秋が深まり、3歳児クラスでも自然遊びや行事などが増えてくる10月。月案の書き方に悩む新人保育士さんもいるかもしれません。今回は、3歳児クラスで使える10月の月案の文例を紹介します。養護・教育のねらいや活動に加え、安全や健康に関する配慮と反省の書き方などもまとめているので、保育計画に役立てていきましょう。
Huang Henry SH/shutterstock.com
■目次
10月の3歳児クラスの特徴とは?
すっかり秋らしくなる10月は、運動会や芋掘り、遠足といった行事が目白押しの季節です。3歳児の子どもたちも、そうしたイベントを楽しみにしている姿があるかもしれません。
そんな10月の3歳児クラスには、以下のような特徴が見られるでしょう。
- 気温が下がり、心地よい気候を味わう一方で、体調を崩す子どももいる。
- 運動会や芋掘り遠足に参加し、特別な雰囲気を楽しむ。
- 友だちと思いを出し合いながら、見立て遊びやごっこ遊びをする姿が増えてくる。
初めての行事となるケースも多い3歳児クラスでは、子どもたちの期待感を育めるようしっかり月案で計画できるとよいですね。
今回紹介する文例をもとに、10月の3歳児の月案作成に活かしていきましょう。
【10月】3歳児の月案の文例:前月の子どもの様子
まずは、10月の月案に記入する前月の子どもの様子の文例をまとめました。
- 夏季保育から通常保育の流れに戻り、最初は戸惑う姿もあったが、徐々に園生活のリズムを取り戻せた。
- 戸外に出て秋の自然の発見を楽しんでいる。
- 運動会の練習では、気分が乗らない子どももいたが、年長児の姿を見せることであこがれや意欲を強める姿が見られる。
このように、生活面・遊び面から子どもたちの様子を記載していくことがポイントです。
10月の月案では、行事への取り組みの様子も書いておくとよさそうですね。
【10月】3歳児の月案の文例:今月のねらい・活動内容
3歳児の10月の月案にぴったりなねらいや活動内容の文例を紹介します。
今月のねらい
養護と教育、2つの視点からねらいの文例をまとめました。
養護のねらい
- 気温に応じて衣類などを調整し、健やかに過ごす。
- 保育園での生活に安心感を持ち、落ち着いて行動する。
教育のねらい
- さまざまな運動遊びに興味を深め、のびのびと身体を動かす楽しさを味わう。
- 簡単な運動遊びを通して友だちといっしょに遊ぶことを楽しむ。
活動内容
月案のねらいや子どもの姿をふまえ、活動内容を考えていきましょう。
養護
<生命>
- 手洗い・うがいのやり方を知り、清潔に保とうとする意識を持つ。
- 戸外で過ごしたあとなどはゆったりと過ごし、身体を休ませる。
<情緒>
- 保育者に励まされながら身の回りのことを行い、意欲的に生活する。
- のびのびと自分の思いを表現しながら安心して過ごす。
教育
<健康>
- 心地よい気候のなか、戸外遊びを通して十分に身体を動かす。
- 運動会の練習のなかで、友だちといっしょに簡単な運動遊びを楽しむ。
<人間関係>
- 身近な大人や周囲の友だちといっしょに遊ぶことを楽しみ、充実感を味わう。
- 玩具の貸し借りを通して、決まりを守ることや思いやりの大切さにふれる。
<環境>
- 園庭や近隣の公園で遊ぶなかで、秋の自然に親しみ、興味を持って観察する。
- 身の回りにあるさまざまな形や色、数に関心を持ち、遊びのなかで親しみを深める。
<言葉>
- 自分の思いを簡単な言葉で伝えるよろこびを味わう。
- 話を聞くときの決まりを意識し、相手の言葉に耳を傾けようとする。
<表現>
- 運動会や遠足で取り入れる歌や体操に親しみ、のびのびと表現する。
- 折り紙やクレヨンなどさまざまな素材を使って自分なりに表現することを楽しむ。
10月には運動会、遠足などの行事を予定している保育園も多いようです。
3歳児クラスの子どもたちの様子に合わせて、楽しみながら活動できるように月案を工夫しましょう。
【10月】3歳児の月案の文例:環境構成と保育者の援助・配慮
Sakura Image Inc/shutterstock.com
10月のねらいや活動内容に合わせて、保育者の援助と配慮の文例を紹介します。
養護
生命
- 気温に合わせて衣類を調節できるよう個別に声をかけ、促していく。
- 運動会の練習を行ったあとなどは、休息できる場所を設けてゆったり身体を休められるようにする。
情緒
- 身支度など、できたことを十分に認めることで意欲を育み、次へとつなげていく。
- 子どもの伝えたいという気持ちを受け止め、安心感を味わえるよう受容的にかかわる。
教育
健康
- 遊具など子どもの関心を惹く環境を用意して、戸外遊びに誘っていく。
- 運動会の練習は、子どもが楽しみながら行えるよう活動時間などを調整する。
人間関係
- 集団遊びを取り入れ、ルールを守りながら遊ぶ楽しさを味わうきっかけを作る。
- トラブルの際には自分たちで思いを伝え合えるよう仲介する。
環境
- 木の実や色づいた葉っぱなどを保育室内に飾り、子どもたちの気づきを促す。
- 色や形を使った遊びを取り入れ、図形などへの関心につなげていく。
言葉
- 思いを伝えるのが苦手な子どもには、静かな環境でゆったりと話をできるよう個別に声をかける。
- 言葉で気持ちを伝え合うなかで、相手の思いに気づく体験ができるようにかかわる。
表現
- 子どもたちが気に入っている歌や音楽を繰り返し楽しめるようにする。
- 製作活動を通してさまざまな道具や素材にふれられるようにする。
友だち同士の仲が深まる10月頃には、思いを伝える経験ができるよう配慮するとよいかもしれません。
3歳児の子どもたちが人とのかかわりを楽しめるよう、しっかりサポートできるとよいですね。
【10月】3歳児の月案の文例:家庭連絡・安全・食育
3歳児の月案に記入する、10月の家庭連絡・安全・食育の文例をまとめました。
家庭連絡
- 運動会を通して子どもたちの育ちについて伝え、家庭でも話題にできるよう配慮する。
- 衣替えに際して、子どもが自分で着脱できる衣服を用意してもらうよう伝える。
健康・安全・衛生
- 運動遊びの前には遊具を点検し、安全に遊べる環境を整える。
- 登園時に体調を確認し、様子に合わせて活動内容を調整していく。
食育
- 芋掘り遠足を通して、調理前の食材の姿や育つ過程に気づけるように声をかける。
- 食事中の姿勢や箸のマナーを知らせていく。
秋はいろいろな食材が旬を迎える時期です。
3歳児の子どもたちが秋の食べ物に関心を持てるよう、配慮するポイントを月案に記載しておくとよさそうですね。
【10月】3歳児の月案の文例:反省・自己評価
Purino/shutterstock.com
3歳児の10月の月案に役立つ、反省や自己評価の文例を見ていきましょう。
養護
- 気温の変化で風邪っぽい症状を訴える子どもが多かった。衣類や活動内容を調整するとともに、手洗い・うがいを習慣づけられるよういっそう配慮していく。
- 困ったりトラブルになったりしている場面では、子どもの思いを引き出しながら代弁していくことで、安心感や伝えるよろこびを育んでいけた。
教育
- 運動会が終わったあとも、ダンスやかけっこなどを再現して遊ぶ姿が見られたので、十分に楽しめる環境を整えた。
- 秋の自然を集めて保育室に掲示したり、自然遊びに誘ったりするなかで親しみを深めていけた。
季節の変わり目とも言える10月は、月案のねらいに合わせて、子どもたちが健康に過ごせたか、清潔の意識を養えたかなどを反省してみましょう。
行事などを通して子どもに育まれた力に着目して、かかわりや遊びの内容を振り返ってみるとよいですね。
月案に活用できる10月の3歳児保育のポイント
最後に、月案にも活かせる10月の3歳児クラスの保育のポイントをまとめました。
行事の練習は子どもの意欲や様子に合わせて
運動会などの行事に、初めて参加することも多い3歳児の子どもたち。
無理のない範囲で楽しく実施できるよう、活動時間や内容は調整しましょう。
なかには、ダンスや運動に興味を持てない子もいるかもしれないので、そうした子への配慮やサポートを意識することも大切です。
また、年上のクラスの練習風景などを見せてもらう機会を作り、「お兄さんお姉さんのようにやってみたい」と意欲を持てるようにするのもよいですね。
秋の自然に親しみを深められるように
秋が深まり、葉っぱの色づきや落ちている木の実などを見かけるようになる10月。
子どもたちが日常のなかで発見や遊びを楽しめるように、保育室に飾ったり、存在を知らせたりしていけるとよいかもしれません。
また、そのなかでも、自然をモチーフに手遊びをしたり製作をしたりと、表現を楽しむきっかけを作ってみましょう。
友だちとのかかわりのなかで思いを言葉にする機会を
10月は少しずつ友だちとの仲が深まり、誘い合っていっしょに遊ぶ姿が増える頃かもしれません。
ただし、3歳児の子どもたちは、まだ友だちを遊びに誘ったり、トラブルを解決したりすることは難しいことも多いようです。
保育士さんはしっかりとかかわり合いを見守り、子どもたちが自分の思いを相手にうまく伝える経験ができるよう仲介していくことが重要でしょう。
文例を知って10月の3歳児クラスの月案を作成しよう
今回は、10月の3歳児クラスの月案に使えるねらいや内容の文例を紹介しました。
秋らしさが増す10月は、心地よい気候のなかで身体を動かしたり自然遊びを楽しんだりできる季節です。
3歳児の子どもたちが、友だちといっしょにさまざまな経験ができるよう月案を計画していきましょう。
月案の文例を参考に、10月の3歳児クラスの保育に活かしてみてくださいね。