秋が深まる11月。新卒保育士さんのなかには、1歳児クラスの月案作成に悩む方もいるかもしれません。今回は、1歳児クラスで使える11月の月案の文例を紹介します。養護・教育のねらいや活動に加え、安全や健康に関する配慮と月反省の書き方などもまとめました。情緒の安定や食育に関する例もあるので参考にしてみてくださいね。
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■目次
11月の1歳児クラスの特徴とは?
秋が深まり、すっかりと園庭の木々も赤や黄色に染まる11月。1歳児クラスの子どもたちも、自然の変化を楽しみながらのびのびと過ごしている頃かもしれません。
そんな11月の1歳児クラスには、以下のような特徴が見られるでしょう。
- できることが増えて、何でも「自分でやりたい」という意欲を持つようになる。
- 木の実や落ち葉を拾い、秋の自然に親しみながら遊ぶ。
- 散歩に行ける機会が増えて、手をつないで歩くことに慣れてくる。
秋の自然を使った遊びを取り入れたり、子どもたちの意欲にあわせた活動を実践したりと、時期にあわせた月案を立てることが大切かもしれません。
今回は、11月の1歳児クラスの月案に活かせる文例を紹介します。
【11月】1歳児の月案の文例:前月の子どもの様子
まずは11月の月案に使える、前月の子どもの様子の文例を紹介します。
- 友だちと手をつないで散歩を楽しみ、少しずつ歩ける距離が伸びている。
- オムツに排尿すると叩いて知らせる姿があり、おまるやトイレに興味を持つ子どもも増えている。
- 寂しさや疲れからか、夕方になると泣いたり友だちに手を出したりする姿がある。
11月頃には、意欲が芽生えるとともに自我が強まり、なんでも自分でやりたいと主張する姿も見られるかもしれません。
1歳児の子どもたちが「できた」という達成感を味わえるよう、活動や援助を考えていきましょう。
【11月】1歳児の月案の文例:今月のねらい・活動内容
11月の月案に記入する1歳児クラスのねらいや活動内容の例を見ていきましょう。
今月のねらい
ここでは、ねらいの文例を養護・教育の2つの視点に分けてまとめました。
養護のねらい
- 気温にあわせて衣類を調整してもらい、心地よく過ごす。
- 身の回りのことへの意欲を持ち、少し難しいことでも自分でやってみようとする。
教育のねらい
- 落ち葉やどんぐりなどの自然物に親しみながら、戸外でのびのびと身体を動かして遊ぶ。
- さまざまな絵本に親しみ、言葉や絵の面白さを味わう。
活動内容
養護面の活動内容は生命・情緒の2つの視点、教育面は5領域に基づいてまとめました。
養護
<生命>
- 個々の体調に配慮してもらい、無理なく健康に過ごす。
- トイレに興味を持ち、座って排尿してみようとする。
<情緒>
- うまくいかない葛藤や甘えを保育者に受け止めてもらい、落ち着いて過ごす。
- 保育者に手伝ってもらいながら長袖の衣類の着脱に慣れ、自信を持って生活する。
教育
<健康>
- 散歩を通して歩行を楽しみ、長時間手をつないで歩くことに慣れる。
- 滑り台や鉄棒、コンビカーなどを通してさまざまな身体の動きを経験する。
<人間関係>
- 友だちの遊びに興味を持ち、玩具をやり取りするなどかかわりながら遊ぶ。
- 手遊びなどを通して、名前を呼ばれて返事をしたり、友だちの名前を呼んだりすることを楽しむ。
<環境>
- 落ち葉や木の実を集めて、観察することを楽しむ。
- 自分の持ち物がわかり、衣類などを自ら準備したり片づけたりする。
<言葉>
- 絵本に出てくるオノマトペや繰り返しの表現を楽しみ、真似しようとする。
- 「おはよう」「バイバイ」などの挨拶を楽しみながら行う。
<表現>
- 秋の自然物に親しみながら、絵の具を使って表現することを楽しむ。
- 保育者や友だちといっしょに絵本の表現を真似しながら遊ぶ。
11月30日は絵本の日です。絵本のよさを味わいながら読み聞かせを楽しめるよう、1歳児の子どもたちの興味にあわせて選ぶとよいでしょう。
また、まねっこ遊びや製作遊びなどを通して、絵本を再現する活動も取り入れてみるのも面白そうですね。
【11月】1歳児の月案の文例:環境構成と保育者の援助・配慮
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ここでは、11月の1歳児クラスにぴったりな環境構成や保育者の援助・配慮の文例を紹介します。
養護
生命
- 散歩や戸外遊びは体調にあわせて取り入れるようにする。
- 個々のペースにあわせてトイレに誘い、自然に排尿できるように配慮する。
情緒
- ふれ合い遊びを通して楽しくスキンシップを取り、情緒の安定を図る。
- 着脱などは子どもにあわせてさりげなく介助し、自分でできたという達成感を味わえるようにする。
教育
健康
- 固定遊具で遊ぶときには、落下しないように側で見守り、子どものペースにあわせて声をかける。
- 散歩では歌をうたうなど楽しい雰囲気を作り、期待感を持てるようにする。
人間関係
- 散歩に行くときは気の合う友だち同士で手をつなげるよう促す。
- 子ども同士で玩具のやり取りをする姿を認め、必要に応じて仲立ちしていく。
環境
- 拾い集めた自然物は保育室に飾っておき、日常的に見て楽しめるようにする。
- 衣類やエプロンなどを配るときは、名前を呼びながら手渡すことで、持ち物への愛着を育む。
言葉
- 子どもが真似しやすい簡単な言葉を使った絵本を読み聞かせる。
- 挨拶やお礼の言葉に親しめるよう、読み聞かせや生活のなかで伝えていく。
表現
- 秋の自然をモチーフにした製作遊びを取り入れ、遊びのなかで親しめるようにする。
- 絵の具遊びでは、好きな色を選びながら楽しめるように環境を整えてから実施する。
1歳児の子どもは、うまくいかないことがあると泣いてしまい、なかなか気持ちを切り替えられないこともあるかもしれません。
スキンシップを取りながら子どもの思いを受け止め、情緒の安定を図れるとよいですね。
【11月】1歳児の月案の文例:家庭連絡・安全・食育
1歳児の11月の月案に記入する、家庭連絡、安全、食育に関する配慮の文例をまとめました。
家庭連絡
- 11月に流行し始める感染症について伝え、家庭でも注意して過ごせるように周知する。
- 子どもたちが自分で着替えることを踏まえ、着脱のしやすいゆとりのある衣類を用意してもらう。
健康・安全・衛生
- 散歩に行く前には職員の配置や行き先などをしっかり打ち合わせておき、安全に実施できるよう危機管理を徹底する。
- 一人ひとりの健康状態に合わせて衣服や活動内容を調整し、体調に無理のない範囲で過ごせるようにする。
食育
- 苦手な食材に挑戦できるよう、頑張って食べようとする姿を周囲の子どもにも伝えていく。
- 食具を使ってきれいに食材を集められるよう、やり方を個別に教える。
季節の変わり目である11月は、子どもたちが体調を崩しやすい時期かもしれません。
1歳児の子どもが元気に過ごせるよう、しっかりと体調を把握して、家庭と協力して感染症の予防に向けて対策していきましょう。
【11月】1歳児の月案の文例:反省・自己評価
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1歳児クラスの11月の月案に使える、反省や自己評価の文例を紹介します。
養護
- 個々のペースで誘っていくことで、トイレでの排泄に成功することが増えた。保育者にうれしそうに教えるなど自信を深める姿があった。
- 寂しさや疲れから黄昏泣きをする子どももいたが、気持ちを受け止めることで徐々に落ち着いていった。
教育
- 絵本を使った表現遊びを取り入れることで、子どもたちのイメージを引き出しながら身体を動かす楽しさを伝えていけた。
- 落ち葉を使った絵の具遊びを取り入れたが、低月齢児にはうまくできない子どもが多く、保育者の補助が増えてしまった。
1歳児の子どもたちの様子をもとに、11月の保育を振り返ってみましょう。
例文のように、保育士さん自身が気をつけたポイントに対する子どもの反応をまとめれば、クラスの実態や反省点がよく伝わる月案になりそうです。
月案に活用できる11月の1歳児保育のポイント
最後に、月案に活かせる11月の1歳児クラスの保育のポイントをまとめました。
気候がいい日は積極的に戸外遊びを取り入れる
11月は風が冷たい日もあるものの、過ごしやすい気候であるため戸外遊びにぴったりの時期です。
冬になると気温が低すぎて戸外に行けない日が出てくるので、この期間に十分に戸外遊びを楽しみましょう。外気にふれることで、体力がついて風邪をひきにくくなるかもしれませんね。
手をつないで歩けるようになったら、積極的に散歩に行ってもよさそうです。
衣類の着脱や身の回りの支度などを自分で行えるように
指先が器用になるなど、自分でできるようになることが増えてくる11月の1歳児さん。
着脱や登園時の支度など、自分でやりたいと意欲を持つ姿が増えるかもしれません。子どもたちにお願いできることは任せてみて、できたことは思い切り褒めて達成感につなげましょう。
まだ一人では難しいことも多いですが、保育士さんはそっと介助するなど、子どもたちの「自分で」という思いを満たしながらかかわれるとよいですね。
絵本の日にちなんで、読み聞かせに力を入れてみる
11月30日には絵本の日があります。そこで、保育士さんのお話を集中して聞ける時間が少しずつ伸びてきた1歳児向けに、絵本の読み聞かせをしてみましょう。
1歳児クラスで読む絵本は、短い言葉を繰り返すものや、視認しやすい丸や三角などの簡単な図柄をモチーフにしたものなどを選ぶとよいようです。
オノマトペの響きが楽しい絵本も、子どもたちはついつい真似したくなるかもしれませんね。
文例を知って11月の1歳児クラスの月案を作成しよう
今回は、11月の1歳児クラスの月案に役立つねらいや環境構成、反省の文例を紹介しました。
11月には、落ち葉や木の実などの自然物がたくさん集められる時期なので、製作に取り入れてみるとよいかもしれません。
また、1歳児クラスでは自分でできることが増えてくるようです。子どもの「やりたい」気持ちを満たせるようかかわっていきましょう。
11月の文例を参考に、保育園の1歳児クラスの月案に役立ててみてくださいね。