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保育園でできるアレルギー対応。保育士が覚えておきたいガイドラインに基づく緊急処置

保育園でのアレルギー対応がわからず、不安に思う保育学生さんも多いでしょう。実習先の園に、アレルギーを持つ子どもがいる可能性もあるため、事前に注意点がわかると安心ですね。今回は、ガイドラインに基づいて緊急時の対応方法などを解説します。入職してからも役立つように、アレルギー対応の流れもまとめました。

アレルギーを持つ子ども

aslysun/shutterstock.com



アレルギーとは

そもそもアレルギーとは、本来反応する必要のないものにまで過剰に免疫機能が反応し、かえって身体にとってよくない症状が発生することです。

免疫反応は、菌やウイルスなどの外敵から身を守るために働きますが、花粉や食物のように本来であれば無害な物質にまで反応してしまうことがあります。


アレルギーによる疾患や症状にはいくつかの種類があるので、くわしく見ていきましょう。



気管支ぜん息


チリやダニなどに対するアレルギー反応により、気道が炎症で狭くなってしまう疾患です。


おもにゼーゼー、ヒューヒューのような呼吸音や、激しい咳などが起こります。



アトピー性皮膚炎


ダニや洗剤、生活リズムの乱れなどさまざまな要素が原因で、皮膚に赤みやかゆみなどの炎症が起きる疾患です。


顔や首などに現れることが多いようですが、酷くなると全身に広がることもあります。



アレルギー性結膜炎


ハウスダストや花粉などのアレルゲンにより、目のかゆみや目ヤニなどが発生する疾患です。


プールの塩素で症状が酷くなったり季節によってかゆみが強くなったりするため、場合によっては保育園でもアレルギー性結膜炎の子どもに対する配慮が必要になるでしょう。



アレルギー性鼻炎


ハウスダストや花粉などによって、くしゃみや鼻水などが起こる疾患です。


子どもによってはアレルゲンである花粉が飛ぶ季節になると、戸外活動を行うことで症状が酷くなってしまう場合もあると言われています。



アナフィラキシーショック


アレルギー反応によって血圧が下がったり、意識レベルが低下したりしてしまう状態のことをアナフィラキシーショックと呼びます。

アナフィラキシーショックは、すぐに処置しなければ生命にかかわることもある危険な状態です。


ほとんどの場合、アレルゲンである食物の摂取が原因ですが、医薬品や昆虫の刺傷が影響することもあると言われています。



食物アレルギー


食物アレルギーは特定の食物を摂ることで起きる、じんましんや息苦しさなどの症状のことを指します。


保育園は学校と比較して食事の提供回数が多いと言われているため、食物アレルギーに対してしっかりと対応することが重要です。

そこで、今回はさまざまなアレルギーのなかでも食物アレルギーについてくわしく解説していきます。


出典:4食物アレルギー・アナフィラキシー/文部科学省

出典:保育所におけるアレルギーガイドライン(2019年改訂版)/厚生労働省



保育園で気をつけたい食物アレルギーの原因と症状

一般的な、食物アレルギーの原因と症状を見ていきましょう。



食物アレルギーの原因


食物アレルギーの原因となる、代表的なアレルゲン物質は以下の通りです。

  • 卵:全体の約39%
  • 牛乳:全体の約21%
  • 小麦:全体の約11%
  • 落花生:全体の約5%
  • 果物:全体の約4%
  • 魚卵:全体の約3%

このように果物など一見安全と思える食物でも、人によってはアレルゲンとなる可能性があります。

他にもエビやカニ、そばなどでもアレルギーは起きるので、さまざまな食物がアレルゲンとなることを知っておきましょう。


保育園で食物アレルギーの症状が起きないよう、基本的に子どもがまだ家庭で食べていない食物を提供しない配慮をすることが大切です。



食物アレルギーの症状


食物アレルギーのある子どもは、アレルゲンを摂取するだけでなく、ふれたり吸い込んだりするだけでも発症する場合があります。


原因食物を食べてしまった場合、2時間以内に体調に変化が出ると言われており、主に以下のような症状が起きるようです。

  • じんましんや赤み
  • 腹痛
  • 吐き気
  • 顔やまぶたの腫れ

そのなかでも、意識がもうろうとしたり繰り返し吐いたりするなど、重篤な状態になってしまうことをアナフィラキシーショックと呼びます。

場合によっては生命がおびやかされることもあるので、保育学生さんはこれから新卒保育士として入職するときのために、しっかりと覚えておきましょう。


出典:保育所におけるアレルギーガイドライン(2019年改訂版)/厚生労働省



保育園で行う食物アレルギー対応の流れ

続いて、保育園で行う食物アレルギー対応の流れをまとめました。



食物アレルギーを持つ子どもを把握する


子どもが入園するタイミングで、保護者に食物アレルギーに対する配慮が必要かを確認します。

特別な対応が必要なときは、保護者から申し出てもらうようにお願いしましょう。


事故を防ぐためにも、まずは保育園側で食物アレルギーを持っている子どもを把握することが重要です。

また、アレルギーの程度や症状などについても、くわしく共有してもらいましょう。



アレルギー児のいる家庭には必要書類を配布する


生活管理指導表や個別対応計画書、緊急時個別対応票などの書類を保護者に記入してもらう必要があります。保護者にはかかりつけ医の指導のもと、正確に記載するよう伝えることが大切です。


また、生活管理指導表は医療機関に持参し、医師に直接書いてもらうようにお願いしましょう。

それぞれの書類について、くわしく説明していきます。


生活管理指導表

生活管理指導票

出典:保育所におけるアレルギー対応ガイドライン/厚生労働省から抜粋


保育園での配慮や子どもの状況を正しく把握し、管理するための書類です。


子どものかかりつけ医に記入してもらった後、保護者から保育園へ提出してもらいます。


個別対応計画書

個々の子どもに対して必要な配慮を把握し、園それぞれの実情に応じたアレルギー対応計画を立てるために必要な書類です。


具体的な内容は保育士さんや園長、保護者、嘱託医などとの面談によって決定します。


緊急時個別対応票

緊急時個別対応票

出典:保育所におけるアレルギー対応ガイドライン/厚生労働省から抜粋


子どもにアレルギー反応が起きた場合の緊急時の対応について、保護者が記載する書類です。


アナフィラキシー補助治療剤や内服薬などを預かるときにも必要となります。



保護者と面談する


医師からの指導内容や栄養士の助言をもとに、保育園でのアレルギー対応について話し合いましょう。保護者に家庭での状況を尋ねながら、効果的な対応方法をいっしょに考えたり、すり合わせたりしていきます。


また、安心して子どもを保育園に通わせられるように、園で実施するアレルギー対応を共有するというねらいもあるようです。



園内全体で共有する


自分のクラスだけでなく、保育園全体で食物アレルギーを持つ子どもを把握することで、誤食などの事故を防ぎます。

園全体で、除去対応となる食物や食事の提供時のフローを共有しましょう。


特に、自分の担当するクラスに食物アレルギーを持つ子どもがいるときは、栄養士や調理師と連携しながらマニュアルを作って、クラスに入る職員全員に情報共有することが大切です。



年に一度は再評価する


保育士さんは、年に一度以上は生活管理指導表を更新してもらうように保護者へ伝えましょう。


また、アレルギーが治った場合は除去解除届を出すことで、アレルギー対応を解除することができます。しかし、食物の摂取量が多いと反応することもあるので、除去解除は医師の指導のもと慎重に行う必要があるでしょう。


出典:保育所におけるアレルギーガイドライン(2019年改訂版)/厚生労働省

保育園で行う食物アレルギー対応のポイント

身体がかゆい子ども

MIA Studio/shutterstock.com


ここからは、保育園で食物アレルギー対応を行うときに注意するポイントについてくわしくまとめました。



保護者としっかり連携する


食物アレルギーに対応するうえで、保護者と連携することは欠かせません。


例えば、給食で提供する食材を事前に伝え、提供日までに家で食べてもらうようにしたり、診断結果をこまめに共有してもらったりといった配慮が挙げられます。

その他にも、保護者からアレルゲンとなる食物や、日常生活で気をつけることなどについてしっかりと聞いておきましょう。



緊急時の体制を整える


食物アレルギーを持つ子どもが原因食物を食べてしまうなどして、万が一アナフィラキシーショックが起きたときのために、緊急時の体制を整えておくことが重要です。


アナフィラキシー補助治療剤の使用方法を確認したり、保育士さん同士で役割を明確にしておいたりするなど、事前に話し合ってマニュアルを作成しておきましょう。

実習に参加する保育学生さんは、初日に担当の保育士さんへ対応方法について聞いておくとよいですね。



給食やおやつの時間は注意する


食事を提供するときは、間違えてアレルゲンの入ったメニューを出さないように確認を徹底しましょう。


食物アレルギーを持った子どもが座る場所を決めたり食器の色を変えたりして、一目で見分けがつくように工夫することが大切です。

また、食べるときは隣に保育士さんが座り、誤食防止に努めましょう。



必要最小限の除去を行う


関係ない食物も除去するなど過剰に食事制限を行ってしまうと、子どもの健康に影響を及ぼしてしまう可能性があります。そのため、食物は必要最小限の除去に留めることが大切です。


アレルゲンを除いた除去食以外にも、代わりの食品で作った代替食、お弁当なども活用しながら、子どもの栄養バランスを守りつつアレルギー対応を行いましょう。



ヒヤリハットを共有する


ヒヤリハットとは大きな事故には至らないものの、事故につながりかねない事例のことを指します。

食物アレルギーに関するヒヤリハットなどを報告書にまとめ、保育士さん同士で共有することも効果的かもしれません。


保育学生さんも気になったことがあったら担当の保育士さんへ伝え、場合によっては園全体で共有しましょう。

以下に、ヒヤリハットの報告書の例を紹介します。

【基本情報】

 
  • 記入者:○○ 
  • 事故の種類:ヒヤリハット(誤飲) 
  • 発生日時:〇月〇日 
  • 園児の基本情報:園児名○○ □□クラス 担任○○

【発生時の原因】

原因:未食の食材のチェックが不十分だったことから、本児が初めて食べるナスを給食で提供してしまった。


【発生時の状況】

  • 12:30頃 給食中に本児が喉のかゆみを担任に訴える。
  • 12:45頃 看護師の指導のもと様子を見ていたが、症状の改善が見られないため保護者に連絡してお迎えを頼む。
  • 13:15頃 保護者がお迎えに来て病院を受診。食物アレルギーの可能性があるので、栄養士から給食に使われた原材料を伝える。
  • 15:00頃 保護者から診断結果を聞く。医師から食物アレルギーの疑いがあるとのこと。2日後、血液検査の結果によりナスアレルギーが判明した。

【園児の身体状況】

  • ナスの入ったカレーを食べ、約10分後に口腔内のかゆみを訴えた。
  • 保護者より経過報告を受け、病院で処方された薬を飲むと症状が治まったとのこと。

【今後の予防策】

  • 保育園全体で情報を共有し、本児についてはナスの除去対応を行う。
  • 万が一症状が出たときのため、対応や連絡方法について保護者に確認しておく。
  • 他の園児についても、再度食物アレルギーの有無について確認し、保育園で初めて食べる食物がないように保護者に毎月のメニューを確認してもらうよう周知する。

発生時の状況や予防策をしっかりまとめ、再発防止に努めましょう。


出典:保育所におけるアレルギーガイドライン(2019年改訂版)/厚生労働省

保育士ができる緊急時の対応

最後は、保育士さんが行える緊急時の対応について具体的にまとめました。



救急車を呼び、アナフィラキシー補助治療剤を注射する


アナフィラキシーショックの症状が出たときはすぐに救急車を呼びます。保護者からアナフィラキシー補助治療剤を預かっている場合は子どもの容体を確認したうえで使用しましょう。


アナフィラキシー補助治療剤とは、アナフィラキシーショックになってしまった人が医療機関でただちに治療を受けられないときに、本人や周りの人が投与できるように作られた自己注射薬です。

アナフィラキシー補助治療剤にはアドレナリンが入っており、アナフィラキシーショックを和らげることに役立つと言われているため、適切な状況やタイミングで使いましょう。


しかし、アナフィラキシー補助治療剤を使っても容体が急変する可能性があるので、必ず医療機関にかかることが大切です。



足を頭より高くし、顔を横向きにする


アナフィラキシーショックが起きた子どもを寝かせるときは、足の下にクッションなどを置き、頭より高い位置にしましょう。

足を高くすることで心臓へ血が行きやすくなり、脳の血流の改善も期待できるようです。


また、嘔吐物によって窒息してしまう可能性もあるため、顔を横向きにして寝かせましょう。



一次救命措置を行う


万が一呼吸や心臓が止まってしまったときは、救急車が到着するまでの一次救命措置として、園の職員が胸骨圧迫と人工呼吸を行う必要があります。


胸骨圧迫

胸骨圧迫は心臓の鼓動を戻すための措置で、ひじをしっかり伸ばし、手のひらの一番硬い部分を胸の間に当て、1分間に少なくとも100回のリズムで約5㎝沈むように押しましょう。

胸骨圧迫のリズムは見知った曲に合わせると間隔を保ちやすいと言われているので、保育学生さんはあらかじめ調べておくとよいかもしれません。


ただし、2歳児未満には力が強すぎてしまうので、人差し指と中指の2本のみで力を加えます。


人工呼吸

胸骨圧迫を30回行った後は人工呼吸を行います。子どもの顎を上向きにして気道を確保してから、子どもの鼻と口を自分の口で覆い、息をしっかり吹き込みましょう。

2回人工呼吸をした後はもう一度胸骨圧迫を行うというように、救急車が来るまで胸骨圧迫と人工呼吸を繰り返します。


AEDを確保できるときは使用法に基づいて用い、効果的に一次救命処置を進めましょう。



緊急性がない場合も5分ごとに観察する


誤って原因食物を食べてしまったものの目立った症状が出ないという場合でも、後から容体が急変する可能性があります。そのため、少なくとも摂取してから1時間は5分ごとに容体を観察し、アナフィラキシーショックが起きても対応できるように備えておきましょう。

また、皮膚のかゆみなどの軽い症状でも治らないときは、保護者へ連絡して医療機関を受診すると安心かもしれません。


出典:保育所におけるアレルギーガイドライン(2019年改訂版)/厚生労働省

保育園でのアレルギー対応を覚えてから、保育士の実習に参加しよう

今回は、保育園でのアレルギー対応について、厚生労働省のガイドラインに基づき紹介しました。


アレルギーは、身体の免疫機能が異常に反応してしまうことを言い、食物アレルギーやアレルギー性結膜炎などさまざまな種類があります。

特に食物アレルギーはアナフィラキシーショックが起きる可能性が高いので、保育士さんはマニュアルを作成したり保護者に書類を提出してもらったりと、しっかり対応することが大切です。


保育学生さんは万が一のためにアレルギー対応について覚え、担当の保育士さんにも対応方法を確認してから実習に参加するようにしましょう。