暑さがひと段落し、秋らしくなってくる9月。新卒保育士さんのなかには、0歳児の月案作成に悩む方もいるかもしれません。今回は、0歳児クラスで使える9月の月案の文例を紹介します。養護・教育のねらいや活動に加え、若手の方が悩みがちな安全や健康に関する配慮と、月反省の書き方などもまとめました。
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■目次
9月の0歳児クラスの特徴とは?
夏の暑さがひと段落する9月。
0歳児クラスでも、涼しい風を感じながら活発に過ごしている子どもたちの姿があるのではないでしょうか。
9月頃の0歳児クラスには、以下のような特徴が見られるでしょう。
- 一人歩き、つたい歩きなど、徐々に歩行が上達する子が増えてくる。
- お気に入りの玩具や遊びを繰り返し楽しむ姿が見られる。
- まだまだ残暑が厳しく、体調を崩してしまう子どももいる。
入園から5カ月が経過し、できることもだんだん増えてくる頃かもしれません。
子どもの月齢に合わせて楽しめる遊びを用意できるとよいですね。
【9月】0歳児の月案の文例:前月の子どもの様子
まずは、9月の月案に記入する前月の子どもの様子の文例を紹介します。
- シャワーに興味を持ち、水の感触を楽しみながら水遊びに参加していた。
- ハイハイや伝い歩きが上手になり、行動範囲が広がってきた。
- 生活リズムが安定し、決まった時間に午睡を取れることが増えてきた。
夏の活動での姿や生活の様子など、0歳児の子どもの成長を記録しておきましょう。
前月の子どもの姿をもとに、9月の月案を立てていきます。
【9月】0歳児の月案の文例:今月のねらい・活動内容
9月の月案に記入する0歳児クラスのねらいや活動内容の例を見ていきましょう。
今月のねらい
ねらいの文例について、養護と教育の2つの視点に分けてまとめました。
養護のねらい
- 気温差に配慮してもらいながら、心地よく過ごす。
- 保育者に気持ちを受け止めてもらい、より愛着関係を深めながら過ごす。
教育のねらい
- 発達に合った遊びのなかで、安心して好きな遊びを楽しむ。
- 戸外・室内でのびのびと身体を動かして遊ぶ。
活動内容
9月のねらいをもとに、0歳児の子どもに経験してほしい活動内容の文例を紹介します。
養護
<生命>
- 気候に合わせて衣類を交換したり、沐浴をしたりして心地よく過ごす。
- オムツが濡れたら取り替えてもらい、清潔にする心地よさを味わう。
<情緒>
- 保育者との信頼関係を深めて、安心して気持ちを表現しようとする。
- 保育者に見守られている安心感のなか、探索したり興味のある遊びをしたりして過ごす。
教育
<健やかに伸び伸びと育つ>
- 伝い歩きやハイハイで室内を探索しようとする。
- マットや室内用トンネルなどを使って、のびのびと身体を動かして遊ぶ。
- 残暑が厳しいため、適度に休息を取りながら健康に過ごす。
<身近な人と気持ちが通じ合う>
- 気に入ったふれ合い遊びを繰り返し楽しむ。
- 喃語を発したり身振りをしたりして、保育者に思いを伝えようとする。
- 友だちの遊びに興味を持ったり、保育者とかかわっている様子を近くで見たりする。
<身近なものと関わり感性が育つ>
- 絵の具や画用紙などの画材にふれながら製作をすることを楽しむ。
- 戸外に出ることをよろこび、身近な草花に見たり触れたりしながら遊ぶ。
- 食事の前後には、自分で手や口の周りなどを拭こうとする。
9月頃になると、月齢差はあるものの伝い歩きなど活発に身体を動かすようになったり、喃語が出るようになったりと0歳児の子どもたちに成長が見られるかもしれません。
クラスの実態に合わせて、さまざまな活動を楽しめるように月案を計画できるとよいですね。
【9月】0歳児の月案の文例:環境構成と保育者の援助・配慮
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9月の月案のねらいや活動内容に合わせて、保育士さんの援助や配慮の文例を考えていきましょう。
養護
生命
- 残暑のなかでも心地よく過ごせるよう、衣類やオムツを変えたり、室温を調整したりする。
- オムツを交換するときは、心地よさを感じられるよう優しく声をかけながら行う。
情緒
- 後追いをする子どもには、安心できる保育者が朝の受け入れや身の回りの世話などを行う。
- 着脱や食事など身の回りの介助をする際は、「○○しようね」など声をかけてから世話をするようにし、安心感を得られるように配慮する。
教育
健やかに伸び伸びと育つ
- 歩行ができる子、ハイハイをする子など、発達の違いに合わせてそれぞれ遊びのスペースを用意する。
- 涼しい日には外気浴を行い、外の空気の気持ちよさを感じられる機会を作る。
- 子どもそれぞれの体調や疲れに応じて、午睡の時間を調整できるようにする。
身近な人と気持ちが通じ合う
- ふれ合い遊びやわらべうたを通してかかわりを楽しめるようにする。
- 喃語に対してはゆったりと応答的にかかわり、子どもの目を見て言葉を補っていく。
- 慣れてない場所に行くときなどは、安心できる保育者がかかわるように配慮する。
身近なものと関わり感性が育つ
- 秋の絵本を用意しておき、毎日の遊びのなかで繰り返し読んで親しめるようにする。
- 草花などの自然に興味を持てるよう、率先して見つけてふれてみる姿を見せる。
- 食事の前にはお手拭きを用意して、拭いてから食べることを伝える。
0歳児クラスの子どもたちがのびのびと遊びを楽しんだり、生活習慣を身につけたりできるよう、援助やかかわり方を月案で考えてみましょう。
ねらいや活動内容をもとに記入すると、9月の保育計画がイメージしやすいかもしれませんよ。
【9月】0歳児の月案の文例:家庭連絡・安全・食育
9月の月案に記入する、家庭連絡や安全、食育の配慮事項の文例をまとめました。
家庭連絡
- 気温に合わせて衣類を調整できるよう、半袖・長袖両方を用意してもらうようにする。
- 体調が変化しやすい時期であることを踏まえ、細かい変化でもしっかり伝えていく。
健康・安全・衛生
- 夏の疲れが出やすい時期であることに留意し、体調の変化に注意しながら見守る。
- 活動のあとや午睡明けには汗をかいていないかチェックし、拭き取ったり着替えたりできるようにする。
食育
- 楽しくあたたかい雰囲気のなか食事できるよう、声をかけたり見守ったりする。
- 食事の前後にはしっかりと挨拶を行い、習慣づけていく。
9月は朝夕で気温差があったり、残暑が厳しかったりと体調を崩しやすいタイミングと言えます。
0歳児の子どもが健やかに過ごせるよう、月案で配慮事項を書いておきましょう。
【9月】0歳児の月案の文例:反省・自己評価
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9月の月案の振り返りや反省で意識するポイントを文例で紹介します。
養護
- 一人ひとりの欲求に寄り添いながらかかわっていくことができた。
- 後追いや人見知りをするようになる子どもがいたが、安心できる保育者がかかわり、落ち着いて過ごせるよう配慮できた。
教育
- 秋の心地よい気候を感じながら戸外で遊ぶ機会を作り、のびのびと身体を動かしていくことができた。
- 喃語や指差しといった意思表示に応答的にかかわることで、子どもの伝えたいという気持ちを満たしていけた。
9月の終わりに、今月の保育と月案で立案した内容を合わせて振り返り、反省を記入するようにしましょう。
0歳児クラスでは、健やかに過ごせたかや、保育者と1対1でのかかわりに視点を置いて振り返るとよいかもしれません。
月案に活用できる9月の0歳児保育のポイント
最後に、0歳児クラスの9月の保育に活かせるかかわり方のポイントをまとめました。
気温差や残暑による体調の変化に注意
9月になると少し暑さが落ち着いてきますが、それでもまだまだ暑い日が続きます。残暑に加えて、日中と朝夕の気温差で体調を崩すことも増えるでしょう。
鼻水が出ていたり、なんとなく機嫌が悪かったりといった変化をしっかりと見ておき、保護者と伝え合って健康管理に努めることが大切です。
喃語などのやり取りを楽しめるように
9月頃になると、中月齢・高月齢の子どもは喃語や指差しなどをして思いを伝えようとする姿が見られるかもしれません。
そのような姿には「そうだね、○○だね」などとあたたかく反応しながら応答的にかかわり、伝えるよろこびを味わえるようにすることが大切です。
また、喃語に対しては言葉を補ったり代弁したりすることで、0歳児の子どもが言葉を獲得する手助けになりそうですね。
歩く子、ハイハイの子など個々の成長に合わせて活動のしかたに工夫を
入園して半年ほどとなる9月頃は、歩行、伝い歩き、ハイハイなど月齢による発達の差が顕著になるクラスもあるでしょう。
ふらふらと歩く練習をする姿は微笑ましいものの、歩ける子とまだ歩けない子が混じって過ごしていると、不意な転倒などでケガをするおそれもあります。
手すりやパーテーションなどでスペースを簡易的に分けて、身体を動かすような活動では別々に過ごせるように工夫するとよいかもしれませんね。
文例を知って9月の0歳児クラスの月案を作成しよう
今回は、9月の0歳児クラスに使える月案のねらいや反省などの文例を紹介しました。
暑さがひと段落する9月には、戸外で遊ぶ機会やじっくり遊び込める活動を取り入れられるかもしれません。
0歳児の子どもたちも、できることが増えたり生活習慣が身についたりしてくる頃のため、クラスの実態に合わせて活動を考えていきましょう。
月案の文例を参考に、9月の0歳児クラスの保育に活かしてみてくださいね。