梅雨時期の6月は、4歳児の子どもたちにとってなかなか戸外に出られないことが続く季節です。活動内容も考えにくく、月案作成に悩む新卒保育士さんも多いのではないでしょうか。今回は、4歳児クラスで使える6月の月案の文例を紹介します。養護・教育のねらいや援助、安全や健康に関する配慮と月反省の書き方などもまとめました。
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■目次
6月の4歳児クラスの特徴とは?
梅雨入りとともに雨の日が増え、蒸し蒸しとした日が多くなる6月。
保育園の4歳児クラスでは、以下のような子どもたちの姿が見られるかもしれません。
- 梅雨の時期の自然に親しみ、探索を楽しむ。
- 室内遊びの時間が増えて、身体を動かし足りない様子である。
- 子ども同士で活発にかかわり合いながら遊んでいる。
4歳児になると、梅雨の生き物や植物などに興味を持って、戸外遊びのなかで探そうとしたり絵本で見たりすることもあるかもしれません。
子どもの遊びや興味の幅を広げられるよう、6月の月案でねらいや活動を考えていきましょう。
【6月】4歳児の月案の文例:前月の子どもの様子
ここでは、6月の月案に記入する前月の子どもの姿の文例を紹介します。
- 連休明けには疲れが見えたり登園を渋ったりする姿があった。ゆったりとした活動を取り入れることで、徐々に慣らしていくことができた。
- 見通しを持って生活できるようになり、自分でできることは率先して行おうとする。
- 友だちとのかかわりを楽しむ一方で、玩具の取り合いや言い合いなどトラブルになる場面もある。
6月になると園生活の流れや当番活動のやり方にも少しずつ慣れて、自信を持ち始める子もいるでしょう。
4歳児の子どもの遊びの様子や子ども同士のかかわり方にも注意して、月案に記入できるとよさそうです。
【6月】4歳児の月案の文例:今月のねらい・活動内容
文例を参考に6月の4歳児クラスの様子を予想して、月案のねらいや活動内容を考えてみましょう。
今月のねらい
ねらいは養護と教育に分けて文例をまとめました。
養護のねらい
- 気温に合わせて衣類を調整し、快適に過ごす心地よさを味わう。
- 虫歯予防デーを通して歯磨きの大切さを知り、意欲を持ってやろうとする。
教育のねらい
- 梅雨の自然を見つけ、友だちや保育者といっしょに遊びのなかに取り入れようとする。
- 雨の日でも室内で十分に身体を動かして遊ぶ。
6月の自然現象や生き物などに興味を持てるよう、ねらいを立てていきましょう。
4歳児クラスでは、歯磨きや衣類の調整などを少しずつ自分で気づいてできるようになるよう、月案の中で計画しておくとよいかもしれません。
活動内容
ねらいをもとに、6月の4歳児クラスの活動内容の文例を紹介します。
養護
<生命>
- 暑さや湿度に合わせて衣類を着替えたり、汗の始末を行ったりしようとする。
- 梅雨時期の衛生に配慮してもらい、戸外遊びから帰ったら丁寧に手洗いを行う。
<情緒>
- 保育者とのかかわりのなかで安心感を持ち、のびのびと自己を発揮しながら生活する。
- 思いや葛藤を受け止めてもらいながら落ち着いて過ごす。
教育
<健康>
- 室内でも体操やマット運動などを通して、思い切り身体を動かして遊ぶ。
- 虫歯予防デーの集会に意欲を持って参加し、歯の健康に興味を持つ。
<人間関係>
- 友だちといっしょに遊ぶよろこびを味わう。
- ルールのある遊びを通して、決まりを守りながら遊ぶことの楽しさや、ルールの大切さを知ろうとする。
<環境>
- 梅雨の生き物や植物に関心を持ち、園庭や散歩先で友だちや保育者といっしょに探してみる。
- 時の記念日の活動を通じて、時間の概念や数字に興味を持つ。
<言葉>
- 自分の思いを言葉にして、保育者や友だちに気持ちを受け止めてもらううれしさを味わう。
- 集まりなどを通して、保育者の話を聞くときの姿勢や決まりを知る。
<表現>
- 季節の歌や製作などを通して梅雨の自然に親しむ。
- 音楽に合わせて身体を動かして音や言葉の持つイメージを表現する楽しさを感じる。
6月の4歳児クラスでは、友だち同士でいっしょに過ごすことをいっそう楽しみ、絆が深まる時期かもしれません。
さまざまな活動を通して友だちや保育士さんとのかかわりを育めるよう、月案で計画しておくとよいですね。
【6月】4歳児の月案の文例:環境構成と保育者の援助・配慮
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6月のねらいや活動内容をもとに、保育士さんが行う環境構成や援助、配慮の文例をまとめました。
養護
生命
- 個別のタオルをかける場所を用意しておき、汗をかいたら自発的に拭けるようにする。
- 室内で身体を動かせるよう、運動遊びのコーナーや玩具を配置する。
情緒
- 友だちとのトラブルや係活動など不安を感じやすい場面では、側で見守ったり子どもの気持ちを受け止めたりと受容的にかかわるようにする。
- ゆったりと過ごせるスペースを作り、状況に応じて気持ちを落ち着けられるよう促す。
教育
健康
- 雨の日には遊戯室でしっぽ取りや表現遊びなどを行い、身体を十分に動かして発散できるようにする。
- 虫歯予防デーにちなんで、歯磨きのやり方を伝えて、細部まで意識して磨けるようにする。
人間関係
- 友だちの誘い方の見本や声のかけ方を伝え、関係を仲立ちしていく。
- 遊びやトラブルの際には相手の気持ちを知れるよう、保育者が代弁して伝え合いを促す。
環境
- 雨で濡れた衣類や汚れものの始末の仕方を丁寧に伝える。
- 梅雨の自然に興味を持てるよう、絵本や図鑑を保育室に用意しておく。
言葉
- 言葉に詰まってなかなかうまく話せない子どもには、落ち着ける場所で思いを聞き、都度確認しながら気持ちを代弁していく。
- 子どもたちの話をしっかりと聞き、聞いてもらうよろこびを味わえるようにする。
表現
- 工作や描画を通して表現を楽しめるよう、道具や素材を十分に用意する。
- 音楽を使った表現遊びを取り入れ、友だちといっしょに自由に表現を楽しむ雰囲気作りをしていく。
月案の環境構成や配慮では、子どもの姿をしっかりと予想して援助の手立てを考えていく必要があります。
4歳児クラスでは、6月の生き物や植物に興味を持てるよう、遊びの中に取り入れたり、絵本などを見たりする機会を作っていきましょう。
【6月】4歳児の月案の文例:家庭連絡・安全・食育
6月の月案に適した、家庭連絡、安全、食育に関する配慮事項の文例をまとめました。
家庭連絡
- 水遊びや泥んこ遊びに向けて、汚れてもよい衣類の準備をしてもらうよう伝える。
- 雨の日や雨上がりにも戸外活動をすることがあるので、長靴や替えの靴の用意をお願いする。
健康・安全・衛生
- こまめに換気や除湿を行い、梅雨時期の感染症を予防できるよう対策する。
- 運動遊びをするときには、室内でも熱中症の対策をしっかりと行う。
食育
- 食器の使い方や挨拶など、食事のマナーを伝えて、子どもたちが守れるよう保育者が手本を見せていく。
- 年長児が育てている夏野菜の様子を見せてもらい、食材への興味を育む。
月案に取り入れる活動内容をもとに、家庭連絡や衛生・安全配慮を考えてみましょう。
6月には感染症が流行し始める時期なので、しっかりと予防方法を知っておくとよいですね。
【6月】4歳児の月案の文例:反省・自己評価
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4歳児クラスの6月の月案で使える、月反省や自己評価の文例を紹介します。
養護
- 梅雨時期の感染症に配慮し、手洗いを丁寧に行うよう徹底した。
- 気温に合わせて活動内容を変更し、健やかに過ごせるよう柔軟に対応していけた。
教育
- 気候に合わせて、泥んこ遊びや水遊びなど、この時季ならではの戸外遊びを取り入れていけた。
- 遊びのなかでトラブルになったときは適切に仲裁し、子ども同士の伝え合いを仲立ちしていった。
6月の月案で計画したねらいや活動を通して、4歳児にはどのような姿が見られたか、実際に行ってどうだったかを書いてみましょう。
加えて、保育士さんが工夫して指導したことを振り返って書けるとよさそうですね。
月案に活用できる6月の4歳児保育のポイント
最後に、6月の月案に活かせる4歳児クラスの保育のポイントをまとめました。
雨の日の支度のしかたや過ごし方について伝えていく
梅雨入りをする6月、朝から雨の中登園するという場面も増えていくでしょう。
衣服や靴下などが雨に濡れてしまったときでも、状況に応じて自分で着替えたり履き替えたりすることができるよう、足ふきマットや着替え置き場を用意しておくとスムーズかもしれません。
着替えると快適に過ごせることを知って、自発的に対処できるよう繰り返し声かけを行うとよいですね。
梅雨の自然の興味を深められるよう、図鑑や絵本を用意しておく
6月には、紫陽花やカエルなどといった梅雨時期の自然が豊になる時期です。
4歳児の子どもたちが興味を持って観察したり、遊びのなかで親しんだりできるように援助していきましょう。
保育室のなかに図鑑や絵本を置いておくと、子どもたちの関心のきっかけになるかもしれません。
虫歯予防デーを通して歯磨きの意欲へつなげていく
6月には虫歯予防デーがあります。自分である程度歯を磨けるようになる4歳児ですが、まだまだきれいに磨ききることは難しいかもしれません。
奥歯や歯の裏なども注意して歯磨きができるよう、この行事をきっかけに伝えていきましょう。
ペープサートやシアターなどを使って、子どもたちが興味を持てるような導入をするとよさそうですね。
文例を知って6月の4歳児クラスの月案を作成しよう
今回は、6月の4歳児クラスの月案で活用できるねらいや配慮の文例を紹介しました。
6月の保育では、梅雨時期に見られる気候や生き物に興味を持って遊びに活用できるよう、4歳児の子どもたちと発見を楽しむことが大切です。
また、初夏の感染症対策や虫歯予防デーなど健康に過ごせるような配慮も重要になる時期なので、保育士さんは正しい知識を身につけて子どもに伝えていきましょう。
6月の文例を参考に、4歳児クラスの月案作成に活かしてみてくださいね。