保育士を目指しているけれどピアノが弾けない、苦手という保育学生さんもいるかもしれません。スキルがなくても保育士資格は取得できますが、弾ければ就職先の選択肢や活躍の機会が増えるでしょう。今回は、保育士に求められるピアノのレベルや練習方法について紹介します。また、演奏で心がけたいこともまとめました。
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■目次
ピアノが弾けないと保育士になれない?
保育士のイメージの一つとして、ピアノを弾きながら子どもたちと歌を歌う場面を思い浮かべることもあるのではないでしょうか。そのイメージから、上手に弾けないと保育士として働けないのではと心配になる学生さんもいるかもしれません。
結論から言うと、ピアノが弾けないと保育士になれないというわけではないようです。 保育士試験では、実技として音楽表現を選ばないこともできるので、弾けなくても保育士資格を取得することは可能でしょう。また、なかにはピアノを保育の場面で使わないという施設や園もあるかもしれません。
ただ、子どもといっしょに音楽の楽しさを共有するために、ピアノは効果的な楽器の一つと言えそうです。保育のなかでピアノが活躍する場面として、以下が挙げられます。
- 子どもといっしょに歌を歌う
- ゲームなどをするとき、伴奏や合図として演奏する
- 朝の会や帰りの会など活動の区切りにピアノを使う
- リトミックの指導に使う
- 生活発表会などで伴奏する
ピアノを弾くことができれば、子どもへの働きかけや保育の幅が広がるでしょう。 そのため、ピアノのスキルは保育士資格を取得するためには必要でなくても、保育現場では活躍する場面が多いため、弾けるほうがプラスになると言えるかもしれません。
保育士に求められるピアノのレベル
では、実際に保育士に求められるピアノのレベルは、どの程度のものなのでしょうか。
バイエルを修了している
バイエルとは、ピアノ初心者向けの入門書です。バイエルを習うことで、楽譜の音符や記号を読んだり、「右手がメロディー・左手が伴奏」という演奏のしかたを学んだりと、基本的なスキルを身につけられるようです。
修了すれば、童謡や子ども向けの歌の伴奏ができるレベルには十分到達すると言われています。ピアノが必修科目に含まれている保育士養成校では、バイエル修了で単位取得としているところも多いかもしれません。また、採用試験としてバイエルのなかから課題曲の演奏を求める園もあるようです。
弾き歌いができる
園によって求められるレベルは異なるようですが、「弾き歌い」がある程度できていれば就職可とするところもあるようです。
音楽の楽しさを伝えるためには、保育士さん自身がピアノを弾きながら歌うスキルも必要になるでしょう。ただし、実際には両手で完璧に弾くことができなくても、たとえば片手で簡単な伴奏をつけたり、主旋律の音だけ鍵盤を押して教えたりすれば、子どもたちは十分楽しく歌えるかもしれません。
ピアノが苦手な保育学生のための練習方法
ピアノ未経験の方や苦手意識がある方であっても、根気強く練習すればスムーズに弾けるようになるかもしれません。ここでは、保育学生さんがピアノの上達を目指すための練習方法を紹介します。
ピアノ教室に通う
ピアノ教室に通ってプロに習うのが、上達への近道と言えるかもしれません。教室では、講師に基礎から丁寧に教えてもらえるでしょう。
また、なかには「保育士コース」など、保育士さん向けに季節の歌や楽譜、レベルを考えたコースを設けている教室もあるようなので、確認してみるとよいですね。
自宅で練習する
ピアノ教室に通う時間やお金が心配な場合は、自宅で練習することも一つの方法と言えます。
たとえば子ども向けの教本を自身で用意して勉強したり、キーボードを使っていろんな曲に挑戦したりすれば、独学でも十分レベルアップを目指せるでしょう。また、動画を見ながら運指のしかたを学ぶのも、感覚を覚えるためによい方法かもしれません。ピアノの練習動画として、以下のページを参考にしてみてくださいね。
参考動画:【保育士試験】ピアノ講座「どんぐりころころ」/保育士バンク!
ピアノを弾けない保育学生が練習するときのポイント
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次に、ピアノを上手く弾けない保育学生さんが練習するときのポイントを紹介します。
片手ずつ練習する
基本的に、ピアノを弾く際は右手と左手がそれぞれ異なる運指になるため、最初から両手で弾くのは難しいかもしれません。そのため、片手ずつ運指を練習しましょう。
まずは右手の主旋律を楽譜通りに弾けるようになってから、左手のみで伴奏の練習をし、最後にゆっくり両手で合わせるといったように進めるとよさそうです。
弾きやすい工夫をする
自身が弾きやすいように、譜面や鍵盤に目印や記号をつけるといった工夫をするのもポイントの一つと言えるでしょう。
たとえば楽譜をスムーズに読むことに慣れていないうちは音符に「ドレミ」を書き込んだり、キーボードの「ド」の位置にシールなどを貼って指の位置の感覚を覚えたりすれば、より弾きやすくなるかもしれません。
難易度の低い曲から練習する
ピアノが苦手な方や未経験の方は、自身が弾き歌いしやすい曲や簡単な伴奏の曲など、難易度の低いものから選んで練習することも大切なポイントです。
曲や伴奏が難しい場合、ピアノの演奏に精一杯になってしまい、実習などで子どもたちの様子をうかがえないことも考えられるでしょう。
まずは簡単に演奏でき、自身が子どもたちといっしょに歌えそうだなと感じる曲を選んで練習するとよいですね。
季節に合った曲を選ぶ
練習曲として、季節に応じた定番の童謡を選ぶと現場で役立つかもしれません。保育園では、季節に親しみをもつためにその時期ならではの童謡を歌うことも多いようです。
たとえば春なら「チューリップ」、秋なら「どんぐりころころ」など、保育園や幼稚園で歌われそうな曲を練習しておけば、実習の現場でもスムーズに弾けるかもしれません。
ピアノを弾けない保育学生が演奏で心がけるとよいこと
ピアノができない場合でも、演奏するときに心がけるとよいことを紹介します。
楽しむ気持ちを優先する
ピアノを演奏するときは、上手に弾くことよりも子どもたちと音楽を楽しむ気持ちが重要と言えるでしょう。
ピアノは音楽の楽しさを伝えるためのアイテムの一つです。苦手だから、上手に弾けないからと消極的にならずに、簡単な伴奏でも大きな声で明るく歌うことを心がけましょう。そうすることで、子どもたちも「先生といっしょに歌うと楽しいな」と感じてくれるかもしれません。
最後まで弾ききる
ピアノの演奏が上手くできないことへの緊張やプレッシャーで、間違えたりつっかえたりすることもあるかもしれません。しかし、そのままテンポを崩さず続けて、最後まで弾ききることを心がけましょう。
途中でピアノを弾く手を止めてしまうと、一生懸命歌っている子どもたちの意欲が下がってしまうことも考えられます。少し間違えたとしても、自信をもって弾ききれば、子どもたちも最後まで歌いきることができ、やりきった達成感が次への自信につながるかもしれませんね。
どうしてもピアノが弾けない場合はどうする?
頑張って練習したけれど、どうしても弾けないという保育学生さんもいるかもしれません。その場合、どうすればよいのでしょうか。
ピアノが弾けなくてもよい園で働く
どうしてもピアノの演奏ができない・苦手という場合は、ピアノのスキルが必要ない施設や園に就職するのも一つの方法です。
なかには、童謡を歌うときにピアノを使わず、CD音源を使っている園や、アカペラ・手拍子だけで歌う園もあるようなので、就活の際に情報をチェックしてみましょう。 また、園見学に参加すれば、その園で必要なピアノのスキルについて尋ねられるかもしれませんね。
ピアノ以外の楽器も活用する
ピアノが苦手な保育士さんのなかには、代わりにギターやアコーディオンなど別の楽器を使って子どもたちと歌う保育士もいるようです。 また、ピアノは他の先生が弾いて、自身は歌や振り付けを担当するなど、職員同士で連携しながらそれぞれの得意分野でカバーする方法もあるでしょう。
他の楽器を使う場合でも弾き歌いができるレベルは求められるかもしれないので、自分のスキルに合った楽器を選ぶとよいですね。
ピアノが弾けないとしても保育士の夢を諦めず、上達を目指そう
今回は、ピアノが弾けない保育学生さんに向けて、練習方法や演奏で心がけるとよいことなどを紹介しました。
保育士になるうえでピアノのスキルは必須ではないようですが、弾けるようになっておくと就職先の選択肢が広がり、活躍の場面も増えるかもしれません。未経験でもピアノ教室や独学で練習することで、上達を目指すこともできるでしょう。
ピアノが弾けないからと言って保育士になる夢を諦めず、気軽に練習することから始めてみてはいかがでしょうか。