行き先を決めましょう。「みんな恐竜ごっこが好きだから、自然博物館に行こう」など、子どもたちの興味や関心に合った行き先を考えられるとよいですね。
他にも、気温や移動方法、安全性などを考慮することが大切です。
主な行き先として、以下の場所が挙げられるでしょう。
- 動物園
- 自然公園
- 水族館
- アスレチック
- 博物館
行先が決まったら、バスの手配をしたり施設に問い合わせをしたりする必要があります。また、雨天の場合の変更点や、途中で雨が降ったときの対応も考えておきましょう。
2.下見
行き先の目途が立ったら、新卒保育士さんは下見をしに行きます。
その際、以下のポイントをチェックしておくとよいでしょう。
- 目的地までの経路・所要時間
- 混雑状況
- トイレの様子(乳児の場合、おむつ交換が可能であるか)
- 危険箇所
- バスの駐車場
- 集合・点呼の場所
- 写真撮影のスポット
- お弁当を食べられる広い場所
子どもが安全に楽しめる場所であることを確認し、当日の流れをイメージしながら各スポットを見て回りましょう。可能であれば写真を撮っておくと、下見に行っていない保育士さんにも現場の様子を共有しやすくなりますね。
3.当日の流れ・役割決め
下見の情報をもとに、遠足当日の流れを考えましょう。当日の移動ルートや新卒保育士さんが話をする場所、トイレに行くタイミングなどに配慮することが大切です。
当日の流れを決定したら、以下のように参加する保育士さんの役割を決めておきます。
保育士の役割 | 内容 |
---|---|
先頭での引率係 | 子どもたちの先頭を歩き、目的地まで誘導します。旗などの目印を持ちながら、全体の様子をしっかり把握しましょう。 |
人数確認係 | 子どもの名簿を持ち、点呼したり人数確認をしたりする役割です |
救急係 | 子どもの体調不良や、ケガの対応を行います。消毒液やガーゼなどの救急セットを持ち歩きましょう。 |
写真係 | 子どもが楽しんでいる様子や、集合写真を撮影する役割です。 |
タイムキーパー係 | 遠足がスケジュール通りに進むように、時間の管理を行います。 |
このような係を設定し、それぞれの保育士さんに当日の動きをお願いしておきましょう。係のない保育士さんはトイレ介助や子どものフォローに回るとよさそうです。
その場の状況に応じて臨機応変に対応するために、子どもの動きをよく見ておくとよいかもしれませんね。
4.しおりの作成
流れが決定したら、遠足のしおりを作成します。
しおりは子どもの期待感を引き出したり、保護者が遠足のことを把握したりする手引きの役割があるようです。
行先の説明や当日の流れ、持ち物などを書いておきましょう。
また、施設のマップや、遠足当日に歌う曲の歌詞を記載しておくとよいかもしれません。
5.保護者へ周知
しおりとともに、おたよりを作成して保護者への連絡を行います。
以下、おたよりの作成例です。
集合時間のような大切な連絡は、おたよりでの周知と口頭での声かけの両方を行うと、保護者の方にも意識してもらいやすくなるでしょう。
6.レクリエーションの企画
遠足でバスを利用する場合は、移動中も楽しく過ごせるようにバスレクを企画するとよさそうです。
目的地に合わせて、クイズや手遊び、なぞなぞなどを取り入れられると子どもの期待感を高められるかもしれませんね。
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保育園の遠足当日のスケジュール
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では、遠足当日の流れを見ていきましょう。
1.園に集合
園に集合したら、子どもの顔色や様子から健康状態をチェックして、点呼をしましょう。
遠足への期待感が高まる様子に寄り添えるよう、「楽しみだね」「お弁当何かな」などと声かけできるとよいですね。
2.約束ごとの確認
遠足は園から出て活動するため、お花はつまない、走らないなど社会的なルールを確認する必要があります。
また、バスに乗る場合は子どもの安全を守るために、「窓から顔を出しちゃバツだよ」など適切な声かけをしておくことが大切です。
3.園を出発
出発する前に子どもの人数をしっかりと数えましょう。事前に名簿を作成しておくと、チェックもスムーズかもしれません。
バスに乗るときは、運転手さんや園に残った保育士さんなどに挨拶を行い、なごやかな雰囲気で出発するとよいですね。
4.目的地に到着
目的地に到着したら改めて子どもの人数を確認し、全員揃っていることを確かめます。
コーナーによってはトイレがないことも考えられるため、トイレに行く時間をしっかり設けることが大切です。
5.見学
準備が整ったら、できるだけスケジュール通りに見学を進めていきます。
引率係の保育士さんが先頭を歩き、他の保育士さんは列の中間や最後尾で子どもの様子を見守りましょう。
見学中は他のお客さんの迷惑にならないよう、通路の端のほうに寄って立ち止まったり、騒ぎすぎないよう注意したりといった配慮が必要です。
また、途中ではぐれてしまう子どもが出ないように、適宜人数の確認を行いましょう。
6.レクリエーション・お弁当
見学を終えたらお弁当を食べます。
お弁当を食べる前に手遊びや歌を歌うなど、簡単なレクリエーションを行うこともあるようなので、落ち着いて行うためにも開けた場所へ移動するとよいかもしれません。
食べる前にはおしぼりで手を拭くように促すなど、衛生面にも配慮しましょう。
また、新卒保育士さんはお箸を忘れた子どものために、あらかじめ予備の割り箸を持っておくとよいかもしれませんね。
7.自由時間
お弁当を食べ終わった子どもから、自由に遊んで過ごします。
こまめに全体の人数を確認しておき、危険な場所には行かないよう新卒保育士さんは目を離さないことが大切です。
8.園に到着
しっかり遊んだあとは、安全に留意して保育園に戻ります。移動する前にトイレの時間を確保するとともに、必ず人数の確認をしておきましょう。
園に到着したら1日の振り返りを行い、楽しかったことや思い出に残っていることを話し合えるとよいかもしれません。
遠足のあとは疲れていることが予想されるため、室内でゆったり過ごすようにしましょう。
保育園の遠足で役立つ保育士の持ち物
ここでは、新卒保育士さんが遠足に持っていく持ち物をまとめました。
- お弁当
- ビニールシート
- 割り箸
- 笛
- 携帯電話
- 名簿
- 救急セット
- カメラ
- タオル
- ビニール袋
- 帽子
- ハンカチ、ティッシュ
遠足に持っていくバッグは、両手が使えるリュックサックが適しているようです。持ち物は遠足の行先や活動内容に合わせて調整しましょう。
また、緊急の時に備えて、園や施設、バス会社などの連絡先を携帯電話に登録しておくと役立つかもしれません。
保育園の遠足で保育士が配慮するポイント
最後は、保育園の遠足で保育士が配慮すべきポイントについて紹介します。
事前準備に力を入れる
子どもが遠足を思いきり楽しめるように、新卒保育士さんはあらかじめトイレの場所を確認するなど、事前準備をしっかり行うことが大切です。
また、保護者がお弁当などの持ち物を忘れたり、集合時間を間違えたりしないように、おたよりや口頭で繰り返し連絡しておきましょう。
雨天の場合のスケジュールも考える
遠足を予定していた日が雨天になることも考えられます。
楽しみにしていた遠足が中止になり、ショックを受けてしまう子どももいるかもしれません。代わりに園で遠足ごっこを行うなど、雨天の場合のスケジュールや遊びも決めておきましょう。
子どもの安全に気を配る
例えば、動物園では子どもが柵を登って檻の中に入ってしまうなど、園では考えられないようなトラブルが発生することも考えられます。
新卒保育士さんはこまめに子どもの様子を確認したり、必要に応じて「これはバツだよ」と声かけしたりするなど、安全に気を配ることが大切です。
保育園の遠足のねらいや配慮を知り、当日に活かそう
今回は、保育園の遠足のねらいや流れ、準備などを紹介しました。
保育園の遠足には、友だちや先生と仲を深めたり、社会規範を身につけたりするといったねらいがあるようです。新卒保育士さんは、行先を検討して下見をする、しおりを用意するなどさまざまな準備が必要でしょう。
当日に配慮すべきポイントとしては、こまめな人数確認や見守りなどが挙げられます。保育園の遠足の準備や流れについて知り、入職後や保育に役立ててみてくださいね。