就活で先輩保育士さんを訪ね、園の魅力や業務について聞くOB訪問。しかし、やり方が分からず悩む保育学生さんもいるのではないでしょうか。今回は、OB訪問の概要や行うときのポイントについてくわしく紹介します。あわせて、具体的なやり方や聞くべき質問例、メールの例文もまとめました。
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■目次
保育士の就活に活かせるOB訪問とは
OB訪問とは先輩保育士さんを訪ね、仕事内容や園の雰囲気などを聞くことを指します。
社会人から直接仕事の話や本音を聞くことができるため、これから就活を始める保育学生さんにとっては貴重な機会となるでしょう。
まずは、OB訪問の目的と時期についてくわしく解説します。
OB訪問の目的
OB訪問の1番の目的は、先輩の話から園の雰囲気や働き方について理解を深めることです。
実際に働いている方に会うことで、園のホームページやパンフレットなどからは分からない情報を得られるでしょう。
また、エントリーシートの書き方や自己分析の方法など、就活全体に関するアドバイスも頂けるかもしれませんね。
OB訪問をする時期
OB訪問には、一般的に保育学生さんの就活が始まる3月や4月くらいの時期が適しているようです。
いつ行ってもよいとされていますが、先輩のアドバイスを就活に活かせるように、実習や説明会、面接などが始まる前に実施しておくとよいでしょう。
授業や生活に影響のない範囲でスケージューリングすることがポイントです。
保育士の就活でOB訪問をするメリット
ここでは、保育士の就活でOB訪問を行う利点を紹介します。
モチベーションアップにつながる
OB訪問のメリットとして、就活のモチベーションアップにつながることが挙げられます。
OB訪問を行えば園の魅力を知ったり、自分が保育士として働く様子をイメージしたりできるでしょう。
目指す園や理想の保育士像も明確になり、就活のスタートダッシュを切るきっかけになるかもしれませんね。
くわしい内情を聞ける
OB訪問を行えば、保育園のくわしい内情を聞くことができるでしょう。
採用担当者には直接聞きづらい休暇日数や福利厚生などについて質問することで、保育園の実態を知ることができるかもしれません。
そのため、保育学生さんは園見学やウェブサイトなどからは分からない点を事前に洗い出しておくとよさそうです。
アドバイスを頂ける
先輩保育士さんから選考や就活に対するアドバイスを頂けることも、OB訪問のメリットとして挙げられるでしょう。
貴重な機会を活かすためにも、フィードバックをもらえるように志望動機や自己PR、ESなどをあらかじめ作成しておくとよいかもしれません。
また、面接でどんな質問をされたかも確認しておけば、効率的に面接対策をすることができるでしょう。
アピールにつながる
OB訪問をするメリットとして、採用担当者へのアピールにつながることも考えられます。
OB訪問で知った内容をもとに志望動機や自己PRを作成すれば、採用担当者は「うちの園にとても興味があるんだな」と好印象を抱いてくれるかもしれません。
そのため、入職したい園が決まっている保育学生さんは何度かOB訪問を行い、面接でのアピールになる情報を集めてみるとよさそうですね。
保育士の就活でOB訪問を行うときの流れ
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ここでは、OB訪問のやり方をくわしく紹介します。
1.先輩保育士さんを探す
まずは、訪問する先輩保育士さんを探しましょう。
学校のキャリアセンターや教授などにお願いすれば、紹介してもらえるかもしれません。
先輩保育士さんが見つからない場合は、OB訪問専用のサービスなどを使ってみることも一つの手です。
2.先輩保育士さんとコンタクトを取る
メールや電話などで先輩保育士さんとコンタクトを取り、訪問日時を決めましょう。
相手は仕事で忙しい中時間を割いて対応しているため、予約を取るときはマナーをしっかり守ることがポイントです。
相手の時間を奪わないようにできるだけ電話ではなくメールで連絡するとよいかもしれません。その際、園児の登園時間や降園時間、夜遅い時間などは避けたほうがよいでしょう。
3.OB訪問に行く
当日は時間に余裕を持って待ち合わせ場所まで向かいましょう。
また、先輩保育士さんは保育学生さんの助けとなるようボランティアで対応しているので、誠実な態度で接することが大切です。
聞きたいことをしっかりとまとめてから臨み、会ったときは挨拶やお礼も忘れないようにしましょう。
4.お礼を伝える
OB訪問が終わった後は、先輩保育士さんに宛ててお礼のメールを送りましょう。
できるだけ早いタイミングで送ることで、感謝の気持ちが伝わりやすくなるかもしれません。
メールでは「ありがとうございました。」という言葉やOB訪問の感想などを、しっかり記載するようにしましょう。
就活でOB訪問を行うときの事前準備
ここからは、就活でOB訪問を行うときの事前準備について紹介します。
必要な持ち物を用意する
OB訪問をするときは、以下の持ち物を用意するようにしましょう。
- 就活バッグ
- 筆記用具
- 財布
- 質問を記載した用紙 2セット
OB訪問では身だしなみをしっかり整え、先輩保育士さんとの時間を大切に思っていることを示しましょう。手土産は基本的に必要ないようですが、「本日はお忙しい中ありがとうございます。」など感謝の気持ちをきちんと言葉で伝えるとよさそうです。
また、質問を記載した用紙を準備することもポイントの一つです。自身のメモに使えますし、先輩保育士さんに渡せば聞きたいことを事前に共有でき、会話の流れがスムーズになるでしょう。
あらかじめ質問を考えておく
先輩保育士さんは「自園に興味がある後輩のために」とOB訪問に対応してくださっています。
頂いた時間を有意義に活用するためにも、あらかじめ質問を考えておくようにしましょう。
事前に園研究などをしっかり行い、仕事のやりがいや苦労など具体的な質問を準備しておくとよいですね。
就活でOB訪問を行うときの質問例
続いて、就活でOB訪問を行うときの質問例を具体的にまとめました。
就活に関する内容
- 私の自己PRについて、フィードバックを頂きたいのですがよろしいでしょうか。
- 貴園の一番の魅力をご教示いただけますか?
- ▲▲さんはどのように自己分析を行いましたか?
すでに就活を経験している先輩保育士さんからアドバイスを頂くことで、さらに説得力のある自己PRに仕上がるかもしれません。
園の魅力についても質問すれば、志望動機に磨きをかけることができるでしょう。
また、自己分析は面接の受け答えを作ったり入職先を決めたりするうえで大切なものなので、先輩保育士さんの方法を参考にしてみるとよいかもしれません。
業務に関する内容
- 保育園の1日の流れをお教えいただけますか?
- どのような行事を行いますか?
- 保育をするうえでどのようなことを心がけていますか?
園の1日の流れや行事が分かれば、入職後のイメージをつかんだり特色を知ったりすることにつながるでしょう。
また、先輩保育士さんが心がけているポイントを聞くことで、実習や入職後に活かすことができるかもしれませんね。
福利厚生に関する内容
- 仕事とプライベートは両立できていますか?
- 有給休暇は取りやすい環境ですか?
- 園の福利厚生について満足していますか?
福利厚生についてはOB訪問で聞いておけば、くわしい内情を知ることができそうです。
有給休暇の取りやすさや残業など、採用担当者に聞きづらい内容を質問するとよいかもしれません。
【場面別】就活でOB訪問を行うときに送るメールの例文
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OB訪問で送るメールの例文を場面別にまとめました。
OB訪問を依頼する場合
件名:OB訪問のお願い【○○大学□□学部 △△】
●●保育園 ▲▲様
お世話になります、○○大学□□学部の△△と申します。
本日は大学のキャリアセンターにて▲▲様のことを知り、OB訪問をお願いしたくご連絡を差し上げました。
現在就職活動中で●●保育園に興味があり、「子どもの自主性を大切にする」という保育方針に大変魅力を感じております。
お忙しいところ恐縮ですがお時間を頂けるようでしたら、下記から▲▲様のご都合のよい日程をお知らせいただけますでしょうか。
- ■月■日 ■時~■時
- ■月■日 ■時~■時
- ■月■日 ■時~■時
上記日程でご調整が難しい場合、お手数ですが▲▲様のご都合のよい日程を3点ほど頂けますと幸いです。
突然のお願いとなってしまい恐れ入りますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
————————————————————————
△△(自身の氏名)
郵便番号
住所:
電話番号:
e-mailアドレス:
————————————————————————
先輩保育士さんにOB訪問を依頼するときは、連絡先を知った方法も伝えるようにするとよさそうです。
先輩保育士さんが「どこで連絡先を知ったのかな」と不安に感じるのを防ぐことができるでしょう。
また、候補日を送る際は相手がスケジュールを合わせやすいように、2週間~1カ月くらい先の日程を送るとよさそうです。
OB訪問を承諾いただいた場合
件名:■月■日のOB訪問に関しまして【○○大学□□学部 △△】
●●保育園 ▲▲様
お世話になっております、○○大学□□学部の△△でございます。
この度はOB訪問をご承諾くださり、誠にありがとうございました。
それでは、■月■日 ■時に貴園へお伺いいたします。
当日お伺いしたい質問を下記にお知らせいたしますので、ご確認いただけますと幸いです。
- ~
- ~
- ~
以上でございます。
▲▲様にお会いできますことを楽しみにお待ちしております。
お忙しいところ恐縮ですが、当日は何卒よろしくお願い申し上げます。
————————————————————————
△△(自身の氏名)
郵便番号
住所:
電話番号:
e-mailアドレス:
————————————————————————
OB訪問を承諾いただいた場合は、「■月■日 ■時に貴園へお伺いいたします。」のように再度日時を確認するようにしましょう。
聞きたい質問もいくつか記載しておけば、先輩保育士さんも回答を準備しておいてくれるかもしれません。
また、オンラインでOB訪問を行う際は、このタイミングで専用URLを送っておきましょう。
OB訪問のお礼をする場合
件名:OB訪問のお礼【○○大学□□学部 △△】
●●保育園 ▲▲様
お世話になっております、本日OB訪問に伺いました○○大学□□学部の△△です。
本日はお忙しい中お時間を割いてくださり、誠にありがとうございました。
自分で調べても分からなかった保育に関する疑問点や、園の魅力などについてお答えくださったため、ますます●●保育園への志望度が高まりました。
また、「子どもと心が通じ合った瞬間が一番嬉しい」という▲▲様のお言葉を伺い、私もそのような保育士を目指したいと強く思いました。
頂いたアドバイスを胸に、これからの就職活動にも引き続き励んでいきます。
本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。
またご相談させていただけますと幸いです。
引き続きよろしくお願い申し上げます。
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△△(自身の氏名)
郵便番号
住所:
電話番号:
e-mailアドレス:
————————————————————————
OB訪問が終わった後は、速やかにメールを送るようにしましょう。
できるだけ当日中、遅くても次の日までに送付するとよさそうです。
感想などを盛り込むと中身の濃いメールに仕上がるので、記載したメモなどを確認しながら作成してみるとよいかもしれませんね。
園から内定を頂いた場合
件名:進路決定のご報告【○○大学□□学部 △△】
●●保育園 ▲▲様
お世話になっております、以前OB訪問に伺いました○○大学□□学部の△△です。
過日はお忙しい中お時間を割いてくださり、誠にありがとうございました。
この度はお世話になりました▲▲様に、貴園の内定を頂きましたことをご報告したく、ご連絡を差し上げました。
▲▲様がご指導くださったおかげで獲得できた内定と思っております。
4月から▲▲様と働けますことを、心より楽しみにお待ちしております。
至らぬ点もあるかと存じますが、今後とも先輩保育士さんとしてご指導ご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。
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△△(自身の氏名)
郵便番号
住所:
電話番号:
e-mailアドレス:
————————————————————————
先輩保育士さんが在籍している園から、内定を頂いたときのメールの例文です。
先輩保育士さんに内定を獲得できたこととお礼をしっかり伝えれば、丁寧な印象を与えられるでしょう。
あわせて、「先輩保育士さんとしてご指導ご鞭撻をよろしくお願いします。」のように、4月からお世話になる旨を添えるとよいかもしれませんね。
保育士の就活でOB訪問を行うときの注意点
続いて、就活でOB訪問を行うときに気をつけるポイントを解説します。
時間を守る
先輩保育士さんは忙しい中時間を割いてOB訪問に対応しているため、遅刻は絶対にしないように気をつけましょう。
万が一交通機関の関係で遅れそうなときは早めに連絡を行い、到着したらしっかり謝罪することが大切です。
しかし、園などを訪問するときは早く着きすぎるのもマナー違反なので、5分くらい前を目安に行くようにしましょう。
とりあえずの訪問は避ける
目的を定めなかったり質問を用意しなかったりと、とりあえずの訪問をしてしまうと相手に失礼な印象を与えてしまうかもしれません。
お互いにとって生産性のない時間になってしまい、場合によっては選考に影響することもありそうです。
相手の厚意で対応してもらっていることを忘れず、万全な準備を行ってから臨むようにしましょう。
話を広げる
先輩保育士さんと会話をするときは、できるだけ話を広げるように努めたほうがよさそうです。
一問一答形式だと一方的に質問をする形になってしまい、会話が盛り上がりづらくなってしまうかもしれません。
そのため、OB訪問では先輩保育士さんの話をしっかり聞くように努め、それに対して感想を伝えたりさらなる質問をしたりするとよいでしょう。
トラブルに注意する
OB訪問をするときは、トラブルにも注意したほうがよさそうです。
カラオケ・自宅に行ったり夜に訪問したりすることは避け、日中に人目のある場所で行うように心がけましょう。
不安なときはオンラインでのOB訪問も検討してみるとよいかもしれませんね。
喫茶店の場合はマナーに気をつける
場合によっては園の中ではなく、近くの喫茶店などでOB訪問を行うケースもあるでしょう。
そのときは先輩保育士さんより少し安めのメニューを頼んだり、同じ料理をオーダーしたりするとよさそうです。
また、お会計の際は財布を出して自分も支払おうという気持ちを表し、相手が払ってくれたときは「ごちそうさまでした」と伝えるようにしましょう。
保育士の就活でOB訪問ができないときの対処法
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最後は、OB訪問ができないときの対処法をまとめました。
WEBサイト・SNSから情報をつかむ
OB訪問をしない場合の対策として、WEBサイトやSNSから情報をつかむことが挙げられます。
保育士さんのインタビューやイベントの情報をまとめている園もあるため、OB訪問ができなくても雰囲気などを知ることができそうです。
園の名前をインターネットで検索すれば、WEBサイトやSNSを見つけられるかもしれませんね。
チャットで連絡を取る
友人などが先輩保育士さんの連絡先を知っている場合は、紹介してもらってチャットで質問してみるのもよさそうです。
OB訪問は限られた時間で質問する必要があるものの、チャットであれば相手が了承する限り気軽に質問することができるでしょう。
しかし、いきなりチャットを送ると失礼になる可能性があるので、友人などを通じて先に了承を得たほうがよいかもしれませんね。
保育士就活支援サービスを使う
OB訪問ができないときの対処法として、保育士向けの就活支援サービスを使ってみるのもよさそうです。
アドバイザーは園の情報を深く知っているため、OB訪問を行わなくても福利厚生や園の魅力などをしっかり聞くことができるかもしれません。
保育学生さんの要望を聞きながら自分に合った園も紹介してくれるので、興味のある方は登録してみるとよいですね。
OB訪問を行って保育士の就活に活かそう!
今回は就活で行うOB訪問とは何かや、くわしいやり方を紹介しました。
OB訪問は先輩保育士さんから直接園の情報を聞いたり、就活に関するアドバイスをもらったりするために会いに行くことを指します。
OB訪問をしないときはWEBサイトを使う、就活支援サービスに登録するなどの対策を行うとよさそうです。
保育学生さんはここで紹介したやり方や質問例などを参考に、保育士の就活に役立てられたらよいですね。
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