◆男性保育士の悩み!ホントのところ、どうなの?
最近、男性で保育士になりたい!という方が増えています。
ひと昔前は、保育士は女性の仕事という意見が大多数でしたが、現在は少しずつ、変わりつつあるのかもしれません。
そこで今回は男性保育士をとりまく現状や保育士として働く男性の本音、現状などについて取り上げたいと思います。
◆男性保育士の現状
◯経済環境
2004年度の厚生労働省の調べによると、保育の現場で活躍する男性保育士さんの現状は次の通りです。
・人数:保育士人口の約3%
・平均年齢:32.3歳
・平均月収:約22万円
・推定平均年収:約340万円
保育士のお給料は低い!という問題が常に叫ばれていますが、もちろん男性保育士さんも例外ではありません。
20代などの若いうちなら一般的なサラリーマンとあまり変わらない年収ですが、30代過ぎても年収300万円を満たない場合もあるようで、一家の大黒柱になることを考えている男性にとっては、少し不安な状況かもしれませんね。
しかし、こういった待遇の問題は、男女関わらず、保育士全体の問題でもあり、政府や自治体で改善に取り組む動きが活発になってきていますので、将来的には変わって行く可能性も、もちろんあり得ます。
◯労働環境
女性社会のイメージが強い保育の現場に男性保育士を雇うことにはどんなメリットがあるのでしょうか。
(1)力仕事や防犯
なんといっても力仕事が頼めるということです。
女性だけでも協力し合えば不自由なことはないですが、やはり体力の差は男女で歴然ですので、男性保育士に頼んだほうが効率的に動けます。
また、子どもを狙った犯罪などが増えている中、男性保育士の存在だけでも防犯に繋がることもありますので、園や保護者にとっても心強いものです。
(2)人間関係の円滑化
園内・園外の人間関係についても、男性保育士がいたほうが円滑にいくと言われています。
保育業界は女社会なので、どうしてもギスギスした環境になってしまうと言われています。
そんな環境に男性保育士さんがひとりいるだけでも、職場の雰囲気が変わることがあるようです。
保護者対応時にも、女性だけで対応するより男性保育士が隣にいるだけで感情的になりにくくなると言われています。
(3)子どもたちの情緒安定
また、男性保育士の存在は子ども達にも影響を与えます。
近年では母子家庭も多く、父親と触れ合ったことがない子もいます。
園児にとっても、お母さんだけでなく、お父さん代わりになるような男性保育士さんがいたほうが、情緒面でも安定する、ということもあるようです。
◆男性保育士の本音
男性保育士がどんな悩みを抱えているかは、実際に保育現場でお仕事されている男性保育士さんに聞くのが一番です。
以下では、実 際に男性保育士さんから寄せられた具体的な悩みをご紹介したいと思います。
◯「男性保育士は気を遣う」
男性保育士さんにとっての一番のお悩みは、どうしても気を遣うことが多いこと。
自分以外全員女性、ということもざらにありますから、その気苦労は推し量るに余り有ると言えます。
着替え一つとっても男性の更衣室がない、だとか、園児といっても女の子を着替えさせるのはどうなんだ、とか、内外からもクレームも多いようです。
これらを一つひとつ解決していかなければならないのですから、男性保育士さんは大変ですね。
◯「男性保育士は孤立しやすい?」
男性保育士が増えてきているとは言え、職場は女性中心で、同僚の中で自分だけが男性というケースは珍しくありません。
そのため愚痴を言いあったり、相談しあえる仲間がおらず孤立してしまうこともあるそうです。
また、細かい作業やピアノなどが苦手だと感じている男性保育士も少なくないのだとか。
女性の先生の場合、それらの作業が多少苦手であっても、得意な先生や先輩に教えてもらいながら克服していきやすいそうですが、女性相手に教えを請うことができず、ひとり悩んでしまうこともあるのだとか。
◯「男性保育士は常に見られている」
他のクラスの、全く関わりのない保護者から、「先生こんにちは!」と休日に声をかけられる。
そんなことがよくあるそうです。
つまり、珍しい男性保育士はいつの間にか覚えられ、注目されているという事。
注目される理由としては、単に珍しい、男性で保育士になる人はどんな人か興味を持たれる、というただ単に興味本位のものから、もしかしたら、性問題があるのではないか?と疑われたり、男性に務まる仕事なのか、と白い目で見られたりなど様々。
女性保育士よりもよっぽどハードルが高いのです。
見られているということはつまり、身なりもきちんとしなくてはなりませんし、態度も堂々としていなくてはなりません。
常にそれを意識することは、とても大変と言えます。
◯だけど…うまくいけば、頼られる存在に!
女性だけの職場だとどうしても、力仕事が難しいことがあります。
そんな時に頼りになるのが、男性保育士さんの存在です。
また、男性目線の保育というのは、女性だけから見た保育とは違うはず。
子どもたちも、頼れるお兄さん、お父さんのような存在がいてくれることが、きっとプラスになるでしょう。
見られているということは、注目されていることと同義。
うまく自分のアピールをして、頼れる保育士さんになることが大切です。
◆子どもたちにも人気!男性保育士
保育士といえば女性ばかりで、男性の保育士は珍しい存在と考えるのはひと昔前のお話。
最近の傾向では、少しずつではありますが男性の先生も増えているのだとか。
以下ではそんな男性保育士についてまとめてみました。
◯男性の先生ならではのメリット
男性保育士ならではのメリットとして挙げられるのが、「子どもとダイナミックなあそびができる」「虫やカエルなどの生きものを触れる」「力仕事や高い場所の仕事が得意」「父親育児の相談にのってあげられる」などです。
いかがでしょう?確かに、これらのことは男性の先生にお任せしてしまったほうが女性の先生にとってもメリットがあることではないでしょうか。
パワーがないよりもあるほうが安全にあそぶことができますし、やんちゃな盛りの男の子を相手にするのは女性の先生にとってはけっこうハードなお仕事ですからね。
また、子供の教育に関しても男性目線(父親目線)で見るので、女性にはない新しいアイデアが出ることもありそうです。
◯女の子にとっては怖い存在?
ダイナミックなあそびなど男の子には人気の男性の先生ですが、その力強さや厳しさがあだになって、中には怖がってしまう女の子もいるようです。
しかし、それは最初だけで、女性の先生以上に優しい態度で接していくうちに、女の子からも信頼を得るようになっていくものです。
慣れるまでの間、少しだけ寂しい思いはしますが、その分、心を開いてくれた瞬間の喜びもひとしおなのではないでしょうか。
◆男性も保育士を目指そう!
保育士になりたい!という男性も増えて来ていますし、園にとってはメリットの多い男性保育士の雇用。
でもその一方で、長年、女性社会だった保育園に男性保育士を雇用するのは、まだまだ難しい、という園もあるようです。
保育士不足なのになかなか就職が決まらない…男性というだけで、書類審査ではじかれているような気がする…さらに将来的な賃金を考えると…そんなふうに、入職前に、挫折してしまう男性保育士さんも多いようです。
でも、もし「保育士になりたい!」という強い気持ちがあるのなら、諦めるべきではありません。
子どもが好き・保育の仕事がしたいという情熱さえあれば、男性保育士さんを雇用している園はたくさんあります。
これらの現状をマイナスに捉えるのではなく、男性としての強みを存分に発揮して、挑戦することが大切です。