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児童養護施設とは。仕事内容や役割、職員として働くにはどうしたらいいかについて

児童養護施設とは児童福祉法で定められている児童福祉施設の一つです。くわしい仕事内容ややりがい、児童養護施設で働くにはどうしたらいいか知りたい方もいるかもしれません。今回は、児童養護施設とはどんな施設なのか概要を説明するとともに、働くために必要となる資格やメリット、大変なことなどを解説します。

子どもと抱き合っている女性

spass/shutterstock.com



児童養護施設とは

児童養護施設とは、児童福祉法41条に定められている児童福祉施設の一つです。
施設の内容についてくわしく見ていきましょう。



児童養護施設の概要


厚生労働省の資料では、児童養護施設を以下のように説明しています。


児童養護施設は、保護者のない児童(乳児を除く。 ただし、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、乳児を含む。 )、虐待されている児童など、環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設。

出典:児童養護施設等について/厚生労働省から抜粋


つまり児童養護施設は、家庭で家族と生活することが困難だと判断された場合など、さまざまな事情により養育が困難な子どもたちの生活の拠点といえるでしょう。



児童養護施設の実態


厚生労働省の資料によると、児童養護施設は2016年10月時点で全国に約600施設ほどあり、入所している子どもたち約2万7000人となっています。


児童養護施設の実態として、設置数は2001年から2016年で1.09倍も増加しています。
また児童虐待による相談も増加傾向にあるため、児童養護施設の需要は今後さらに高まることが予想されるしょう。


出典:児童養護施設等について/厚生労働省

出典:社会的養護の施設等について/厚生労働省



児童養護施設を利用する子どもの入所理由と対象年齢

児童養護施設に入所する、子どもの対象年齢や入所理由について見ていきましょう。



入所する子どもの対象年齢


児童養護施設は、乳児を除く18歳に至るまでの子どもを対象にしています。


ただし、特に入所が必要になる場合は乳児も対象となり、退所年齢となる18歳を過ぎても、子どもの発達状況や自立の状況を見て対応する場合もあるそうです。
児童養護施設では、20歳まで措置延長ができるため、18歳以上でも入所を継続することが可能であることを覚えておくとよいですね。


さらに義務教育終了後、対象となる子どもが進学しない、または高校中退で就職する場合でも、児童養護施設は高い養護性を持つ施設ということもあり、できる限り入所を継続していく必要があると考えているようです。



子どもたちの入所理由


児童養護施設に子どもたちが入所する理由はさまざまです。


厚生労働省が2018年に発表した「児童養護施設入所児童等調査の結果」によると、児童養護施設では「父母の虐待・酷使」(22.5%)と「父母の放任・怠だ」(17.0%)が特に多くなっています。 ほかにも、「父母の死亡」「父母の入院」「父母の離婚」「養育拒否 」などの理由が挙げられています。


この児童養護施設入所児童等調査は、児童福祉法に基づいて児童養護施設などにいる子どもの実態を明らかにし、要保護児童の福祉増進をはかることを目的としており、おおよそ5年ごとに行われています。

出典:児童養護施設運営指針/厚生労働省

出典:児童養護施設入所児童等調査の結果/厚生労働省



児童養護施設で働く職員の種類と配置基準

遊んでいる子どもの様子を見る保育者

polkadot_photo/shutterstock.com




児童養護施設で働いている職員


児童養護施設で働いている職員についてくわしく説明します。


児童指導員・保育士

保育士や児童指導員は入所児童の健全な成長を育むために、日常生活の指導や支援を行っています。

保護者に代わって子ども達の養育を中心となって担う、養育の専門職といえるでしょう。


嘱託・看護師

嘱託医や看護師は主に入所児童の健康管理を行います。
状況によって、けがの手当や薬の投与を行うこともあるようです。


家庭支援専門相談員

家庭支援専門相談員は、ソーシャルワーカーと呼ばれることもある児童養護施設などで働く職員のことを指します。


保護者のサポートとして入所している子どもの引き取りを話し合ったり、里親の委託を支援したりしています。
また、施設を退所した子どもたちの相談と援助、地域の関係機関との連絡や調整、子育て家庭の相談や援助等行っているようです。


心理療法担当職員

心理療法担当職員は児童養護施設や児童自立支援施設などで働く、心理療法を行う職員のことです。


入所児童だけでなく保護者に対しても、カウンセリングなどの心理療法を実施して心のケアや支援を行います。
また、心理面の専門家として他の職員へ助言や相談を行うこともあるようです。


里親支援専門相談員(里親支援ソーシャルワーカー)

里親支援専門相談員は、児童相談所の職員や地域の里親会等と連携して、子どもを引き取りたいという里親を支援したり、施設と里親をつないだりしています。


里親を対象とした研修やアフターフォローなどを行うこともあるでしょう。


栄養士・調理員等

栄養士や調理員は児童の食事提供と栄養管理を支援します。

栄養士はバランスのとれた献立を作成して食事管理を行い、その献立にもとづいて食べやすいよう工夫して調整します。
子どもたちの健康状況や成長に応じて、栄養バランスのとれた献立や美味しい食事を提供して、成長のサポートを行っているようです。



児童養護施設の配置基準


児童養護施設では、施設長のほか、児童指導員、保育士、個別対応職員、家庭支援専門相談員、栄養士および調理員等、嘱託医の配置が児童福祉法に定められています。


ほかにも、乳児が入所している場合は、これらに加えて看護師の配置が求められているようです。また、心理療法が必要な児童が10人以上いる場合は心理療法担当職員を、職業指導を行う場合は職業指導員を配置しています。



職員の給料


児童養護施設には公立と私立があり、公立施設で働く場合は地方公務員になるため、公務員給与規定に基づいて給料が支給されます。


一方、私立の児童養護施設で働く場合は、運営法人や職種によって異なりますが、児童指導員や保育士の基本の給料は、一般的な私立園や保育施設に務める給与とさほど変わらないようです。
ただし、児童養護施設には夜勤や宿直があるために、その分の賃金が上乗せされるかもしれません。


出典:児童養護施設等について/厚生労働省



児童養護施設における職員の役割と仕事内容

児童養護施設における職員の役割と仕事内容について見ていきましょう。



児童養護施設における職員の役割


児童養護施設で働く職員の役割として、「家庭的養護と心理的な回復」「家族との連携と自立支援」といった役割が挙げられます。


わかりやすく説明すると以下のような内容になります。


  • 家庭的養護と心理的な回復:入所した子どもたちが愛され大切にされていると感じ、信頼関係や自尊心を取り戻していけるようにする
  • 家族との連携と自立支援:子どもたちが健全に成長し、自立するための支援を行う

生活(家庭的養護と心理的な回復)

児童養護施設で仕事をするうえで注意すべきことは、入所している子どもたちが多種多様な問題を抱えているという点です。


虐待体験や両親との分離体験などによって、 子どもたちは心の傷や深刻な生きづらさを抱えていることがあります。
職員は子どもが抱えている問題を充分に把握し、寄り添い、信頼関係を構築していき、一人ひとりにあった適切な対応をすることが重要になるでしょう。


また、担当する子どもたちの年齢層が幅広い(主に1歳過ぎから18歳)ことも施設の特徴で、子どもの年齢に合わせて的確な保育・教育を行う必要があります。


自立支援(家族との連携と自立支援)

児童養護施設にいる子どもたちは、保護者の死亡や養育困難、不適切な養育などの理由で入所しています。


そのため子どもの心理なケアも大切ですが、保護者も子どもを適切に養育できないことに悩んでいることがあるようです。
そのため、児童養護施設で働く職員は子どもや親の問題状況の解決や緩和を目指して、家族と連携をすることがあります。


そのほか、保護者に代わって生活の支援や自立に向けたサポートをしています。
専門の各職員は子どもたちが家庭に戻れるように援助し、里親の支援、児童養護施設で成長して退所する子どもが進学、就職などによって自立できるように、退所後の長い目で見た支援を行っています。



職員の仕事内容


児童指導員における1日の流れは、勤務する施設や入所する子どもの年齢によって異なるでしょう。
しかし、基本的には食事や入浴など安定した生活環境の手助け、子どもを引き取りたいという保護者との面談、学校行事への参加や進学・就職相談など、親代わりとして行う業務がメインになるようです。


児童養護施設の職員は子どもたちの親代わりとして接する必要があることから、勤務時間も24時間の中で交代制の施設が多いそうです。
複数のスタッフで早番、中番、遅番とシフトを組み、遅番では夜勤勤務するケースもあるので、どんな勤務形態か事前に把握しておくといいかもしれません。


出典:児童養護施設運営指針/厚生労働省



児童養護施設で働くにはどうしたらいい?

子どもを抱っこしている女性

polkadot_photo/shutterstock.com


児童養護施設で働きたい場合、どのような資格が必要になるのか気になりますよね。
児童養護施設で働くにはどうすればいいのか具体的に説明します。



児童養護施設に役立てられる資格を取得する

児童養護施設で働く職員は、職種や職員数が配置基準で決められています。
資格職に関しては、主に保育士、社会福祉士、心理療法士、看護士、管理栄養士などの資格が挙げられるようです。 それぞれの資格について見ていきましょう。


保育士、嘱託医、看護師、栄養士、調理師

上記の各職員については、国家資格を有していることが求められます。


児童指導員

児童指導員になるには、任用資格が必要になります。
以下が任用資格を取得するための要件です。


  • 社会福祉士、精神保健福祉士の資格を有する。
  • 大学または大学院で、社会福祉学、心理学、教育学、または社会学を履修して卒業する。
  • 小・中学校、高校等の教員免許を取得したうえで、都道府県知事に適当と認められる。


上記のほかに、児童福祉事業経験者が児童指導員の任用資格を取得することができます。


家庭支援専門相談員

社会福祉士、または精神保健福祉士の資格がある方、児童養護施設などで5年以上の勤務経験がある方などは目指すことができるでしょう。


施設長

児童養護施設の施設長として働くには、社会福祉主事任用資格や児童福祉司任用資格を有していている方で、なおかつ厚生労働大臣が指定する者が行う研修を受ける必要があります。


事務員・用務員

特に資格は必要ないようです。
しかし、児童養護施設で採用されるためには、事務やオフィスワークでの実務経験やPCスキルの民間資格などがあるといいかもしれません。



求人状況を確認して応募する


児童養護施設では正規職員のほかにも、アルバイトやパートの募集している場合もあるようです。


求人のなかには、有資格者を求めているものだけでなく、資格を持っていない学生などを対象に保育補助や調理補助、事務といった職員を募集していることもあるでしょう。
求人内容をきちんと確認することによって、資格がない方でも児童養護施設で働くことができるかもしれません。


出典:児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(省令)/厚生労働省

出典:家庭支援専門相談員、里親支援専門相談員、心理療法担当職員、個別対応職員、職業指導員及び医療的ケアを担当する職員の配置について」厚生労働省

出典:施設長の研修義務化及び資格要件省令化について/厚生労働省



児童養護施設の求人状況と応募方法



公立の児童養護施設


公立の児童養護施設で正規職員として働くには、保育士資格などの資格を取得したうえで、公務員試験に合格する必要があります。


公務員試験の採用方式は自治体によってさまざまですが、児童養護施設などの福祉系の職種を希望しても、定期的に人事異動があるため別の部署に異動になるかもしれません。


ただし、近年では臨時職員での募集もあります。
臨時職員の場合、異動はありませんが、1年や6ヶ月のように定められた期間までの契約になるようです。


公務員試験の採用に関しては、勤務を希望する各自治体の公式WEBページを確認しましょう。



私立の児童養護施設


私立の児童養護施設では、各施設の運営法人が独自に求人を行っていることがほとんどのようです。


そのため、児童養護施設で働くには次のような方法が考えられます。


  • 施設の公式WEBページを常にチェックする
  • 有資格者向けの求人サイト(保育士専門など)で求人案件を検索する
  • ハローワークなどの求人案件を検索する
  • 大学、短大、専門学校の就職支援課で常に情報を収集する

私立の児童養護施設の場合は、常日頃からさまざまな情報をチェックしておくことで、求人情報を見逃しにくくなるでしょう。



児童養護施設に応募するときの志望動機の考え方


児童養護施設に応募する際、志望動機の書き方で悩む方もいるかもしれません。


児童養護施設の志望動機では、子どもに対する思いや考え方、またどうして働きたいと思ったのかなど、応募する動機を明確にするといいでしょう。


「大学や専門学校の授業で学んだ内容から児童養護施設に興味を持ちました」、「ボランティアや施設実習の体験を通して、児童養護施設の職員として働くことが目標になりました」など、働きたいという強い気持ちが伝わる体験や動機が説得力を生みます。


関連記事:「保育士の志望動機の書き方、新卒や未経験のための志望理由と例文 【保育士の就活ガイド】/就活バンク」



児童養護施設で働くやりがいと大変さ

食事をする子どもたち

milatas/shutterstock.com


ここでは、児童養護施設で保育士として働くやりがいや大変さを紹介します。



児童養護施設で働く保育士のやりがい


児童養護施設で生活する子どもにとって、児童養護施設は家庭であり、職員は家族といえるでしょう。


一般的な保育園や幼稚園とは異なり、保育士は本当の親代わりのようになって、しっかり愛情を注いで育てていきます。
心身のケアが難しいと感じることもあるかもしれませんが、その分、子どもが今までできなかったことができるようになったり、成長が見えたりしたときの喜びは大きく、やりがいが感じられるかもしれません。


一番近くで寄り添って成長を見守っているからこそ、子どもが困ったときや悩んだときに「〇〇先生に聞いて欲しい!」と頼り慕ってくれることも、児童養護施設で保育士として働くやりがいといえそうです。



児童養護施設で働く保育士の大変さ



夜間勤務と土日祝に勤務がある

児童養護施設に入所しているのは、主に1歳児から18歳までの保護者がいない子どもや、保護者がいてもさまざまな事情で一緒に暮らすことのできない子どもたちです。


児童養護施設は、子どもたちの家としての機能を果たしているため、24時間365日体制で稼働しています。 そのため、夜間勤務や土日祝祭日の勤務などは、シフトによる交代制で働くことになるでしょう。


忍耐力が必要な仕事

児童養護施設に入所してくる子どもたちは、入所理由によって大人への信頼感を失っている場合もあります。


そのため、入所してきたばかりの子どもたちは、児童養護施設で働く保育士に対して試すような行動をするかもしれません。
その手段はさまざまですが、いずれにしても保育士の忍耐力が問われる場面も出てくるでしょう。


子どもと保護者との関わり

児童養護施設に入所する子どもたちの中には、保護者がいるケースもあります。


児童養護施設の入所理由や内容は一人ひとり異なりますし、心のケアが必要な子どももいるでしょう。 子どもたち1人ひとりの心にいかに寄り添い向き合っていくのか、保育士にとって経験や対応力の幅を広げる努力も必要になるようです。


保護者との関わり方も、保育士にとっては重要な仕事となります。
対応力やコミュニケーション力、状況に応じての判断力が求められる場面も出てくるかもしれません。


児童養護施設には様々な問題を抱える子どもたちが入所しているので、保育士として働く際は強い意志を求められることになりそうです。



児童養護施設で働く前にやっておくといいこと

児童養護施設で働くことを目標にしている場合や興味がある場合は、次のような方法で事前に仕事内容や働く環境を知ることができるでしょう。



児童養護施設の施設実習に参加する


保育実習の一環である施設実習では、児童養護施設を選べる場合もあるようです。


その場合、学校からの紹介施設を探して申し込みを行うといいでしょう。
自分で施設を探して申し込むこともできるかもしれませんが、学校からの申し込みを優先している施設が多いようです。



児童養護施設でボランティアやアルバイトをする


実習以外に、アルバイトやボランティアで実際に働いてみるという経験は、児童養護施設の実態をリアルに知ることができますし、保育を学ぶうえでも非常に役立つでしょう。


ボランティア

児童養護施設では、施設の職員と子どものみで生活するため閉ざされた環境になりがちです。
そこで、地域や社会との関わりが少なくなってしまわないように、ボランティアが必要とされているようです。


ボランティアの役割として以下の2つが挙げられます。


  • 地域とのかかわりで子どもの孤立を防ぐ
  • 人とのふれあいや子どもの話の聞き手となる

児童養護施設のボランティアに参加したい場合は、最初に施設探しをすることになります。
WEBで検索すると、施設の運営法人のWEBページやNPO法人が窓口となり、ボランティアを募集している場合があります。


また、大学や専門学校を通じてボランティアの募集がある場合もありますので、学生課に問い合わせてみるのもいいでしょう。


アルバイト

児童養護施設では、アルバイトを募集しているところもあるかもしれません。


職種はさまざまのようですが、WEBで求人情報を探すこともできるでしょう。
学校が夏休みや春休みなど長期休暇の期間に、保育補助といった職種で学生アルバイトを募集していることもあるようです。



児童養護施設で働くには役割や仕事内容を把握したうえで、スキルや資格を取得しよう

今回は、児童養護施設とはどんな施設か、働きにはどうしたらいいかなどを説明しました。


児童養護施設には、さまざまな理由で保護者から離れ生活する子どもたちが暮らしています。
そのため、職員は真摯に向き合い、社会的に自立できるように子どもだけでなく、保護者や里親に対しても支援を行うことが大切でしょう。


児童養護施設への就職を検討している場合は、実習やボランティアに参加して雰囲気を掴むとイメージしやすくなるかもしれません。
施設の概要や働くために必要な資格、スキルなどを把握して就活に活かしてみてくださいね。