保育園での子どもの育ちを記録する児童票。初めて作成する新卒保育士さんは、子どもの姿が思いつかなかったり、書く内容が曖昧だったりと保育経過記録の書き方に悩むかもしれません。今回は、児童票の保育経過記録の書き方について、ポイントや1歳児、2歳児など年齢別の記入例をまとめました。
Portrait Image Asia/shutterstock.com
■目次
児童票とは
保育園で作成する児童票とは子ども一人ひとりの状況や、発達の過程を記録する書類です。
記入項目としては、一般的に以下が挙げられるでしょう。
- 子どもと保護者の氏名
- 生年月日
- 住所
- 家族構成
- 疾病の有無
- 身体測定の結果
- 保育経過記録
これらを記録しておくことで、あとから成長の流れを振り返ったり、年度末の引継ぎに役立てたりすることができるという役割があるようです。
児童票の様式は保育園によってさまざまですが、子どもそれぞれの育ちを細かく記入する必要があるため、初めて作成する新卒保育士さんの場合は書き方に戸惑ってしまうことも多いでしょう。
特に、保育経過記録の欄には、子どもの生活面や遊び、情緒の育ちを、月ごとや期ごとなど定期的にまとめる必要があるため、ポイントをおさえてよりスムーズに作成しましょう。
今回は、保育園の書類の一つである児童票について、主に保育経過記録の書き方に焦点を当てて例文などを紹介します。
児童票の保育経過記録に記入する内容
ここでは、児童票の保育経過記録にどんな内容を書くか紹介します。
生活や身の回りのことに対する意欲、スキル
保育園では、遊びなど教育的な活動だけでなく、身の回りの支度や生活面の自立を援助していく必要があります。
そのため、着脱や排泄、手洗い、支度など、身の回りのことをどのくらいできるようになったかを記入するようにしましょう。
身体面や運動能力の発達
児童票では、背が伸びた、体重が増えたという数値上の成長だけでなく、両足跳びができた、トングを使えるようになったなどの身体能力を記録することも大切です。
子どもの身体能力の育ちを見るには、走る、跳ぶといった粗大運動、指先を細かく使う微細運動との視点で観察するとよいですね。
人間関係や情緒の発達
保育士さんや友だちとのかかわり、自分の気持ちのコントロールや表現方法も、大事な記入内容です。
友だち同士の遊びはもちろん、子どもの表情や言葉、しぐさから心の動きを汲み取って書けるとよいですね。
言語能力、表現
子どもの言葉や表現方法の発達についても児童票に書き残しておきましょう。
乳児であれば喃語や二語文が出たといった内容もよいですし、幼児であれば、自分の思いを言葉にできた、ひらがなや数字に興味をもっているというエピソードも効果的かもしれません。
児童票の保育経過記録を書くときのポイント
児童票の様式は園によってさまざまであるようです。
保育士さんが悩みがちな「保育経過記録」(子どもの様子を記録する欄)を書くときのポイントを紹介します。
日頃からメモを残しておく
児童票は、子どもの成長を時系列で記録する必要があるため、子どもの姿のメモを見ながら書くとスムーズでしょう。
また、継続的にメモを取ることで、「〇月にはできなかったことが、今はできるようになっている」など過去の記録と比較しながら子どもの成長を見ることができます。
ノートや手帳などを用意し、毎日の休憩時間や毎週〇曜日など、時間を決めてメモを取るようにすると、習慣化にもなって作成しやすくなりそうですね。
先輩保育士さんの書き方を参考にする
園によって形式がさまざまである児童票や保育経過記録。
慣れない新人のうちは、先輩保育士さんの書き方を参考にしてみましょう。
書いている内容はもちろん、文章の表現のしかたや文字の量なども目安として捉え、整理してみるとよいですね。
5領域をもとに考える
保育をするにあたって、保育所保育指針に示された「5領域」に基づいて働きかけていくことが大切とされています。
「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5つの視点から、子どもの育ちを捉えることで、多角的かつ第三者にも伝わりやすい児童票が書けるかもしれません。
関連記事:保育内容の5領域とは。学生や新卒保育士のための解説と指導例/保育士就活バンク!
児童票の保育経過記録の記入【0歳児・1歳児・2歳児】
metamorworks/shutterstock.com
0歳児、1歳児、2歳児の子どもの児童票の記入例文をまとめました。
0歳児:児童票の保育経過記録の記入例
- 保育者に対して安心感が芽生え、泣いていても抱っこされていると少しずつ落ち着いてくるようになった。
- 離乳食が完了期に移行する。口から出したり嫌がったりすることもなく、手づかみで食べている。
- 身の回りのものへの興味が強く、玩具などを口に入れて確かめようとする。誤飲につながるものは保育室に持ち込まないよう注意する。
1歳児:児童票の保育経過記録の記入例
- つまむ動作が上手になり、自分でシールを台紙からはがして貼れるようになった。指先を使うことを楽しんでいるので、これからも遊びに取り入れていく。
- 環境の変化からくる不安感からか、噛みつきが見られるようになった。職員同士連携しながら見守り、いっそうスキンシップを取りながらかかわる。
- 戸外遊びをよろこび、「お散歩に行くよ」と声をかけると自分のロッカーから帽子を取ってくる姿がある。
2歳児:児童票の保育経過記録の記入例
- 朝の受け渡し時、保護者を求めて激しく泣いてしまう。なるべく安心できる保育者がかかわり、落ち着けるように優しく声をかけていく。
- ブロックや車など好きな玩具を通して友だちとかかわりながら遊ぶ姿がある。人気の玩具は取り合いからトラブルになるため、仲裁できるよう注意して見守る。
- 咀嚼する力が弱く、食事に時間がかかってしまう。盛り付け量や食材の大きさを調整しながら、噛みきりにくいものもおいしく食べられるよう工夫する。
乳児クラス(0歳児、1歳児、2歳児)の子どもは、日々たくさんのことができるようになる頃と言われています。
こまめに子どもの姿をメモしておき、子どもの育ちに気がつけるように記録できるとよいですね。
児童票の保育経過記録の記入例【3歳児・4歳児・5歳児】
ここでは、3歳児、4歳児、5歳児の保育経過記録の記入例を紹介します。
3歳児:児童票の保育経過記録の記入例
- 生活の流れにも慣れ、見通しを持って行動している。時々遊びに夢中になって片付けの合図に気づかないことがあるため、個別に声かけをする。
- 鉄棒で前回りができる友だちに憧れをもち、繰り返し練習している。保育者が補助しながらコツが掴めるよう支えていく。
- おしゃべりが好きで保育者に話しかけていることが多い。気持ちを満たせるよう1対1でかかわりながら、好きな遊びに誘っていく。
4歳児:児童票の保育経過記録の記入例
- 生き物に興味をもち、図鑑や絵本を繰り返し読んで名前や形を覚えている。
- 気の合う友だちができ、毎日同じグループでごっこ遊びをしている。ほかの子どものよさにも気づけるよう、遊びのグループをくっつけるなど援助していく。
- 自宅でお箸や鉛筆の持ち方を練習していることもあり、手先が器用になってきた。ただ、「ペンが上手に持てない」などうまくいかないことに苛立ちを感じている場面もあるので、ゆっくり練習していけばよいことを繰り返し伝える。
5歳児:児童票の保育経過記録の記入例
- 年下の子どもに優しく教えたり世話をしたりする姿がある。上手にかかわれたことを褒め、他の子どもたちにも伝えていく。
- ひらがなに興味をもち、スケッチブックで繰り返し練習している。50音表や文字の絵本を用意し、さらなる関心を育む。
- 1番になることにこだわりがあり、手洗いや片付けなどが雑になることが多い。きちんとできることが大切であると繰り返し伝える。
幼児クラス(3歳児、4歳児、5歳児)の子どもは、乳児に比べて成長が緩やかになるとされています。
そのため園によっては期ごとに児童票を作成するなど、記録の頻度を落とすこともあるようです。
子どもの姿をもれなく記録できるよう、日頃からエピソードを蓄積しておけるとよいですね。
児童票の例文を知って、保育経過記録に活かそう
今回は、保育園で作成する児童票の書き方や例文を紹介しました。
子ども一人ひとりの成長の過程を記録する児童票は、保育の振り返りをしたり、次年度の引継ぎをしたりするのに大切な書類です。
日頃から子どもの姿をメモしておく、先輩の書き方を参考にするなど、準備をしておくことで新卒保育士さんでも簡単に書けるようになるかもしれません。
1歳児や2歳児など年齢別の記入例を参考に、児童票の保育経過記録に活かしてみてくださいね。