新卒保育士さんは、離乳食の食べさせ方にポイントやコツがあることを知っていますか?先輩保育士さんたちが何気なく食べさせているように見えるかもしれませんが、さまざまな工夫や考えのうえで援助しているようです。子どもの食事や離乳食に大切なことをふまえ、離乳食段階別に援助のコツや注意するポイントを紹介します。
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■目次
新卒保育士さん必見!離乳食の食べさせ方を知ろう!
子どもが、母乳やミルク以外のもので初めて口にするのが離乳食です。
もちろん好みや個人差もありますが、保育士さんたちの食べさせ方によって、食べることを好きになるきっかけになるかもしれませんね。
援助の工夫やコツ、大切なことを段階別に知り、個々に合わせて食べる力を育んでいきましょう。
食べさせ方のコツ:離乳食初期の保育士の援助
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まず初めの離乳食は「初期」といわれます。「ごっくん期」とも呼ばれ、口を閉じて飲み込む練習期間と思ってよいでしょう。
10倍がゆを小さじ1杯から始めていき、にんじんやほうれん草などもペースト状になっています。
援助法
- ラックに座る、またはひざの上で抱っこして支える
- 下唇にスプーンをそっと当てる
- 赤ちゃんがスプーンをくわえてたべたら優しく引き抜く
食材に関しては、アレルギー症状の心配を避けるため、ご家庭で試したことのあるものを保育園でも取り入れるようになるでしょう。
子どもの反応、体調を見ながらゆったりと食事を進める必要があるため、環境や職員配置の工夫も必要かもしれませんね。
ポイント
お座りが安定していないうえに、初めての食事です。のどに詰まらせないように気を付けましょう。
無理に食べさせようとはせず、赤ちゃんが口を動かすことを待つこともポイントのひとつです。
食べさせ方のコツ:離乳食中期の保育士の援助
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中期は、「もぐもぐ期」とも呼ばれます。もぐもぐ口を動かす姿が見られるかもしれません。
「噛んでいる」というより、「上あごですりつぶして食べている」という感覚のようです。
援助法
- ベビーチェアなどに座る
- 子どもの正面に大人も座る
- 言葉がけをしながら楽しい雰囲気をつくる
座って、正面からスプーンを口に運びましょう。
声をかけながらスプーンを口に持っていくと、自然と口を開ける姿が増えてくるかもしれません。「おいしいね」「あまいね」など気持ちを表現したり、食材の名前を伝えたりする言葉がけも大切です。
ポイント
スプーンや食材に手を伸ばす姿が見られた場合、意欲を大切にしながら見守りましょう。
ゆったりと食事を楽しめるように工夫できるとよいかもしれません。
食べさせ方のコツ:離乳食後期の保育士の援助
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後期は、「かみかみ期」とも呼ばれます。
まだ歯は生えていないかもしれませんが、歯茎で噛む練習をしていきましょう。
援助法
- 手づかみ食べを取り入れる
- 意欲を大切に援助する
- 詰め込みすぎないよう注意する
スプーンに興味を示した場合は、いっしょに持って援助しましょう。子どもの意欲を大切にしたいですね。
ポイント
成長とともに、自己主張や好みも出始めるでしょう。
「自分で食べたい」「スプーンを持ちたい」という気持ちがあるにもかかわらず上手くできなくてイライラしたり、好き嫌いが出始めたりするかもしれません。
保育士さんは落ちついて、気持ちに寄り添った援助を心がけるとよいでしょう。
手づかみ食べについて
手づかみ食べは重要であるとされています。手指でつかんで口まで運び入れるという目、手、口の協調運動であり、摂食機能の発達に大切な役割を担うようです。
手づかみしやすい野菜の大きさやおにぎりを用意する、汚れてもよい環境を整えるなど、工夫していけるとよいですね。
また、たっぷり遊び、生活リズムを整えて子どもがきちんと空腹を感じることも、食事の意欲を育むコツのひとつとなるでしょう。
食べさせ方のコツ:離乳食完了期の保育士の援助
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完了期は「ぱくぱく期」とも呼ばれます。
味付けは薄味で調節していますが、大人と同じような献立、食事時間となり、自ら進んで食べるようになるでしょう。
援助法
- 歯を使って噛んだりかじったりする
- 「いただきます」「ごちそうさま」の挨拶をする
- スプーンやフォークを持ち始める
一人で食べ進められる姿が見られる頃ですが、スプーンやフォークを完璧に使えるわけではないでしょう。
また、好き嫌いがはっきりしてきたり、食事に飽きて座っていられなかったりすることもあるようです。
楽しい雰囲気で援助することを忘れないよう、かかわっていきましょう。
ポイント
子どもがスプーンに興味を持ち始めると、こぼすことが増えたり食事に時間がかかったりすることもあるでしょう。
保育士さんに手伝ってもらうのではなく「自分でやりたい」という気持ちの現れも多くなるかもしれません。
保育士さんは、きれいに食べたり好き嫌いなく完食したりすることではなく、子どもが意欲的に食事する姿を見守るようにするとよいでしょう。
園や先輩の方針で、完食や好き嫌いをなくすことが目標になっている場合もあるかもしれません。そのような場合、話し合いなどで子どものために大切にしたいことの共通認識を持つことが大切でしょう。
また、新卒保育士さんの場合、先輩に意見したり話し合いの機会を設けてもらったりすることに抵抗がある人もいるかもしれません。
しかし、保育に関しては対等に意見交換ができる関係や、職場の雰囲気があることが望ましいのではないでしょうか。
離乳食を食べさせるときに保育士が気を付けること
保育士さんは、離乳食に関してさまざまなことに気を配らなければなりません。
気を付けるポイントを紹介します。
事故
出典:食品による子供の窒息事故に御注意ください!
-6歳以下の子供の窒息死事故が多数発生しています-/消費者庁p1から抜粋
表は、5年間で食品により窒息死してしまった14歳以下の子どもの割合を示したものです。
0歳の子どもが約半数を占めていますね。
保育園での食事は、食前の配膳、一人ひとりに合わせた食事介助、食後の片づけなどを複数人同時に行わなければならず、一日のなかで忙しい時間のひとつといってもよいでしょう。
そのような中で、子どもが安全に、そして楽しく食事ができるよう見守らなければなりません。
注意すべきポイントは下記の通りです。
- 子どもが食べるタイミングに合わせる
- 子どもの口に合った量を与える
- 食べ物を飲み込んだことを確認しながら食べ進める
- 汁物など水分を与えながら食事する
- 食事中に驚かせない
- 眠くなっていないか確認する
- 正しく座った状態で食べる