保育士の絵本の選び方。年齢別のおすすめや読むときのポイント

絵本は、子どもたちの言葉や情緒の発達を促すとても大切なツールの一つといわれています。新卒保育士さんや保育実習を控えた学生さんの中には、0歳児や2歳児向けなど年齢にあったおすすめの絵本や選び方が気になる人もいるかもしれません。
今回は、保育士の絵本の選び方や読むときのポイントについてくわしく紹介します。

子どもたちに絵本を読んでいる保育士の女性

milatas/shutterstock.com

絵本の役割

保育現場では欠かせない絵本。保育学生のみなさんも幼い頃に読んで、思い出がたくさんつまった一冊があるのではないでしょうか。

その絵本には、子どもにとってどのような役割があるのか、くわしく見ていきましょう。

想像力を学ぶ

子ども向け、特に赤ちゃん向けの絵本は文字が少なくほとんどが絵で構成されています。赤ちゃんがそれに見入るのは、絵本を媒介として独自に想像できるからだといわれています。

また子どもは大人のように「文字を読んで絵を見る」のではなく「絵を見ながら耳で聞く」ことの方が多いようです。見て、聞いて、「この後どうなるのかな」「どんな気持ちなのかな」など思いをめぐらせています。子どもたちにとって絵本は、ただ眺めているだけではなく、さまざまな世界観を感じ取り、想像力を働かせながら学ぶという役割があるのですね。

生活習慣を学ぶ

子どもの生活習慣は、周囲の真似から始まります。朝起きたら「おはよう」の挨拶をしたり、顔を洗って朝食を食べたりすることも生活しながら学びます。このような基本的な生活習慣や挨拶などは、絵本の題材でも多く取り入れられており、子どもが真似したり学んだりするきっかけにもなっているため、生活習慣を学ぶ役割があるといえるでしょう。

人間関係を学ぶ

友だちと仲良くしたいのに、叩いてしまったり喧嘩してしまったり、「仲直りするにはどうしたらよいか」など、子どもが悩む問題も、絵本の主人公が同じように悩む場面のある絵本もあります。それを読むことで、子どもも自分の身近な問題として興味をもち、気持ちをあらわす言葉やさまざまな対処法を学びます。絵本には、人間関係を学ぶ役割もあるようです。

これら絵本の役割を理解し、子どもの年齢や興味にあった絵本を選びたいですね。
それでは、子どもたちにどのような絵本を選べばよいのでしょうか。

年齢別の絵本の選び方

それぞれの年齢別の子どもの特徴と、おすすめの絵本の選び方を紹介します。

0歳児

まずは乳児クラスとなる0歳児の特徴とおすすめの絵本を紹介します。

特徴

生まれて間もない赤ちゃんは視界がぼんやりとしていますが、生後3カ月頃から色認識ができるようになるようです。さらに座位がとれるようになる、6~7カ月頃から絵本を楽しめるようになってくるといわれています。

おすすめの絵本

ページ数:5~10ページ程度

内容:1ページにつき単語1~2個

形や色がはっきりしたものを選ぶことが大切です。視覚を刺激する色彩の絵本は子どもたちの興味をぐっと引くでしょう。また、この時期は大好きな大人にあやされたり、声をかけられることを何よりも喜ぶので、絵本を通しての対話やコミュニケーションをとれるものもよいかもしれません。保育士さん自身が絵本を楽しみ、ゆったりとした声とほがらかな表情で読むとよいでしょう。

1~2歳児

次に1~2歳児の特徴とおすすめの絵本について紹介します。

特徴

1歳児から2歳児の時期は、子どもたちの身体や知能がめざましく発達するといわれています。歩き始めたり徐々に言葉が増えたりすることで、自分の世界をどんどんと広げていきます。また何でも大人の真似をしたがる好奇心旺盛な時期でもあるようです。

おすすめの絵本

ページ数:5~20ページ程度

内容:1ページにつき1~2行

1歳になると、簡単なストーリーを理解できるようにもなってくるので、選べる絵本の幅が広がるでしょう。真似がしやすい簡単な言葉を繰り返す絵本などは特に好むようです。また、指差しなど能動的な行動を自然に導き出したり、子どもたちが日常的に行うやりとりや生活習慣の見本になる場面を含んだりした絵本を選ぶのもおすすめかもしれません。

3~4歳児

続いて年少・年中クラスとなる3~4歳児の特徴とおすすめの絵本を紹介します。

特徴

この時期から赤ちゃんっぽさが抜け、日頃から「なぜ?」「どうして?」とさまざまなものに興味をもつようになるといわれています。発達も著しく、思わず大人が驚いてしまうような言葉も覚えて話せるようになる多感な時期です。

おすすめの絵本

ページ数:10~25ページ程度

内容:1ページにつき3~5行

長い話も楽しめるようになるので、ストーリーの内容をみて絵本を選ぶことができるでしょう。言葉の意味を正しく理解して会話できるようになってくるこの時期だからこそ、言葉遊びを楽しむ絵本なども読むとよいかもしれません。友だちとの関わりが増える時期であれば、人の気持ちや人間関係を扱った絵本を読むと、そこから気づきを得ることもできるでしょう。

5歳児

最後に、年長となる5歳児の特徴とおすすめの絵本について紹介します。

特徴

5歳頃になると、さまざまな物事に対する理解力や探求心がぐっと高まるといわれています。また「恥ずかしい」「せつない」など繊細な感情も芽生え、見えない世界にも興味を持ち始めるかもしれません。

おすすめの絵本

ページ数:20ページ~

内容:1ページにつき6行~

複雑で長いストーリーの絵本でも楽しむことができます。「目には見えない文章をたよりに、イメージを膨らませる」、そのような想像力を培うために、心おどる冒険物語や子どもの挑戦を描いたものを選ぶとよいでしょう。また毎日少しずつ読んであげられるような、長めの童話もおすすめです。「今日はここまで」と途中でお話を中断することで、子どもたちに続きを想像する楽しみを与えてくれるかもしれません。

保育士が絵本を読むときのポイント

保育園では、保育士さん一人に対して大人数の子どもたちに向かって絵本を読む場面があるかもしれません。そういったとき、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。

絵本を読む前の導入から読んだあとまで、一つずつポイントを見ていきましょう。

導入

遊んでいた子どもたちを集める活動の切り替えのときには、まだ子どもたちの気持ちが落ち着いていないこともあります。読み始める前に簡単な話をしたり、手遊びをしたりするなど子どもたちが絵本に注目できるような働きかけができるとよいでしょう。

絵本の見せ方

何人か子どもがいる場合、絵本の高さや持ち方、角度を確認して、全員に見えるよう工夫しましょう。またスムーズに読み聞かせが進むよう、ページのめくり方も練習しておくとよいかもしれませんね。

読み方

緊張すると声が小さくなってしまいがちなので、全員に声が届く大きさで読むことを意識しましょう。話し方に強弱をつけたり、調子を変えたりすると、読み手が意識したことが子どもたちに伝わりやすくなります。反対に、淡々とした調子で読むと、子どもが自由に想像できる幅が広がるかもしれません。子どもの年齢によって読み方を変えるのもおすすめです。

読み終わったあと

絵本を読み終わったらすぐに次の活動に移るのではなく、絵本の余韻を楽しむ時間をとってもよいでしょう。このとき気をつけたいことは、「〇〇はいけない人だね」「〇〇はこうなるだろうね」など大人の価値観を押しつけないことです。読む人が自由に解釈できるのが絵本のよいところといえます。保育士さんが決めるのではなく、子どもたち自身が考えられるような言葉かけを意識しましょう。

保育士が絵本を選ぶときは子どもの反応も見ながら

今回は、絵本の役割や年齢別の絵本の選び方、保育士が読むときのポイントについて紹介しました。

絵本を読むときは、保育士さんも一緒に絵本を楽しみ、あたたかい空間や時間を子どもと共有することが大切です。
絵本を選ぶとき、子どもの年齢を参考にするだけではなく、子どもが何度も「読んで」と言うものや自分でくり返し読んでいるものなど、子どもの反応も見ながら選んでみてはいかがでしょうか。

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