保育士の退職金は公立保育園で平均837万円、私立保育園では約480万円が目安。金額差は、制度や計算方法の違いによって生まれます。退職金は定年後の生活や将来設計に大きく関わる大切なお金です。今回は、公立・私立保育園それぞれの退職金の仕組みや計算方法や支給時期をわかりやすく紹介します。
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保育士は退職金をもらえる?
退職金とは、保育園を退職した時に、園から保育士さんへ働いた年数などに応じて一定金額が支払われる制度のことです。
長く勤めてもらいたかったり保育士さんを確保したりするため、保育園でも退職金制度を取り入れているところは多く、支給される可能性は高いでしょう。
ただし、保育士の退職金は、「公立保育園か私立保育園か」によっても違いがあります。
公立保育園は支給ルールあり
公立保育園で正規職員として働く場合、地方公務員として勤務するので、自治体のルールで退職金の支払いは決まっています。
勤続年数が長くなればなるほど、金額も着実に増えていくため、定年まで安心して働き続けられるのがメリットです。
私立保育園は運営元による
私立保育園の場合は、あくまで「民間企業」で働く会社員と同じ扱いです。
法律で「絶対に退職金を出しなさい」と決められているわけではないため、運営元によっては、制度がない場合もあります。
ただし、2023年の厚生労働省の調査によると、全国の企業の74.9%が退職金制度があると報告しています。そのため、多くの私立保育園で導入しているでしょう。
保育士の退職金の相場
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続いて、保育士の退職金の相場を見てみましょう。
公立保育園「平均837万円」
総務省の資料によると、2023年度の公務員保育士さんを含む地方公務員一般職員の退職金の平均は、約837万円です。
退職時の年齢や勤続年数、退職理由などがさまざまな全職員の平均金額です。
定年退職(60歳)の場合は、平均約1,057万円と、高水準の金額を受け取ることができるでしょう。
私立保育園「平均480万円」
私立保育園に勤める保育士さんの退職金は、園や勤続年数によって大きく変わることから、相場や平均金額を一概に示すことは難しいでしょう。
ただ、私立保育園の多くが社会福祉法人によって運営されているため、独立行政法人福祉医療機構による「社会福祉施設職員等退職手当共済制度」に加入しているようです。
この制度を利用したシミュレーション上の退職金の平均は、約480万円。
また、私立保育園もまた、共済制度に加入している園であれば、長く勤めるほど支給額は上がっていきます。
特に、勤続20年を超えると退職金の伸び率が大きくなり、定年まで勤め上げた場合には1,000万円を超えるまとまった金額を受け取ることが可能でしょう。
退職金高めの求人を探す保育士が退職金をもらうための条件
退職金を支給されるにはいくつかの条件を満たす必要があります。
公立保育園と私立保育園の場合に分けてくわしくまとめました。
公立保育園は1カ月以上の勤務が必須
公立保育園で働く保育士さんは地方公務員と同様の待遇なので、自治体の条例に基づき、退職金をもらうことができます。
しかし、退職金が支給されるのは正社員のみで、基本的にパートには支給されず、加えて1年以上働く必要があるようです。
また、公立保育園では国家公務員退職手当法により、退職後1カ月以内と定められているようです。
退職理由や勤務年数によって金額は異なるため、計算方法はのちにくわしく説明します。
私立保育園は1年以上の勤務などの条件あり
私立保育園の場合、退職金の支給は園の就業規則によるため、すべての園で退職金をもらえるとは限りません。
そのため、事前に求人などをしっかり確認しておくことが大切です。
支給条件も園によって異なりますが、「社会福祉施設職員等退職手当共済制度」を利用している園であれば、1年以上働けばもらえるでしょう。
また、支給時期については、申請書を提出してから平均で2カ月程度は必要になるようです。
しかし、公立保育園の場合と同様に、基本的にパートは対象とならず、正社員のみ退職金が支給されるようです。
就活無料相談保育士の退職金の計算方法
ここでは、具体的な退職金の計算方法と、計算の例を解説します。
公立保育園
退職金の計算方法は以下の通りです。
- 退職手当額=基本額+調整額
- 基本額=退職日給料月額×退職理由別・勤続年数別支給率
- 調整額=調整月額のうちその額が多いものから60月分の額を合計した額
以下は退職理由や勤務年数に基づく、退職金の基本額の表です。

本来は上記で算出した基本額に、調整額が加算されます。しかし、以下の場合は調整額が支給されないため注意しましょう。
- 退職手当の基本額が零である者(勤続期間が6カ月未満で退職した者)
- 自己都合退職者で、勤続期間が9年未満の者
- 違法行為を行って退職し、退職日から3カ月前までにそれを理由として処分を受けた者
公立保育園で働く保育士さんは、できるだけ長く勤めたほうが退職金の金額が上がるようですね。
5年・15年・45年勤務の計算例
では、基本給20万円で退職した場合の退職金について、それぞれ計算してみましょう。
勤続年数5年で自己都合退職の場合
勤続年数が5年で自己都合退職をしたときは、調整額は出ないこととなっています。
そのため、「20万円×3.0=60万円」が支給されるでしょう。
勤続年数15年で整理退職(園が人員削減として解雇すること)の場合
勤続年数が15年で整理退職となった場合、支給率は23.25です。
そのため、「20万円×23.25=465万円」に、調整額が加わった金額を退職金としてもらえるでしょう。
勤続年数45年で定年退職の場合
勤続年数45年で定年退職をした保育士さんは、「20万円×59.28=1,185万6000円」に、調整額を加えた金額が支給されるようです。
このことから、公立保育園で働く保育士さんは、1,000万円以上の退職金をもらえる可能性があることが分かります。
私立保育園
ここでは、私立保育園に勤める保育士さんの退職金の計算方法と計算例についてまとめました。退職理由が「普通退職」または「業務上死亡・傷病」によって条件が異なります。
私立保育園の保育士さんの多くが加入している社会福祉施設職員等退職手当共済制度のシミュレーションをもとに、退職理由を「普通退職」として算出をしてみましょう。
5年・15年・45年勤務計算例
以下はあくまでも一例です。実際にもらえる金額は変わる可能性があるため注意しましょう。※2026年1月時点
勤続年数5年で退職した場合
- 加入年月:2020年4月
- 退職年月:2025年3月
- 計算基礎額:19万円~20万4,999円を選択
- 退職金:49万5,900円
勤続年数15年で退職した場合
- 加入年月:2010年4月
- 退職年月:2025年3月
- 計算基礎額:19万円~20万4,999円を選択
- 退職金:204万9,720円
勤続年数45年で定年退職した場合
- 加入年月:1980年4月
- 退職年月:2025年3月
- 計算基礎額: 19万円~20万4,999円を選択
- 退職金:942万2,100円
私立保育園の保育士さんも、長く勤めれば1,000万円の退職金を受け取れることがわかるでしょう。
退職金制度ありの求人を探す 出典: 第9表の1団体区分別,職員区分別,退職事由別,年齢別退職者数及び退職手当額/総務省 出典: 地方公務員の退職手当制度について/総務省 出典: 退職手当の調整額について/総務省 出典: 退職手当共済事業/独立行政法人福祉医療機構
保育士が退職金をもらえる園を探す方法
最後は、退職金が支給される保育園を探す方法について紹介します。
求人欄で「退職金制度」の項目の確認を
私立保育園で働く場合は、園によって退職金の金額も条件も異なるでしょう。
具体的な金額について知ることは難しいかもしれませんが、退職金が支給されるかどうかは求人票やホームページで確認できることがほとんどです。
福利厚生の欄に「退職金制度あり」「退職金共済への加入」などと書かれているか、しっかり確認しましょう。
エージェントサービスを利用する
就活エージェントサービスに登録し、担当のエージェントに確認すれば、希望の園に退職金制度があるかを確かめてもらえます。
具体的な金額や条件についても把握できるため、退職金のある保育園で働きたい保育学生さんは利用してみるとよいかもしれませんね。
また、保育士バンク!新卒では、退職金制度があり、福利厚生が充実した園の求人を多数取り扱っています。「長く働ける園を探したい」という方はまずはお気軽にご相談ください。
就職先相談(無料)保育士の退職金に関するよくある質問Q&A
保育士の退職金に関するよくある疑問をまとめました。
Q.保育士は必ず退職金をもらえますか?
退職金制度の有無は園ごとに異なるため、求人票の福利厚生欄で確認することが大切です。
Q.何年以上働くと退職金はもらえますか?
一般的には3年以上などのケースが多いようですが、園によって異なります。
Q.公立保育園と私立保育園で退職金に違いはありますか?
公立は自治体の制度、私立は共済制度や園独自の制度が用いられることが多いです。
Q.途中で退職した場合でも退職金は支給されますか?
自己都合退職では条件が厳しくなることもあるため注意が必要です。
Q.パートや契約職員でも退職金はもらえますか?
一部の園では共済加入により対象となる場合もあるでしょう。
無料就活相談保育士の退職金の平均相場を知り、自分に合った園を探そう
退職金とは、保育園の退職時に、園から保育士さんへ一定金額が支給される仕組みです。
基本的にパートには支給されませんが、正社員の保育士さんは退職金をもらうことができるでしょう。
しかし、私立保育園の場合は園によって退職金がない可能性もあるため、事前に求人などをしっかり確認しておくことが大切です。
保育士の退職金制度について知り、自分に合った園を見つけてみてくださいね。