子どもの安全や健康のためにも、手を抜かずに行いたい保育園の掃除。しかし、掃除の正しいやり方が分からず、困る新卒保育士さんや保育学生さんもいるのではないでしょうか。
そこで今回は、保育園の掃除の方法を場所別に紹介します。
スムーズに進めるポイントや嘔吐物の処理方法もまとめました。
VIKTORIUS-73/shutterstock.com
■目次
保育園で掃除を行うメリット
保育環境を整えるうえで、掃除は大切なものですよね。掃除の作業量が多くびっくりする保育士さんもいるかもしれませんが、園をきれいな状態にすることにはさまざまなメリットがあります。
保育園で掃除を行う意味やメリットについて、改めて確認しましょう。
子どもたちの安全確保につながる
掃除を行うことで、子どもたちの安全や健康を守ることにつながります。
特に小さい子どもの場合、床に落ちたゴミや食べかすを食べてしまい、誤飲や体の不調につながることが考えられます。また、手先などのけがが発生する危険性もあるでしょう。
日頃から清潔感を保ち、安全への配慮をしていれば床のささくれなど園の不備に気づける可能性も上がるため、定期的に掃除を行うことが大切です。
保護者や外部の方に好印象を与えられる
園内が清潔であれば、保護者などが見学したときにしっかりしている保育園と思われ、気持ちのよい印象を与えられるかもしれません。
園への信頼度や、入園していただける可能性も高まりそうですね。
子どもの成長につながる
保育士さんが積極的に掃除を行うことで子どもが掃除の意味を理解し、清潔に対する意識を身につけられるでしょう。
子どもの自立心を養うきっかけにもなり、子ども自らゴミを拾ったり、おもちゃなどを片付けたりできるようになるかもしれません。
職員の働きやすさにつながる
乱雑な環境では物がどこにあるか分からず、働きにくいと感じることもあるかもしれません。
きちんと整理整頓されていれば効率的に業務を進められたり、清潔感のある園内であれば気持よく働けたりすることにつながるため、心に余裕が生まれ、質のよい保育ができるでしょう。
保育園で掃除の負担を減らすポイント
ここでは、保育園での掃除の効率を上げ、負担を減らすための工夫点をまとめました。
掃除用具は安全な場所へ収納する
すぐに掃除へ取り掛かれるように、掃除用具はまとめて保管しておきましょう。
また、危険な洗剤を扱う場合もあるので、用具は職員室など安全な場所へ片づけることが大切です。
保育室に置くときは、子どもの手の届かない場所へ置くよう心がけましょう。
不要なものはこまめに処分する
壊れた玩具やほつれた人形などは、子どもの誤飲につながってしまうので使わないものは積極的に処分しましょう。掃除の負担を減らせたり、子どもたちが片づけやすくなったりするかもしれません。
また、大きなホコリなども子どもが飲み込んでしまう可能性があるため、見つけたらすぐに掃除を行いましょう。
役割分担を決める
日々の業務が忙しい中、掃除をまんべんなく行うことは難しい場合もあります。保育中はしっかり時間を取れないことも多く、残業になってしまう日もあるかもしれません。
そのため、掃除は役割分担を決め、保育士さん全員で回すように工夫すると負担が少なくなるでしょう。
【場所別】保育園の掃除のやり方
Myfotoprom/shutterstock.com
ここからは、厚生労働省の資料を参考に保育園の掃除のやり方を場所別に紹介します。
保育室
保育室は子どもが過ごす場所なので、小児ぜんそくやアレルギーを防ぐためにも丁寧に行いましょう。保育室の掃除の手順は、一般的に以下のとおりです。
1.ハンディモップ・雑巾などでホコリを床に落とす
2.ほうき・掃除機などで床を掃く
3.雑巾・モップなどで床を拭く
4.消毒で仕上げる
始めに大きなゴミを取り除き、その後で拭いたり消毒を吹きかけたりするときれいに仕上がるでしょう。
掃除を進めるときの工夫点についてまとめました。
登園前に行う
ホコリが舞っておらず、園が落ち着いているときに行うと掃除しやすいでしょう。
子どもが登園する前に掃除の時間を設けるとよいですね。
上から下・奥から手前に掃除する
保育室の掃除は、上から下・奥から手前に行うようにするのがポイントです。
そうすれば、掃除したところが汚れるのを防げるので効率よく進められるでしょう。
トイレ
トイレはできれば毎日、最低でも1日置きに掃除することが好ましいです。掃除の際は、以下の手順で進めましょう。
1.便器の裏を洗剤でつけ置きする
2.壁や床を拭く
3.ブラシで便器を磨く
4.濡れ雑巾で便座を拭く
5.洗面台はスポンジ・ブラシなどでこする
6.濡れ雑巾で洗面台を拭く
7.消毒用エタノールで仕上げる
トイレは菌が繁殖しやすい場所なので、便器・壁・床・洗面台などをまんべんなく磨くことが大切です。
掃除のポイントを紹介します。
できるだけこまめに掃除する
トイレ掃除は時間がかかりやすいため、なるべくこまめに行うことで負担を減らせるかもしれません。
例えば複数の子どもが使った後や、隙間時間に少し拭くだけできれいな状態を保ちやすくなるでしょう。
重曹を使って汚れを落とす
カップ1杯ほどの重曹をタンクに入れ、少し待った後に流すだけで汚れが落ちやすくなります。
掃除後の仕上がりがきれいになるほか、時間短縮にもつながるので試してみるとよいでしょう。
次亜塩素酸ナトリウムを使う
次亜塩素酸ナトリウムは感染症の予防に効果的と言われています。
0.02%に薄めてから臭いの気になるところや、消毒・除菌したい場所に使いましょう。
玩具
子どもが直接手にふれ、遊びに使うおもちゃも掃除しなくてはいけません。素材ごとに分け、以下のように汚れを落としましょう。
- 木製の玩具は拭き掃除する
- 布製の玩具は洗濯し、天日干しする
- 中性洗剤や食器用洗剤で洗い拭いた後、消毒用エタノールを吹きかける
子どもが使うたびに行うのが好ましいですが、難しい場合は曜日ごとに掃除する玩具を決めましょう。
洗えないおもちゃの場合は清潔な布で拭き、消毒することがポイントです。
保育園で掃除を行うときの注意点
最後に、掃除を行ううえでの注意点を具体的に解説します。
掃除用品はしっかり消毒する
掃除に使った道具を消毒しないと菌が繁殖する可能性が高くなるため、そのままにしないことが大切です。
以下の手順で消毒し、清潔な状態を保ちましょう。
1.中性洗剤で洗ってからすすぐ
2.0.02%で薄めた次亜塩素酸ナトリウムに、15分ほどつけ置きする
3.すすいでから乾燥させる
消毒をした後、子どもがふれない場所で天日干しにするのが望ましいようです。
嘔吐やおもらしがあったときの対応に気をつける
嘔吐・おもらしなどのトラブルがあったときは、スピーディーに対応することが大切です。菌を繁殖させないためにも、以下の手順でしっかり消毒しましょう。
1.マスク・手袋を身に着ける
2.嘔吐物やおもらしを新聞紙で取り、ゴミ袋に入れて閉じる
3.0.02%で薄めた次亜塩素酸ナトリウムを汚染場所にかけ、しっかり拭く(2度行う)
4.マスク・手袋もゴミ袋に入れる
5.ゴミ袋を2重にし、袋の中にも消毒用エタノールを吹きかけてから結んで破棄する
6.窓を開け、30分以上換気する
7.手を石鹸でしっかり洗い、うがいも行う
自分が感染症にかかることを防ぐためにも、
嘔吐物やおもらしには直接触らず、掃除の後は入念に手洗い・うがいをしましょう。
出典保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)/厚生労働省
保育園の掃除のやり方をマスターし、安全な保育を行おう
今回は、保育園で掃除をするメリットや注意点、方法を場所別に紹介しました。
園内をきれいな状態で保つことは子どもの安全や健康、保育士さんの働きやすさにもつながります。
子どもの自立心を伸ばすことにも役立つ可能性があるので、積極的に掃除を行いましょう。
また、菌の繁殖を防ぐためには、正しい方法でこまめに掃除することが大切です。状況に応じて次亜塩素酸ナトリウムや消毒用エタノールを活用しながら消毒・除菌を行い、きれいな保育園を保ってくださいね。