新卒保育士の中には、自分が希望した保育施設に勤めても「働きたくない」「仕事辞めたい」と感じることがあるかもしれません。職場環境や人間関係、労働条件など、原因はさまざまのようです。今回は、新卒保育士が働きたくないと感じる理由や辞める原因について解説します。また、新卒保育士が働き続けるためにできることも紹介します。
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■目次
「働きたくない」「仕事辞めたい」と新卒保育士が思う理由や原因とは?
現在働いている新卒保育士の方の中には、「働きたくない」「仕事辞めたい」と悩む方もいるのではないでしょうか。
2017年度に実施した、「最初の園をやめた理由は何ですか?」というアンケート結果によると、新卒保育士が最初の園を辞めた理由には、
- 人間関係
- 残業が多い
- 待遇が良くない
- 休みが少ない
- 保育内容の不満
などの理由が挙げられているようです。
【調査概要】
調査方法:インターネットアンケート調査
回答者:「保育士バンク!」登録ユーザ、および保育士バンク!Facebookコミュニティのユーザで主に保育士資格を持つ20代~50代の男女
有効回答数:163人
調査期間:2017年8月1日~31日
労働条件や職場環境、人間関係など、新卒保育士が働きたくないと感じる理由はさまざまのようですが、具体的にどのような理由や原因があるのでしょうか。
今回は、新卒保育士が抱える「働きたくない」「辞めたい」などの理由についてアンケート結果を参考にしながら解説していきます。
さらに、就職活動中の保育学生にも役立つ、就職後に保育士として働き続けるためのポイントも紹介します。
新卒保育士が働きたくないと思う理由①人間関係
アンケートの結果にもあるように、新卒保育士が働きたくないと思う理由として人間関係があります。新卒保育士が抱える保育現場の人間関係について、くわしく見ていきましょう。
同僚や先輩との人間関係
新卒保育士の人間関係の悩みとして、同僚や先輩とのかかわりが挙げられるでしょう。
「保育学生の就職活動に関して緊急アンケート!特徴は「単願応募」」の結果では、約3割の方が辞めた理由として人間関係と答えています。
新卒保育士の場合、慣れない環境の中で先輩保育士に仕事を教わりながら、いっしょに仕事をするという場面が多く発生するでしょう。
その中で、先輩によって仕事の方法が異なっていることで対応に戸惑ったり、先輩保育士から教わったことが思うような対応ができずプレッシャーに感じたりすることで、ストレスが溜まってしまうかもしれません。
また、同僚との人間関係では、同時期に入社したということもあって、話す機会が多くなりますよね。そのような場合に、保育に関する資格やスキルに差を感じてしまうことや、自分の知識不足を感じて不安になることがあるかもしれません。
そういった状況が積み重なると、保育士として働き続ける自信がなくなり、働きたくないと思う原因につながってしまうようです。
保護者との人間関係
保育現場では同僚や先輩だけでなく、保護者との人間関係で悩む新卒保育士もいるようです。
たとえば、延長保育や預かり保育などを実施しているがある施設では、定期的に顔を合わす保護者もいれば、利用方法によっては顔を合わすタイミングがずれてしまい、コミュニケーションの頻度が少ない保護者もいるでしょう。
また、各家庭で保育や教育に対する方針が異なっていることから、保護者と保育士との間で意見が食い違ってしまうこともあるかもしれません。
そのため、子ども同士のケンカや遊具で遊んでケガをした場合や、イベントや行事などの活動においても、保護者と意見のすれ違い等が発生するケースも考えられるため、保護者とのかかわり方に悩む新卒保育士も少なくないようです。
このように、新卒保育士は先輩保育士や同僚、保護者との人間関係で悩むことが多く、働きたくないという原因につながるのかもしれません。
新卒保育士が働きたくないと思う理由②仕事内容
新卒保育士が働きたくないと思う理由として、残業が多いことや園の方針と保育内容が相違しているなど、仕事内容についての悩みも挙げられています。
具体的にどのような悩みなのか見ていきましょう。
自分が理想とする保育・教育方針と保育内容が異なる
新卒保育士や保育学生の方も、保育士として就職する前に自分の理想とする保育・教育方針をきちんと持っているのではないでしょうか。
そもそも、保育・教育方針は保育園や幼稚園などそれぞれの保育施設によって異なりますよね。そのため、自分が理想としている保育・教育理念と相違があると違和感を覚えたり、働きたくないと悩んだりして、辞めてしまう原因になることがあるようです。
さらに、就職する前に園の情報をきちんと調べた上で、自分の理想に近い保育・教育方針を掲げている園に新卒保育士として就職したけれど、いざ働きはじめたら保育・教育方針と保育内容が一致しないこともあるかもしれません。
自分の保育・教育方針と園の方針に相違がある場合や、保育内容に不満がある場合は、ストレスを感じやすくなるだけでなく、日々の仕事に対するモチベーションを保つのが難しくなるなど、辞める原因につながってしまうこともあるようです。
仕事量が多く、時間外労働(残業)が多い
保育士としての仕事量が多いと、勤務時間内に業務を終えることができず、時間外労働(残業)になってしまうこともあるでしょう。
休憩時間が取れず、長時間労働が何日も続いてしまうと、新卒保育士でなくても働きたくない、仕事辞めたいと感じてしまいますよね。また、仕事に対する負担が大きいことで、体調不良の原因となる可能性も考えられます。
保育・教育方針や保育内容、保育施設の仕事内容は園によって異なります。
しかし、保育士は日々の子どもたちとのかかわりだけでなく、連絡帳の記入や保育活動に必要な指導案の作成、製作物の用意などの事務作業も発生するでしょう。
そのため、さまざまな仕事を終わらすために労働時間が長くなり、働きたくない、辞めたいなどといった理由や原因につながりやすくなるのかもしれません。
新卒保育士が働きたくないと思う理由③労働条件・待遇
新卒保育士が働きたくないと思う理由として、給料や福利厚生といった労働条件や待遇が挙げられるようです。保育士の労働条件や待遇の悩みについてくわしく見ていきましょう。
仕事量と給料が見合っていない
新卒保育士が働きたくないと感じる理由として、仕事量と給料が見合っていないという意見が多いようです。給料は生活していく上で必要なものですので、仕事量が多いのに給料が低いとなるとモチベーションを保つのがなかなか難しいですよね。
保育園と幼稚園で仕事の内容は異なりますが、子どもたちのお出迎えから始まって、製作や外遊びなどの保育活動を行うだけでなく、行事に向けての準備なども数多くあるでしょう。
そうなると、仕事量に対して給料が釣り合っていないと感じる新卒保育士は多いのかもしれません。
休みが少ない
保育園や幼稚園などでは、土曜日や日曜日、祝日も子どもを預かっている保育施設もありますよね。
その場合、平日のみ運営している園に比べて、休みが少ないということもあるでしょう。休みが少ないとプライベートの時間を取れず、自分のための時間を確保が難しくなると、心身ともにリフレッシュがしにくいかもしれません。
さらに、休みが少ないことで疲労が溜まると、体調不良の原因となる恐れもあります。そのため、新卒保育士が働きたくないと感じる理由や辞める原因につながることが考えられるでしょう。
福利厚生が充実していない
給料などの労働条件だけでなく、福利厚生が充実していないことも、新卒保育士が働きたくないと感じる理由や原因として挙げられるでしょう。
一般的に福利厚生は、交通費支給、健康保険、厚生年金基金、雇用保険などが挙げられます。保育施設によっては、保育士が住む賃貸物件の借り上げ制度やエプロンの貸与を取り入れているところもあるようです。
一方、福利厚生がない場合、一般的に自己負担額が高くなるでしょうす。たとえば、交通費の全額支給がない場合、自分の給与から足りない金額を支払うなど、福利厚生が充実してないと少なからず生活に影響がでてくるかもしれません。
このように、人間関係や仕事内容、労働条件などが原因で新卒保育士が働きたくない、辞めたいと思う原因がさまざまあるようです。
では、新卒保育士が働きたくないと思ったとき、どのようなことをすれば長く働き続けられることにつながるのでしょうか。
新卒保育士が働き続けるためにできること
新卒保育士だけでなく、これから就職する保育学生にもいえることですが、新卒保育士として就職したあとに働き続けるためには、どのようなことをしたらいいのでしょうか。
新卒保育士が働き続けていくためのポイントを紹介します。
保育士を目指そうと思ったきっかけを思い出す
さまざまな理由から新任保育士が働きたくないと思ったときは、どうして自分が保育士になろうと思ったのか今一度考えてみるのもいいでしょう。
子どもが好きという思いを抱きながら仕事をする中で、楽しいことばかりではないかもしれませんが、子どもが楽しそうに遊んでいる姿や自分を見た瞬間に笑顔で走り寄ってきたことなどを思い出すことで、改めて保育士という仕事の楽しさややりがいを感じることができるかもしれません。
同僚や先輩に悩みを打ち明けてみる
新卒保育士は慣れない環境に緊張してしまったり、周りの職員や保護者となかなか打ち解けられなかったり、ということがあるようです。しかし、1人で悩みを抱え込まずに、同僚や先輩などに相談すれば、早期の退職防止になり、働き続けることにつながるかもしれません。
また、同僚や先輩との人間関係に悩みを感じる場合や仕事に関する悩みでは、第三者に相談してみることで、仕事の方法や人間関係で新たな気づきを見つけられそうです。
保育士の仕事は周りと協力して対応していくことが大切ですので、時には周りを頼りながら働くと、新卒保育士にとって働きやすい環境となるかもしれませんね。
気持ちのリフレッシュ方法を見つけてみる
新卒保育士の場合、慣れない環境にストレスが溜まりやすいかもしれません。
そのため、ストレスが溜まった場合の発散方法を見つけておくと、気持ちのリフレッシュにつながりそうです。
旅行へ行く、ジョギングをするなどアクティブに活動したり、おいしいものを食べたり、好きなテレビ番組を見るなど、簡単にできるものにすることで日々の生活に取り入れやすくなるでしょう。
また、十分な睡眠もストレス発散には効果があるようです。自分に合った解消方法を見つけて、リフレッシュしながら仕事をしてみてくださいね。
このように、新任保育士は働きたくないと悩んだり、辞めたいと思ったりしたときは、同僚や先輩に相談したり、心身ともにリフレッシュする、保育士を目指していた頃を振り返るなどすると気分転換や気持ちの切り替えにもつながっていいかもしれません。
新卒保育士は、自分に合う園や働き続けられる対策を理解することが大切
今回は、新卒保育士が働きたくないと思う理由と、働き続けるためためのポイントについて紹介しました。
人間関係や仕事内容、労働条件などが原因で、働きたくないと感じることもあるかもしれません。しかしながら、悩みがあるときや仕事がやりづらいときなどは一人で抱えず、同僚や先輩、もしくは責任者に相談してみるのも早期の退職に至らないための一つの方法でもあります。
さらに、休みの日にストレスを発散するのもいいですし、初心にかえって保育士を目指していた頃を思い出すなどすると、気持ちを新たに保育士として働き続けられるかもしれません。
自分に合う園や働き続けるための対策を理解して、新卒保育士として働くことができるといいですね。