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保育教諭になるためには。必要な資格や仕事内容、特例制度の利用方法

保育教諭になるには、保育士資格と幼稚園教諭免許が必要になります。保育学生さんの中にはそれぞれの資格取得を目指す方が多いかもしれませんが、就職先の選択肢が広がるため両方の取得を目指してみてもいいかもしれません。今回は、保育教諭について概要や必要になる資格、特例制度を利用方法についてくわしく紹介します。

保育所で働く先生

milatas/shutterstock.com



「保育教諭」とは

「保育教諭」とは、幼保連携型認定こども園で働く職員のことを指します。
まずは、幼保連携型認定こども園はどんな施設なのか、保育士や幼稚園教諭との違いはなにか見ていきましょう。



認定こども園の概要


内閣府「認定こども園概要」の資料によると、幼保連携型認定こども園は認定こども園のうちの一つで、幼稚園と保育園の両方の機能をあわせ持つ単一の施設としています。


認定こども園は幼保連携型、幼稚園型、保育園型、地方裁量型の4つに分類され、未就学児に幼児教育と保育の提供を行うことが目的です。



保育士や幼稚園教諭との違い


保育教諭は保育士、幼稚園教諭と比較するとどのような違いがあるのでしょうか。


担当する子どもの領域

保育士の場合、0歳児からの子どもの保育を行います。また、幼稚園教諭の場合は3歳児から就学前の子どもに対して、教育を交えた成長のサポートを行うでしょう。


これに対し保育教諭は、幼保連携型認定こども園において、保育園の領域の子どもたちを担当する場合は保育士に似た保育を中心とする働き方をし、幼稚園の領域の子どもたちを担当する場合は幼稚園教諭に似た働き方をします。


取得する資格・免許

保育士の場合は国家資格である「保育士資格」、幼稚園教諭の場合は教育職員免許法に基づく「教員免許」を取得します。一方、保育教諭は保育士資格と幼稚園教諭免許の両方がなければ働くことができません。


くわしい資格について、次の見出しで見ていきましょう。



保育教諭になるために必要な資格

先ほどもお話したように、保育教諭になるためには以下の資格が必要となります。


  • 保育士資格
  • 幼稚園教諭免許

2つの資格が必要な意味として、幼保連携型認定こども園が保育園と幼稚園の両方の機能を持っていることが挙げられるでしょう。


幼保連携型認定こども園で働くにあたって、以前は保育士資格、幼稚園教諭免許のどちらか一つの資格を有していれば問題ないとしていました。しかし2015年に「子ども・子育て支援新制度」が施行されて以降、2つの資格を持つ保育教諭を配置することが原則となっています。



保育教諭になるために利用できる特例制度

ここからは、保育教諭になるために利用できる特例制度についてくわしく見ていきましょう。



概要・目的


保育教諭の特例制度とは、学科の単位を一部免除することで保育士資格、または幼稚園教諭免許を取得しやすくする制度のことです。


先ほど説明したように、以前はどちらか一つの資格があれば幼保連携型認定こども園で保育教諭として働くことができました。しかし、現在は2つの資格を有していないと働くことができません。


国は、保育園や幼稚園が「認定こども園」へ円滑に移行するため、保育教諭の特例制度の期限を【2024年度(令和6年)末】まで延長することを発表しました。


保育学生さんの中には、「保育園で働きたいから保育士資格だけでいい」 「幼稚園教諭免許の資格をとる余裕がない」という方もいるかもしれません。しかし、認定こども園が今後増えていくことを考えると、両方の資格を持つことで希望する職種を広げることにつながるでしょう。


延長している期間を有効に活用して、両方の資格取得を目指してみてもいいかもしれませんね。



特例制度の対象者


以下の条件に当てはまる方が特例制度の対象者です。


保育士資格の場合


  • 幼稚園教諭免許状を有している方


幼稚園教諭の場合


  • (一種)学士の学位を所持しており、なおかつ保育士資格を有している方
  • (二種)高等学校卒業以上で、保育士になる資格を有している方


次の施設において「3年以上かつ4320時間以上」の実務経験がある方


  • 幼稚園(特別支援学校幼稚部含む)
  • 認定こども園
  • 保育所
  • 小規模保育事業
  • 事業所内保育事業
  • 公立の認可外保育施設
  • へき地保育所
  • 幼稚園併設型認可外保育施設
  • 認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書が交付された認可外保育施設(例外あり)

ここからは、特例制度を利用して幼稚園教諭免許を取得する方法と、保育士資格を取得する方法、両方の資格を持っていない方が保育教諭の目指す方法についてそれぞれ解説します。



特例制度を利用して幼稚園教諭免許を取得する方法

保育教諭になるため、特例制度を利用して幼稚園教諭免許を取得する方法を紹介します。



保育士資格を持っている方が取得する場合


保育士資格を持っている方が特例制度で幼稚園教諭免許を取得する方法は、以下になります。


  • 保育士としての勤務経験:3年かつ4320時間以上※特例制度の対象施設において実務経験がある方に限る
  • 大学等における単位の修得:8単位

単位を修得した後に実務の経験を積む形でも問題ありません。


文部科学省「幼稚園教諭免許状授与の所要資格の特例に関するQ&A」の資料によると、実務経験は複数の施設の勤務年数を合算することも可能としています。過去に働いていた勤務年数を含んでも問題ありませんが、それぞれの園において実務証明書が必要になります。


たとえば、1年間分の勤務経験がある方が先に単位を修得し、その後で2年間分の勤務経験を積んだ場合でも幼稚園教諭免許を取得できるということです。


実務経験の3年間かつ4320時間は1年間に換算すると1440時間ですので、120日以上働くと達成できる見込みとなります。



大学などで必要な単位を履修して取得する方法


特例制度で幼稚園教諭免許を取得するためには8単位が必要になります。


本来、幼稚園教諭の資格を得るには「幼稚園教諭養成課程」を修了していることが条件となり、4年制大学は一種、短大や専門学校では二種、大学院の場合は専修免許が取得可能です。


資格を取得する課程で必要となる単位数は、一種は59単位、二種の場合は39単位(どちらの場合も教育実習・教育実習演習を含む)、専修の場合は63単位です。
特例制度を利用すると8単位の履修で済むため、資格取得にかかる時間を大幅に短縮できるでしょう。


特例制度の単位は文部科学省が定めた大学などで履修することができ、通学制の場合は修得までに20日前後かかるようです。




特例制度を利用して保育士資格を取得する方法

先生と女の子

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特例措置を利用して保育士資格を得る方法を紹介します。



幼稚園教諭免許を持っている場合の要件


幼稚園教諭免許を持っている方が保育士資格を取得する方法は、以下になります。


  • 幼稚園教諭としての勤務経験:3年かつ4320時間以上※特例制度対象施設において実務経験がある方に限る
  • 大学等における単位の修得:8単位

厚生労働省「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例」の資料によると、特例制度を利用して保育士資格を取得するには、幼稚園教諭としての3年間の実務経験と大学などで単位の履修が必須です。


単位を先に修得してから勤務経験を積む形でも問題なく、勤務経験は複数の施設による合算も可能となっています。ただし、合算の場合はそれぞれの園で働いていたことを証明する必要があるので注意しましょう。



必要な単位を修得する方法


特例制度では8単位の履修で幼稚園教諭免許の取得が可能です。


保育士になるには、各都道府県の知事が指定する養成学校の課程と科目を履修して卒業するか、保育士試験に合格することになります。保育士養成学校の課程において資格を得るためには、68単位の取得が必要です。幼稚園免許を保有していれば34単位に減らせますが、特例制度では8単位とさらに履修する単位を少なくすることができます。


保育教諭になるために必要な8単位は、国から指定された大学や短大などで履修することが可能です。



資格がない方が保育教諭を目指すには?

保育士資格、幼稚園教諭免許を有していない方は、どちらかの資格を取得することから始めてみましょう。


保育教諭の特例制度が有効なうちは、必要な単位の履修と対象施設で3年働くことで、もう一方の資格を取得できます。


保育教諭に必要な保育士資格、幼稚園教諭免許ともに、本来であれば多くの単位の履修が必要ですが、特例制度を利用することで学科の一部が免除されることで、取得しやすくなるでしょう。



保育教諭の仕事内容や給料事情

保育教諭になるために必要な資格や覚えておきたい特例制度についてわかったところで、簡単に仕事内容や給料事情について紹介します。



仕事内容


保育教諭は保育士と幼稚園教諭の仕事を両方行います。そのため、1日の中で食事や着替えなどの生活指導を行うほか、就学に向けて教育も行うことになるでしょう。


園によっては独自の遊びや教育を取り入れているところもあるため、くわしい仕事内容は園の担当者に確認してみるといいかもしれません。



給料と求人数


内閣府「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の 経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】」の資料によると、2019年度の認定こども園の給与は常勤の方の場合、私立が27万9954円、公立は28万7181円となっています。


これはあくまで平均的な金額ですので、実際に働く都道府県や幼保連携型認定こども園によって給料は異なるでしょう。
保育教諭の求人数は自治体によって差がありますが、認定こども園の開設は増加傾向にあるため、今後需要が高まっていくかもしれません。



保育教諭の資格を取得したい方は計画的に学修しよう

今回は保育教諭という職種について、必要な資格や仕事内容、資格が取得しやすくなる特例制度について紹介しました。


保育教諭は保育士資格と幼稚園教諭免許が必要になるため、なりたいと考えている保育学生さんは計画的な学修を行うことが大切です。「まだまだ先のことだから」と考えず、できるだけ早く準備にとりかかるといいでしょう。


保育教諭になることで、活躍する場は「保育園」「幼稚園」にとどまらず、「認定こども園」にまで求人の範囲が広がるかもしれません。保育教諭になるために利用できる特例制度は、2024年度の末まで期間が延長となっています。

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