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児童養護施設とは。1日の流れや役割を知り、就活・実習に役立てよう!

児童養護施設とはどのような場所なのか知らない保育学生さんもいるでしょう。施設実習の対象となることも多いようなので、事前に仕事内容など基本的な知識を身につけておきたいですよね。今回は、児童養護施設の役割や、職員の仕事内容などをわかりやすく解説します。また、1日の流れについても簡単にまとめました。

やさしく子どもを見守る保育士

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児童養護施設とは

児童養護施設とは、保護者がいなかったり保護者による養育が難しかったりする子どもに、安定した生活を提供するための施設です。

すべての子どもは適切に養育され、生活を保障され、愛される権利があるという考えに基づき運営されており、退所した児童のサポートも行います。


まずは、児童養護施設の現状や子どもの入所理由などを簡単に解説します。



児童養護施設の現状


厚生労働省の資料によると、2020年3月末時点で児童養護施設は612カ所あり、約2万4000人の子どもが入所しています。


平均在籍期間は5.2年となっていますが、10年以上在籍する児童は14.6%もいるようなので、子どもによっては成人するまでの大半の時間を児童養護施設で過ごしているかもしれません。



子どもの入所理由や年齢


虐待や経済的理由で保護者との生活が難しいなど、社会からのサポートが必要な子どもが入所しています。


児童養護施設に入所する児童のうち、虐待を受けている子どもは2018年時点で65.6%となっており、その数は年々増加しているようです。

また、子どもの年齢については基本的に乳児を除く18歳までとされていますが、2017年から延長措置として22歳まで入所することができるようになっています。


続いて、児童養護施設の役割について、実習に活かせるようにわかりやすく説明します。


出典:児童養護施設について/厚生労働省

出典:社会的養護の施設等について/厚生労働省

出典:児童福祉法/総務省

出典:社会的養護自立支援事業等の実施について/厚生労働省

出典:児童養護施設入所児童等調査の概要/厚生労働省



児童養護施設の役割

児童養護施設とはどのような場所か、入所する子どもの年齢などを紹介してきましたが、ここからは児童養護施設の役割について簡単に見ていきましょう。



子どもの生活をサポートする


児童養護施設は、できる限り家庭に近く、落ち着いて生活できるような環境が整っている場所です。


そのため、家庭の代わりとなり、子どもが安心して暮らせる場所として機能しています。



基本的な生活習慣を教える


家庭で適切な養育を受けていない子どももいるため、児童養護施設では生活するうえで必要な知識を指導する必要があるようです。


子どもに入浴や食事などの正しい方法を身につけさせ、健康的に過ごせるようなサポートを行います。



社会に出るうえで必要な力がつくよう援助する


児童養護施設には、保護者や周りの人との交流が薄く、人とのかかわり方がわからなかったり、うまく感情を表現できなかったりする子どもも多いようです。


社会で生きていくうえで困らないように、職員は子どもに対してコミュニケーションの取り方を教えるなど、必要な支援を行っていきます。



児童養護施設の1日の流れ

続いて、児童養護施設の基本的な1日の流れについてまとめました。

6:30:起床

7:00:朝食

8:00:通園や通学

12:00:幼児の昼食

15:00:幼児のおやつ

15:30:子どもの帰宅

18:00:夕食

19:00:入浴

20:00~:就寝


施設にもよりますが、一般家庭と近いスケジュールで過ごすことが多いかもしれません。


他にも、休日の前日は就寝時間を1時間ほど遅らせたり、ひな祭りのようなイベントを行ったりするなど、独自の取り組みを行っている場合もあるようです。

保育学生さんが実習に参加するときは、あらかじめ担当の保育士さんに1日の流れについて聞いておくとよいかもしれませんね。



児童養護施設の職員の仕事内容

児童養護施設では保育士・看護師・栄養士など、さまざまな職員が在籍しています。


職員の仕事内容について簡単にまとめました。



保育士


保育士は基本的にすべての子どもと接し、コミュニケーションを取ったり勉強を見たりするなど多様な仕事を担います。


また、児童指導員と協力しながら、健康的な生活を送るためのサポートも行うようです。



児童指導員


児童指導員は子どもがすこやかに成長できるように、指導や生活環境を整える役割を持っています。


一人ひとりの子どもに対して生活指導計画を作り、子どもが自立できるように援助したり、保護者と面談したりするなどの仕事を担うようです。



個別対応職員


虐待を受けた経験があるなど心に傷を抱えた子どもに、個別で対応する職員のことを指します。


気になる子どもと直接かかわったり、保護者が子どもと上手にかかわれるようになるためのアドバイスをしたりするなど、さまざまなサポートを行うようです。



心理療法担当職員


心理療法担当職員とは、心理療法によって子どもの精神面をサポートする職員です。心理療法の知識をもとに子どもとかかわるなど、精神的なケアを中心に行います。


10人の子どもに対して1人以上の設置が必要と決められているので、施設によっては複数人が在籍しているでしょう。



ファミリーソーシャルワーカー


子どもが家庭に戻れるよう支援したり、里親のもとへ行けるようにサポートしたりします。


児童相談所や保護者と連携を取り、子どもがよりよい生活を送れるように援助するようです。



医師や看護師


病気の予防や、衛生管理などを担います。


医療行為はあまり行わず、子どもの健康管理をしたり、精神的なケアをしたりすることがメインのようです。



栄養士や調理師


子どもの身体のことを考え、栄養管理をしたり食事を用意したりします。

その他にも、食中毒防止のため徹底した衛生管理を行うようです。


出典:児童養護施設について/厚生労働省



児童養護施設で働く保育士の役割や仕事内容

保育士と子どもの笑顔

paulaphoto/shutterstock.com


児童養護施設にいる子どもにとって、施設は家の代わりとなるため、保育士さんは保護者や兄弟のように接することが求められるでしょう。


それを踏まえ、児童養護施設で働く保育士の役割について、わかりやすく紹介していきます。



親の代わりに愛情を注ぐ


子どものなかには、虐待によって心に傷を負い自己肯定感が失われているなど、さまざまな問題を抱えている場合があるようです。

そのため、「信頼してもよい人なのか」と試したり、暴れたりしてしまう子どもも出てくるかもしれません。しかしそんな場面でも慌てずに、子どもの気持ちに寄り添いながらしっかり話を聞くなど、周りの保育士さんと協力することが大切でしょう。


また、児童養護施設を退所した人の中には、大人になっても傷が癒えず、愛着障害などに至ってしまうケースも多いようです。

このような問題を防ぐためにも、保育士さんは子どもとの関係をしっかり築き、十分に愛情を注ぐ必要があるでしょう。



子どもがすこやかな生活を送れるように支援する


低年齢の子どもには、歯磨きや入浴の仕方など、健康的に生活するための知識を教える必要があるようです。


一方、小学生や中学生以上の場合は、相談に乗ったり親身に寄り添ったりするなど、年齢によって多様なかかわり方が求められるかもしれません。



社会的に自立できるようにサポートする


子どもによっては、友だちとのかかわり方や、人のものを取ってはいけないなど倫理観について教える必要があるでしょう。

また、子どもが社会に出たときに困らないように、金銭管理の方法について伝えることも重要です。


お小遣い帳のつけ方や貯金の仕方など、こまかなポイントを教えておき、子どもが自立できるように支援します。



保護者対応を行う


保護者からの強引な引き取りがあった場合は、子どもの安全を守るため、しっかり断るなどの対応を行う必要があります。


そのほかにも、子どもが家庭に戻れるよう保護者と話し合ったり、保護者からの相談に乗ったりすることもあるでしょう。



学校生活のフォローをする


学校の宿題をサポートしたり、授業参観などの行事に参加したりするなど、子どもの学校生活のフォローを行うことも大切です。


進学や就職に関する相談、学校の書類作成なども行い、子どもが安心して学校生活を送れるように支えることが仕事になります。



児童養護施設とはどのような場所かを知り、保育実習に役立てよう

今回は、児童養護施設が設立された目的や、どのような子どもがいるのかなどについて、わかりやすくまとめました。

児童養護施設は、保護者による養育が難しい子どもに、安心できる生活を提供するための施設です。基本的には18歳までの子どもが入所しており、食事や通学などそれぞれの生活を送っています。


保育士さんは、子どもに愛情を注いだり自立できるように支えたりする重要な役割を担っている存在と言えるでしょう。

保育学生さんは、児童養護施設の特徴や保育士の役割を理解し、保育実習に役立ててみてくださいね。


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