児童養護施設とはどんな施設?働くために知っておきたい役割と仕事内容 | 新卒向け保育士求人・就職・就活情報サイト【保育士就活バンク!】

児童養護施設とはどんな施設?働くために知っておきたい役割と仕事内容

児童養護施設とはどんな施設か知っていますか。保育士の就職の選択肢で児童養護施設で働くにはと考えている人もいるでしょう。児童養護施設と、そこで働く職員にはさらにさまざまな役割があります。働くために必要な資格や求人状況、保育士として知っておきたい仕事のやりがいなどをまとめてみました。就活前にできる実習やアルバイトで積める経験なども併せて調査しました。


児童養護施設とは児童養護施設で働くには必要な資格 spass/shutterstock.com

児童養護施設とは。役割や施設について

厚生労働省の資料によると、児童養護施設とは、

「児童養護施設は、保護者のない児童(乳児を除く。ただし、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、乳児を含む。)、虐待されている児童など、環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設」

と定義されている、児童福祉法41条に定める児童福祉施設の一つです。

出典:「児童養護施設の概要」/厚生労働省


児童養護施設とは

簡単にいうと、現状、家庭で生活することが困難だと判断された児童が入所する施設のことです。施設は、両親が予期できない災害や事故あるいは病気、また不適切な養育を受けているなどのさまざまな事情により、家族による養育が困難な子どもたちの生活の拠点となっています。児童養護施設は、全国に約600施設ほどあり、子どもたち約3万人が暮らしています。

出典:「社会的養護の施設等について」/厚生労働省


児童養護施設の実態・子どもの入所理由と年齢層

子どもたちの入所理由

厚生労働省が平成25年に発表した「入所児童等調査結果」によると、児童養護施設では「父母の虐待・酷使」(14.4%)と「父母の放任・怠だ」(13.8%)が多くなっています。一般的に虐待とされる「放任・怠だ」「虐待・酷使」「棄児」「養育拒否」を合計すると児童養護施設では33.1%と高い割合を占めています。

出典:平成25年版「子ども・若者白書・第2節 犯罪や虐待による被害」/内閣府


入所の対象年齢

児童養護施設は、乳児を除く18歳に至るまでの子どもを対象にしてきました。ですが、特に必要がある場合は乳児も入所することができます。 また、退所年齢となる18歳を過ぎても、20歳まで措置延長ができることから、子どもの発達状況や子どもの自立支援の最善となる状況を判断し、必要がある場合は18歳を超えても入所を継続することが可能です。 義務教育終了後、進学しないまたは高校中退で就職する場合でも、その社会養護の観点から、でき得る限り入所を継続していくことが必要であるとされています。

出典:「 児童養護施設運営ハンドブック」/厚生労働省


児童養護施設の職員と配置基準

児童養護施設の職員と配置基準

児童養護施設では、施設長のほか、児童指導員、保育士、個別対応職員、家庭支援専門相談員、栄養士および調理員等、嘱託医の配置が児童福祉法に定められ、児童をサポートします。乳児が入所している場合は、これらに加えて看護師の配置が求められています。
また、心理療法が必要な児童が10人以上いる場合は心理療法担当職員を、職業指導を行う場合は職業指導員を配置しています。


児童指導員・保育士

入所児童が健全な成長のために、日常生活の指導や支援を行います。保護者に代わって子ども達の養育を中心となって担う、養育の専門職です。


嘱託医・看護師

入所児童の健康管理を行います。


家庭支援専門相談員

保護者などをサポートし、入所している子どもの家庭復帰等を支援します。また、施設を退所した子どもたちの相談と援助、地域の関係機関との連絡や調整、子育て家庭の相談や援助等行うようです。


心理療法担当職員

入所児童に対し、カウンセリングなどの心理療法を実施して、心のケアや支援を行います。また、心理面の専門家として他の職員へ助言や相談を行います。


里親支援専門相談員(里親支援ソーシャルワーカー)

児童相談所の職員や地域の里親会等と連携して、里親を支援し施設と里親をつなぐ役割を果たします。


栄養士・調理員等

児童の食事提供と栄養管理を支援します。
子どもたちそれぞれの健康状況や成長に応じて、栄養バランスのとれた献立や美味しい食事を提供し、子どもたちの成長を支援します。

出典:「児童養護施設等について」/厚生労働省


職員の給料

児童養護施設には公立と私立があり、公立施設で働く場合は地方公務員になるため、給料は公務員給与規定に基づいて支給されます。
一方で私立の場合は、運営法人や職種によって異なりますが、児童指導員や保育士の基本給は、一般の私立園や保育施設に務める給与とさほど変わらないようです。夜勤や宿直があるために、その分の賃金が上乗せされるということもあります。


児童養護施設の仕事と職員の役割

児童養護施設で働く職員の仕事は、食事や入浴などの生活全般の手助けや指導、子どもを遊ばせることなどのほか、学校行事への参加や進学・就職相談など、親代わりとして行う業務も多く、業務内容は多岐にわたります。


児童養護施設の仕事の目的と役割

児童養護施設の大きな役割として社会的養護があり、「基本的信頼感の回復」「社会性の獲得」という、大きく2つの役割があり、わかりやすく言うと次のような内容になります。

・基本的信頼感の回復
入所した子どもたちに、家庭のように温かい雰囲気の中で、安定した生活が送れるようにする
・社会性の獲得
子どもたちが健全に成長し、自立するための支援を行う

生活(基本的信頼感の回復)

職員は子どもたちの親代わりとして接する必要があることから、子どもの育ちに対する責任も多く、勤務時間も24時間の中で交代制の施設が多いです。
また、担当する子どもたちの年齢層が幅広い(主に1歳過ぎ~18歳)ことも特徴であり、子どもの年齢に合わせて的確な保育・教育をしていく必要があります。
そして、仕事をする上で最も注意が必要なのは、児童養護施設に入所している子どもたちが多種多様な問題を抱えているという点です。 子どもたちが抱えている問題を充分に把握し、寄り添い、信頼関係を構築し、一人ひとりにあった適切な対応をすることが仕事となります。


自立支援(社会性の獲得)

保護者に代わって生活の支援や自立に向けたサポートをしています。各専門の職員が子どもが家庭に戻れるための援助や、里親との支援、児童養護施設成長し退所する子どもが進学・就職などによって自立できるよう、退所後の長い目で見た支援も含まれています。


一日の流れ

童指導員の1日の過ごし方は、勤務する施設や入所する子どもの年齢によって異なり、基本的には、子どもたちの生活に合わせ勤務します。
朝は、食事の準備や子どもたちの起床・登校準備の手伝い、掃除や洗濯。子どもたちが学校から帰った後は、食事や入浴、宿題の確認、翌日の通学準備など、就寝まで必要なサポートを行います。


夜勤がある

24時間子どもたちとともに生活する施設のため、複数のスタッフが交代で夜勤勤務するケースが多くなっています。


児童養護施設での保育士の仕事・やりがいと大変さ

児童養護施設は通常の保育園とは異なる点が多いので、児童養護施設で働く保育士の仕事内容をまじえて、児童養護施設で働く保育士のやりがいについてご紹介したいと思います。
児童養護施設には様々な問題を抱える子どもたちが入所しているので、職場として選ぶには強い意志も求められるでしょう。


児童養護施設で働く保育士のやりがい

児童養護施設で生活する子どもにとって、児童養護施設は家庭であり、職員は家族となります。 保護者がいる保育園とは異なり、保育士は本当の親代わりのようになって、子どもたちのケアや、強い愛情を注ぎ育てていきます。
心身のケアが難しいと感じることもあるかもしれません。ですが、その分、子どもが今までできなかったことができるようになったり、成長した時には喜びが大きいものになり、やりがいが感じられます。
一番近くで寄り添って成長を見守り、手助けができるのは、児童福祉施設で働く保育士ならではのやりがいとの1つです。 また、子どもが困った時や悩んだ時に「先生に聞いて欲しい!」と頼り、慕ってくれることも児童養護施設で働くやりがいといえるかもしれません。


児童養護施設で働く保育士の大変さ

児童養護施設ならではの仕事の大変さはもちろん存在します。 ここでは、児童養護施設で働く上で、よく理解しておきたい事項を取り上げていきます。


夜間勤務と土日祝日勤務

児童養護施設に入所するのは、2歳~18歳までの保護者がいない子どもや、保護者がいてもあらゆる事情で一緒に暮らすことのできない子どもなどです。 児童養護施設は、家庭に代わる子どもたちの家としての機能を果たしているため、24時間365日体制で稼働しています。 そのため、夜間勤務や土日祝祭日の勤務などは、シフトによる交代で行うようになります。


忍耐力が必要な仕事

児童養護施設に入所してくる子どもたちは、入所までにさまざまな経緯があるため、最初は大人への信頼感を失っている場合もあります。 そのため、入所してきたばかりの子どもたちは、児童養護施設で働く保育士を試すような行動に出ることがあります。 その手段はいろいろですが、いずれにしても保育士の忍耐力が問われる場面も出てくるでしょう。


子どもと保護者との関わり

児童養護施設に入所する子どもたちは、その全てに保護者がいないわけではありません。 児童養護施設の入所理由や内容も一人ひとり異なりますし、心のケアが必要な子どももいます。その子どもたち1人1人心に、いかに寄り添い向き合っていくのか、保育士にとって経験力や対応力の幅を広げる努力が必要になることもあるでしょう。
入所している子どもたちの保護者との関わり方も、保育士にとっては重要な仕事となり、対応力やコミュニケーション力、状況に応じての判断力が求められる場面も出てきます。


児童養護施設で働くには必要な資格 numa0417bb/shutterstock.com

児童養護施設で働くには。必要な資格

児童養護施設の職員として働くために必要な資格

児童養護施設はその役割や仕事内容から、専門職員にはそれぞれ専門資格や実務経験が求められます。


正規職員

児童養護施設で働く職員は、配置基準で求められている職種や職員数が決められているため、資格職に関して働くには主に保育士・社会福祉士・心理療法士・看護士・管理栄養士などの資格が必要になります。


【嘱託医・看護師・保育士・栄養士・調理師】
各職員は、国家資格を有していることが求められます。


【児童指導員】
児童指導員資格が必要で、以下のいずれかが該当すれば児童員資格を取得できます。
・社会福祉士、精神保健福祉士の資格を有する。
・大学または大学院で、社会福祉学、心理学、教育学、または社会学を履修して卒業する。
・小・中学校、高校等の教員免許を取得したうえで、都道府県知事に適当と認められる。
これらのほかにも、児童福祉事業経験者が児童指導員になるという場合もあります。

出典:「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(省令)」/厚生労働省


【家庭支援専門相談員】
社会福祉士の資格が必要ですが、児童養護施設等で5年以上の勤務経験などでもなることができます。

出典:「社会的養護における職種別任用要件等」厚生労働省


【施設長】

社会福祉主事任用資格が必要です。

出典:「社会福祉主事について」/厚生労働省


【事務員・用務員】
特に資格は必要ありません。ですが、採用に向け事務やオフィスワークでの実務経験やPCスキルの民間資格などがあるといいかもしれません。


アルバイト

児童養護施設では正規職員だけでなく、アルバイトやパートの募集している場合もあります。多くは保育士や調理師などの有資格者に向けての募集ですが、資格を持っていない場合でも保育補助や調理補助、事務などで募集していることがあるようです。


児童養護施設の求人募集と応募方法

公立の児童養護施設

児童養護施設は国の方針で民間委託が進み、その数は少なくなっています。公立の児童養護施設で正規職員で働くためには、保育士資格などの資格を取得した上で、公務員試験に合格する必要があります。
公務員試験の採用方式は自治体によってさまざまで、児童養護施設などの福祉系の職種を希望しても、別の部署の仕事や、定期的な人事異動も行われます。
また、近年では臨時職員での募集もありますが、そういった場合は異動はありませんが、年数が限られた契約になるようです。
採用に関しては、勤務を希望する各自治体の公式WEBページを確認しましょう。


私立の児童養護施設

私立の児童養護施設での求人採用は、各施設の運営法人が独自に行っていることがほとんどです。そのため、就職活動で求人を見つけるためには、次のような方法が考えられます。
・各施設の公式WEBページを常にチェック
・有資格者向けの就職転職求人サイト(保育士専門など)で求人案件を検索する
・ハローワークなどの求人案件を検索する
・大学、短大、専門学校の就職支援課で常に情報を収集する
私立の児童養護施設は公立に比べ施設数は多いものの、求人数は非常に少ない傾向にあるため、常日頃からさまざまな情報をチェックしておく必要があります。


児童養護施設に応募する履歴書の志望動機

児童養護施設に応募するための志望動機は、子どもに対する思いや考え方、またどうしてこの仕事をしたいと思ったのかの動機を事前に明確にしましょう。
大学や専門学校の授業で学んだ内容から興味を持った、ボランティアや施設実習を体験したことで働くことが目標になったなど、強い気持ちが伝わる体験や動機が説得力を生みます。

志望動機の考え方についての詳しい説明はこちらから


児童養護施設で働くために就活前にできること

児童養護施設で働きたいと志望している場合や興味がある場合、次のような方法で事前に仕事内容や働く環境を、実際に知ることができます。


児童養護施設での施設実習

保育実習の一環である施設実習で、児童養護施設を選ぶことができます。学校からの紹介施設を探して申し込みを行いましょう。
自分で施設を探すこともできますが、学校からの申し込みを優先させている施設が多いようです。


児童養護施設でのボランティアやアルバイト

実習以外に、アルバイトやボランティアで実際に働いてみる経験は、実際の児童養護施設の現状をリアルに知ることができますし、保育を学ぶ上でも非常に役立ちます。


ボランティア

児童養護施設でのボランティアの役割として、施設の職員と子どものみの閉ざされた環境になりがちであるため、地域・社会との関わりが少なくなってしまうところを、ボランティアが入ることで、
・地域とのかかわりで子どもの孤立を防ぐ
・人とのふれあいや子どもの話の聞き手となる
などの目的があります。
児童養護施設のボランティアに参加したい場合は、施設探しが必要です。WEBで検索すると、施設の運営法人のWEBページやNPO法人が窓口となり、ボランティアをを募集している場合があります。
また、大学や専門学校を通じての募集がある場合もありますので、学生課に問い合わせてみることも可能です。


アルバイト

WEBで募集している求人情報を探すこともできますが、学校の夏休みや春休み期間など長期休暇期間前には、保育補助などの職種で学生アルバイトの募集の求人票が学生課で紹介してもらえることもあるようです。


児童養護施設で働くには志望前に施設の役割と目的への十分な理解を

児童養護施設には、さまざまな理由で保護者から離れ生活する子どもたちに対し、職員の方たちが真摯に向き合い、家族としての温かい生活を送り、社会的に自立できるよう子どもだけでなく保護者や周囲の環境に対しても支援を行う役割があります。
責任とやりがいのある仕事だからこそ、その役割や仕事内容をしっかりと理解しておきましょう。