春の製作のテーマとして、桜を取り入れたいと考えている学生さんもいるかもしれません。子どもと簡単に作れるスタンプの花びらや、立体的な壁面飾りなどの作り方を知っておけば、実習や入職後に子どもといっしょに作れるでしょう。今回は、桜の製作のねらいと、乳児・幼児クラスに分けた年齢別のアイデアをまとめました。
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保育園で桜の製作をするねらい
保育園では、春の製作活動に桜をモチーフにしたアイデアを取り入れることがあるでしょう。 桜の製作をすることで、子どもたちが身近にある桜の木やお花見行事などに親しみを持つ機会になるかもしれません。
まずは乳児・幼児クラスそれぞれのねらいを見ていきましょう。
乳児クラスにおけるねらい
- 桜の製作を通して、春の季節を身近に感じる
- 桜の花や花びらの形を学ぶ
- いろいろな素材に触れながら桜の製作に取り組む
桜の製作を通して、「桜はこんな色なんだ」「花びらはこんな形なんだ」と学ぶきっかけになるかもしれません。子どもが関心を持てるような声かけをしながら、製作を援助できるとよいですね。
幼児クラスにおけるねらい
- 絵の具や折り紙などさまざまな材料を使って桜の製作に取り組む
- 桜が春の花であることを認識し、四季にちなんだ植物に興味を持つ
- 桜の製作を通して、友だちと協力して作ったり作品を見せ合ったりするなどコミュニケーションを活発にする
さまざまな技法を用いて桜を表現することで、新しい素材や材料に触れるきっかけにもなるでしょう。製作したあとは作品を飾ったり見せ合ったりしながら、子ども同士のコミュニケーションを促せるとよいですね。
桜の製作の導入方法
桜の製作をする前に、どのような導入をすれば子どもたちを惹きつけられるのでしょうか。
桜にちなんだ絵本を読み聞かせる
製作の導入として、桜にちなんだ絵本や紙芝居の読み聞かせをするという方法があります。
話のなかで桜の花の形や色に触れたり、「ひらひら」と舞う様子を知ったりすることで、製作の参考になるかもしれません。「みんなは桜の花って知っているかな?今日は桜の花を折り紙で作ってみようと思うんだけど、その前にこのお話のなかの桜を見てみようか」といった声かけから読み聞かせを始めると、子どもたちを惹きつけられそうです。
身近にある桜を観察してみる
製作の導入として、事前に身近にある桜を観察するものよいでしょう。
園庭遊びや散歩のなかで桜を探し、本物の花の形や色を見てイメージを膨らませることで製作に活かせるかもしれません。
また、実際に花を手に取って、観察したり感触を楽しんだりするのもおもしろそうです。「桜の花は5枚の花びらからできているんだね。あとで作ってみようか」など、子どもといっしょに発見を楽しみながら、製作への意欲を促す声かけをしてみましょう。
【乳児クラス向け】桜の製作アイデア
保育園の子どもたちと楽しめる桜の製作のアイデアを紹介します。まずは、乳児クラス(0歳児・1歳児・2歳児)向けの例です。
桜の貼り絵
0歳児から楽しめる、桜の貼り絵のアイデアです。
用意するもの
- 画用紙
- のり
- はさみ
作り方
1.濃いピンクや薄いピンク色の画用紙を切って、桜の花びらを何枚か作ります。
2.台紙となる画用紙に、ピンク色や茶色の画用紙をのりで貼って、桜の木を作ります。
3.子どもが好きな位置に桜の花びらをのりづけしてできあがりです。
花びらを用意するところや台紙に桜の木を作る工程は学生さんが行い、花びらを貼る工程は子どもがやるようにしましょう。花びらの数は、子ども1人につき10枚程度を目安とすると華やかな仕上がりになるかもしれません。
廃材を利用したスタンプの桜
トイレットペーパーの芯やペットボトルなどの廃材を利用した簡単なスタンプで、桜を表現してみましょう。
用意するもの
- 画用紙
- トイレットペーパーの芯
- 気泡緩衝材
- ペットボトル
- 紙皿
- 絵の具
- テープ
- はさみ
- カッター
作り方
1.トイレットペーパーの芯に気泡緩衝材を巻きつけ、テープで留めます。
2.底が5角形になっているペットボトルを用意し、底の部分をカッターで切り取ります。
3.台紙となる画用紙に、桜の木の幹の形に切った画用紙を貼るか、絵をかきます。
4.紙皿の上で赤と白の絵の具を混ぜて、ピンク色を作ります。
5.(1)と(2)で作ったスタンプで桜の花を表現してできあがりです。
製作のポイント
この製作では2種類のスタンプを作れるので、それぞれ違った形の桜を表現できます。
乳児クラスで行う場合は、安全に配慮してペットボトルをカットせずに使うか、切り口のところを厚手のテープで覆うなど工夫するとよいでしょう。
手形の桜
手形を使った、かわいらしい桜の製作アイデアです。
用意するもの
- 画用紙
- 絵の具
- ペットボトル
製作のポイント
0歳児や1歳児の援助をするときは、学生さんが子どもの手に絵の具をつけ、やさしく手首を持って手形をとりましょう。2歳児は、自分で手形をとることに挑戦してみてもよいかもしれません。
桜の花は、先ほど紹介したペットボトルの底のスタンプや指スタンプで表現するとかわいらしく仕上がりそうです。また、スタンプで手が汚れることも考えられるので、すぐ手が拭けるよう濡れタオルを手元に用意しておくとよいでしょう。(詳しい説明はこちら)
乳酸菌飲料の容器で桜のスタンプ遊び
乳酸菌飲料の容器を使ったスタンプで、やさしい雰囲気の桜を作ってみましょう。
用意するもの
- 乳酸菌飲料の容器
- ペットボトルのキャップ
- ぶつかり防止のクッションシート
- 紙コップ
- スポンジ
- 絵の具
- 筆
- テープ
- はさみ
- ペン
製作のポイント
1歳児頃からは、自分でインクをつけてスタンピングを楽しめるかもしれません。自由に桜をえがけるよう、大きめの画用紙を用意するとよいでしょう。子どもがスタンプをしたあとに、学生さんが桜の幹や枝などをかき足すとより華やかになりそうです。(詳しい説明はこちら)
【幼児クラス向け】桜の製作アイデア
次に、幼児クラス(3歳児・4歳児・5歳児)向けの桜の製作アイデアを紹介します。
紙コップの桜の木
用意するもの
- 画用紙
- 紙コップ
- トイレットペーパーの芯
- 毛糸
- クリップ
- はさみ
- のり
製作のポイント
3歳児クラスではさみを使い始めたばかりであれば、切り込みを入れる工程は学生さんがやりましょう。
年中や年長クラスで子ども自身が切り込みを入れる場合は、紙を全て切ってしまわないようわかりやすい目印をつけておくとよいかもしれません。できあがった桜の木に小さく切った花びらの形の折り紙を貼れば、よりかわいらしく仕上がりそうです。(詳しい説明はこちら)
桜の切り絵
立体的でかわいらしい、桜の切り絵のアイデアです。
用意するもの
- 折り紙
- ペン
- はさみ
製作のポイント
あらかじめ木の幹をかいた画用紙を用意しておき、できあがった切り絵をいくつも貼って桜を表現するのもよいでしょう。隙間を作らずに貼ると、満開の桜の木のように仕上がるかもしれません。
また、模造紙に子どもたちが切り絵を貼り、その下に自分や家族の絵をかき足せば、「お花見」がテーマの大きな壁面飾りを作ることもできますよ。(詳しい説明はこちら)
桜のメダル
折り紙を使った、桜のメダルの作り方です。
用意するもの
- 両面に色がついた折り紙、もしくは2枚を貼り合わせた折り紙
- はさみ
製作のポイント
3歳児や4歳児クラスで行う場合、折り方が複雑なところやはさみを使う工程は、学生さんが必要に応じて手伝うようにしましょう。
年長クラスでは自分でリボンをつけて首から下げられるようにしたり、ロゼット風にアレンジしたりしてみてもおもしろいかもしれません。(詳しい説明はこちら)
ペーパークイリングの桜
ペーパークイリングとは、紙を細長く巻いて渦巻きのようにするペーパーアートの一つです。この技法を使って、かわいらしい桜の花びらを表現してみましょう。
用意するもの
- 画用紙
- 爪楊枝
- のり
- はさみ
- カッター
製作のポイント
カッターで爪楊枝に切り込みを入れる工程は学生さんがやりましょう。
できあがると、クルクルとした模様がかわいらしい、立体的な花びらになります。作り方に慣れたら、たくさん作って壁に桜を表現すれば、部屋が華やかな雰囲気になりそうですね。(詳しい説明はこちら)
桜の製作をして、子どもといっしょに春を感じよう
今回は、桜の製作のねらいと、乳児・幼児向けのアイデアを紹介しました。
簡単なスタンプで表現する桜や折り紙を使った立体的な桜など、アイデアによって0歳児から年長まで楽しめるさまざまな表現方法があるようです。工程のなかで子どもが難しいと感じるところは、必要に応じて学生さんがフォローするなど、様子を見ながら援助するとよいかもしれません。
桜の製作を通して、子どもたちが春の訪れを身近に感じられるとよいですね。