不思議な科学現象を通して、子どもの好奇心や関心を育める実験遊び。スライム作りや空気砲など簡単な実験であれば、幼児クラスなどで子どもたちといっしょに楽しむことができるでしょう。今回は、保育園でできる8つの実験遊びを紹介します。また、実習や保育活動で行う場合に意識するポイントもまとめました。
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保育園でできる実験遊びとは?
実験遊びとは、不思議な科学現象を体験して、子どもの関心や思考力を養う活動のひとつでしょう。保育で取り入れられるものには、スライム作りや空気砲など簡単な遊びが挙げられそうです。
実験遊びには、このようなねらいがあるでしょう。
- 友だちや保育士さんと実験遊びの不思議さを共有して楽しむ
- 不思議な実験遊びを通して、身近な現象やものごとの性質に興味を持つ
保育学生さんは、「~してみたらどうなるかな」など子どもの関心を引き出す声かけができるとよさそうですね。
保育園で実験遊びをするときのポイント
実習や入職後の保育活動で、実験遊びをするときのポイントをみていきましょう。
子どもの年齢に合った内容を考える
実験遊びには、材料を混ぜたり、工作をしたりといった工程が存在します。
中には、少し長い時間がかかったり、細かい作業があったりなど集中力や器用さが必要なものもあるでしょう。そのため、幼児クラスの子どもができることを考慮して、ねらいや実験内容を考えていくとよいですね。
必要に応じて保育学生さんが手伝ったり、前もって準備しておいたりといった工夫をすることもポイントになります。
安全な実験方法を相談する
実験遊びの中には、特殊な材料を使ったり、子どもがびっくりしてしまう内容だったりとリスクが伴うものもあります。
子どもの安全を守るためにも、実験遊びを行う前に先輩保育士さんに相談をして、危険のないやり方や環境設定を考えるようにしましょう。
前もって実験を試しておく
実験を成功させるためには、やりやすい方法や材料を細かく調整する必要があるかもしれません。
実際に子どもの前で行う前に、必ず前もって実験の予行練習をしておくことが大切です。成功するためのコツがわかれば、うまくいかなくて困っている子どもにアドバイスすることもできそうですね。
保育で使える!簡単な実験遊び
簡単な実験遊びのやり方と準備物、ポイントを紹介します。
身近な材料で作る簡単スライム
用意するもの
- 洗濯のり(PVA表記のあるもの)
- 洗濯用洗剤
- 洗面器
- 計量カップ
- 水性ペン
やり方
1.洗濯のり210mlを洗面器に入れます。
2.洗濯用洗剤45mlを入れます。
3.固まるまでよくかき混ぜます。
4.手につかなくなるまでこねたらできあがりです。
5.水性ペンで色を付けてみましょう。
ポイント
洗濯のりに含まれるPVAという成分が、洗剤に使われるホウ酸と反応し、水を閉じ込めてゲル状になるという仕組みのようです。
スライム状にするには、しっかりと混ぜる必要があります。見本を用意して「がんばって混ぜたらこんなスライムができるよ」と声をかければ、子どもたちの意欲につながるでしょう。
水性ペンで簡単に色をつけられるため、さまざまな色を混ぜたり、異なる色のスライムを組み合わせたりしても面白いかもしれません。
作って遊べる糸電話
用意するもの
- 紙コップ 2個
- つまようじ 2本
- タコ糸 50cm
ポイント
声の振動がタコ糸を伝って相手の紙コップまで伝わっていくという原理になっています。はさみを使わないので、3歳児くらいから取り入れられるでしょう。
紐を結ぶ工程は、セロテープを使ってもよいかもしれません。音が聞こえたら、糸をつまんでみたり、ピンと張ったり、緩めてみたりと実験してみましょう。(詳しい説明はこちら)
関連動画:糸電話のしくみって…?音が聞こえる不思議を学ぼう!!【おもしろ実験】/保育士バンク!
硬くてやわらかい片栗粉スライム
用意するもの
- 片栗粉 200g
- 水 コップ1杯
- ボウル
やり方
1.ボウルに片栗粉を入れます。
2.(1)に水を入れて混ぜたらできあがりです。
3.強い力で押すと硬くなり、力を入れずに触るとやわらかくなります。
ポイント
この片栗粉スライムには、ダイラタンシー現象という作用が関係しています。
物体に力を加えると粒子が密集して固体になり、力を緩めると粒子の隙間が広がり液体に戻るという現象が生じているようです。水と片栗粉の割合で硬さが変わるため、あらかじめ実験しておき、子どもが遊びやすい硬さになるよう調整しておくとよいかもしれません。
口に入れても大丈夫なので、幼児だけでなく乳児クラスでも楽しめそうですね。食紅を使って色をつければ、子どもの目を惹くスライムらしい見た目になるでしょう。
風船に紙がくっつく静電気遊び
用意するもの
- 風船
- ティッシュ
- フラワーペーパー
- 折り紙
- 画用紙
- はさみ
やり方
1.フラワーペーパーでちょうちょを作ります。
2.折り紙、画用紙でそれぞれ虫を作ります。
3.風船をふくらませ、ティッシュでこすります。
4.(1)、(2)、(3)に近づけてみて、どれがくっつくか遊んでみましょう。
ポイント
風船をティッシュでこすることで、表面に静電気が発生し、軽い紙はくっつくようになります。<保育園で取り入れるときは、子どもが扱いやすいようにバルーンアート用の細長い風船を用意してもよいでしょう。
科学クイズや実験シアターとして子どもに見てもらうのもよいかもしれません。
風船を使った実験シアター
用意するもの
- 風船 3個
- 紙コップ 3個
- 竹串
- ガムテープ
- マジック
やり方
1.ガムテープを貼った風船、マジックで黒く塗った風船、普通の風船の3つを用意します。
2.(1)をそれぞれ紙コップに置いて固定します。
3.順番に竹串で刺していきます。
4.マジックで黒く塗った風船は、すぐに割れてしまいます。
5.ガムテープを貼った風船は、ガムテープの上から刺せば割れません。
6.普通の風船は、てっぺんのゴムが厚い部分にゆっくり竹串を刺せば割れません。
ポイント
普通の風船はゴムが引っ張られているため、穴がすぐに広がって割れてしまいます。一方、ガムテープを貼った風船は、テープによって穴が広がらないため割れません。
また、ゴムが厚い部分も、穴が広がりにくくいきなり割れてしまうことはないようです。最初に普通の風船の真ん中部分に刺して、すぐに割れてしまう様子を見せるとより不思議さを味わえるでしょう。
竹串を刺す前に、見ている子どもたちにクイズを出しても楽しそうですね。
3つの材料でできる簡単スーパーボール作り
用意するもの
- 水 100ml
- 塩 45g
- 洗濯のり(PVA表記のあるもの) 25ml
- コップ 2個
- 竹串 1本
- ペーパータオル
やり方
1.水100mlをコップに入れ、塩を混ぜます。
2.(1)に食紅を入れて色をつけます。
3.(2)の食塩水を洗濯のりに混ぜます。
4.竹串を使ってよく混ぜたら、だんだんと固まってきます。
5.(4)を取り出して水気を拭き、小さく丸めたらできあがりです。
ポイント
洗濯のりに含まれるPVAという成分が塩に反応し、塩析という現象を引き起こして固まります。
塩や洗濯のりの分量は前もって計量しておくと、スムーズに実験が進みそうですね。スーパーボールで遊ぶときは、けが防止のため広いスペースを確保しておくようにしましょう。
カラフルな世界が見えるセロハンメガネ
カラーセロハンを使った色つきメガネを使って、色の見え方を楽しみましょう。
用意するもの
- 紙コップ 2個
- カラーセロハン
- モール 3本
- ハサミ
- ノリ
- テープ
- きり
- ビニールテープ
ポイント
カラーセロハンを通して見る、色のついた景色を楽しめる実験です。「セロハンを重ねると何色になるかな」「両目で違う色にしたらどうなるかな」など、子どもの好奇心を刺激するような声かけをしてみましょう。
コップの底のカットやきりを使う工程は、あらかじめ保育学生さんがやっておくと安全です。
「青色めがねで空を見たらどんな風になるか知りたい」など、実験を通して子どもの考えを試せるよう、好きな色のセロハンを選べるようにしておくとよいでしょう。(くわしい説明はこちら)
ペットボトルの簡単空気砲
用意するもの
- ペットボトル
- カッター
- 風船
- ビニールテープ
- トイレットペーパーの芯
ポイント
風船が縮むときに風圧が発生し、ペットボトルの口から勢いよく出ていくというしくみになっています。
ペットボトルをカットするには、専用のはさみやカッターを使用するとスムーズですよ。切り口で子どもが指を切らないよう、ビニールテープを貼っておくと安心です。
作り終えた子どもから遊べるように、作るスペースと遊ぶスペースを分けておくとよいかもしれませんね。
簡単な実験遊びのアイデアを知って、保育園でやってみよう
今回は、保育園でできる実験遊びのアイデアと実践するときのポイントを紹介しました。
不思議な科学現象を体験できる実験遊びは、子どもの好奇心や関心につなげるというねらいがあります。スライム作りや割れない風船の実験、スーパーボール作りなどさまざまな実験がありますが、幼児の年齢に合った内容を取り入れ、安全に実施することが大切となるでしょう。
実験遊びを保育園で取り入れて、子どもたちと科学現象を体験してみましょう。