保育士・幼稚園教諭を目指す「学生向け」就職活動情報サイト

保育園で流行る6月の感染症とは?子どもがかかりやすい病気の種類や予防策

6月は気温が高くなり、保育園で感染症が流行しはじめる時期と言われています。新卒保育士さんのなかには、どのように子どもたちを病気から守ったらよいのか心配な方もいるでしょう。今回は、6月からに流行する子どもの感染症について紹介します。病気の種類や症状、予防策を把握して、保育園での感染を防ぎましょう。

鼻をかむ女の子

aslysun/shutterstock.com



6月に保育園で流行りやすい感染症を知ろう

保育士さんが気になる子どもの感染症。

そもそも子どもは大人に比べて免疫力が低いため、感染症にかかりやすいと言われています。


なかでも、保育園は子どもが同じ空間で長時間過ごし、ふれ合うことがことが多いため、病気が流行しやすい環境にあるでしょう。


さらに初夏ともいえる6月は気温が上がり、ヘルパンギーナや手足口病などにかかる子どもが急激に増加する時期と言われています。そんな6月にはどんな感染症に気をつけ、どう予防したらよいのでしょうか。


今回は、入職1年目の新卒保育士さんに向けて、厚生労働省の資料をもとに6月に子どもがかかりやすい感染症の種類と保育園でできる予防策を紹介します。感染経路や症状などを知り、子どもたちを感染症から守りましょう。



6月に子どもがかかりやすい感染症には何がある?

6月に子どもがかかりやすいとされる感染症について、症状や感染経路などをまとめました。



ヘルパンギーナ


ヘルパンギーナとは、主にコクサッキーウイルスを原因として罹患する感染症です。1歳から4歳くらいまでの乳幼児がかかりやすいとされています。


症状

38度~40度程度の高熱が出るほか、のどの痛みなどが現れます。また、のどの粘膜に特有の水ぶくれができるのも特徴です。


発熱症状は1日から3日程度続き、のどの痛みのほか頭痛や食欲不振、全身の倦怠感なども発症すると言われています。


感染時期・経路

ヘルパンギーナは、春から夏にかけて流行するとされる、夏かぜの代表的な病気の一つです。

主な感染経路は、飛沫感染、経口感染、接触感染で、病気にかかったばかりの時期はのどからウイルスが排出されるため、咳をしたときの飛沫によって感染することもあります。



手足口病


手足口病とは、コクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71(EV71)などさまざまなウイルスが原因となる感染症です。主に5歳未満の乳幼児がかかりやすいと言われています。


症状

主な症状として、口腔粘膜や手足の末端などに2~3mm程度の水泡性発疹が現れます。発症者の約3分の1の割合で発熱が見られますが、高熱になることはほとんどありません。


また、まれに髄膜炎や脳炎などの合併症を発症することもあると言われています。


感染時期・経路

流行時期は春から夏にかけてです。

主な感染経路は、飛沫感染、経口感染、接触感染で、咳がでたときの飛沫や便からも感染します。また、症状が出た最初の週の感染力が最も強いようです。



咽頭結膜熱(プール熱)


咽頭結膜熱とは、アデノウイルスに感染することで発症する小児に多い病気です。


症状

38度から39度の高熱が出ることが特徴です。

ほかにも、のどの痛みや結膜炎などの症状が現れます。


感染時期・経路

通常、6月頃から流行し始め、7月から8月にかけて感染のピークを迎えます。


主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。プールでの接触やタオルの共用などで感染することもあるため、別名プール熱とも呼ばれています。



感染症胃腸炎(食中毒)


食中毒は、細菌やウイルスなどがついた食品や水を摂取することで発症する感染症です。


夏は気温や湿度が高いため、腸管出血性大腸菌O-157やサルモネラ菌、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌など細菌系の病原体を原因とする食中毒が流行りやすくなります。


症状

病原体によって、食品を口にしてから発症するまでの期間や症状は異なります。

しかし、たいてい腹痛や下痢、吐き気、発熱、頭痛などの症状が発症するようです。


感染時期・経路

細菌系の食中毒は、気温や湿度が高くなる夏の時期に流行しやすくなります。

主な感染経路は、十分に加熱されていない肉や魚、飲料水や野菜などを口にすることによる経口感染、接触感染です。



流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)


流行性耳下腺炎は、ムンプスウイルスを原因とした感染症で、主に3歳から6歳の子どもがかかりやすいと言われています。


症状

主な症状は、発熱と耳下腺と呼ばれる耳の下部付近にある唾液腺の腫れです。発症後1日から3日後にピークを迎え1週間程度で腫れは治まります。


一般的におたふくかぜとも呼ばれ、場合によっては無菌性髄膜炎や難聴などの合併症を発症することもあるようです。


このウイルスに感染した場合、1歳児では症状が出るのが20%程度ですが、4歳以降は90%程度症状が出ると言われています。


感染時期・経路

おたふくかぜは数年おきに流行を繰り返しており、冬から初夏にかけて流行りやすい病気です。


症状が発症する前から感染者の唾液の中にウイルスが排出されており、主な感染経路は唾液を介した飛沫感染や接触感染になります。



流行性角結膜炎


流行性角結膜炎とは、伝染性の角膜炎と結膜炎が合併して発症する眼の伝染病です。アデノウイルス8型が主な病原体とされています。


症状

目の充血や目やに、まぶたの腫れなどが主な症状です。

幼児の場合は目に膜が張ることがあり、片方の目で発症した後もう片方の目に感染することがあるとも言われています。


感染時期・経路

年間を通じて発生するものの、プール施設内での感染が多く見られるため、特に夏季に流行しやすいようです。


主な感染経路は飛沫感染や接触感染ですが、塩素消毒の不十分なプールの水やタオルなどを介して感染することもあります。



溶連菌感染症


溶連菌感染症とは、溶血性連鎖球菌を病原体とする感染症です。


症状

扁桃炎や伝染性膿痂疹(とびひ)、中耳炎、肺炎などさまざまな症状が現れます。


扁桃炎の症状として発熱やのどの痛み、リンパ節炎などが生じるほか、舌が苺状に赤く腫れ、全身に鮮紅色の発しんが出るのが特徴です。


また伝染性膿痂疹の症状としては、発症初期に水ぶくれがみられ、化膿したりかさぶたを作ったりします。


感染時期・経路

毎年冬の時期と春から夏にかけての時期に流行します。

主な感染経路は飛沫感染や接触感染ですが、食品を介して経口感染することもあるようです。



百日咳


百日咳は、百日咳菌が原因で感染する病気で、主に乳幼児期の子どもがかかりやすいと言われています。


症状

コンコンと咳き込んだ後、ヒューという笛を吹くような音を立てて息を吸う、特有の咳が特徴です。


発熱することはあまりないものの、連続性、かつ発作性のある咳が長期間続き、夜に眠れないほどの咳がみられることもあります。


生後3カ月未満の乳児の場合、呼吸ができなくなる発作や肺炎、中耳炎などの合併症も起こりやすく、命にかかわることもあるようです。


感染時期・経路

年間を通じて発生するものの、春から夏の時期にかけて流行します。

主な感染経路は飛沫感染や接触感染です。


出典:特集 夏が来る前に備える"子どもの感染症対策"/厚生労働省

出典:保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)/厚生労働省

出典:わかりやすい感染症Q&A/厚生労働省

出典:子どもの食育/農林水産省

出典:「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」/厚生労働省



保育園でできる6月の感染症予防策

手を洗う男の子

maroke/shutterstock.com


ここまで、6月に子どもがかかりやすい感染症を見てきました。

では、保育園での感染を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。ここでは、保育園でできる予防策を感染経路別に紹介します。



接触感染


接触感染とは、細菌やウイルスなどの病原体がついている手で目や鼻、口などを触ることによって、病原体が体内に侵入して感染することを言います。


接触感染する6月の感染症は、主にヘルパンギーナや手足口病、咽頭結膜熱(プール熱)、溶連菌感染症などです。


これらの感染症を予防するには、以下のような対策を行いましょう。


  • 手洗いを徹底する
  • タオルを共同で使用しない(ペーパータオルの使用が望ましい)
  • プールの後にシャワーを浴び、目を洗う
  • 固形石鹸よりも液体せっけんを使用する

また、子どもから保育士さんへ感染するのを防ぐために、子どものおむつを取り替えるときは手袋をするなどの注意も必要です。



経口感染


経口感染とは、病原体に汚染された食品や飲料水を口にしたり、感染者が手にしたものを口にしたりすることで、病原体が体内に入って感染することを言います。


経口感染する6月の感染症は、主に感染症胃腸炎(食中毒)やヘルパンギーナ、手足口病、溶連菌感染症などです。


これらの感染症を予防するには、以下のような対策を行いましょう。


  • 手洗いを徹底する
  • 給食の食材の衛生管理を徹底する(温度管理や熱処理など)
  • 調理器具の洗浄、および消毒

経口感染は基本的に食べ物や飲み物を介することが多いので、給食に使用する食材の管理や調理をしっかりと行うことが大切です。



飛沫感染


飛沫感染とは、感染している人が咳やくしゃみをしたときに口から飛ぶ、病原体を含んだ飛沫を吸い込むことで感染することを言います。


飛沫感染する6月の感染症は、主に流行性角結膜炎や溶連菌感染、百日咳、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)などです。


これらの感染症を予防するには、以下のような対策を行いましょう。


  • 咳エチケットの徹底(マスクの着用や、ティッシュハンカチで口元を押さえるなど)
  • 子ども同士の間隔をあける

保育園は子どもたちが集団で生活しているため、飛沫感染が起こりやすいようです。


ウイルスは咳やくしゃみだけでなく会話によって感染することもあるようなので、子どもが飛沫を浴びないようにパーテーションを設けるなど、保育室内の環境にも気を配る必要がありそうですね。


出典:特集 夏が来る前に備える"子どもの感染症対策"/厚生労働省

出典:保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)/厚生労働省



6月の感染症を知って、保育園でしっかり予防しよう

今回は、6月に流行する子どもがかかりやすい感染症と、保育園でできる予防策を紹介しました。


感染症にはさまざまな種類があり、ウイルスによって感染経路も異なります。

そのため、手洗いやうがいを徹底するといった基本的な予防法以外にも、タオルを共用しないようにしたり、給食の食品管理を徹底したりとさまざまな対策が必要です。


保育園は子どもたちが密集して過ごしているため、接触感染や飛沫感染が起こりやすい環境でしょう。加えて、6月は気温も湿度もあがりはじめ、感染症が流行し始める時期と言われています。


子どもたちを感染から守るためにも、保育園でしっかりと予防対策を行いましょう。

これから就活をはじめる方はこちら 就活ガイド 保育士バンク!新卒に就職相談してみる