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母と子を守る!母子生活支援施設の支援内容とは

保育士も活躍する母子生活支援施設とは

母子家庭を支援する「母子生活支援施設」。
実はこの施設も保育士が活躍する職場の一つです。
世間的には案外知らない人も少なくない施設のようですが、保育士を目指すみなさんはどのような施設かご存知でしょうか?

母と子を守る!母子生活支援施設の支援内容とは
今回は母子生活支援施設の理念から支援内容まで詳しくご紹介したいと思います。
保育士としての職場選びで悩んでいる人は、選択肢の一つとして参考にしてみてはいかがでしょうか。


個人の尊厳を尊重する、母子生活支援施設の理念

○母子生活支援施設とは
母子生活支援施設は1947(昭和22)年に制定された児童福祉法に定められる施設です。
児童福祉法第38条には「母子生活支援施設は、配偶者のない女子またはこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童を入所させて、これらの者を保護するとともに、これらの者の自立の促進のためにその生活を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とする。」と定められています。
18歳未満の子どもを養育している母子家庭、または何らかの事情で離婚の届出ができないなど、母子家庭に準じる家庭の女性が、子どもと一緒に利用できる施設です。
様々な事情で入所されたお母さんと子どもに対して、心身と生活を安定するための相談・援助を進めながら、自立を支援することをその理念としています。

○母子生活支援施設の理念
母子生活支援施設の支援においては、母親と子どもへのあらゆる人権侵害を許さず、 一人一人の尊厳を尊重し、その生活を守ることを徹底して追求することをその理念とし、生活支援・就労支援が行われます。
母子生活支援施設において行われる生活支援は、それぞれの母子の私生活を尊重して行うことを最優先にしています。
そして、母子生活支援施設は母親と子どもが共に生活し支援を受けることができる唯一の児童福祉施設という特性を生かすことで、親子関係の調整や再構築、DV被害からの回復等、退所後の生活の安定を図ることを目指しています。
母子生活支援施設は就労支援、家庭生活や子どもの養育に関する相談・助言、関係機関との連絡調整においても、それぞれの家庭生活の状況に応じて実施することを最優先にしています。
画一的に就労を促すのではなく、母親一人一人のこれまでの就労経験を踏まえながら、現在の健康状況、子どもの精神的状況も考慮に入れ、当事者とともに考えています。

○理念を達成するために
理念を達成するために、母子生活支援施設は入所中の母子について、個別の状況を勘案した自立支援計画を策定しています。
母親と子どもの意見や意向を尊重し、職員の参画のもとでよりよい支援につなげる努力が行われています。
このようにして、母子の一人一人の尊厳を尊重するためにも、母子生活支援施設の職員は常日頃「人権侵害とはいかなる事象を指すのか」「人権を尊重し、 権利擁護を促進するにはどのようなことを大切にすべきか」を考慮しながら、それぞれの母子の事情に合った支援を行っています。


母子生活支援施設における「日常生活支援」の重要性

○母子生活支援施設の日常生活支援
母子生活支援施設の支援の特徴の一つは、生活の場であればこそできる日常生活支援ができるこということにあります。
また、一律的・画一的な支援ではなく、利用者である母親と子どもが抱える固有の事情・課題を、相談などを通じて引き出し、一つひとつ「オーダーメイド」の支援によって解決に向けて取り組むことができる点にあります。
すなわち、母子生活支援施設の支援は日常生活支援と課題解決支援を組み合わせて、母子の生活を包括的・総合的に支援することができるのが、その支援の最大の特徴と言えるでしょう。
日常生活支援というと単なる家事や育児の手伝い・保育と捉えられがちです。
しかし、母子生活支援施設の日常生活支援はそれを超えた意味を有しています。
それは日常生活支援が、目的、目標へと至る過程を支援することにあり、あくまでのその最終的なゴールを自立に据えている点にあります。

○日常生活支援の取り組み主体
母子生活支援施設における支援は、母親と子どもの安定した生活の実現と、それぞれの自立を実現することをその目的としています。
もちろん、母子生活支援施設の職員は親身にその支援に取り組みますが、あくまでも取り組みの主体は利用者の母子である点に留意が必要です。
すなわち、母子の意思や意向を尊重して行うことが何よりも大切になってきます。
もちろんその自立のあり方は母子生活支援施設が決めるものではりません。
母子生活支援施設が「あるべき姿」を決め、そこに導く、という姿勢であってはならないのです。
あくまでも利用者である母親と子どもが抱える、その時々の個別のニーズや課題を充足・解決することを目指すべきなのです。
利用者母子は、様々なこんな状況に直面し、それに苦しみ、もがき、ようやく母子生活支援施設に辿り着いたというケースがほとんどです。
したがって、利用者である母子は個別、多層的、複雑なニーズ・課題を抱えており、母子生活支援施設はその専門性を生かし、それぞれの利用者に当たらなければなりません。
また、その日常生活支援施設は、入所時から退所時まで包括的・総合的なものでなければなりません。
入所の段階での支援、入所初期の生活安定のための支援、自立のための就労支援、心理的課題を克服・軽減・抑制するための支援、新たに発生した課題を克服するための個別支援、退所に当たっての支援、そして退所後のアフターケアまで、母子生活支援施設に求められる役割は多様です。


母と子を守る!母子生活支援施設の支援内容とは

○指導ではなく、支援が必要
母子生活支援施設における「支援」は、以前「指導」という言葉が用いられてきました。
「指導」とは「あるべき状態に導いていく」という意味を持ちます。
すなわち、母子生活支援施設の職員は、学校における教員のように一段高い位置に置かれ、母子生活支援施設における支援は、母親や子どもを自立という高みへ導いていくというイメージで捉えられてきました。
しかし、このような「指導」では、多様化する母親や子どもの事情・状況・課題、それぞれの人格や個性を尊重した自立支援は行えません。
様々な事情から心身ともに傷ついた母子の人としての尊厳を尊重し、母親や子どもの主体性を尊重するためには「指導」ではなく、寄り添い・支える姿勢が必要です。
そもそも社会福祉サービスを提供するに当たっては、利用者(この場合は母子)の人としての人権を尊重し、護ることが大切です。
社会福祉「支援」が、行き過ぎた「指導」により、人権侵害につながることがあってはなりません。
母子生活支援施設は人権を侵害するような「指導」を徹底的に排し、母親も子どもも権利の主体として捉え、寄り添っていくことが大事です。

○支援をするに当たって心掛けるべきこと
社会福祉における支援にとって必要なことは、常に「何のためにそれをするのか」を考えることです。
母子生活支援施設において職員は、自らが担う職務が何のためにあるのかを常に自問し、日常の業務に当たることが求められています。
もちろん、日々刻々と変わる状況に応じて臨機応変に支援に当たることももちろん大切なことではありますが、それ以上に「何のために」「どのような方法を用いて」「何に取り組むのか」を常に明確した上で、支援活動を行うことが必要です。
また、支援に当たっては計画的で筋道のはっきりした支援を行うことが大切です。
場当たり的な支援は、資源を無駄に消費することにつながるだけでなく、母子の不安を招きかねません。

○支援におけるアセスメントの重要性
無駄な支援、不安を招く支援を行わないためにも、母子生活支援施設の職員においては、支援の道筋を明確に示し、合理的な説明を行うことが求められています。
そのためにも母子生活支援施設の職員はソーシャルワークの理念を学び、体得することが、重要になってきます。
ソーシャルワークでは利用者を生活の主体として捉えています。
人は皆自分の生活の主人公=主体です。
それぞれが自らの環境にある要素とお互いに影響を与え合い、相互作用の中で生活し、その中で環境に的硫黄して安心な生活を送ることが望まれます。
しかし、社会の中には主体的に安定した生活を送ることができない人々もいます。
そのような人々にこそソーシャルワークの支援が必要となるのです。
ソーシャルワークにおいては、適切な支援を行うためにアセスメント(評価)、プランニング(支援計画)、支援、評価など、一連の過程を踏むことが求められます。
合理的、計画的、専門的で一貫した支援を展開することが必要となります。
とりわけ、利用者の課題・ニーズが複雑化・多様化する現代において、アセスメントが最も重要な手続きとなります。
それぞれの母子の状況をつぶさにアセスメントすることが、本当の自立につながる支援計画の策定とその実行につながるからです。
母子生活支援施設においてもこのアセスメントに注力することが今、求められています。


母と子を守る

今回は母子生活支援施設の理念や支援内容について詳しくご紹介させていただきました。
母と子を守る重要な施設だとお分かりいただけたのではないでしょうか。
また、母と子を守る重要な施設なので、保育士として働く場としてもやりがいのある職場だと思います。
保育士が活躍する様々な現場を知り、視野を広げていくことも大切かもしれませんね。

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